Interview

松村北斗が明かすSixTONESへの感謝の気持ち。そして、ドラマ『一億円のさようなら』で見せる俳優としての強い覚悟

松村北斗が明かすSixTONESへの感謝の気持ち。そして、ドラマ『一億円のさようなら』で見せる俳優としての強い覚悟

9月27日(日)から放送が開始されたプレミアムドラマ『一億円のさようなら』(NHK BSプレミアム)にSixTONESの松村北斗が出演している。本作で松村は、上川隆也演じる物語の主人公・加能鉄平の若き頃を熱演。鉄平の妻・夏代が巨額の遺産を相続していたことを知ったのをきっかけに、家族の関係を見つめ直し、これまでの思い出を辿っていくヒューマンエンターテインメントだ。

松村は本作を通じ、俳優として一皮剥けたように思う。それは今回のインタビューで松村の発するひと言ひと言が的確で、なおかつ俳優として邁進していく強い覚悟を感じられたからだ。その一方で心の支えとなっているSixTONESについて話が及べば、「6人まとめて1人の人間」「それぞれが体の一部」と言い切り、メンバーへの愛とリスペクトを爆発させる。見た目の印象からクールなタイプに思えるが、目の前で話す彼は実に人間味に溢れており、“魅力的”のひと言で片付けてしまうのは惜しいくらいの真面目で努力家な好青年だった。

話題のドラマの第2話放送を前に、ぜひ今回のインタビューをじっくりと読み込んでほしい。素顔の松村北斗に触れられるとともに、彼と鉄平との間に共通点を見出せるはずだ。

取材・文 / 近藤加奈子


僕と鉄平は体温がすごく似ているタイプ。松村北斗は皆さんが想像しているよりもずっと人間臭い奴なんです(笑)

まずはじめに、今回のドラマの台本を読んだ感想を教えてください。

純粋に物語自体がすごく面白くて読み進めていくごとに興味を掻き立てられる内容と構成に仕上がっているなと思いました。現実離れしたお話ではありますが、キャラクターやそれに付随する人間模様に肌馴染みがあってリアルとアンリアルのバランスがよく取れている。この役を演じ、物語を通して形に変えていく作業を僕がやっていいものなのか、という興奮を覚えました。

松村さんご自身はクールなイメージがありますが、若き日の鉄平の人物像についてどのように捉えていますか?

たしかに僕自身にはじけたパブリックイメージはあまりないと思いますし、もともと顔つきや雰囲気で「冷たそう」と言われることも多いので、そのような質問を頂けるのは合点がいきます(笑)。でも、僕は皆さんが想像しているよりもずっと人間臭いタイプだと思っていて。悲しいことがあればクヨクヨするし、上手くいかない状況にはジレンマだって感じる。だから、鉄平の繊細ですごく人間らしい心模様も理解できるんです。僕から見た鉄平は素直で嫌なことがあれば落ち込むし、良いことがあれば心から喜ぶ青年。出来事と感情をそのまま比例させたような人物だなと思います。そんな鉄平の心情は僕自身も実体験として今まで感じてきたことなので、彼とは似た体温なんだなと分析しています。なので、“松村は思っている以上に人間臭い奴だよ!”というのを大きく書いてもらえると嬉しいです(笑)。

今回2人1役を演じる上川さんとは事前に打ち合わせや特別な準備などはされたのでしょうか?

上川さんは僕がクランクインする前から撮影されていたんです。なので、上川さんが鉄平をどのように演じているのかを一度勉強したくて、(自分のクランクインの前に)現場にお邪魔させてもらいました。現代を生きる鉄平を目の前で感じられましたし、癖だったり気になったことはとにかくバーっとメモに取って。そういう“生”で得た知識をたくさん体に染み込ませて、あとは自分が感じたままに演じました。なので、潜在意識のなかに役を擦り込ませる準備というのを今回は行いましたね。

鉄平と同じように一億円が手に入ったら何に使いますか?

貯金ですね。でも、父親に車を買ってあげたい夢もあって。というのも僕は静岡県出身で実家もずっとそこにあったのですが、今のお仕事のために家族総出で上京してきたんです。その際に父親が大切にしていた車を売らなくてはいけなくなってしまい、それでいつか返したいという気持ちもあって車をプレゼントしたいなって。そう考えるとまずは貯金よりも車かな? 本当に自分のためだけだったら貯金してあとは美味しい炊き込みご飯が食べられればそれで大丈夫です。

炊き込みご飯とは意外な回答です! 鉄平の妻の夏代は大金を手に入れたのにもかかわらず、堅実に生きることを大切にする考え方ですが、そのような価値観に共感できますか?

抱えているものを使ってしまう不安は僕もすごく分かります。加えてそれが具体的にいくらなのかを聞いてしまうと、より終わりが明確に見えてしまうというか。ドラマで鉄平が手に入れるのは一億円ですが、使ってしまえばそれも当然ゼロになる。もし莫大な金額を手にしたとしても、失うことへの恐怖心はあると思います。

作品を通してお金について考えたことがあれば教えてください。

この作品はお金によって人間関係がもつれていくところが話の肝だと思っています。お金と人の心は別だと分かってはいながらも、もし助けてほしいときに出てくるのが百円か、もしくは一億円なのかではそこに思いの差を感じてしまうのが人間なのではないのでしょうか。それに長きに渡ってお金というものがこの世に存在していることを踏まえても、人間と金銭を切り離して考えるのはできないと思います。

初の父親役は正直不安。子どもと仲良くなるための秘密兵器はポケモン、アンパンマン、グミ!?

今回、ドラマを通して結婚し、子どもが生まれるまでを演じます。初の父親役となりますが、子役とのコミュニケーションに自信はありますか?

僕は子どもというか全人類に対して人見知りをしてしまうので(笑)、上手く渡り合えるのかちょっと不安です。自分が父親役か、と。本当どうしましょう……?

松村さんの父の顔、期待しています(笑)。子役と距離を縮めるプランは考えていますか?

まずは子どもに慣れることからしたほうが良いかなとは思います。なんせ父親役ですから。子どもに背中を見せないといけない。子役とのシーンは撮影の後半になるのですが、とりあえず今考えているのはポケモン、アンパンマン、グミについて詳しくなっておこうと。

共通点を見つける作戦ですね!

「グミうまいよね〜! やっぱグレープ味だよね!」って話をすれば大丈夫かなと踏んでいます(笑)。そうすれば自然と会話も広がっていくぞ、と。

妻になる女性と恋に落ち、結婚し、子どもも生まれ……という1人の男性の人生のターニングポイントを丁寧に演じられるのも初めてだと思います。そういった瞬間ごとの顔の使い分けは意識していますか?

そこはどうしたらいいもんかね〜と考えているところです。ただ、もともと実年齢よりすごく若く見られるタイプでもないので、とりあえず30代のシーンに突入したら偏頭痛が起きている表情なんかを見せようかなと思っています。

偏頭痛ってかなりピンポイントですね(笑)。

僕の親が30代に入ってから偏頭痛が起きたと言っていたので、その言葉をヒントに気難しい顔を少しずつ出していこうかなと(笑)。

SixTONESはグループではなく1人の人間だと思っています

松村さんといえばSixTONESのなかで1番俳優業が多いイメージです。今年SixTONESでデビューしアイドルとして邁進していくなかで、俳優業との両立についてどのようにお考えですか?

おこがましく聞こえてしまうかもしれないのですが、もし可能であればどちらも本業になりたいという思いでやっています。SixTONES自体が結成して今年で5年、俳優業もジャニーズJr.時代から色々とやらせていただいていますが、そのなかでお芝居にきちんとした志が芽生えたのはここ1〜2年くらい。お話したようにどちらも本業にするつもりなので、両方ともできて当たり前と思っていますし、それくらいの強い意思を持って取り組んでいます。

SixTONESから離れて仕事をすることが、結果的にグループへ刺激になっていると感じることはありますか?

自分のやっている俳優業がメンバーにどう刺激を与えているのかは正直分からないです。あと、僕はSixTONESってグループではなく1人の人間として考えて良いのかなと思っていて。例えるならメンバー6人でひとつの会社という感覚に近い気がします。その人間の6分1が僕で、外野の人から見ればやりたいことをやっているように見えると思います。実際に僕自身お芝居はとても好きですし。でも、僕としてはそんな贅沢なことをやらせてもらっている分、メンバーへの感謝の気持ちは常にあるし、自分の理解が追いついていないところで彼らに迷惑をかけているかも、と不安もある。でも、もしそんな6分1の存在の自分が、視聴者の皆さんに責任を持ってやっているように見えたら嬉しいなと思います。ただ、1人の人間(SixTONES)のある一部分の個性として冷静に考えたら、「松村北斗が芝居をやっている。だからなんだ」くらいの気持ちで自分を見つめています。

SixTONESと俳優業を並行しながら活動するなかでメンバーの皆さんから励ましの言葉を頂いたりはするんですか?

メンバーとはそれぞれが出ている作品を逐一チェックするって感じではないですね。でも、お芝居に集中したい今の気持ちはすごく汲んでくれていて。メンバーからの「北斗はお芝居が好きだもんね」のひと言が、“松村北斗は俳優業をやって良い”というグループの共通認識としてあるのが幸せですね。それにさっきお話したように僕らは6人まとめて1人の人間みたいなものですから。

お話を聞いているとストイックな印象を受けます。

ストイックというわけではないのですが、そんな適当にやっていいもんじゃないと考えています。いわゆる天才の方って感覚とかで簡単に物事をクリアしてしまうこともあると思うんですね。けど、僕はそんな人間じゃないし、むしろ頑張って頑張ってやっと小さな1つを作れるか作れないか、ってタイプ。自分がやると決めたことだから別に良いんです。でも、覚悟を持っているからこそそういう発想になるのかなと思います。

今回の役が決まったときはメンバーにすぐに報告しましたか?

いや、それは別に。というのも僕らはマネージャーさんを含めてスケジュールが共有されているんです。なので、ある日スケジュール表に“松村 一億円”と出てきたもんだからメンバーは不思議だったと思います(笑)。名前の後ろに○○があると、個人の仕事って意味だからそれを見てメンバーは僕の仕事を知る感じですね。だから改まって報告したりとかはないんです。そうやって自分からは何も言わないまま、鞄の横に普通に台本を置いたりしていますし。それで話かけてくるのはせいぜい(田中)樹くらいですね。

テレビで拝見していると皆さん元気なイメージがあったのでそれは意外です。

僕らは長いこと一緒にいすぎなんですよ(笑)。グループ名が付いて5年。その前から仕事していることを考えるともう8年くらい一緒にいるので、本当にそれぞれが体の一部みたいなもんです。

「北斗のドラマ絶対観るから!」みたいなキラキラした会話を期待していました(笑)。

そういうのは言わないんですが、実は観ていたとかはありますね(笑)。例えるなら母親の手料理を美味しいと言わなくなる思春期の息子たちみたいな。僕はそういうの平気なんですけど、あいつらは言わないタイプなんですよ、絶対に。20歳半ば過ぎたメンバーがほとんどだし、「え、お前あれ決まったの? すげえじゃん!」なんて照れ臭くて言えないんだと思います(笑)。

現在撮影中で毎日お忙しいと思いますが、モチベーションを維持する秘訣があれば教えてください。

僕は体力があればずっーーーと仕事をしていたいタイプなんです。体力の限界さえクリアできればずっと働いていたい。仕事が楽しくて仕方ないんです。もし明日急にオフになったと言われてもきっと困っちゃう。

丸一日休みをもらっても遊んじゃうことはないんですか?

ないですね。もしどうしても仕事を入れられないなら、映画を観て、本を読んで、好きなタイミングでちょっとだけ食べて、「次の日仕事何だっけ?」と思いながら眠りについてそれで何となく一日が終われば良いなと思います(笑)。

では仕事こそが松村さんを突き動かす最大のモチベーションってことですね!

まさにそうです! 頑張るので今回のドラマも期待していてください!

松村北斗

1995年6月18日生まれ、静岡県出身。2020年、「SixTONES」のメンバーとしてデビュー。グループ活動の一方で俳優としても活躍しており、近年の主な出演作に、ドラマ『パーフェクトワールド』(19/KTV)、『10の秘密』(20/KTV)などがある。今後は、映画『ライアー×ライアー』(2021年公開予定)への出演を控える。

プレミアムドラマ『一億円のさようなら』(全8回)

2020年9月27日(日)スタート
NHK BSプレミアム・BS4K
毎週日曜 よる10時00分~10時49分 放送中

出演:上川隆也 松村北斗(SixTONES) 森田望智 堀井新太 美山加恋 佐久本 宝 和田正人 石橋菜津美 長谷川 純 堀内敬子 利重 剛 奥貫 薫 武田真治 安田成美 ほか

原作:白石一文『一億円のさようなら』
脚本:渡邉真子(『モンローが死んだ日』『恋はつづくよどこまでも』)
脚本監修:岡田惠和(『ひよっこ』『少年寅次郎』『この世界の片隅に』)
音楽:fox capture plan
制作統括:谷口卓敬(NHK) 黒沢 淳(テレパック)
プロデューサー:藤尾 隆(テレパック)
演出:川村泰祐 村上牧人 山内宗信

オフィシャルサイト
https://www.nhk.jp/p/ts/B4GXMY6Y9R/