発掘!インディーゲーム総研  vol. 19

Review

食わずに戦え!『カニノケンカ -Fight Crab-』ハサミを掲げ最強のカニを目指す

食わずに戦え!『カニノケンカ -Fight Crab-』ハサミを掲げ最強のカニを目指す

「あなたはカニです」というパワーワードから始まる『カニノケンカ -Fight Crab-』。作中で語られることはないけれど、これは人間の世界を支配した不死身のカニたちの物語。剣でも銃でも死なないカニたちは“背を大地につけた者は負け”という甲殻の掟に従って戦い続けるのだ。カニに染め尽くされた対戦型アクションゲームの戦いの行方はカニの味噌汁……カニのみぞ知る。

文 / 大部美智子


我は戦うカニぞ

こんにちは、カニです。まずこの『カニノケンカ -Fight Crab-』は、英語タイトルに“Fight Crab”をつけた時点でカニゲー、いや神ゲーと言わざるを得ない。センスの高さに感服。絶対にこだわりぬかれたおもしろさがあるはずだと、プレイするまえからずっと楽しみだった。そもそもカニが戦う対戦型アクションゲームという時点で、凡人では辿りつけない領域の考えを持った人々が創り上げたのだろうと推察できる。モーションキャプチャしたのかな。期待はMAX。それでは早速、プレイした感触を紹介していくカニよ。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲シンプルなメニュー画面だけど、タイトルが上下にみょんみょんと小刻みに動いている。この懐かしいセンス……やはり期待できる!

“キャンペーン”は、7つのチュートリアル+7章(34戦)の戦いの舞台が用意されている。さまざまなカニや武器がつぎつぎと登場し、勝つことができればショップに追加されて購入後に使用できるようになるのだ。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲“巨蟹都市”の章。人間が滅んだあとの市街地でカニがバトル! 人間が滅ぶのもうなずけるぐらいカニがでかい。攻撃を当てて相手のダメージ値(名前のところにあるパーセント表示)が高くなるほど、ひっくり返しやすくなる

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲ひっくり返ったあと、スリーカウントで起き上がれなかったら負け。つぎつぎと登場する敵ガニをひっくり返していくのだ

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲章の最後にはボスが登場!

難度はノーマルとハードが用意されているけれど、ノーマルですべてのキャンペーンをクリアしたら“インフェルノ”が追加された。ノーマルでもクリアがむずかしい場面がいくつもあったのに、“地獄”とな。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲クリアするとつぎの章がふたつ解放されていく。“X”マークはそのステージで何戦勝ち続けられるか試すことができ、結果はランキングに載る

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲1WAVEごとに1~2体の敵が出てくるが、それを50WAVEまで戦い抜いた猛者が世界にいることがわかるネットランキング……!

“相手をひっくり返せば勝ち!”という、イカにもカニらしい勝負のつけかた。操作方法もじつにカニカニしている。パソコンでもプレイできるが、今回紹介するNintendo Switch™版ではなんと言ってもJoy-Conを両手に持った“2本持ち”に注目してほしい。自分が腕を振り上げれば画面のなかのカニもハサミを振り上げ、自分が勢いよく腕を振ればカニは攻撃するのだ!

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲手首に装着するストラップも忘れずに

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▲腕を振って攻撃!

試してもらうとわかるのだけど、まさに自分がカニになったと思える。いいや、自分はカニだったのだ。そう、我はカニぞ。Lスティックで移動し、L・Rボタンでハサミを閉じる。ハサミを閉じると防御したり、武器や相手を掴んだりできる。タイミングを合わせれば、相手の武器を奪うことも可能。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲ハサミで相手を掴むとダメージを与えられる。カニのハサミの力は強いって言うもんね。痛そう

一応、スティックとボタンを使ったコントローラータイプで操作する方法も紹介しておくカニよ。L・Rボタンは同じだけど、左右のスティックで腕を操作し、方向ボタンで移動(一度押すとほかの方向ボタンを押すまで止まらない)、ZL・ZRボタンで攻撃となっている……あれ、気づいてしまったぞ。親指でスティックを操作し、L・Rボタンに人差し指をかけ、ZL・ZRボタンに中指をかける……これはカニのハサミを表している持ちかたなのでは!?

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲図解してみた。フォッフォッフォッと言いたくなる(イラスト:大部美智子)

Joy-Con2本持ちもコントローラースタイルで操作する方法も、プレイヤー自身がカニであることを強く感じさせてくれる仕組みだった。脱帽。つぎはどんなカニたちがいて、どんな技、武器が使えるのかを紹介していくよー!

まずはステゴロでいけ、カニの戦士

カニの動きは遅く、ゆっくりと移動する。力強く腕を振るい相手を攻撃する姿は、まさに重装歩兵。攻撃の振動がコントローラーから伝わってくると臨場感がさらに増す。闇雲に手を動かしてもカニ本来の動きを無視した奇抜な動きはできないというリアルさがあり、一手一手が重要な意味を持つのだ。渋い、渋いよ。だがそれがいい。
最初は武器を持たず“ステゴロ”で戦う。さっきも書いたけれど、倒すことでその相手や武器を購入して使えるようになっていく。購入に必要なお金は、キャンペーンで勝利すると1戦ごとにファイトマネーとして入手できる。たくさん戦って、さまざまなカニや武器を買うのだ。
カニの種類は全部で23体。メジャーなズワイガニやガザミなどもいれば、初めて名前を聞くトラフカラッパ、オオホモラなどのカニもごろごろ。変わり種として、カニではないけどロブスターやシャコもいる。現実の体格や特徴などがステータスに反映されていて、それだけでもどのカニを選んだらいいのか悩んでしまうほど。カニに性格などは設定されてないので、高性能のモビルスーツがずらりと並んでいる感じと言えばわかってもらえるだろうか……。

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▲南方に生息しているイメージのヤシガニ。右のグラフを見てわかるようにスピードはないが、重さがあるので攻撃力に期待できる

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▲ケガニはバランスがいいけれどリーチが短め。長めの剣でリーチを稼いだり、遠隔武器で補ったりしたい

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▲ファイトマネーでステータスを強化できる。序盤のファイトマネーは500ほど。ステータスを1上げるのに1000ほどかかるが、強い相手になればもらえるファイトマネーは高くなり、強化を重ねていくごとにコストがかかる

“フォトモード”を使うとカニたちの勇姿を納めることができる。対戦中に+ボタンを押すと時間が止まった状態でカメラアングルや色味を調整したり、被写界深度のオン・オフなどを設定したり。Bボタンを押すと少しずつ時間が進むので、ここぞという瞬間にシャッターを押すのだ。

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▲かっこいい写真も思いのまま

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▲迫力ある瞬間も激写!

武器は全部で48種類。ナイフからメイス、トンファー、ジェット、チェーンソー、トライデントまで古今東西さまざまな武器が取り揃えられている。なかには“アザラシ”もあるけれどこれは“のりもの”で、装備すれば騎乗して戦うことができるのだ。

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▲移動が速過ぎて操作が難しい面もあるけれど、機動力はピカイチ

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▲ノコギリガザミじゃなくて、もはやチェーンソーガザミ

武器もカニの性能と同様にそれぞれの特性がある。大きさや重さ、リーチや切れ味など。ナイフや剣はステゴロと同じように装備していればそのまま攻撃でき、ダガーやシールドは攻撃時にAボタン(左手の武器はYボタン)を押すと投げることができる。投げた武器は相手に当たれば手元に戻ってくるが、当たらなかった場合は落ちたところまで行ってL・Rボタンで拾わなくてはならない。クサリガマは鎖が相手に巻きついたり、リボルバーやショットガンなどの重機はL・Rボタンを短く押すと発射できたり、チェーンソーはL・Rボタンを長押しすることでチェーンが回転して継続ダメージを与えることができたりと、武器ごとの特性がしっかりと表現されていて操作が非常に楽しい。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲フィールドに最初からあるヤシの木、車などのオブジェクトもハサミで掴めば武器として使用できる

ダメージ値のまわりに黄色い輪があることに気づいた人はいるだろうか? これはキャンペーンをある程度進めると使用できる“ハイパーモード”ゲージ。ダメージを食らうごとに溜まっていき、円になったときにマイナスボタンを押すと15秒間パワーアップする。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲声に出して読みたい日本語、「ダメージがたまるとカニが光りだします」

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▲ハイパーモードは敵も使うので、最後の爆発を食らわないように距離をとりたい

ハイパーモードの真骨頂は、じつはここから。さらにキャンペーンを進めて章をクリアしていくとハイパーモード中に“カニタマ”、“カニハメハ”、“エンチャント”、“カニオウケン”が使えるようになる。エンチャント以外、気になる名称しかない。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲カニタマ:移動せずに、停止した状態で両腕を上げ続けるとエネルギーをチャージする。ZL・ZRボタンで発射し、巨大な光弾を相手にぶつけられる攻撃技。オラに力を分けてくれ!

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▲カニハメハ:両腕を左か右、同方向に寄せてL・Rボタン両方を長押ししてチャージする。ZL・ZRボタンでビームを相手に放射できる攻撃技。カーニーハーメーハァーッ!

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▲エンチャント:L・R・ZL・ZRボタン長押しで発動。武器が強化されて、攻撃が当たると相手がふっ飛ぶ強化技。緑色のオーラが武器を包む

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▲カニオウケン:両腕を下に向けてL・Rボタンの長押しでチャージする。ZL・ZRボタンを押すと自身のステータスを大幅アップできる強化技。“●倍カニオウケン”はいまのところない

……大人なので何も言わないけど、このリスペクトのこもった設定と命名には拍手を送らざるを得ない。とくにカニハメハは一度撃ってもらうとわかるけれど、動きがそのままなのでとてもうれしくなってしまうのだ。まさかカニの身で撃てるなんて。ちなみにハイパーモード時に両腕を右か左に寄せてZL・ZRを長押しすると高速旋回するし、Xボタンを長押ししたときは空を飛ぶ。カニが、空を飛ぶ。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲両手剣“エクスカニバー”はハイパーモード時にL・Rボタンでチャージすると、ZL・ZRボタンで剣からビームが撃てる。王の威厳を含んだ声で高らかに「エクス……カニバァーッ!!」と叫びたくなる

興奮しすぎて忘れるところだったけれど、本作では対戦が楽しめる。タイトルページの“バーサス”からはオンラインマッチ、オフラインマッチ、ローカル通信ができる。キャンペーンにある“ネットワーク”ではローカル通信とフレンド限定の部屋の作成が可能。
オンラインマッチは1~2人で参戦して、ランクマッチかフリーマッチが遊べる。ランダムでマッチングするので、対戦相手を選ぶことはできない。オフラインマッチではひとつのNintendo Switch™で2人まで戦うことができる。タッグを組んでNPCに挑むこともオーケーだ。

カニノケンカ -Fight Crab- WHAT's IN? tokyoレビュー

▲世界には強いカニがいっぱいいる! ”やみなべ”は私の名前。アカウント名がそのまま表示されるので、”やみかに”などに設定しておけばよかったといまさら後悔

キャンペーンをプレイして「私けっこう強くなったんじゃない?」と思っていても、オンラインのランクマッチの勝率は20%という悲しい現実にぶちあたった。移動速度に秀でたカニが側面に回り込んできてボコボコにされたり、何が起こったかわからないままひっくり返っていたり……最強のカニになる道は遠く険しい。まだまだ研究と練習が必要そうだ。
バリエーションに富んだカニや武器による選択肢の多さと、それらの特性を研究して自分の手足のように操作に挑戦する楽しさが詰まっていて、噛めば噛むほど味が出るスルメのような作品だった。カニだけど。いい出汁が出ている。さて、今日もいっちょやってやりますカニ!

フォトギャラリー

■タイトル:カニノケンカ -Fight Crab-
■発売元:マスティフ(パッケージ版)
カラッパゲームス(ダウンロード版)
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:アクション
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2020年8月20日)
■価格:パッケージ版 3,980円+税、ダウンロード版 2,400円(税込)


『カニノケンカ -Fight Crab-』オフィシャルサイト

パッケージ版オフィシャルサイト

© 2020 Calappa Games LLC. Published by Mastiff under license from Calappa Games LLC. © 2017 Nintendo.

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