Interview

相葉裕樹が挑む、現代能楽集X『幸福論』。人間が持つ性(さが)。あなたが思う“幸福”とは何か……

相葉裕樹が挑む、現代能楽集X『幸福論』。人間が持つ性(さが)。あなたが思う“幸福”とは何か……

能・狂言を土台に現代演劇を創作する「現代能楽集」シリーズ。世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎(狂言師)が企画・監修を務めるこのシリーズの記念すべき第10弾 現代能楽集X『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」より が、シアタートラムにて11月29日(日)より開幕する。
幸福な家族がさらなる幸福を激しく求めた結果の悲劇を描く「道成寺」。運命的に出会う3世代の女たちが主人公の「隅田川」では、誰の目も届かない社会の片隅で、あり得るかもしれない物語が紡がれる。6人の俳優が2つの演目でそれぞれ異なる役を演じる本公演。
約6年ぶりにストレートプレイに挑むという相葉裕樹に意気込みなどを聞いた。

取材・文 / 松浦靖恵 撮影 / 冨田望


これまでの成長、今の自分に何ができるのかを感じられる場にもなる

現代能楽集X『幸福論』は、能・狂言を土台にした現代演劇ですが、相葉さんご自身は今回のお話をいただくまで、能や狂言に対してどのようなイメージを持っていらっしゃいましたか?

僕自身もそうですが、多くの人たちは普段の生活の中で、能や狂言のような古典芸能や伝統芸能に触れる機会は少ないですよね。実は、19歳の頃に3ヵ月くらい能のレッスンを受けたことがあったのですが、そもそも自分にとって馴染みのないものでしたし、知識もなかったので、(レッスンで)本を読んでも映像を観ても、とにかくわからないことばかりでした。存在は知っていても知識がないと、教えていただいてもなかなか自分の中に入ってこないものなんだなと、当時の自分は思っていましたね(苦笑)。その後も機会もなく、ちゃんとは触れてこなかったので、今回「現代能楽集」シリーズに出演させていただくことで、多くの勉強ができると思っています。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

「現代能楽集」シリーズに出演するにあたり、あらためて能・狂言について勉強されたのですか?

今回、現代劇ではあるのですが、演者としてはやはりある程度の知識を得たうえで現代劇になった台本を読まないと、設定や役どころ、台詞の解釈も変化すると思うので、これまで自分が触れる機会がなかったからこそ、お稽古に入る前にしっかり勉強したいと思っています。そこはさぼりたくないというか。得た知識を芝居に使うか使わないかは別として、1ミリでもヒントがどこかにあるかもしれないと思うので。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

本作に出演することが決まったときにはどのような気持ちでしたか?

ストレートプレイに出演するのが約6年ぶりになるので、久しぶりにストレートプレイに挑めることが嬉しかったです。この6年間、ミュージカルなどいろいろな舞台に立たせていただいたなかで成長できたこと、今の自分に何ができるのかを感じられる場にもなると思うので、楽しみなことしかないですね。それに、今回は出演者が6人という少人数なので、かなり濃厚、濃密な作品になると思うので、新たな引き出しを開けられたらいいな、眠っていたものが起きたらいいなと思っています。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

この6年間で成長できたことを、大いに実感できる舞台になりそうですね。

とはいえ、まだまだできないことはあるので、成長しなければいけないところはたくさんあると思っています。お芝居は表面的なものや技術だけではないところからつくられるものだと思っていて。表面的なものだけではないものを感じていただける役者でありたいですね。ストレートプレイでは、歌や音楽に頼らずにどれくらいの勝負ができるんだろうということも含めて、いろんなことが楽しみで。稽古でも、演劇界の大先輩方から学べること、感じることがたくさんあると思うので、それをちゃんとキャッチできる柔軟な器をしっかり持っていなければいけないなと思っています。昔は自分に必死になりすぎてしまって気づけなかったこと、取りこぼしていることもきっと多かったと思うんです。だから、他者目線を持って感じることができるニュートラルな状態でいたいですし、あのときもう少しゆとりを持って演劇に向き合えていたら、また違った表現ができたんだろうなと今思えることもあるので、芝居をする選択肢が増えたと思っています。

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自分の胸に手を当ててみると、近からず遠からずな感覚があった

そして、幸福な家族がさらなる幸福を激しく求めた悲劇が描かれる「道成寺」で相葉さんが演じられる息子・清史郎は、かなり下劣な男という印象が強いのですが、そんな彼に対しては、どのような感情を持ちましたか?

清史郎もですが、清史郎の家族もそうだなって思いますよね(苦笑)。人間の裏側、汚いところが赤裸々に描かれているので、「人間ってそういう部分が少なからずあるよね」っていうところに自分は共感しましたし、観てくださる皆さんも共感せざるを得ないと思いました。最初のプロットを読ませていただいたときに、この題材は人間にとって何が幸せなのかを一概に言えないと思ったんです。自分自身の解釈と照らし合わせてみても、幸福の価値観というのは人それぞれ違いますし。だから観る方によって、登場人物それぞれの在り方や解釈にも差が出るような気がしています。ただ、誰もが持っているであろう依存心や執着心、嫉妬、抗うことができない性(さが)が揺れ動く様というか……そういったものが極端に描かれていますし、自分の胸に手を当ててみると、近からず遠からずな感覚が自分の中にあった。「わからなくもないな」「自分にもこういうところがあるかもしれないな」と、突きつけられているような感覚になったんです。清史郎の家族は酷いなって思うけれど、そうじゃない部分もあって。少なからず、この人たちのことを支持している人たちがいたからこそ、この家族は社会の中で成功しているし、これまで生きてこられている。人によるとは思いますが、自分に対する執着がないと成長できないし、自分だけは大丈夫だと思って生きていた方が安心できる場合もあるんだろうなって思いました。けれど、満たされていることが普通になってしまうと、もっともっとと欲しがって、今あるものに満足できなくなってしまうのも人間の性で、それに執着しすぎると破綻してしまうんだなと思います。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

そうですよね。そして「隅田川」は運命的に出会う3世代の女たちの物語です。

喉から手が出るほど欲しいのに手に入れることができないものがあって、それゆえに報われない思いが描かれている「隅田川」と、幸福が満ち溢れているのにそれ以上のものを求めすぎるのを止めることができない家族を描いた「道成寺」は、人間が持つ両極端の性を描いていると思います。元の能は何百年も前に書かれたお話なのに、どちらも現代社会に置き換えられるシビアな題材が描かれているので、当時から人間の性って変わっていないし、進化できないんだなと思いました。いろんなものが発展し、進化して、どんなに便利な世の中になっても、どんなにいろんなものに満ち溢れていても、渇望や欲求は止められない。でも、それもまた人間、ということにあらためて気づくことができたような気がします。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

何かしら自分の気づきになるような作品になっている

何が幸福なのか、その基準は人それぞれだと思いますが、相葉さんが思う“幸福”とは?

コロナ禍の中であらためて感じたことでもあるのですが、当たり前のことは当たり前ではないんだなということでしたね。そして、当たり前の中に幸せがあったんだなってことに気づくことが、幸せなんだなと。それこそ、仕事があって、毎日食べるものがあって、家があって、着る服があって、眠れるベッドがあって。家族や友達やいろんな人との関係やつながりがあるから、自分はココにいるんだということを、あらためて思いました。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

では、今作の見どころをあらためて教えてください。

「道成寺」は、満たされているはずなのにそこに幸福を感じられていない家族が、それ以上の幸福を求めすぎるがゆえに破綻していきます。「隅田川」は、どうしても手に入れることができないものがあるんだという報われない思いが描かれます。あっても不幸、なくても不幸、という両極端さに触れると、当たり前なことに対する幸せを、あらためて考えさせてくれる作品だと思います。何かしら自分の気づきになるような作品になっていると思うので、ぜひ劇場で感じていただけたら。劇場でお待ちしております!

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

最後に、観劇してくださる皆さんにメッセージをお願いします。

それぞれの生き方や考え方で、全然違う捉え方になる作品だとも思うので、皆さんの感想が知りたいです。あと、僕がそうだったように、能や狂言の存在は知っていてなんとなくイメージはできるけれど、ほとんどの人が馴染みのないもの、なかなか触れる機会がないものだとも思うのですが、今作は能を題材にはしていますけど、現代劇という形で能の魅力、演劇の魅力に気づくひとつのきっかけになるような作品になっています。僕自身、何百年も前に書かれたあの時代に思いを巡らせてみたり、能って面白いなっていうところにも辿り着きましたので、ミュージカルファンの方、ストレートプレイを初めてご覧になる方にとっても、新しい経験の場、新しい興味のきっかけの場になっていただけたらありがたいです。

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ヘアメイク / YOSHi.T
スタイリスト / 髙木阿友子
衣裳協力 / TROVE


【募集終了】抽選で2名様に相葉裕樹さんの直筆サイン入りチェキをプレゼント!

相葉裕樹さん直筆サイン入りチェキ

※賞品はお選びいただけませんので予めご了承ください

応募期間

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10月23日(金)~10月30日(金)23:59


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現代能楽集X『幸福論』〜能「道明寺」「隅田川」より

2020年11月29日(日)〜12月20日(日) シアタートラム

<チケット一般発売>
2020年10月25日(日)AM10:00〜

作:長田育恵(弐「隅田川」)・瀬戸山美咲(壱「道明寺」)
演出:瀬戸山美咲
監修:野村萬斎(世田谷パブリックシアター芸術監督)

出演:
瀬奈じゅん 相葉裕樹 清水くるみ 明星真由美 高橋和也 鷲尾真知子

主催:公益財団法人せたがや文化財団
企画制作:世田谷パブリックシアター

オフィシャルサイト

相葉裕樹(あいば・ひろき)

現代能楽集X『幸福論』 相葉裕樹 WHAT's IN? tokyoインタビュー

1987年10月1日生まれ、千葉県出身。2004年に映画デビュー。ミュージカル『テニスの王子様』不二周助 役、『侍戦隊シンケンジャー』池波流ノ介/シンケンブルー 役で人気を博し、その後、ミュージカルシーンで活躍。近年の主な舞台出演作品には、ミュージカル「アナスタシア」、帝国劇場 ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』『レ・ミゼラブル』、『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』、ミュージカル「HEADS UP!」などがあるほか、アニメ『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』、『ローグ・ワン/STAR WARS STORY』、海外ドラマ『S.W.A.T.』(日本語吹替)、スマートフォンゲーム『ディズニーツイステッドワンダーランド』などで声優としても活躍。2021年4月には「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2020」、5月〜上演ミュージカル「レ・ミゼラブル」への出演も決定している。

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