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素晴らしき思い出をもう一度『FFCCリマスター』17年を経てなお愛される秘密

素晴らしき思い出をもう一度『FFCCリマスター』17年を経てなお愛される秘密

『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』(以下、『FFCC』あるいは原作)といえば思い出す、民族楽器がのんびり鳴っている牧歌的な雰囲気と4つの種族、そしてキャラバンとして各地を巡る旅……。同作は2003年にスクウェア・エニックスから発売されたゲームキューブ用ソフトで、温かみのある世界と画期的なマルチプレイで愛されたRPGです。それがリマスターされたと聞き、早速『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』(以下、『FFCCリマスター』)をプレイしてみたところ、懐かしいと思う一方で「あれ、ココどうなるんだっけ?」と、ぽっかり記憶が抜けているところも(なにせ17年まえのことですから……)。そんな思い出を掘り起こしながらも、また新しい体験ができた本作の旅路をお届けします。

文 / 小泉お梅


『FFCCリマスター』は“リマスター”の名のとおり、PlayStation®4、Nintendo Switch™、スマホ(iOS / Android)に合わせてグラフィックが精細になっています。さらに本編クリア後に挑める高難度ダンジョン、異なるハードのプレイヤーともオンラインで共闘できる“クロスプレイ”などが追加。現在、各機種で体験版が配信されており、そこでもクロスプレイが可能です。

ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター WHAT's IN? tokyoレビュー

▲体験版は、シングルプレイでは3ダンジョンぶん遊べます。さらにマルチプレイで製品を持っている人がホストになれば、最大13ダンジョンを体験できますよ

ほかにもキャラクターボイスがついたり、ミニマップが追加されたりと現代のプレイヤーに沿うように進化している部分がありますが、ゲームの流れやバトルシステムなどの根幹は原作からそのまま引き継がれています。
プレイヤーは分身となるキャラクターを作成し、ダンジョンの奥にある“ミルラの雫”を集めて村に持ち帰るという目標がありますが、明確なメインストーリーというものがなく、道中で出会う人々とのエピソードで日々が綴られていきます。本作にはハック&スラッシュの要素もあり、装備を求めてダンジョンに挑むうちに少しずつこの世界の秘密に近づいていくという巧妙な仕掛けも施されています。原作の発売当時も珍しかった構成で、新しい『FF』シリーズという印象を刻むとともに素朴でゆるりとした作風は根強いファンを獲得するに至りました。

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▲サブキャラクターたちとは何度も顔を合わせることになり、次第に彼らのさまざまな面が見えてきます

そんなファンから厚い支持を得ているのが、オープニングムービーとその主題歌『カゼノネ』。『FFCCリマスター』は先述のようにムービーシーンもHD化され、旅立ちの朝の光景が鮮やかに蘇ります。歌手のYaeさんの歌声と歌詞が背中を押してくれるようで、まさにこれから冒険が始まるという気分に。ふと、筆者が当時おつき合いしていた人が、このオープニング画面を爆音で流し続けたまま外出していることに気づき、私が慌ててミュートにしたことを思い出しました。どうでもいいことばかり覚えているものですね……。

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▲歌詞の“大丈夫と朝焼けの空は言った”という部分がお気に入りです

主題歌に限らず古楽器を用いたBGMも好評を博しており、『FFCC』を物語るうえで欠かせない要素となっています。『FFCCリマスター』では一部の楽曲のリミックスや音色の差し替えを実施。高難度ダンジョンでは新曲が使われていたり、先ほどの主題歌も新録されていたりとさりげなく豪華仕様になっています。ちなみに本作のサウンドトラックCDも発売中で、新旧の楽曲を聴き比べてみたところ明らかに音の厚みが増し、さらに彩り豊かになっていました。

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▲お祭りの楽曲は、さまざまな楽器の音が入っていて聴き応えがあります

ゲーム本編の始まりは、キャラクターメイキングから。種族と性別、容姿とボイスのパターンを選ぶことになります。種族は剣と盾で戦う万能型のクラヴァット、小柄でも力自慢のリルティ、魔法に長けた奇妙な姿のユーク、奔放で素早いセルキーの4つ。それぞれ得手・不得手があるので、バトルでの立ち回りかたも少し異なってきます。

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▲容姿パターンが各種族の男女ごとに1種ずつ追加。1アカウントにつき最大で8キャラクター作成でき、いつでも切り替えできます

キャラメイクの仕上げは“親の職業”です。かじ屋や錬金術士など実家の職業を選ぶという一風変わった項目で、それによって“装備のレシピ”やアイテムがもらえたりと、ゲーム中でさまざまな恩恵を受けられるのです。本作は家族もひとつのテーマであり、冒険の合間に家族や村の人から手紙が届くことも。

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▲手紙は、ふわっふわでかわいらしいモーグリが配達してくれます。手紙の返事次第では家族との仲がさらに深まるかも

それでは冒険に出発! ワールドマップ上で馬車を動かし、ダンジョンへと向かいます。ダンジョンに入る際にはそのエリアについての小話というか、語りが入ります。このナレーションは主題歌を歌っているYaeさんが担当されているのですが、これがまた雰囲気があり、小さな物語にいざなわれているかのよう。そんな導入に聴き入ってしまう人も少なくないようです。
さてダンジョンでは、“クリスタルケージ”と呼ばれるミルラの雫を集める器を運びながら進みます。このケージには小さなクリスタルが付いていて、それが毒の瘴気からプレイヤーたちを守る結界のような役割を果たしています。

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▲ケージを中心とした円の外に出てしまうと、徐々に体力が減ってしまいます。シングルプレイでは相棒のモーグリにケージを運んでもらえますが、マルチプレイではメンバーの誰かが持つことに

この世界には瘴気が満ちており、人間は瘴気を浄化するクリスタルの周囲でしか生きられません。各地の村では巨大なクリスタルが祀られていますが、これが人々の暮らしを守っているわけです。このクリスタルの浄化作用を保つには、毎年ミルラの雫で清める必要があるのだとか。その雫を集めるのがキャラバンということで、プレイヤーの役目は意外と重要なのです。クリスタルケージはマルチプレイで皆が行動を共にするための上手い仕組みでもありますが、世界設定とも紐づいたゲームシステムとなっているのがイイですね。

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▲クリスタルは村々により形もさまざま。周囲の雰囲気も旅情をかき立てます

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▲キャラバンが帰ってこなかったために滅び、ダンジョンとなってしまった村もあります

敵と遭遇すれば武器や魔法で撃退するわけですが、コマンドをL1・R1ボタンで切り替え、○ボタン(PlayStation®4版の場合)で実行するという、原作からのシステムを継承しています。

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▲現代の感覚からするとちょっぴり面倒ではありますが、ここは慣れでなんとか

魔法が使えるようになる“魔石”をダンジョンで毎回調達したり、魔法を重ねてより強力な魔法を放つ“合体魔法”も独自のシステム。マルチプレイで仲間と合体魔法を成功させたときの達成感は、今作でも健在です。

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▲例えばファイアにファイアを重ねればファイラに、ファイアなど属性魔法にレイズを合わせればホーリーが発動!

ダンジョンでボスを倒すと、その奥に自生する“ミルラの木”から雫をゲットできます。ケージを満たすには3滴ぶんの雫が必要なので、また別のダンジョンに挑むことに。ケージが満タンになれば自動的に村へ帰還し、キャラバンの1年が終了します。これが本作のゲームサイクルとなっており、また翌年の雫集めの旅が始まります。一度採取したミルラの木から再び雫を得るには2年ほど待たねばならないので、ほかのエリアに足を延ばすことになります。

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▲年を重ねることで行ける範囲が広がったり、特定エリアの環境が変化することも

街道の辻では、ほかの村のキャラバンと遭遇することもあります。イベントシーンはフルボイス化されているので、よりキャラクターが生き生きとしている印象です。声優のキャスティングもイメージとピッタリ。ただ個人的に旅のモーグリ“スティルツキン”の声が子安武人さんで、イイ意味で予想を超えていてびっくりしましたね。

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▲スティルツキンは指南役としていろいろ教えてくれます。キュートな見た目と落ち着いた口調のギャップがすごい

そんなイベントシーンで印象深いのが“しましま盗賊団”です。各地で食べ物などを盗んでいるようで我らがキャラバンも何度も狙われます。といっても彼らは不殺が信条だそうで、危ない目には遭いません。いつもドジを踏んだり、決めゼリフを噛んでしまったりとどこか憎めないんですよね。

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▲セルキー族のやんちゃっ子バル・ダットを筆頭に、すぐ寝てしまう爺やのメ・ガジ、モーグリのアルテミシオンのしましま盗賊団トリオ

こうしたイベントには時折、選択肢が出現します。彼らに囲まれたときなどは、つい強行突破を選んでアルテミシオンを馬車でふっ飛ばしてしまい……。モーグリ好きとしては申し訳ない気持ちですが、痛快なシーンのうえに、そのことを綴った“日記”が秀逸で噴き出してしまいました。

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▲イベント冒頭で「星のような存在になりたい」と言っていたアルテミシオン。フラグを回収する見事な飛びっぷりでした

日記はイベントやダンジョンの様子を書き留めたもので、あとから読み返すことができます。プレイヤー自身が入力した文章ではありませんが、自分だけの冒険記に思えてくるのが不思議ですね。村に帰還した際のお祭りでは、この日記の1年ぶんの内容を振り返る演出があり、なんだかしみじみ。

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▲たくさんの思い出が詰まった1冊だからこそ、力尽きてゲームオーバーになったときの「冒険記がふたたび故郷へもどることはなかった」という一文を見ると切なくなります

一度観たイベントシーンを日記で再生できる機能が追加されています。ほかにも記憶に残るシーンとしては失踪した王女の捜索、凶行に及ぶ黒騎士のエピソードがあります。本作は全体的にほんわかした空気がありますが、ときにシリアスな場面もあるのです。

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▲お城を抜け出したフィオナ王女と彼女を連れ戻そうとする爺やの話

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▲黒騎士はこの世界の秘密と若干関係していることも衝撃でしたが、彼自身の物語が何だかやるせなくて……

日記に記されるほどではありませんが、街の人々の会話もなかなかユニークでクスッとさせられます。みんな個性が濃くて、ひと言でその人物の背景や性格がよくわかるんです。

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▲いわゆるモブなのに妙に記憶に残るというか、当たり障りのない通り一遍のセリフを吐く人はいないというか……

こういった周囲の人とのやり取りでプレイヤー自身がどう思うかが、本作でのメインストーリーなのかなとも思えてきます。激動の物語ではないけれど、周りで起きた出来事にあれこれ思ったりするのは、リアルの日常とも通じるところがあるような気がします。
ただ人々の会話を注意深く聞いていると、「最近、なんだか忘れっぽくなった」というようなワードがチラホラ出てきます。これも日常ではよくあることだと思っていましたが、あとでこの世界の秘密にまつわる巧妙な仕込みだったと気づかされました。このことはラスボス戦あたりで判明するのですが、ちょっと毛色の違うおもしろい世界設定だとも感じました。ネタバレになるので詳細が言えないのがもどかしいですが、ラストダンジョンへは急げば5~6年ぶんほどで辿り着けるので、ぜひ実際に確かめてみてください。キャラクターの育成が十分でないと苦戦は必至ですが……。
次回は、キャラクター育成の楽しさや進化したマルチプレイについて届けたいと思います。余談ですが、『FFCCリマスター』を遊ぶうちに原作当時のマルチプレイの思い出もうっすら蘇ってきました。楽しかった記憶のはずなのでもっと覚えていてもいいと思うのですが、思い出というのはやはり自然に忘れていくものだそうで……。どうせなら恥ずかしい思いをした記憶からバイバイしたいものですが、そういうことほど不意に思い出してしまいがちですね。本編の終盤に登場する○○ちゃん、なんとかしてくれたらいいのになと常々思っています。

フォトギャラリー

■タイトル:ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター
■発売元:スクウェア・エニックス
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、iOS、Android
■ジャンル:アクションRPG
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2020年8月27日)
■価格:オフィシャルサイトでご確認ください


『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター』オフィシャルサイト

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CHARACTER DESIGN: Toshiyuki Itahana