今、知っておくべき注目声優を解説します!  vol. 9

Column

『ヒプノシスマイク』『アイナナ』『A3!』同時出演でこの秋を席巻…「白井悠介」は声優界の“第七世代スター”か?

『ヒプノシスマイク』『アイナナ』『A3!』同時出演でこの秋を席巻…「白井悠介」は声優界の“第七世代スター”か?

この人の声を知っておけばアニメがもっと楽しくなる(はず)! 今、旬を迎えている声優の魅力をクローズアップする連載コラム。今回は、『ヒプノシスマイク』(通称“ヒプマイ”)のシブヤ・ディビジョン、飴村乱数(あめむら・らむだ)役でブレイク中の白井悠介さんに注目。女性ファンの熱狂的支持を集めるグループアイドル作品の世界で、今や知らない人はいない新世代スターの魅力を解き明かします!


ゲーム出演本数は例年15作以上。あらゆる要求に対応するスキルと才能に注目!

2019年から20年にかけてのエンタメ業界のホットワードのひとつに、「M-1グランプリ2018」の若きチャンピオン・霜降り明星のせいやがネーミングした“お笑い第七世代”がある。“世代”と区分けを断言することに対して様々な意見は出ているが、ざっくり言えるのは既存の漫才、コントの枠に囚われない新しい笑いのテイスト、テレビ出演だけに固執せずYouTubeなどの新しいメディアも柔軟に採り入れる業界への対応を含めて、芸人としての新しいスタイルを提示する20代~30代前半の若い芸人たちを指しており、今ではどのバラエティ番組でも“第七世代”は大活躍中だ。

そして新世代の台頭=第七世代感を、声優界でも感じることがここ数年とても多くなっている。一昔前なら、大作テレビアニメシリーズのメインキャラに抜擢されることが人気声優への足がかりだったが、今は(軸足は当然、アニメ声優にあるとしても)アプリゲームやドラマコンテンツを筆頭に、声優の顔出しWEBバラエティ番組やWEBラジオ番組、歌やライブステージを積極的に行うユニット活動、個人開設のYouTubeチャンネルなどなど、若手声優がテレビアニメだけに止まらず、熱狂的なファンを獲得する場はどんどん増えている。

とくにその傾向を色濃く感じるのは、アプリゲームやCD(ドラマ)など、漫画や小説が原作ではない出発点から、アニメや舞台化などマルチなメディア展開で飛躍的に人気を広げていく、音楽と密接に紐付いたグループ系アイドルコンテンツだ。声の芝居だけに止まらず、歌えて、振り付けを踊れて、トークもできて、顔出しのライブイベントやバラエティコンテンツにも対応できる幅広いスキルと才能が必要とされるグループ系アイドルコンテンツからは、新世代の若手声優スターが次々と生まれている。

白井悠介もその一人だ。2010年代初頭に声優デビューした白井が注目を集めたのは、アニメでは、2015年に始まり、初めてメインキャラクターを演じた『美男高校地球防衛部LOVE!』シリーズでの鳴子硫黄役だが、同じ2015年にはゲームとしてシリーズをスタートした『アイドリッシュセブン』(二階堂大和役)、『アイドルマスター SideM』(若里春名)、『アイ★チュウ』(三千院鷹通役)などゲームコンテンツへの出演が相次ぎ、女性ファンを獲得する大きなきっかけを得ていった。

ちなみに2015年のゲーム出演本数は約17作、2016年と2017年にはそれぞれ約20作、2018年以降も毎年15作品前後の出演作がコンスタントに続いており、白井の堅実な人気のほどを示している。2016年には『スタンドマイヒーローズ』(桧山貴臣役)、2017年には『A3!』(碓氷真澄役)、2019年には『ブラックスター -Theater Starless-』(柘榴)と、熱狂的な女性ファンを持つ人気作品に白井の名を見る機会はとても多い。さらに2017年よりCDリリースをスタートして、声優が超本格的なラップを歌うという新基軸の内容で爆発的人気を博している『ヒプノシスマイク』シリーズのシブヤ・ディビジョン、飴村乱数役は、声優・白井悠介の知名度と人気を押し上げた代表作ともいえる。

女性ファンを虜にしてやまない“声質”を徹底分析

そんな白井の声の魅力は、女性ファンの耳に訴えかける万能型イケメンボイスとしてのアクの少なさにある。基本的にキーは高いほうではなく、中音から低音の中間域で演じるキャラクターが多いが、低音部では温みが濃く滲み出ており、音域が高くなるにつれてキュッと締まった張りが出てくるのは特徴だ。

『アイドリッシュセブン』(通称“アイナナ”)の二階堂大和は、白井の通りのいい低めの声がじつに魅力的に響くユニット「IDOLiSH7」の最年長キャラクター。普段のやる気がなさそうな飄々とした行動のときは柔らかめの低音が心地よく響くが、内に秘めた熱さやリーダー気質が表に出てくるときは、ピンと張った声が強調されるメリハリが印象的だ。

同じ低音キャラでは『A3!』の碓氷真澄も人気だ。“監督”には全力で愛情を注ぐが、他の人には塩対応という天才肌ゆえの二面性を、けだるげな息多めの低音ボイスで表現する白井の女性心をくすぐる低音の魅力が発揮されたキャラクターといえよう。中音域の声質は、『美男高校地球防衛部LOVE!』の鳴子硫黄役で発揮。白井の締まった張りのある声が、キャラクターの合理主義的な聡明さとクールさを際立たせる。『アイドルマスター SideM』では、その張りのある声が元気な若里春名というキャラクターのフレッシュな魅力に繋がった。

そんな白井の声質や演技に驚きと新しい風を吹かせたのが、『ヒプノシスマイク』の飴村乱数役だ。見た目は小学生に見えるほど幼いキュートなルックスの持ち主である乱数は、それまでの白井の印象をくつがえす、あざといまでに天真爛漫で可愛い高音キャラクター。だが、それだけではないのが乱数のチャーミングなところ。その裏には……という時に発せられる闇深い低音ボイスは、白井の真骨頂といえる。そんな二面性を声で演じ分ける白井の演技と、表現される乱数のギャップにやられている女性ファンは、さぞ多いことだろう。もちろん、カッコいいラップを放つ白井の音楽的な実力も見逃せない。

……と紹介してきた彼の代表作だが、なんとこの10月からは、『アイドリッシュセブン Second BEAT!』『「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」Rhyme Anima』『A3! SEASON AUTUMN & WINTER』の3作品が同時期にオンエアされる。人気声優が同じクールで何作品にも出演することは珍しいことではないが、ゲームやCD派生の女性向けコンテンツで音楽がキモとなるグループもの……という共通点がある出演作が同じクールに3作も重なるのはちょっと珍しい。それぞれの担当キャラクターを、白井がどう演じ分けているのかを、じっくりと確かめられるチャンスだ。

ひと味違う「YouTube個人チャンネル」でも魅せるエンタメ力

さらに白井悠介という声優についてぜひ注目してほしいのが、マルチなタレント性だ。

今年はコロナ禍の影響もあり、多数の声優がYouTubeチャンネルを開設しているが(→関連記事)、チャンネル登録者数23万人に迫る白井の個人チャンネル「【公式】しらいむチャンネル」は、他の声優チャンネルとはひと味違う、YouTuberらしい手作り感と、声優仕事の裏側にフォーカスした内容が魅力だ。モーニングルーティーンやYouTuberとのコラボ、ゲーム実況、質問コーナーといった、いかにもYouTuberらしい企画のほか、仲のいい声優仲間をゲストに迎えた遊びの数々や再現ドラマ付きの「人気声優●人に聞いた声優あるある」シリーズなど、表に出せるギリギリを攻める、ファンならぜひ知りたい!と思う内容の動画も盛りだくさん。『美男高校地球防衛部LOVE!』シリーズのコンテンツで、“DJ白井”としてはっちゃけたノリを見せていた彼らしい飾らない人柄とエンターティナーっぷりが楽しめる。

また、白井本人がデザイナーであるアパレルブランド「MIDORI」を企画するなどの活躍を見せているのも、新世代の声優だなと感じる。今は女性向け作品、音楽関連コンテンツの人気が先行している白井だが、今後はどんな役柄を演じていくことになるか、とても期待している。

文 / 阿部美香

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