発掘!インディーゲーム総研  vol. 22

Review

過激で超暴力の棒人間アクション『ワンフィンガーデスパンチ2』右脳だけが沸騰するような楽しさ

過激で超暴力の棒人間アクション『ワンフィンガーデスパンチ2』右脳だけが沸騰するような楽しさ

ピクトグラム調のキャラクター(非常口を表すマークのなかの人間を想像してほしい)が絶え間なく襲いかかる敵をなぎ倒すアクションゲーム、『ワンフィンガーデスパンチ2』がNintendo Switch™でも遊べるようになった。2013年にリリースされた前作同様、カナダのインディーゲームスタジオが制作。過激な演出、シンプル操作、リーズナブルな価格と、この手のゲームの3大マナーをしっかりと押さえつつ打撃音やBGMがケレン味たっぷりに乗せられていて、“棒人間”ゲームファンは仕上がりに満足すること間違いなし。そんな、爽快かつお得な本作を紹介する。

文 / カタカメーン


伝統の棒人間コンテンツの最新型がここにある

若い読者も多いと思うので、本編に移るまえに少しだけインターネットと棒人間の関係性について説明させていただく。人間を円と線だけに簡略化して描くこの棒人間は、万国共通の表現方法。国境を越えて、キッズたちは授業中にノートの片隅に描いた棒人間にいろいろな試練をそれぞれの頭のなかで与え続けている。そんな棒人間を用いた表現は、言語を介さずとも共感を呼びやすいため、とてもインターネットとも相性がいいのである。
さかのぼれば2000年ごろ、ウェブブラウザのプラグイン・Flashの黎明期に中国人クリエイターが制作したアニメシリーズ“小小系列”がインターネット上で話題になり、時を経て2007年ごろには強制横スクロールで障害物を避け続けるだけのゲーム『チャリ走』がフィーチャーフォンのアプリで大ヒット。その後もスマートフォンのアプリを中心にさまざまなジャンルのゲームがリリースされ続けている、地味ながらも根強いファンを掴んでいるジャンルだったりするのだ。
そして2020年、小小系列から20年が経過してリリースされた本作。一見してゲーム内容を把握できるほど整理されているが、まずはメインのゲーム画面から説明する。自キャラクターの立ち位置は画面の中央に固定され、襲いかかる敵を一定数倒せばステージクリア。攻撃や防御に失敗し一定量の体力が削られれば、そのステージは終了というシンプルなルールだ。

ワンフィンガーデスパンチ2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲タイミングよく連続で攻撃を決めれば、さまざまなモーションが見られる

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▲迫りくる敵に加え、武器もプレイヤーを目掛けて飛んで来る。瞬時に処理を!

ワンフィンガーデスパンチ2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲グラフィックは細かく設定できる。あくまでも棒人間の範囲内だが

攻撃自体もシンプルで、自キャラクターの左右に設置された攻撃範囲を示すゾーンに敵キャラクターが侵入したタイミングで、左からならYボタン、右からならAボタンを押すことで攻撃を与えられる。その攻撃は多彩で、蹴りや投げだけでなく、刀やヌンチャクといった武器を拾えば、一定回数その武器のモーションでの攻撃となるので単調さはない。攻撃を複数回与えないと倒せない敵が頻繁に登場するアクセント、攻撃した瞬間にリアルキャラクターが大写しになるアニメーションがテンションを高める。攻撃と防御の攻防が発生する喧嘩屋と称される敵も存在。かなり記号的だが、カンフー映画の中ボスや大ボスを表現しているのだろう。これはこれで、撃破すればクリア時の達成感が高まるのでうまい味付けだと思う。演出も過激で、攻撃を受けた敵は血が飛び散り、体が吹き飛んでしまう。ハードなカートゥーン調のバイオレンス表現も堪らない。
なにより思い切った仕様なのが、戦闘で左指をまったく使わないこと。自キャラクターが移動するわけでもなく、敵はジャンプをせず、凶器もプレイヤーキャラに向かって直線的に飛んでくるのでスティック操作の必要がないのだ。高さの概念がバッサリとカットされているので左右の攻撃タイミングのみに集中でき、高い没入感へとつながっている。なお、攻撃範囲を示すゾーンの外にいる相手への攻撃はお手付きとなり、キャラクターが固まってダメージを受けてしまうのでボタン連打は厳禁。そんなことから、リズムアクションゲームに近いプレイ感覚になっている点がユニークだ。
同様にスキルの発動についても潔い仕様となっている。敵を瞬時に一網打尽にできたり、一定時間スローモーションが発生したりとスキル自体は多彩に用意されているのだが、どのスキルもクールタイムが満たされればド派手な演出とともに自動発動する。この思い切った味付けが痛快なのだ。本作は敵の猛攻によってつねにピンチで、プレイヤーはYボタンとAボタンを押すことに夢中。「タイミングを見計らってスキルを選んで通常攻撃と違うボタンを……」と考えるよりも、勝手にブッ放してくれたほうがありがたい。正直に言えば似通ったスキルも多いのだが、スキルポイントが溜まり割り振れるスキルを増やすことが本作では唯一の成長要素なので、ポイントはステージモードでしっかりと蓄えておきたい。

ワンフィンガーデスパンチ2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲武器が見つかれば自動的に攻撃が切り替わる。戦況を調えるチャンスだ

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▲突如キャラクターが大写しになる演出も。ここでも左右のボタンを押すだけだ

2つの主要モードにおまけ&ボリュームは十分

ここで、いくつか用意されている遊びかたを紹介しておこう。遊べるモードは大きく分けて2つが存在し、それらに加えておまけが少々用意されている。メインのコンテンツは“ステージモード”。ルート上に散りばめられたステージをクリアし、全9マップを開拓していく。1マップにつき枝道上のステージも含めて30ほどが用意されているので、総ステージ数はざっくり270と言ったところ。なかなかの、いやたっぷりすぎるボリュームである。なお、各マップの境界線上に置かれたステージは、ボスエネミーが多数出現する山場。攻撃ゾーンが広がる(正確には前段階のプレイで倒したエネミーによって広がった攻撃ゾーンが維持される)リベンジトークンを用いて、有利に進めたい。

ワンフィンガーデスパンチ2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲ステージモードのマップには分岐もあり、ボリュームたっぷり

もうひとつのモード“サバイバルモード”は上級者向けの内容だ。プレイを重ね、撃破数などの条件を満たすたびにタワーの階層がアンロックされる。高い階層で始めるほど戦闘はハードになるものの高いボーナス係数がスコアに乗ぜられるので、スコアアタック的な楽しさもある。ステージモードでスキルポイントを溜め、スキルの種類を増やして高みを目指そう。
おまけ的なエクストラモードも簡単に説明しておく。“ローグモード”は、ランダム生成されるグリッド(マス状のマップ)のオールクリアを目指すチャレンジ要素の強いモード。“協力”は、コントローラー2つでマルチプレイが楽しめるモード。そして“こらルカやめなさい!”は、敵とおバカな猫を同時に相手にする開発者のジョークのようなモードだ。こちらは、スクリーンショットを見ていただくのが手っ取り早い。どのモードも世界中のプレイヤーが参加するスコアランキングと紐付けられており、ゲーム全体の達成度が把握できるトロフィーも全30種が用意されている。

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▲“協力”モードは互いのキャラクターを切り替えながら進行する

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▲“こらルカやめなさい!”では実写の猫が画面上に表示され続け、プレイヤーの体が半分しか見えない状況で戦うことになる

1プレイの時間は短いが、遊び尽くそうと思えばとてつもないボリュームが待ち構えている本作。ゲーム中の操作は左右の攻撃のみだが、攻撃モーションやそれを受けた敵の反応、クリア条件、ステージの背景など大枠を外さない程度に多彩な演出が細かく散りばめられていて、いつまでも新鮮味が持続できるように工夫されている。そんな本作は、日を追うごとに夜が長くなるこれからの季節にピッタリの小品だ。山椒のようにピリリと、いやカンフーモチーフの作品なので花椒のようにビリビリと痺れる『ワンフィンガーデスパンチ2』をぜひプレイしていただきたい。

フォトギャラリー

■タイトル:ワンフィンガーデスパンチ2
■発売元:レイニーフロッグ
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:アクション
■対象年齢:15才以上
■発売日:発売中(2020年7月22日)
■価格:ダウンロード版 1,000円(税込)


『ワンフィンガーデスパンチ2』オフィシャルサイト

One Finger Death Punch 2 © is copyright of Silver Dollar Games Inc.
Licensed to and published by Rainy Frog LLC.

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