全集中!『鬼滅の刃』特集  vol. 3

Interview

『鬼滅の刃』禰󠄀豆子役・鬼頭明里が明かす“セリフほぼなし”の難しさと演技の裏側。「ずっと模索しています」

『鬼滅の刃』禰󠄀豆子役・鬼頭明里が明かす“セリフほぼなし”の難しさと演技の裏側。「ずっと模索しています」

2019年放送のTVアニメを機に老若男女からもいっそう注目されるようになり、原作の完結後も世代を超え強い支持を集めている「鬼滅の刃」。そのTVアニメ最終話からつながる続編を描いた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』がいよいよ2020年10月16日(金)より全国公開される。アニメーション制作を手掛けるのは、TVアニメに続きufotableだ。

短期間のうちに40名以上の行方不明者を出しているという“無限列車”の調査を任された竈門炭治郎(かまど・たんじろう)たちは、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、“炎柱(えんばしら)”の煉󠄁獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)と合流し、下弦の壱・魘夢(えんむ)と対峙することに……。原作のなかでも屈指の人気エピソードである“無限列車編”は、闇を往く《無限列車》での壮絶なアクションシーン、新たな鬼の恐ろしい能力、そして炎柱・煉󠄁獄との熱い物語が見どころとなっている。

今回はそんな“無限列車編”とこれまでの「鬼滅の刃」について、竈門禰󠄀豆子(かまど・ねずこ)役の鬼頭明里にインタビュー。主人公・炭治郎の妹でありながら、鬼になってしまったため言葉を話すことができない禰󠄀豆子のセリフは、ほとんどが“唸り声”だ。そんな難しいキャラクターを、鬼頭はどのような想いで演じてきたのだろうか。そこには、禰󠄀豆子役の彼女だけが知るもう一つの戦いがあった。

取材・文 / 実川瑞穂 撮影 / 松浦文生 構成 / 柳 雄大


TVアニメを演じきれた手ごたえが、すごく大きな自信になりました

鬼滅の刃 鬼頭明里 WHAT's IN? tokyoインタビュー

幅広い世代から注目をあびた「鬼滅の刃」ですが、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編で再び禰󠄀豆子を演じることにプレッシャーはありましたか?

鬼頭明里 劇場版よりも、TVアニメの1話を録ってから、実際にオンエアされるまでの間の方がかなりプレッシャーを感じていました。でもありがたいことにみなさまに受け入れていただいて、そこから今回の劇場版の収録に入ったので、プレッシャーを感じたり気合を入れなおさなきゃって思ったりすることはありませんでした。もともと、TVアニメの時から気合を入れて毎回のアフレコに臨んでいましたしね。今回はむしろ、「また物語の続きを演じられる!」っていう喜びの方が大きかったです。

劇場版の台本をお読みになったときの感想はいかがでしたか?

鬼頭 台本の文字で読むだけで熱くなりました。あと、けっこうシリアスなシーンが続くので、みなさん大変そうだなって心配していました(笑)。それから、禰󠄀豆子もちゃんと出番があったので安心しましたね。

そんな劇場版のアフレコを終えての率直な感想をお聞かせください。

鬼頭 TVアニメだと1話分の30分ごとに収録の日を分けて録るものなんですけど、劇場版は一気に収録できるのでより力が入るなと思いました。演じているみなさんも気持ちを入れたまま、流れで収録していくので、お芝居がめちゃめちゃ熱くて。早く劇場で完成した映像とともに見たいなと思っています。

TVアニメや劇場版で禰󠄀豆子というキャラクターを演じたことで、ご自身のなかに発見や、役者として新たに開いた扉はありますか?

鬼頭 禰󠄀豆子は今までに演じたことのないタイプのキャラクターだったからこそ、「自分はもっとできるのかもしれない」と前向きに思わせてくれた、一歩先に進むきっかけをくれたように思います。言葉をしゃべらず、唸り声だけで表現するという機会はなかなかないので、演じる前まではすごく不安でした。だからこそ、TVアニメを演じきることができたという手ごたえが、私にとってすごく大きな自信になったんです。それを実感したのは、実は収録を終えたタイミングではなくて、作品がオンエアされてからでした。やっぱり、ご覧いただいたみなさんに認めていただけたことが大きかったですね。

鬼滅の刃 鬼頭明里 WHAT's IN? tokyoインタビュー

これまでのお芝居について、共演者やスタッフのみなさんから言われた印象的な言葉や感想はありますか?

鬼頭 善逸役の下野(紘)さんが、毎回すごく褒めてくださるのが印象的でした。善逸が乗り移っているのかな……? と思うくらい、「今日も禰󠄀豆子ちゃんはかわいかったね~! よかったね~!」って(笑)。TVアニメのアフレコ終わりに、みなさんと食事に行くことがあったのですが、その日のアフレコやお芝居について話している人が多いなか、下野さんだけはずーっと禰󠄀豆子のかわいさについて話されていて(笑)。嬉しかったですね。

劇場版で実感──「禰󠄀豆子も成長してるんだね」!

シリアスな展開が続く「無限列車編」では、特に禰󠄀豆子のかわいさに救われる方も多いと思います。演じてみていかがでしたか?

鬼頭 禰󠄀豆子が登場するシーンはほっこりしたり、かわいらしいシーンが多いので、ぜひその禰󠄀豆子のかわいらしさに注目してもらえたら嬉しいです。今回、演じる側としては、遊べる幅(演技できる幅)がありました。いつもよりオーバーにかわいくしてみたり、いろんな禰󠄀豆子を演じたりすることができたので、楽しかったです。

ご自身の中で、TVアニメの頃から課題に感じていたことや、再び演じるにあたり意識した点はありますか?

鬼頭 TVアニメも全力で演じることができたので、「こうすればよかった」という後悔は浮かばないです。でも役柄上、アフレコ現場にいると、歯がゆさのようなものは感じてしまいますよね。禰󠄀豆子は基本、箱の中にいることもあって、花江(夏樹)さんや松岡(禎丞)さん、下野さんをはじめ、キャストのみなさんが熱いお芝居をされているのを、いつも横で見ていることしかできなかったので……。「私もみんなと一緒に戦いたい!」と思うこともあるのですが、でも禰󠄀豆子にしかできない役割もあります。まずはそこをがんばっていこうと気持ちを切り替えて、役としっかり向き合うようにしていました。課題に感じていたのは、禰󠄀豆子の“デフォルメされている時”と“等身大の時”の、バランスのとり方ですね。ちょうどいい表現はずっと模索しています。

禰󠄀豆子役である鬼頭さんならではの戦いというのもありそうですね。

鬼頭 禰󠄀豆子って、台本にセリフが書いてないことが多いんです。絶対に声を入れてくださいっていうところだけ、台本に「うぅ~~!」みたいに書かれていて、それ以外はお任せしますという感じ。なので、事前にアフレコ用のVTRを観て、ここは禰󠄀豆子の声がいるだろうっていう部分を全部チェックしてからアフレコに行くんです。私もなんとか禰󠄀豆子にしゃべらせてあげたいので、声が入れられそうなシーンをできるだけ考えるようにしています。実際に収録した声を使うか使わないかはスタッフさんが判断してくださるので、私はとにかく、できるだけ禰󠄀豆子を演じておこうと思ってがんばっています(笑)。

鬼滅の刃 鬼頭明里 WHAT's IN? tokyoインタビュー

劇場版のアフレコの際に刺激をもらったキャストは?

鬼頭 花江さん、松岡さん、下野さんの熱いお芝居には、いつも刺激をもらいますし、「私もがんばらなきゃ」って思っています。今回はさらに、魘夢(下弦の壱)と炎柱の煉󠄁獄さん――平川大輔さんと日野聡さんのお芝居が圧倒的でした。特に敵キャラクターは、主人公たちに立ちはだからなければいけないので、当然、主人公たちよりも強く見えなければいけないんです。だからすごく難しい役どころなのですが、平川さんはそれを見事に演じていらっしゃって。魘夢ならではの恐ろしさがお芝居から伝わってきて、本当に素晴らしかったです。

煉󠄁獄杏寿郎役の日野聡さんのお芝居の印象はいかがでしたか。

鬼頭 原作コミックスを読んでいたころから、「煉󠄁獄さんは日野さんが良いな」と思っていたので、実際のお芝居がぴったりだなと思いましたし、すごく真っ直ぐな声とお芝居だったので、頼りになる感じがあって。煉󠄁獄さんが日野さんで良かったなと思っています。

最後に、劇場版の禰󠄀豆子に対して、かけてあげたい言葉を教えてください。

鬼頭 なんだろう~? 「禰󠄀豆子も成長してるんだね」かな(笑)。ついつい禰󠄀豆子のことはお姉ちゃん目線で見守りたくなってしまいます。炭治郎たちが修業して強くなっていく一方で、禰󠄀豆子は修業をしているわけではないけれど、みんなと一緒に戦って、みんなを守るためにがんばっている姿を劇場版で観ることができると思うので、この言葉をかけてあげたいです。

フォトギャラリー

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

10月16日(金) 全国公開

【スタッフ】
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸・梶山庸子・菊池美花
プロップデザイン:小山将治
コンセプトアート:衛藤功二・矢中勝・樺澤侑里
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記・椎名豪
主題歌:LiSA「炎」(SACRA MUSIC)
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス

【キャスト】
竈門炭治郎(かまど・たんじろう):花江夏樹
竈門禰󠄀豆子(かまど・ねずこ):鬼頭明里
我妻善逸(あがつま・ぜんいつ):下野紘
嘴平伊之助(はしびら・いのすけ):松岡禎丞
煉󠄁獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう):日野聡
魘夢(下弦の壱)(えんむ・かげんのいち):平川大輔

©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

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