LIVE SHUTTLE  vol. 408

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家入レオ 歌の力と、歌を届けようとする想いの強さ。初のストリーミングライブで魅せた、変わらぬボーカリストとしてのクオリティ

家入レオ 歌の力と、歌を届けようとする想いの強さ。初のストリーミングライブで魅せた、変わらぬボーカリストとしてのクオリティ

2020年8月30日、おそらくこの日、スマートフォンやパソコンの前で待ち構えるオーディエンスのすべてがワクワクとドキドキ、そしてちょっとだけ不安を抱えていたのではないだろうか。ワンマンライブとしては初のストリーミング。嬉しい気持ちは山々だが、一度でも家入レオのライブに足を運んだことのある人なら知っている、圧倒される躍動感と限りない包容力に満ちたパフォーマンスが、ストリーミングライブではどう感じられるのか。そもそも伝わってくるのか。考えれば考えるほど、それが一番の不安材料だったに違いない。かくいう筆者も、その一人だった。

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ところが、である。してやられたり、とはこのことなり。定刻の18:00に幕を開けたライブは、よく知っているこれまでの家入レオのライブとは完全に似て非なるものだった。始まりから終わりまでがとても生々しいストーリーになっていた。

なにしろ最初の画面は、蝉時雨のなか映し出される新木場STUDIO COAST。その正面には「SATURDAY 30TH AUGUST LEO IEIRI STREAMING LIVE 2020 OPEN 17:30 START 18:00」という大きな文字。これまでなら人でごったがえしていたはずの開演間際の会場が、今日は人っ子一人いない。これが映画の始まりだったら、もうそれだけで不穏である。何かが起きる前兆である。

次なる場面は楽屋の扉。続いてステージ袖でのミュージシャンとの会話、掛け声、ステージに上がっていく後ろ姿に、否応なく高まる期待。このとき、すでにこれまでとは全く違うアプローチでライブへ誘われていることに、はたと気づかされた。なぜならこういうバックステージを観ることができるのはテレビの生中継か、後に発表されるライブ映像作品でのことだったからだ。前者は会場の盛り上がりと対比させる演出であったし、後者は作品としての効果を狙う編集された映像であった。けれど今回は無観客であり作り込んだ編集作品でもない。つまり、これはライブをする、“ある日の家入レオ”というドキュメンタリーということなのか……?

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考えてみると、これはとんでもないことである。ドキュメンタリー風という作品はいくらでもあるが、同時進行のドキュメンタリーというのはそうそうあることではない。その貴重さを噛みしめる間もなく、ライブは「君がくれた夏」でスタートした。

オープニングは5曲。すべてドラマのタイアップのあるシングル曲なので、家入ビギナーでも耳馴染みが良かったはず。今回は在宅で気軽に楽しめるストリーミングライブということもあり、ビギナー目線のセットリストになっていたように思う。ライブ前に特設サイトで演奏曲を発表するという初の試みも、その一つだったのかもしれない。事前に演奏曲がわかれば、知らない曲の予習やアレンジ違いを楽しむための確認もたやすい。実際、この事前確認によって、アレンジの違いを数倍楽しむことができた。

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また今回は歌って欲しい曲を事前にリクエストしてもらうという初の試みも行われていた。プールサイドに移動してボーカルとピアノのみで歌われた2曲は、リクエスト第3位の「あおぞら」と、第2位の「ずっと、ふたりで」。原曲では弦楽器もふんだんに使い多くの音に彩られていた「あおぞら」「ずっと、ふたりで」だが、サウンドがシンプルになったことで伝わってくる世界観も変化。“誰よりも頑張ってきた君 涙こぼすことは かっこ悪いことかな?”も、“愛してる 心から ずっとふたりで生きていこう”も、言葉がやわらかく、やさしく胸にすべり込んでくる。暖かいもので体が内側から満たされていくようだった。

そして再びステージに戻ってバンドと演奏したのはリクエスト第1位の「恍惚」。この前の2曲が有機的な風合いだったとしたら、この曲はクールで浮遊感のある無機的な雰囲気。そこに乗る、たゆたうような声のバランスがなんとも絶妙。このあとの「Overflow」もそうなのだが、プールサイドでの包み込むような笑顔から一転、突き放すような冷静な表情も印象的だった。

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この4曲に限らず、今回は歌う家入レオの表情が痒いところに手が届くほどに捉えられていた。バンドメンバーとアイコンタクトを取るときはこんな表情をしているんだ、歌い終わったときはこんな表情なんだ、歌い始めは……と、言いだしたらキリがないほど表情豊かな家入レオが散りばめられている。個人的なこの日のベストは「サブリナ」のアウトロが終わった瞬間の、髪が顔にかかった一瞬。緊張と充実がこんなにも美しい表情を作り出すものかと、目が釘付けになったほどだ。

ライブ終盤はお約束のアッパータイム。無観客でのアッパータイムはやりにくいものがあるのでは、と思っていたのだが、完全に余計な心配だったようだ。“はじまる気がする あたらしい僕が”という言葉で始まる「Answer」では跳ねたリズムで軽快に歌い、「Party Girl」は観客が目の前にいるとしか思えない動き方でカメラとも遊び、「サブリナ」ではフロアを一周するだけでなくカメラ越しにオーディエンスを煽り、ラストソングの「Hello To The World」に至ってはロッククイーンさながらのエネルギッシュさ。

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このあとはステージを降りたところで、メンバーに「ありがとーございましたー! はい! はい! はい! 楽しかったー!」とハイタッチ。満面笑み、無邪気な普段の笑顔が映し出される。こうして始まりと同じように、この日のドキュメンタリーはバックステージの場面で終わりを告げた。

というわけで20歳を迎えたときにライブをしたステージに5年ぶりに立ち、初のストリーミングライブを行った家入レオ。観る前に胸をよぎった、距離を感じることはないのか……という不安など、ライブが始まると同時にどこかへ消え去っていた。目の前の人に向けて歌う、目の前で歌う姿に触れる、そんな大前提がなくても、なんら問題はない。むしろある意味、距離が近いと思う瞬間も非常に数多くあった。そう思わせてくれた最大の理由は言うまでもなく家入レオの歌の力と、歌を届けようとする想いの強さなのだろう。家入レオ恐るべし──。何度となく感じた驚きが、またここで更新された。

文 / 前原雅子 撮影 / 田中聖太郎・渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

家入レオ Streaming Live 2020
2020年8月30日

<セットリスト>

1.君がくれた夏
2.Shine
3.未完成
4.Silly
5.僕たちの未来
6.あおぞら
7.ずっと、ふたりで
8.恍惚
9.Overflow
10.Answer
11.Party Girl
12.サブリナ
13.Hello To The World


◆家入レオ Streaming Live 2020
2020年8月30日(日) OPEN 17:30 / START 18:00

ライブ配信視聴チケット:3,000円(税込)
チケット販売期間:2020年8月3日(月)20:00~9月5日(土)21:00
アーカイブ期間:2020年8月30日(日)24:00~2020年9月5日(土)23:59

家入レオ

福岡出身。
13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、青春期ならではの叫び・葛藤を爆発させた「サブリナ」を完成させた15の時、音楽の道で生きていくことを決意。翌年単身上京。都内の高校へ通いながら、2012年2月メジャー・デビューを果たし、1stアルバム『LEO』がオリコン2週連続2位を記録。
第54回日本レコード大賞最優秀新人賞他数多くの新人賞を受賞。翌1月より開催の初ワンマンツアーは全公演即日完売に。
翌2013年春高校を卒業。以降数多くのドラマ主題歌やCMソングなどを担当。
2017年2月にはデビュー5周年を記念し初のベストアルバム『5th Anniversary Best』を発売。4月には同じく初の日本武道館公演「5th Anniversary Live at 日本武道館」を開催し、チケットは即時完売・大成功に収める。
2019年は1月に初の映画タイアップとなる『コードギアス 復活のルルーシュ』オープニング主題歌「この世界で」をリリースし、2月には7周年を記念して”家入レオ 7th Anniversary Live at 大阪城ホール ~Premium Symphonic Night~”を開催。5月10日からは最新オリジナル・アルバム『DUO』(2019.4.17リリース)をひっさげて”家入レオ 7th Live Tour 2019”(全20公演)を開催、ファイナルを初のワンマンとなる幕張メッセ国際展示場9.10ホールにて大成功に収める。12月11日には、その日の模様を収めた最新映像ライブ映像作品「DUO ~7th Live Tour~」をリリース。
2020年1月29日にニューシングル「未完成」(フジテレビ系月9ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』主題歌)をリリースし、5月13日には自身初となるEP「Answer」(NHK Eテレ『メジャーセカンド』第2シリーズ オープニングテーマ「Answer」とカバー曲5曲を含む計7曲を収録)をリリースした。

オフィシャルサイト
https://www.jvcmusic.co.jp/leo-ieiri/

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