Interview

東山義久がラップに初挑戦。同志である演出の植木 豪と共に『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- で残す爪痕

東山義久がラップに初挑戦。同志である演出の植木 豪と共に『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- で残す爪痕

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3-(以下、ヒプステ)が、10月2日(金)に東京・TOKYO DOME CITY HALLにて開幕する。
音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』の舞台化第3弾は、荒牧慶彦、里中将道、東山義久、廣野凌大、加藤大悟、青柳塁斗らが出演し、ラップバトルで会場を盛り上げる。
「ダンスが好きだからこそ、ダンス以外の表現を学ぶダンサーがいてもいいと思うんです」──そう話すのは、本作で「オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”」の天谷奴 零(あまやど・れい)を演じる東山義久だ。東山は、エンターテインメントグループ「DIAMOND☆DOGS」のリーダーを務めているほか、ミュージカル、ストレートプレイと様々な場で表現を追求し続けている。今回は、稽古を間近に控えた東山に、現在の心境やこれまでの軌跡、そして、「10年来の親友だ」という演出家・植木 豪との関係性についても伺った。

取材・文 / 高城つかさ 撮影 / 冨田望


親近感があるグループ。荒牧慶彦、里中将道と3人で良いチームを作っていきたい

はじめに、出演が決まったときの気持ちからお聞かせください。

ヒプステは、(演出を手がけている植木)豪くんをきっかけにオーディションを受けました。もちろん「挑戦するからには絶対に受かりたい!」と思って挑んだので「よろしくお願いします」と言われたときは嬉しかったですね。DIAMOND☆DOGSのメンバーである和田泰右が第2弾に出演していたこともあり、ヒプノシスマイクの存在はもちろん知っていたのですが、まさか自分が出演することになるなんて、驚いています。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

東山さんは『エリザベート』や『レ・ミゼラブル』などミュージカルやストレートプレイの舞台に立たれることが多いですよね。ヒプステにはどのような印象がありましたか?

いわゆる2.5次元舞台と呼ばれる作品は、アニメやコミックをベースに展開していく印象がありました。そのなかでもヒプステは、原作と同時進行ということもあり、原作の世界観やキャラクター設定を大切にしつつも、いい意味で縛りがなく演じられそうだな、と感じましたね。
実は僕、今作がラップ初挑戦なんです。第2弾(track.2)を観劇したときに、ラップはキャストや観客の共通言語になるツールだと感じたので、これまでの経験を活かしながら新しいことに挑戦できるのが楽しみです。

東山さんは大阪府出身とのことですが、そんな東山さんから見て、オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”はどのようなグループだと感じますか。

親近感があるグループだと感じました。本番でもソーシャルディスタンスを保ちながら、心は一歩踏み込んで「一緒に盛り上がろうぜ!」と言えそうだな、と。お客様も含めてひとつのチームになれるのではないかと思っています。
僕が演じる天谷奴 零はミステリアスな詐欺師ですが、芯が強く、情に厚い一面もあると感じているので、そのギャップをうまく演じたいです。それに天谷奴は、3人の中でも俯瞰して物事を眺めているキャラクター。なので、会場全体を見渡して、端っこにいる人にも声をかけながら、盛り上げていきたいですね。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

同じチームになる荒牧慶彦さん、里中将道さんの印象を教えてください。

荒牧くんもまさくん(里中)も第一印象は「イケメンだ……!」でした(笑)。それと、挨拶した瞬間に「ああ、一緒に良いものを作っていけそうだな」と感じましたね。僕自身、男性とチームを組むことが多いので、おこがましいかもしれませんが(笑)、男性を見る目はあると思っていて。歳が少し離れていると言いにくいこともあるかと思うのですが、彼らなら「こうしていきましょうよ!」と積極的に話してくれそうだな、と。3人で良いチームを作っていきたいです。

いろんな経験をしたことでたくさんの視点が身につく

同い年の演出家・植木 豪さんとは『ALTAR BOYZ アルターボーイズ』(2009年)で共演して以来の親友だそうですが、東山さんにとって植木さんはどのような存在なのでしょうか。

豪くんはブレイクダンス、僕はモダンダンスをやってきて、同じダンスでも毛色は違うのですが、ダンスを芯に持つもの同士としていつも刺激をもらっています。ダンス業界を盛り上げていきたいという同じ志を持ちながら戦える、大切な存在です。……もう10年も経つんですね!

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

10年の間に、様々な変化があったかと思います。プライベートでも交流のある東山さんだからこそ感じる、お互いの変化はありますか?

僕も豪くんも、矢印が内側から外側に向いた気がします。初めは、好きな踊りを、好きな音楽で、好きな人たちと踊っていたし、自分たちがカッコよく踊ることを意識していたように思うんです。それが今は外側に向いて、磨いた技や守りたい人を、自分のできることを活かしながらどのように守り続け、魅せていこうか、後輩たちの次のステージをどう作ったらいいかを考えるようになりました。

自分に向いていたのが、だんだんと外側に向いてきたのですね。

はい。豪くんとはよく「ダンスはいつまでもできることではない」という話をしています。お芝居なら40代で40代ならではの芝居ができたり、歌なら50代は50代のかすれた声も良かったりするけれど、キレや体幹といった、ダンサーとして求められるスキルは年齢とともに100パーセント衰えていく。そうなったときに「僕たちが支える側になって次の世代につなげられたら、業界そのものがさらに次のステージに進むんじゃないか」と。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

たしかに。そう思ったきっかけはあるのでしょうか?

僕のように、“ダンサーなのに、ダンス以外に挑戦する人”が、なかなかいなかったことは大きいかもしれないですね。僕は大学卒業後から本格的にダンスを始めて、28歳のときに帝国劇場のミュージカル、それも歌のミュージカルの舞台に立った(2005年『レ・ミゼラブル』)のですが、周りを見渡してもそんな人はいなかったんです。なので、豪くんのようにダンスだけではなく役者、演出家などいろんな表現に挑戦する人に出会えてとても感動しましたし、道なき道を歩んできたからこそ、次につなげていきたい気持ちが強くあります。

“ダンスが好きだからダンス一本を極めていく”という人が多いなかで、おふたりは“ダンスが好きだからこそ、様々な表現を学ぶ”というスタンスだったのですね。

はい。僕自身、いろんな経験をしたことでたくさんの視点が身についたし、その結果ダンスにも活かせているな、とこれまでを振り返って思います。ダンスが好きだからこそ、ダンス以外の表現を学んで、自分のフィールドに持って帰るダンサーがいていいんじゃないかと僕は考えていて……。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

いろんな視点を持つためにも、ダンス以外の経験も必要だ、と。

きっと、豪くんもそうだと思いますよ。例えば、ダンスで「テーマは風です。今から風になってください」と言われたとしますよね。そのダンスは経験者から見たら“正解”かもしれないけど、きっと詳しくない人は何を見ているのかすら感じ取れない気がしていて。だから、知らない人にもわかりやすく理解してもらうためには、あらゆる視点が必要なんじゃないか、と考えているんです。僕を通していろんな人にダンスを知ってもらうためにも、いろんなことに挑戦し、好きなこと、できることをまだまだ増やしていきたいですね。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

ヒプステでは、様々なダンサーたちが舞台を彩っていますね。ひとりひとりじっくり見たいと思うほど、イキイキとされています。

track.1はDVD、track.2は実際に観劇したのですが、豪くんだからこそできた演出だなと感じました。芝居と違い、ヒップホップのダンサーというのはソロを取りにくいというか、ひとりで間を持たせることは普通は難しい。なかなかひとりでひとつの作品を持てないものなんです。そんな世界で戦ってきた豪くんだからこそ、ダンサーたち(D.D.B)ひとりひとりが輝ける、物語を彩る演出を意識したのだと感じましたし、彼が培ってきた世界観はヒプステに合っているんだなと思いました。

培ってきた世界観、ですか。

僕もそうなのですが、豪くんはいつまでも“少年”なんです。僕が今、中学2年生の夏休みを過ごしているとしたら、彼は小学校の修学旅行からまだ帰ってこないというくらい(笑)、いい意味で好奇心旺盛な子供。褒めることを恥とする大人もいるなかで「本当にすごい!」「これいいじゃん!」「君、すごいよ!」と素直に言えるのも豪くんの魅力だと思います。そんな彼に人が集まってきて、みんなで盛り上がって、かつ「こうしたらもっと面白いんじゃないか?」といったワクワクが詰まっているのがヒプステなんじゃないか、って。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

皆さんがつなげてきたものを大切にしながら、また次につなげていきたい

本番が楽しみです。続いて、東山さんのご経歴についても聞かせてください。そもそもダンスを始めたきっかけは、なんだったのでしょうか?

大学入学をきっかけに大阪から上京してきたのですが、友達がいなくて(笑)、何かサークルに入ろうと思ったのがきっかけです。それまでスポーツをやった経験もほとんどなく、囲碁将棋部だったり、ゴルフだったり、ひとりでやるものしかなくて……。そんなときに新入生歓迎会でダンスを間近で見て「カッコいい!」と感動して、思いきって挑戦することにしました。卒業してからもこういう仕事をしているとは、そのときはまったく思ってもいなかったですけど。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

2003年にはエンターテインメントユニット「DIAMOND☆DOGS」を立ち上げています。どのような経緯があったのですか?

僕が大学4年生の頃は、いわゆる就職氷河期のような時代で。就職活動もしましたが、やりたくない仕事に就かざるを得なかったり、大変そうな友達を見たりするなかで、「今じゃなくていいかな」と思ったんです。ひとりの時間を過ごしつつ、やりたいことを自分で探していきたいと、そう両親に話をして「まずは3年やってみよう」と決めました。
そうしていざ25歳になったときに「このままダンスだけではダメだ。どうせダンスをやめるのであれば、最後にやりたいことをやろう」と思って。最後の挑戦として、バレエやコンテンポラリーダンスなど様々なジャンルのダンサーとヴォーカリストを集めたグループ「DIAMOND☆DOGS」を始動したんです。時代が違っていたら、今の僕はいないですね。

東山さんは、グループ活動だけでなく、ミュージカルなど幅広く様々な舞台にも立っていらっしゃいますよね。

活動の場が増えたのも、グループのメンバーやスタッフがいたおかげなんです。彼らとは、年齢も環境も、やってきたジャンルも違う。同じヴォーカリストとして、同じダンサーとして、一緒に何かを作り上げていくときに共通言語がないな、と考えて……。「役者としてストレートプレイに挑戦して知識を共有しよう」「ミュージカルの歌唱ですごい人がいるから、僕を通して知見が広がったらいいな」と、みんなと共通言語を持つためにいろんなことを始めたらどんどん広がり、今の僕がいます。ヒプステでは、ラップという共通言語が増えそうなので、楽しみです。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3- 東山義久 WHAT's IN? tokyoインタビュー

それでは最後に、これまでの経験を活かしてどのような気持ちで本作に挑みたいのか、教えてください。

ミュージカルでは、再演という形でこれまで別の方がつなげてくださった役を継ぐことがあります。2.5次元と呼ばれるジャンルも、いろんな方がつなげてくれたものだと考えていて。track.1、track.2と続いているヒプステはたくさんのファンの方々が楽しみにしてくれている作品ですし、皆さんがつなげてきたものを大切にしながら、舞台ならではの魅せ方をできたらと思います。そして、また次につなげていきたいです。

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.3-

2020年10月2日(金)〜10月11日(日) TOKYO DOME CITY HALL

<チケット一般発売>
2020年9月12日(土)AM10:00〜

<全公演ライブ配信>
詳細は後日発表
詳細はオフィシャルサイトにて

<千秋楽公演のライブビューイング>
開催日時:2020年10月11日(日)18:00開演
会場:全国各地の映画館
開催映画館や詳細はこちらにて

原作:EVIL LINE RECORDS
演出:植木 豪
脚本:亀田真二郎
音楽監督:Ts
テーマソング:井手コウジ

出演:
オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”
白膠木 簓 役:荒牧慶彦
躑躅森盧笙 役:里中将道
天谷奴 零 役:東山義久

ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”
波羅夷空却 役:廣野凌大
四十物十四 役:加藤大悟
天国 獄 役:青柳塁斗

植野堀 誠
星乃勇太
北乃颯希
髙橋祐理

ディビジョン・ダンス・バトル“D.D.B”
Toyotaka RYO gash! SHINSUKE Dolton KENTA GeN KIMUTAKU

主催:『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage製作委員会

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@hm_rtstage)

©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage製作委員会

東山義久(ひがしやま・よしひさ)

1976年3月21日生まれ、大阪府出身。大学卒業と同時に初舞台を踏み、『エリザベート』(00・01/小池修一郎 演出)のトートダンサーで注目を集める。2003年に「DIAMOND☆DOGS」を始動、リーダーとして舞台構成・総合演出も手がける。2013年には、肉体表現の可能性を追求する新たなるカンパニー「BOLERO」を立ち上げ、ドラマ性のあるダンスステージを創り上げる等、ジャンルを問わずに活躍。近年の主な出演作には、『モーツァルト…オレは誰だ!!』(20/上田 遙 演出)、『ELF The Musical』(19/児玉明子 演出)、『ODYSSEY』(19/D☆D 演出)、『CLUB SEVEN –ZERO Ⅱ-』(19/玉野和紀 演出)、ミュージカル『イヴ・サンローラン』(19/荻田浩一 演出)、『DRAMATIC MUSICAL COLLECTION 2018』(18/森 新吾 演出)、『戯伝写楽2018』(18/河原雅彦 演出)、『サロメ』(17/上田遙 演出)、『エジソン最後の発明』(17/青木 豪 演出)、『ALTER BOYZ』(17/玉野和紀 演出)、『レ・ミゼラブル』(05-09/ジョン・ケアード&トレバー・ナン演出)などがある。2021年1月上演予定のA New Musical「IF/THEN」への出演を控える。

DIAMOND☆DOGSオフィシャルサイト

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