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「PERSONA5 the Stage #2」開幕! 猪野広樹、塩田康平らに駆られ、小南光司が複雑な心境を演じ切る。“心の怪盗団”と考える、本当の正義とは?

「PERSONA5 the Stage #2」開幕! 猪野広樹、塩田康平らに駆られ、小南光司が複雑な心境を演じ切る。“心の怪盗団”と考える、本当の正義とは?

「PERSONA5 the Stage #2」が10月1日(木)にKT Zepp Yokohamaにて幕を上げた。昨年12月に上演された「PERSONA5 the Stage」の第2弾となる本作は、テレビアニメや漫画など様々なメディアにも展開されている、ジュブナイルRPGシリーズ「ペルソナ」が原作だ。
主演・猪野広樹を筆頭に、塩田康平、御寺ゆき、小南光司らが初演に引き続き登場。さらに七木奏音、高松 潤など新キャストも出演。ビジュアル発表では、初演で謎を残した小南光司演じる喜多川祐介の怪盗姿も公開され、話題を集めた。
「ショータイム!」
その掛け声とともに登場するのは、悪人の心を盗んで改心させる、“心の怪盗団”。ペルソナ能力に目覚めた高校生たちが今作で改心させるのはいったい……?
ここでは、初日前に行なわれたゲネプロの様子とキャストからのコメントをお届けしたい。

取材・文 / 高城つかさ


“心の怪盗団”は、鏡のような存在なのかもしれない

人は、様々な影響を受けながら日々を過ごしている。何かしらと接点を持たなければ我々は生きられない。接点を持つのは、特定の人かもしれないし、小さな社会かもしれない。では、その人を、社会を、そして何より、そんな世界を生きる自分自身と向き合ったことはあるだろうか? そう問いかけられたような気持ちになった。

舞台は、ベルベットルーム(夢と現実の間にある部屋)で主人公(猪野広樹)が目を覚ますシーンから始まる。前作に引き続き、観客からアンケートを取り、毎公演ごとに主人公の名前を決める企画を行なっている。ゲネプロでは「御咲涼介(みさき・りょうすけ)」の名前が採用された。

“心の怪盗団”の仲間である坂本竜司(塩田康平)、高巻 杏(御寺ゆき)との距離も縮まり、楽しい学園生活を送る主人公。彼らは、悪い大人を改心させようと、次のターゲットを探し始める。

そんななか、生徒会長・新島 真(七木奏音)が大学への推薦と引き換えに怪盗団の正体を探るよう校長先生から告げられる。検察官である姉・冴(茉莉邑薫)への影響を恐れた真は、大人の言うとおりに動き始めるが──。

初演では、喜多川祐介(小南光司)が杏に「絵のモデルになってくれないか?」と声をかけるシーンで幕を閉じたが、“#2”では、心の怪盗団に改心してもらいたい人を募る掲示板へのある書き込みが、祐介と主人公らを引き寄せる。

それが、祐介が慕う画家の斑目一流斎(高松 潤)が弟子たちを虐待、さらに盗作しているといった内容だ。だが、主人公らが事実確認をしても、祐介は一向に頷かない。それどころか、彼らを突き放してしまう。だが、主人公らはひたむきに祐介と向き合い、“本当の想い”を問い続ける。

“嬉しい”、“悲しい”、“好き”、“嫌い”、ただひとつの感情に身を任せられたら。そう考えてしまうこともあるほど、私たち人間は複雑な感情のもとに成り立っている。そのひとつひとつを認識すること、そして、それと向き合い、仲間に共有することの大切さを教えてくれたのが、第一幕で描かれた、祐介の物語だ。

身寄りのない祐介を拾い、家族のように育ててくれた斑目への恩も持ちながら、少しずつ斑目に疑問を抱くようになる祐介の揺れ動く複雑な心境を、小南は見事に演じ切った。インタビューでは「自分の育った環境が悪だと気づいたとき、彼自身が“変わる”ことや、斑目先生を“変える”ことに葛藤すると思う」と話していた小南。その複雑な感情ひとつひとつを、抑揚や、間をうまく使いながら表していたように思う。祐介がペルソナを召喚する変身シーンでは、ひとりで抱え込んでいたものを手放していく様子がリアルに伝わった。

祐介が変わるきっかけを作る主人公 役・猪野は、変わらず口数は少ないけれど、彼が竜司や杏に心を開いていく様子を静かに魅せた。戦闘シーンでは、小南が猪野を「稽古場で引っ張ってくれる」と語っていた意味が伝わった。ちょっとした視線の動きやスキンシップに、主人公が仲間を信頼していることを感じられ、冗談を言い合う場面では思わず笑みがこぼれた。

第二幕では、ある会話を聞かれたことをきっかけに、主人公らが“心の怪盗団”であることを真に知られてしまい、物語は大きく展開する。真に「あなたたちの正義を証明して」と言われた主人公らは、マフィアの元締め・金城潤矢(宮下雄也)の“改心”を条件にまた動き出す。そのなかで、彼らは真との距離を縮めていくが、真もまた、ある悩みを抱えていた──。

自分とは? 正義とは?……悩んでいるものの、誰のことも頼れない真。その結果、無理をしてしまう場面もあったが、主人公らに助けられ、自己を確立していく姿に胸を打たれた。

特筆すべきは、そんな新島 真を演じた七木奏音だ。七木は、“揺らぎ”と“変化”を見せてくれたように感じる。冴や校長先生など、さまざまな人物の間で自我が揺らぐ様子を歌唱シーンで微細に届けてくれたのだ。ルールや強い立場にいる人に従うことが正義だったはずの真が、違和感を認識し、型を取っ払い、自分なりの正義をつかんでいくまでの変化も姿勢で表していた。

また、高校生探偵・明智五郎(佐々木喜英)の「“心の怪盗団”は正義から一番遠い」という言葉を受け、主人公らが自分たちにとっての正義が揺らぎ始める場面では、正義について考えさせられた。

ひとつの出来事をとってみたとき、どうしても加害者・被害者の構造は生まれてしまう。この作品は“改心”や“反逆”がキーワードだけれど、加害者・被害者といったすべての立場を確定しているわけではない。ある人からすれば“悪”だとしても、また別の視点から見たら“善”かもしれない。そんな余白を与えてくれる台詞もあるからこそ、自分にとっての正義を考えざるをえなかった。“心の怪盗団”もまた、様々な人物を改心させていくなかで正義について問うこととなる。

舞台では、そんな彼らの心境が丁寧に描かれているだけではなく、<パレス>(歪んだ欲望が作り出す世界)やバトルシーンの演出も抜かりない。ひと筋縄ではいかない攻略が「ペルソナ5」の醍醐味だが、“ここまで進めたのに鍵がかかっている!”といった、実際にゲームをプレイしている気持ちになれる場面もあった。それぞれが武器を持ち、映像や照明を使いながら盛り上げていくバトルシーンにもぜひ注目していただきたい。

誰かの欲望がまた別の誰かの歪みを引き起こすこともあれば、ある人の希望が絶望に陥っていた人を光ある方向へと導いてくれることもある。もしかしたら“心の怪盗団”は、登場人物にとっても、私たち観客にとっても、鏡のような存在なのかもしれない、と思った。祐介にとっての斑目のように、真にとっての冴のように、いなくては生きていけない、神にも近いような存在がいることは、生きていくうえでの支えになる。けれど、様々な物事に影響を受けながら成長し、見える世界が広がると、だんだんと“ひとりの人間”であることに気づく。崇拝対象がいなくなる寂しさは計り知れないけれど、きっと、自分を見つめるためには、“心の怪盗団”のような、鏡を持って見せてくれる、“本当”──自分自身や接点を持つ社会の構造──を知るための道標が必要なのだと感じた。「ショータイム!」。そのひと言で“心の怪盗団”が姿を表してくれる日が、待ち遠しい。

この作品は道徳的な教科書

開幕と共に届いたキャストオフィシャルコメントは下記のとおり。

●主人公 役:猪野広樹
<見所>
初演を経て、間違いなくパワーアップしました。演劇的な表現はもちろん、ダンスにアクション、すべてが派手になりました! 言わずもがなお芝居も。ド派手な「PERSONA5 the Stage #2」を楽しんでください。
<意気込み>
今回も、いや、なんなら前作より主人公の台詞が減りました(笑)。
完璧に受けの芝居が求められる今作。きっと回によって全く違う主人公像ができ上がると思います。
それはそれで楽しみであり、個人的に新たな挑戦です。
<お客様へのメッセージ>
もし今、貴方の目の前に突然怪盗団が現れたとしたら、「私にパレスはない」 「歪んだ欲望はない」 そう断言できますか? この作品は道徳的な教科書。そして、怪盗団を演じているのは成人した大人たち。この矛盾を取っ払えるよう、胸を張れるよう、座組みで努めてまいりました。
そして、劇場に。皆様に。
「ただいま」

●喜多川祐介 役:小南光司
<見所>
舞台ということで、生身の人間が演じるというところかなと思います。
「PERSONA5 the Stage」の世界で、人としてどう葛藤して、どう影響されて、どう生きて行くのか。そして、アクションシーンがとてつもなく多いです!
目が足りないと思います(笑)。一生懸命戦っているのでぜひご注目ください。
<意気込み>
まず前作に引き続き、今回も出演させていただけて本当に嬉しいです。
今回のストーリーのメインということで、とても楽しみでしたし、喜多川祐介 役の小南が加わることで良い意味で色々と影響を与えられたらなと思います。
精一杯、楽しく演じさせていただくので、よろしくお願いします。
<お客様へのメッセージ>
大変なご時世ですが、皆様の心が少しでも明るくなるよう僕らも楽しんで演じさせていただくので、皆様にも心から楽しんでいただけたらと思います。
劇場でお待ちしております。

●新島 真役:七木奏音
<見所>
いろんなことに葛藤するキャラクターたちの姿はもちろん…それらをさらに深く表現してくれる映像や照明や音楽、周りのキャスト陣の表現力でしょうか。言い切れないくらい見所だらけです…。仲間と出逢ったみんなの笑顔溢れる日常もきゅんとします。そしてなにより心が沸き立てられるみんなのアクションです。
<意気込み>
新島 真という少女といま大切に向き合っています。生徒会長であったり妹であったりするけれど、彼女のほんとうの気持ちと向き合って、彼女の本当の姿で心から笑える日まで大事に真として舞台で生きます。
<お客様へのメッセージ>
みんなの正義をお届けできること、とても幸せです。「ペルソナ5」を愛しているみなさま、初めて出会うみなさまの、明日の活力の役に少しでも立てればと思います。
世間で騒がれはじめている怪盗団を目撃してください!

「PERSONA5 the Stage #2」は、横浜公演をKT Zepp Yokohamaにて10月4日(日)まで上演、大阪公演がサンケイホールブリーゼにて10月17日(土)から18日(日)まで上演される。

「PERSONA5 the Stage #2」

横浜公演:2020年10月1日(木)〜10月4日(日)KT Zepp Yokohama
大阪公演:2020年10月17日(土)〜10月18日(日)サンケイホールブリーゼ


DMM.comにて千秋楽公演のライブ配信
配信公演:
横浜公演:2020年10月4日(日)17:00公演
大阪公演:2020年10月18日(日)17:00公演
詳細はこちらにてご確認ください。


原作:アトラス「ペルソナ5」
脚本・演出・舞台音楽作詞:西森英行
音楽:目黒将司 小西利樹(アトラス)
舞台音楽:喜多條敦志(アトラス)

出演:
主人公:猪野広樹

坂本竜司 役:塩田康平
高巻 杏 役:御寺ゆき
喜多川祐介 役:小南光司
新島 真 役:七木奏音

明智吾郎 役:佐々木喜英
新島 冴 役:茉莉邑 薫
三島由輝 役:糠信泰州
川上貞代 役:南 沙羽
校長 役:山岸拓生

斑目一流斎 役:高松 潤
金城潤矢 役:宮下雄也

佐倉惣治郎 役:森山栄治

モルガナ:大谷育江(声の出演)

アンサンブル:
菅原健志 細川晃弘 坂本和基 榮桃太郎 御林杏夏 夏目卓実
山下朱梨 神谷春樹 轟大輝 山田隼人 塩見奈映

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@p5_the_stage)

©ATLUS ©SEGA ©SEGA/PERSONA5 the Stage Project