Interview

ReoNa 1stフルアルバム『unknown』。 “名もなき絶望に寄り添いたい”という彼女の思いと完成した作品の手応えを訊く。

ReoNa 1stフルアルバム『unknown』。 “名もなき絶望に寄り添いたい”という彼女の思いと完成した作品の手応えを訊く。

“絶望系アニソンシンガー”ReoNaが初のフルアルバム『unknown』を完成させた。
“神崎エルザ starring ReoNa”名義の活動を経て、2018年にシングル「SWEET HURT」(TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』エンディングテーマ)でソロデビューを果たしたReoNa。「forget-me-not」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』エンディングテーマ)、「ANIMA」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』2ndクールOPテーマ)などを含む本作は、“名もなき絶望に寄り添いたい”という彼女のスタンスを色濃く反映したアルバムに仕上がっている。新世代アニソンシンガーとして際立った存在感を放っているReoNaに、メジャーデビュー以降の2年間の軌跡とアルバム『unknown』について語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 荻原大志


こんなにもたくさんの方々に自分のお歌を届けられる未来が待ってるなんて、まったく思ってなかったです

ReoNa WHAT's IN? tokyoインタビュー

1stアルバム『unknown』が完成しました。ソロデビュー以降の2年間の軌跡が刻まれた作品ですね。

はい。アルバムに対しては、お歌を紡ぐうえで、憧れみたいなものがあって。ReoNaとしての2年間の活動の果てにこの作品が出来て、また一つ、憧れに届いたんだなという感覚がすごくあります。2年前には想像もしていなかった未来が目の前にあるというか。

デビュー当時は、どんなシンガーになりたいと思っていたんですか?

本当に想像できなかったんです。アニメが好きで、音楽が好きで、アニソンシンガーになりたいと思って、一人でお歌を歌い続けてきて、ついに夢が叶って。こんなにもたくさんの方々に自分の歌を届けられる未来が待ってるなんて、まったく思ってなかったです。

たくさんのファンの前で歌うことも想像してなかった?

そうですね。ライブはすべて印象に残ってますが、なかでも心に残っているのは、初めてのZepp Tokyoでのワンマンライブ(「ReoNa ONE-MAN Live “Birth2019”」)。アルバムの完全数量生産限定盤にそのときのライブ映像が入ってるんですが、初めてのZepp Tokyoのステージでしたし、ストリングスのみなさん、クワイヤーのみなさんにも参加していただいて。大事な曲である「Till the End」も初めてお届けできたし、私自身の誕生日ということもあって、とても印象に残ってます。ぜひアルバムを手に取って、観ていただきたいです。

できる限り“一対一”で届けたいんです

ReoNa WHAT's IN? tokyoインタビュー

ライブの映像を観ると、オーディエンスと一対一で向き合っている印象があって。

まさに“一対一”をライブのキーワードにしているです。私自身、好きなアーティストのライブに行ったときは、目が合った瞬間だったり、発せられた言葉が自分に重なる瞬間がすごく記憶に残っていて。ReoNaのお歌を受け取りに来てくれるみなさんにはそれぞれに人生があって、大切な1日を使って会場に来てくれている。だからこそ、できる限り“一対一”で届けたいんです。

アルバム『unknown』からも、リスナーと向き合い、寄り添う姿勢を強く感じました。これまでにリリースされたシングル曲も収録されていますが、アルバムをまとめるにあって、何かテーマのようなものはあったんでしょうか?

そうですね……出来上がって聴いてみたら、不思議とまとまっていたという感覚があって。テーマを決めてまとめようとしたわけではなく、毛蟹さん、ハヤシケイさんをはじめ、私のことをよく知ってくださってる作家のみなさんと思いを共有しながらお歌を紡いできて。一つ一つのお歌、いままでの積み重ねの果てにこのアルバムがあるんだなって思います。

クリエイターの方々としっかりコミュニケーションを取りながら制作するというスタイルは、デビュー当初からですか?

最初の頃は、右も左もわからなかったです。オリジナル曲を作る過程も初めてでしたし、「私はどういう歌を歌いたいんだろう?」というところから始まったので。歌詞に関してはお互いにやりとりしながら紡いでいるのですが、サウンドはみなさんにお任せすることが多くて。みなさんが作るサウンドのカッコいいところ、キラキラした部分を活かしたいし、それがお願いしている理由なので。

なるほど。アルバムの1曲目はアルバムのタイトル曲「unknown」。どんなテーマで制作された楽曲なんですか?

“何者でもない私”という原点に立ち戻ってお届けしたシングル「Null」(2019年8月)、その後の初めての全国ツアー(「ReoNa Live Tour 2019“Colorless”」)があって。その先のアルバムということを考えたときに、“unknown”という言葉が浮かんできたんです。私たちの世代にとっては意外と身近な言葉で、たとえばSNSの使われてないアカウントは“unknown”と表示されるんです。もう一つは、“何者でもない自分自身で、名もなき絶望に寄り添いたい”ということ。その思いを(「unknown」の作詞・作曲を手がけた)傘村トータさんと共有しながら紡いだのが、「unknown」という曲なんです。<あなたらしく生きられないとしたら それは優しいあなたのせいじゃない>という歌詞を初めて見たときに、私自身が辛かったときに言われたかった言葉だなって、不思議なくらいに重なって。優しく絶望に寄り添える歌だなと思います。

自分といちばん一緒にいるのは自分なんですよね

ReoNa WHAT's IN? tokyoインタビュー

“自分の人生が上手くいかなないのは、自分のせいだ”と抱えてしまう人も多いですよね、きっと。

私自身もそうですけど、たとえば誰かとぶつかりそうになってときに、自分が我慢すれば済むと思ってしまったり。誰かに求められている自分であろうとして、悩んだり苦しんだ時期もあったんです。「本当に私って何だろう?」って……。ただ、自分といちばん一緒にいるのは自分なんですよね。

確かに。

自分の本心をわかっていても、見せたくない、見てほしくないという気持ちもあって。それはいまも解決していないんですけど、「unknown」の歌詞はそんな自分にも寄り添ってくれるんです。同じような絶望を抱えてる方にもぜひお届けしたいなと思ってます。

優先すべきは言葉だなって。私自身、言葉が刺さってくる歌が好きなので

生々しい手触りの歌も印象的でした。アルバム全体に言えることですが、キレイに整え過ぎず、リアルな感情が伝わってきて。

「上手く歌えた」と思ったテイクを聴いてみると、意外と伝わってこないことがあって。それよりも言葉を届けようと意識して歌ったほうが、聴き直してみたときに、しっかり伝わる感覚があるんです。(リスナーに)語り掛けるというか、できれば歌詞カードを見なくてもわかるように歌うことを意識しています、いまは。もちろんピッチも合ってるほうがいいんですけど、優先すべきは言葉だなって。私自身、言葉が刺さってくる歌が好きなので。

「Let it Die」は変拍子、ポリリズムを取り入れたナンバー。すごく個性的ですよね。

不思議な拍子ですよね。この曲、じつはデビュー前に出来上がっていて、ライブで演奏してきたんです。デモ音源を初めて聴いたときは「何だこの曲?」と思って(笑)。それまで歌ったことがなかったタイプの曲だったし、どう歌ったらいいか悩んだんですけど、ライブで演奏していくうちに少しずつわかってきて。もちろん言葉も大切なんですが、この曲に関しては、自分自身の声を楽器の一つとして捉えていて。レコーディングにはライブのメンバーに参加してもらっていて、これまで過ごしてきた時間、そのなかで培ってきた音、生まれてきた呼吸が詰まっていると思います。音源にしてほしいという声も届いていたので、収録できたのはすごく嬉しいです。

一人でずっと考えていたんです。「あんなに辛かったのに、なんで生きてきたんだろう?」って

ReoNa WHAT's IN? tokyoインタビュー

そして「BIRTHDAY」は、作詞・作曲・編曲を堀江晶太さんが担当。

2019年の年末に、PENGUIN RESEARCHのみなさんと初めてライブでご一緒して。そのときに「それでも闘う者達へ」を一緒に歌わせていただいたんですが、その帰りに堀江さんから「“それでも死ななかった理由”をテーマにしたい」という話をいただいたんです。これまでに痛み、傷を吐露する曲を歌ってきたけど、そういえば“生きてた理由”“死ななかった理由”を考えたことがなかったなって。地元の奄美大島に帰省したときに、一人でずっと考えていたんです。「あんなに辛かったのに、なんで生きてきたんだろう?」って。

答えは出たんですか?

1日1日を生きるための、小さな答えがたくさんあったんだと思います。「帰って猫にエサをあげなきゃ」とか「明日はこれをやろう」とか。そういうことを一つ一つ重ねるなかで、「今日はどん底だけど、明日はちょっといいことあるかな」と思える日もあって。目の前の明日があったから、生きてきたんだなと思います。

なるほど。「BIRTHDAY」のメロディやアレンジには、堀江さんの個性がめちゃくちゃ出てますね。

“ザ・堀江さん”ですよね(笑)。作詞・作曲・編曲を全部お任せしたのは初めてだったんです。私の声にボコーダーをかけてハモにしていたり、アレンジも新鮮でした。

「いかり」もインパクトがある曲ですね。音像はアコースティックなんだけど、歌詞はすごくエッジが立っていて。

「いかり」は傘村さんとの“はじめまして”の曲なんです。温かいピアノとアコーディオンの音に、すごく尖った、心を抉るような言葉を乗せていて。私自身にもすごく重なったし、初めて聴いたときは手紙をもらったような不思議な気持ちになりました。

「心音」も傘村さんの作詞ですね。

「心音」は、しっかり話しながら作っていきました。「この歌詞に傘村さん自身の気持ちはどれくらい入っていますか?」と聞いたときに、「全く入っていません」という答えが返ってきたことがあって、「そうじゃなくて、傘村さん自身の思いも入れてほしいです」と話をして。作曲のruiさんは神崎エルザの頃からご一緒している方ですが、「心音」は洋楽的でカッコいいメロディで、切なさ、痛み、美しさが全部感じられる曲になったと思います。

歌詞のもとになったのは、私が書いた“絶望年表”というタイトルのノートなんです

ReoNa WHAT's IN? tokyoインタビュー

そして「絶望年表」も、このアルバムを象徴する楽曲だと思います。とにかく歌詞がすごいですが、どういうやり取りをしながら制作したんですか?

歌詞のもとになったのは、私が書いた“絶望年表”というタイトルのノートなんです。自分自身が体験してきた絶望を書き出したメモみたいなものなんですが、それを毛蟹さん、ハヤシケイさんと共有したのが1年くらい前で。そこから何度もやり取りを重ねて辿り着いたのが、この曲です。すごく自分自身を反映した曲になったし、ハヤシケイさんが弾き語りで作ってくれたデモ音源を聴いたとき――読んでいて気持ちいいものではないと思っていたんですが――こんなにも温かく、こんなにも優しく音楽にしてくれたんだなと感じました。音によって言葉の響きがこんなに変わるのかと思ったし、感じたことがないくらい悔しくなったんです。「この曲、私が書きたかったな」って。

それくらいReoNaさん自身に近い曲ということですよね。ReoNaさんがノートに書いた“絶望年表”は、幼少の頃から今に至るまでの年表なんですか?

はい。1,284gで生まれたことから始まって、物心ついた頃のこと、小学校でいじめられて、学校にも家のなかにも居場所がなかったことだったり。音楽、アニメ、インターネットに出会ったことも、全部赤裸々に書き起こして。書いてるときはちょっと引っ張られました。癒え切ってない傷、いまだに痛くて仕方がないこともあるので……。でも、この曲を受け取ってくれる人には痛みを感じないでほしいんです。痛みに寄り添いたいので。

音楽にそばにいてほしいと思う誰かがいるなら、そこに届けたいと思います

ReoNa WHAT's IN? tokyoインタビュー

「絶望年表」の最後のフレーズは<痛みが少し治まるまで 暗闇に少し慣れるまで それまで そばにいられるぐらいでいいよ>。この一節には、ReoNaさんの基本的なスタンスが現れていると思います。

私自身がそうだったんです。音楽を聴いて満腹になるわけでもないし、お金が増えるわけでもないけど、私はそばに音楽がいてくれたおかげで生きられて、今があるので。音楽にそばにいてほしいと思う誰かがいるなら、そこに届けたいと思います。

アルバムの最後は「SWEET HURT -plus unknown-」。ReoNaとしてのデビュー曲です。

“絶望系アニソンシンガー”のスタートのお歌ですが、2年間歌い続けてきて、いまもまったく色褪せてなくて。<甘くて痛くて 飲み込めないほどの 初めての気持ちに あなたの名前をつけよう>という一節はずっと届け続けたいし、1stフルアルバムの最後に入れることで、またこの曲と出会ってほしいなと思うし、(アニメ)『ハッピーシュガーライフ』の入り口になってほしいなって。私もアニソンからアニメを好きになったので。

いつかは挑戦したいし、自分の言葉で書けたらいいなとは思います

初のアルバムが完成して、これまでの活動をまとめたことで、次にやりたいことも生まれてきたのでは?

やっぱりライブを想像してしまいます。みなさんの顔や目を見てお歌をお届けしたいので。

作詞についてはどうですか? 絶対に書けると思いますが。

ホントですか? いつかは挑戦したいし、自分の言葉で書けたらいいなとは思いますけど、いまはまだ納得できる形に向かってる最中というか。

クオリティが大事だと。そこまでの途中経過を見せるのはダメなんですか?

Twitterで「こえにっき」という動画をアップしてるんですけど、あれが途中経過みたいなものです。ただ、自分の中身を人に見せたり、伝えるのは得意ではなくて。自分の言葉を歌詞にするまでには、まだ時間がかかりそうです。


【募集終了】抽選で1名様にReoNaさんの直筆サイン入りチェキをプレゼント!

ReoNaさん直筆サイン入りチェキ
応募期間

※募集期間は終了致しました。

10月8日(木)~10月15日(木)23:59


【応募に関する注意事項】
・厳正なる抽選の結果当選された方には、WHAT’s IN? tokyo Twitter公式アカウントのダイレクトメールにて後日ご連絡をさせていただきます。WHAT’s IN? tokyo Twitter公式アカウント(@whatsin_tokyo)のフォローをお願いします。
・プレゼントキャンペーンは予告なく変更・中止することがあります。あらかじめご了承ください。
・応募期間中にフォローを取り消された場合は、応募が無効となります。
・複数のアカウントで応募された場合は、1アカウントのみ有効となります。
・Twitterアカウントを非公開にしている場合は、応募対象外となります。
・落選者へのご連絡はございませんのでご了承ください。
・応募は日本国内にお住まいの方に限らせていただきます。
・賞品および当選の権利は当選者本人のものとし、第三者へ譲渡・転売することは一切禁止させていただきます。譲渡・転売が発覚した場合、当選を取り消し賞品をお返しいただく場合があります。

※個人情報の取扱いについて
・お客様からいただいた個人情報は、当キャンペーン当選者様へのお問い合わせのために利用いたします。なお、個人情報を当該業務の委託に必要な委託先に提供する場合や関係法令により求められた場合を除き、お客様の事前の承諾なく第三者に提供することはありません。上記をご承諾くださる方のみご応募ください。


その他のReoNaの作品はこちらへ。

ライブ情報

12月8日(火)に開催の生配信ライブ「ReoNa Online Live “UNDER-WORLD”」、政府発表のガイドラインに基づき、有観客にて開催することが決定!

ReoNa Online Live “UNDER-WORLD”
12月8日 LINE CUBE SHIBUYA
※詳細はオフィシャルサイトにて

ReoNa(レオナ)

10月20日生まれ。
陰のある少女らしいルックスながら、繊細で深い、少年の様な歌を歌うシンガー。
2017年開催の「SACRA MUSICオーディション」のファイナリスト。
TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』にて、劇中歌アーティスト「神崎エルザ」の歌唱を担当、「神崎エルザ starring ReoNa」として2018年7月4日(水)にミニアルバム『ELZA』をリリース。
そして2018年7月放送開始のTVアニメ『ハッピーシュガーライフ』のエンディングテーマ「SWEET HURT」にて、8月29日(水)にソロデビュー!

オフィシャルサイト
https://www.reona-reona.com

フォトギャラリー