LIVE SHUTTLE  vol. 418

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Official髭男dism 万華鏡のように表情を変えるカラフルな音楽性で魅せた圧巻のステージ。“配信でしか実現できないこと”を突き詰めたライブを振り返る。

Official髭男dism 万華鏡のように表情を変えるカラフルな音楽性で魅せた圧巻のステージ。“配信でしか実現できないこと”を突き詰めたライブを振り返る。

Official髭男dismが9月26日、オンラインライブ「Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 -Arena Travelers-」を開催した。2020年3月から開催予定だったアリーナツアーは新型コロナウイルスの影響で中止。初のオンラインライブでヒゲダンは、配信ならではのカメラワークや演出を加えながら、アリーナライブの醍醐味を生々しく体感できるステージを繰り広げた。

最初に映されたのは、音響、照明、舞台などの準備をしているライブスタッフたちの映像。ライブの題名が記されたボードが光ると同時にシックな赤の幕が上がり、オープニングナンバーの「HELLO」が響き渡る。さらに藤原聡(Vo, Piano)のエモーショナルな歌声を軸にした「宿命」へ。厚みのあるバンドサウンド、解放的なホーンセクションとともにステージの熱気が一気に上がっていく。「ノーダウト」の冒頭ではテープキャノンが放たれるなど、派手な演出も。画面の向こうのオーディエンスに手拍子を要求する小笹大輔(G)の姿も印象的だ。

「本来回るはずだったアリーナツアーの内容に、配信ならではの工夫を混ぜて作りました」「自分たちも久しぶりのライブを楽しんで、それを伝えられたらいいなと思います」という藤原のMCの後は、その言葉通り、配信ならではの演出を施したパフォーマンスが続いた。「ビンテージ」では無数の星を想起させる空間を演出。また「Rowan」はアナログフィルム的なセピアカラーの映像によって、楽曲の切ない雰囲気を際立たせていた。ライブの最初のピークは、「イエスタデイ」。雨粒を映し出す映像、眩い光を放つミラーボールとともにドラマティックな旋律が奏でられたシーンは、数多いオンラインライブのなかでも突出していたと思う。

ライブ全体を通し、計算し尽くされたカメラワークも印象的だった。会場全体を映し出す壮大な映像、メンバーの表情や手元を捉えたカットのバランスが素晴らしく、“このままライブ映像作品に出来るのでは?”と思うほどのクオリティを実現。ライブなかで藤原は「今回のオンラインライブを、通常のライブの代わりにしたくない」と話していたが、ヒゲダンのメンバーとライブスタッフは、“配信でしか実現できないこと”を突き詰め、トライ&エラーを繰り返してきたはず。アリーナツアーで見せるはずだったステージを映像に置き換え、まったく新しいライブ・エンターテインメントして提示する――そこに至るまでの時間と労力はまちがいなく、この日のオンラインライブの質の高さに結びついていた。

言うまでもないが、この日のライブの中心にあったのは、現代的なポップネスをたたえたヒゲダンの楽曲だ。ライブ中盤では、洗練されたコード進行と豊かなバンドグルーヴが一つになった「たかがアイラブユー」、藤原が紡ぎ出す切なくも愛おしい歌に魅了された「115万キロのフィルム」などを披露。ネオソウル、オルタナR&B、ギターロックなどの幅広い要素を取り入れたサウンド、ストーリー性と繊細な感情を共存させた歌詞を同時に描き出すヒゲダンのポップスは、ここにきてさらに深みを増している。その事実を体感できたこともまた、今回のオンラインライブの大きな意義だろう。

「後半戦も盛り上がっていきましょう!」という藤原の煽りとともに届けられた「異端なスター」からライブの雰囲気は一変。「旅は道連れ」では楢﨑誠(B, Sax)、松浦匡希(Dr)、小笹、藤原の順番でボーカルを担当。楽曲の後半ではホーン・セクションのメンバーもステージの真ん中に登場、円陣を組むようなスタイルでセッションを交わす。さらにビッグバンド・ジャズのテイストを取り入れた「夕暮れ沿い」を華麗に演奏した後、上昇するリフトに乗った小笹が「コロナウィルス、燃やし尽くしてやろうぜ!」と叫び、「FIRE GROUND」へ。ヘビィロック直系のバンドサウンド、“オイ! オイ!”というシャウト、立ち上る炎を使った演出、小笹のギターと藤原のショルダーキーボードの音色が呼応するステージングにより、ライブのテンションは一気に頂点に達した。万華鏡のように表情を変えるカラフルな音楽性とド派手なエンターテインメントを結び付けるステージはまさに圧巻。これこそがアリーナツアーで実現したかったステージなのだと、強く納得させられた。

オーディエンスの映像を映し出しながら演奏された「Stand By You」の後、藤原は改めて画面の向こうの観客に語り掛けた。

「もっともっとライブをしたいし、このチームでツアーを回って楽しむ時間を紡いでいきたいと思うけど、それは屈託なく楽しめる環境になってから体感できるように。そんな日は絶対に来ると思っています」「曲を聴いて応援してくれるみなさんの存在が光だったし、何を返していけるかを考えたとき、よい音楽、ライブを届けるのが僕のやるべきこと。またみんなと会えることを楽しみにしているので、それまでどうか元気に過ごしてください」

リスナーに向けた真摯な言葉の余韻のなかで披露されたのは、ヒゲダンの代表曲であり、ブレイクのきっかけとなった「Pretender」「I LOVE…」。彼らのポップセンスと質の高いバンドサウンドが凝縮された2曲によって、大きな感動が広がっていった。

最後は、観客席に多くの光が灯された「ラストソング」。深紅の幕が降ろされ、初のオンラインライブはエンディングを迎えた。リアルタイム視聴者数は12万人。ヒゲダンとオーディエンスの絆をしっかりと感じられる、充実のステージだった。
この公演は、10月3日(土)23:59までアーカイブ配信中。記念すべき初のオンラインライブをぜひ追体験してほしい。

文 / 森朋之 撮影 / 溝口元海(be stupid)

「Official 髭男 dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -」
2020年9月26日 東京ガーデンシアター

<セットリスト>

1. HELLO
2. 宿命
3. ノーダウト
4. パラボラ
5. ビンテージ
6. Rowan
7. 夏模様の猫
8. イエスタデイ
9. Laughter
10. たかがアイラブユー
11. 115 万キロのフィルム
12. 異端なスター
13. 旅は道連れ
14. 夕暮れ沿い
15. FIRE GROUND
16. Stand By You
17. Pretender
18. I LOVE…
19. ラストソング

※「Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -」セトリプレイリスト


「Official 髭男 dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers -」
▼日程:2020年09月26日(土)20:00〜
※10月3日(土)23:59 までアーカイブ配信あり
※配信ライブのチケット購入者は、アーカイブ配信にてオーディオコメンタリーも楽しめる!
※公演時間は約2時間を予定(前後する可能性がございます)
詳細はこちらへ
https://special.higedan.com/feature/onlinelive2020

Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)

藤原聡(Vo, Piano)、小笹大輔(G)、楢﨑誠(B,Sax)、松浦匡希(Dr)。
2012 年 結成、愛称は「ヒゲダン」。
このバンド名には髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクす るような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたいという意思が込められている。
2015年4月1stミニアルバム『ラブとピースは君の中』をリリースし、デビュー。
2018年4月Major 1st Single「ノーダウト」でメジャーデビューを果たした。
ブラックミュージックをはじめ、様々なジャンルをルーツとした音楽で全世代から支持を集め続けている。

オフィシャルサイト
https://higedan.com

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