発掘!インディーゲーム総研  vol. 23

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人類を守れ!『ゾンビサバイバル コロニービルダー They Are Billions』知略を尽くし大量のゾンビを掃討

人類を守れ!『ゾンビサバイバル コロニービルダー They Are Billions』知略を尽くし大量のゾンビを掃討

文明が崩壊した世界を舞台に、ゾンビと戦いながら人類の新たなコロニーをつくるシミュレーションゲーム『ゾンビサバイバル コロニービルダー They Are Billions』。2017年12月にSteam®でアーリーアクセス版、2019年6月に完全版がリリースされ、同年7月に海外でコンシューマ版が発売されています。日本では、2020年8月20日にスパイク・チュンソフトよりPlayStation®4版がリリースとなりました。本稿では、ゾンビの大群と対決する楽しさを紹介していきます。記事を読み進めるまえにぜひトレーラームービーを見てください。圧倒的な数で攻めてくるゾンビの迫力は、おそらく想像以上のはずです。

文 / 内藤ハサミ


ゾンビと戦いながらコロニーを発展させるサバイバル

都市の産業を発展させて人々の暮らしを豊かにするという、スタンダードな箱庭シミュレーションゲームに“ゾンビ襲来”の要素を加え、ほかにない面白さを生み出しているのが本作の大きな特徴です。プレイヤーは自身の住む新たなコロニー(入植地)を発展させながら、ゾンビの群れと戦うための備えも同時に行っていき、発展と防衛のふたつの観点で街づくりをしていくのです。ゾンビ×箱庭という作品はあるようでいて、実はあまり見かけない設定で新鮮さがあります。

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▲ゾンビに襲われても耐えられる強い街を目指します

本作には“サバイバル”と“キャンペーン”、ふたつのモードが用意されています。定期的に街を襲うゾンビの群れを撃退しつつ街を発展させ、指定された日数を維持するサバイバルが本作のメインコンテンツです。コロニーの中枢拠点である司令部がマップの中央に建ち、数名の兵士ユニットが配置されている状態で始まります。まずは周辺にテントを立てて人口を増やし、製材所と採石場を建設して資源を集めます。テスラタワーを立てて拠点の外にエネルギーを伝達し、さらに拠点を広げます。エネルギーは有限なので風車小屋などを建てて賄いますが、こういった施設にも人手が必要。施設を作っては住居を増やし、住人を兵士ユニットや設備作業員に振り分け、また施設を増やし……と徐々に発展させていきます。

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▲荒廃した土地の真ん中に目立つ、やけに立派な司令部の建物。このままでは非常に無防備な状態です

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▲兵士ユニットにはプレイヤーが命令を下し、マップ内を移動させることができます

未踏の地区は黒く塗りつぶされていて、初めは司令部周辺を除いたすべてが真っ暗で見えない状態です。通ったところが徐々に明らかになっていくので、レンジャーなどの機動力が高いユニットを使ってマップの把握も同時に行っていきます。周囲を探索し、ゾンビがいれば殲滅します。ゾンビは数匹がフラフラしているだけのこともあれば、場所によってはかなりの大群が集まっているところもあり、実際に近くに寄ってみるまで実態はわかりません。こちらを発見すると襲ってきたり、拠点に向かって進んだりと行動パターンは単純ですが、どこからどの程度の規模でやってくるのかは読めません。同時進行で街の発展に着手。ユニットが行き来しやすく、資源集めの効率も考えたバランスのいい街を作るのが、生き残るためには重要です。これだけでだいぶ忙しいプレイとなるでしょう。各設備の形状、隣に置けないもの、隣合っていたほうが都合のいいものなどをパズルのように組み合わせた結果、自分の作った街が適切に運営され豊かに育っていくようになるとかなりハマります。

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▲ああっ! 少し留守にしていた隙に拠点が襲われています!

そうしている間にもゾンビは容赦なく拠点に襲来するので、集まった資源で外壁を立てるなどしてゾンビが簡単に街のなかへ入って来ないようにすることも重要です。大群で現れるときは少しまえにシステムメッセージで予告されるのですが、少人数で拠点に来るゾンビは予想がつきません。資源が十分に集まり住人も増えてくれば兵舎を立ててさらなる兵士ユニットを生み出したり、バリスタやエグゼキューターなど自動で敵に攻撃をしてくれる設備、ゾンビをある程度遠くから観測できるレーダーを作り出したりもできます。地形、資源、ゾンビの配置は新たなゲームを始めるごとにランダムで決定されますが、司令部は初期位置から動かすことはできません。近くにある森や水場のようにゾンビに侵入されない地形を利用して街の構成を決めたりなど、毎回戦略を変え臨機応変に立ち回ることが必要で飽きのこないポイントでもあります。ただ街を発展させるだけにとどまらず、どこから襲われても対応できるように準備することも加わりプレイ中はずっと頭がフル回転状態!

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▲ある程度街を発展させると、市長の選択ができます。市長候補はそれぞれ特技が違うので、今のコロニーに貢献できそうな人を選びましょう

ゲームの難易度は、ゲームの継続時間4段階、感染者(ゾンビ)の数6段階を任意に設定して調節できます。慣れないうちは、最も簡単な設定にしたとしてもクリアが難しいかもしれません。筆者もコツをつかむまではかなり苦労しました。最終日には大量のゾンビが一気に拠点へと押し寄せます。コロニーの壁が突破され、襲われた住民が悲鳴を上げると同時に新たなゾンビへと変化。完膚なきまでに拠点を蹂躙される絶望感はぜひ味わってみてほしいですね。大挙するゾンビの圧倒的迫力に、悔しさを通り越して笑ってしまいます。

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▲ものすごい数ですが、拠点の一部の光景にすぎません。東西南北すべての方角から一斉にゾンビが襲ってくるのです。遅いゾンビ、早いゾンビ、大きくて丈夫なゾンビ、壁を乗り越えるゾンビ、毒を吐きかけてくるゾンビ……全部ゾンビ!

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▲ゾンビは武器を持ちませんが、防御壁の薄いところを殴って壊され入り込まれてしまいました。もうここまでくると、打つ手がありません。天を仰ぎつつ、コロニーが滅びるのをただ静かに待つのみ。ちなみにこれは難易度“ハード”です

ゾンビに襲われた施設や住居の労働者や住人は、すぐに新たな感染者となってゾンビの群れに加わってしまうので、一度進入を許してしまうと復帰はかなり難しいです。もっとしっかり設計し、自動でマシンガンを撃ってくれる防衛設備などを各所に置くべきでしたし、7種類ある兵士ユニットをもっと適したところに配置すればよかった。あー負けた負けた。さてさっそく次のプレイ……。散々な状況で負けてしまってもリトライへの意欲が低下しないのは、失敗から学べることがすごく多いからなのです。エンドレスにプレイしてしまうほどの中毒性があり、止めどきがわからないほどです。

人類の覇権を取り戻すキャンペーン

もうひとつのゲームモード、キャンペーンについても紹介しておきましょう。人類滅亡の日から約200年後、巨大なクレーターの底を壁で囲った都市を築き力を蓄えてきた人類が、再び覇権を取り戻すために戦うという物語に沿ってプレイを進めます。 基本的なルールはサバイバルと同じですが、ステージごとに勝利条件が違うミッション制です。勝利することで得たポイントを消費して新たな設備などをアンロックしていけるなど、趣向の違う面白さがあります。初めに、攻撃の威力が高く速度の遅い“カエルス”、銃の威力は低めで速度の速い“カリオペ”のふたりからヒーローユニットを選びます。途中変更はできません。ミッションを達成することでレベルが上昇し、レベルアップで付与されるポイントを使って任意の能力をアップさせることができます。筆者は二丁拳銃に惹かれてカリオペを選択。攻撃速度が速いのも好みです。

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▲少ない手数でキルできるカエルスも気になります

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▲ステージをクリアすると、次のステージが解放されます

サバイバルと違い、キャンペーンの各ステージは地形が決まっていてそれぞれ個性的です。攻略方法もステージに合わせて大胆に変える必要が出てきます。サバイバルで基本の遊びかたを会得してからキャンペーンを遊び始めたほうが、混乱せずゲームに入っていけるのではないかと思います。

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▲雪景色のマップ。草地に畑を作りたいから右上は空けておいて、ゾンビの侵入経路がない山側から住宅地を作り始めて……。サバイバルでの失敗で学んだことを残らず活かします

メインコンテンツはサバイバルだということですが、キャンペーンのボリュームもかなりのものです。10時間ほどプレイしても、ワールドマップの3分の1弱ほどしか埋まらないくらい豊富にステージが用意されています。またキャンペーン独自の要素として、ヒーローユニットを操作して人類が繁栄していたころの建造物に侵入しロストテクノロジーを回収する“戦術ミッション”、ワールドマップに現れたゾンビの群れを討伐しアウトポストを守りきる“攻撃ミッション”など、特殊なステージも用意されていて変化のあるプレイが楽しめます。

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▲戦術ミッションは、ヒーローユニットを使ってガンガン敵地に攻め入る面白さがあります。途中で味方ユニットが加わったりもします

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▲今までのミッションクリアで得た“帝国ポイント”でユニットや防衛施設を解放し、アウトポストの周りに配置してゾンビの群れから守る攻撃ミッション。最初に配置するユニットの種類や位置が勝敗を分けます

サバイバルの揺るぎない面白さには一歩及ばないと感じるものの、こういったバラエティに富んだアプローチは楽しむのに十分なクオリティです。そもそもサバイバルの完成度が高すぎるのです……。しかし、サバイバルでは深く知ることができない世界観に迫ることができる魅力はあります。
元々PC版でリリースされたタイトルということもあるのか、コントローラーでの操作は直感的とは言いがたく、基本的な難度も高いので慣れるまでは正直ややこしく感じる点もあります。とはいえ一度ルールと操作をものにすれば、圧倒的な人数のゾンビウェーブを乗りこなす楽しさにきっと病みつきになるでしょう。キャンペーンのエンディングはとても簡素です。本作に長いムービー付きのエンディングは必要ありません。大量のゾンビに勝利し人類の明るい未来を取り戻したとしても、プレイヤーはきっと一刻も早く新たなゾンビサバイバルの渦中に身を置きたくなりますから。

フォトギャラリー 

■タイトル:ゾンビサバイバル コロニービルダー They Are Billions
■発売元:スパイク・チュンソフト
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:ゾンビサバイバル コロニービルダー
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2020年8月20日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各3,800円+税


『ゾンビサバイバル コロニービルダー They Are Billions』オフィシャルサイト

©2018-2020 Numantian Games SL and BlitWorks SL. All rights reserved. “They Are Billions” is a registered trademark of Numantian Games SL. PlayStation®4 version developed by BlitWorks SL. Published and distributed in Japan by Spike Chunsoft Co., Ltd.

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