月曜の朝を待ちわびて。~「週刊少年ジャンプ」時評~  vol. 8

Column

『BLEACH』久保帯人の新作が掲載! レジェンドと新世代作家が並び立つジャンプの現在にグッとくる

『BLEACH』久保帯人の新作が掲載! レジェンドと新世代作家が並び立つジャンプの現在にグッとくる

こんにちは。週刊少年ジャンプ時評「月曜の朝を待ちわびて。」第8回です。今月もはりきっていきましょう!

文 / おしこまん
イラスト / かずお


『アンデッドアンラック』が「次にくるマンガ大賞 2020」で大賞に輝く

8月19日(水)、「次にくるマンガ大賞 2020」のコミックス部門において、『アンデッドアンラック』(戸塚慶文)の大賞受賞が発表されました。「次にくるマンガ大賞」はユーザーの投票で順位が決まるので、そこで大賞=1位を獲得したというのはつまり、それだけたくさんの人から支持や期待を集めているということです。本連載の第5回でも取り上げたように筆者が推している作品のひとつでもあり、嬉しく思っています。

ジャンプ作品としては、他には6位に『AGRAVITY BOYS』(中村充志)、11位に『マッシュル-MASHLE-』(甲本 一)、13位に『ミタマセキュ霊ティ』(鳩胸つるん)がランクインしています。『ミタマセキュ霊ティ』は11日発売の2020年36・37合併号で完結を迎えましたが、『アンデッドアンラック』を含めたこれらの作品がジャンプを盛り上げてくれるのを期待したいと思います。

次にくるマンガ大賞 2020
https://tsugimanga.jp/

劇場版アニメ『銀魂 THE FINAL』続報

8月12日(水)、かねてより発表されていた『銀魂』の劇場版アニメ第3作目について、タイトルが『銀魂 THE FINAL』、公開日が2020年1月8日(金)であると発表されました。原作者・空知英秋先生の全面協力も決定し、20日(木)には本作のために描き下ろされたイラストが公開されました。

『銀魂』は2004年2号から2018年42号まで約15年にわたって連載され、その後、完結編が姉妹誌「ジャンプGIGA」や「銀魂公式アプリ」で連載された、「天人(あまんと)」と呼ばれる宇宙人に侵略された江戸の街を舞台にしたSF時代劇コメディー作品です。全77巻、累計発行部数は5,500万部を超えています。TVアニメや実写映画も大ヒットした、ジャンプを代表する作品のひとつです。

映画『銀魂 THE FINAL』オフィシャルサイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/gintamamovie/

ジャンプとギャグ・コメディー

好きなジャンプのギャグマンガを聞かれたら、あなたはどう答えますか?

筆者がまだジャンプを購読し始める前、5歳くらいの頃に初めて手に取ったマンガの単行本は『Dr.スランプ』(鳥山 明)でした。また、家には親の集めていた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本 治)がほぼ揃っていて、むさぼるように読んでいた記憶があります。中学に進学する頃にはジャンプを購読しており、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(うすた京介)や『幕張』(木多康昭)には多感な時期に大きく刺激を受けました。

その後も『ボボボーボ・ボーボボ』(澤井啓夫)や『太臓もて王サーガ』(大 亜門)、『SKET DANCE』(篠原健太)、『斉木楠雄のΨ難』(麻生周一)、『磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~』(仲間りょう)、あるいは時代を遡れば『まじかる☆タルるートくん』(江川達也)、『すすめ!!パイレーツ』(江口寿史)、『ど根性ガエル』(吉沢やすみ)、『ハレンチ学園』(永井 豪)など――ここまでに挙げた作品は数多くあるうちのほんの少しですが――ジャンプには、ジャンプを支える柱のひとつとして、いつの時代も独特の存在感を放つギャグ・コメディーがありました。

2018年の『斉木楠雄のΨ難』完結以降、そのポジションは空白のままです。2020年8月末現在のジャンプは、連載作品の約3分の1をギャグ・コメディーが占めています(矢吹健太朗『あやかしトライアングル』、中村充志『AGRAVITY BOYS』、田村隆平『灼熱のニライカナイ』、長谷川智広『森林王者モリキング』、上木 敬『破壊神マグちゃん』、宮崎周平『僕とロボコ』)。長いジャンプの歴史の中でも、これほどまでにギャグ・コメディー作品が集中するのは珍しいと思います。この中から今の時代を代表するマンガが現れるのか、まったく予想できませんし、だからこそ今の状況が楽しみでもあります。

また、9月7日(月)の40号からは『磯部磯兵衛物語』の仲間りょうによる『高校生家族』が始まります。執筆時点での最新号(2020年39号)の次号予告を見る限り、ギャグマンガであることは間違いないようで、ますます混沌としていきそうです。個人的には、2017年4・5合併号に掲載された読切『Canvas』の鮮烈なインパクトが今でも胸に残っています。仲間りょう先生にはぜひ、新たなギャグの地平を切り拓いていってほしいと期待しています。

好きなマンガを聞かれた時にギャグマンガをいちばんに挙げる人は多くないように思います。そういったランキングでもギャグマンガを目にすることはあまりありません。しかし、筆者の個人的な体験ではありますが、好きなギャグマンガを聞いた時にどんなタイトルを挙げるかは、時に何よりも雄弁にその人を表すことがあります。「何を面白いと感じるのか」は「どのように世界を捉えているか」ということ。そんな風に考えると、ギャグ・コメディーというジャンルは、とっつきやすさの裏側に途方もない奥深さを隠し持っているのかも知れません。

全世界待望・『BLEACH』久保帯人の新作

8月24日(月)発売の2020年38号より、『BLEACH』の久保帯人による新作『BURN THE WITCH』短期集中連載(全4回)が始まりました。

また、以前から発表されていたアニメ化についての続報も。こちらは10月2日(金)より2週間限定で新宿ピカデリーほか全国35館においてイベント上映、さらに劇場版とは少し内容の異なる特別編集版も同日より全世界で配信されることが発表されています。国内ではAmazon Prime VideoやひかりTVにて視聴できるとのこと。

2018年7月発売のジャンプ50周年記念号での掲載から約2年、今年の春の短期連載が告知されてから数ヶ月、ついにこの時が……! 扉絵の「全世界待望の最新作!!」というアオリ文句が微塵も大げさに感じられない圧倒的な読後感、ひかえめに言って最高の第1話でした。

『BURN THE WITCH』、すでに第4回であることが惜しいほどのおもしろさですが、だからこそこのハイテンションを維持したまま駆け抜けてくれるはず。全力で楽しみ尽くしょう!

現在、読切版が無料で公開されています。こちらもぜひ。

アニメ『BURN THE WITCH』オフィシャルサイト
https://burn-the-witch-anime.com/

歴史が受け継がれていくことにグッとくる

現在の連載陣では、『呪術廻戦』の芥見下々先生や『森林王者モリキング』の長谷川智広先生は熱心な『BLEACH』ファンとして知られています。

『呪術廻戦』の芥見先生は、「先生のセリフや技名には印象的な個性やインパクトがありますが、言葉選びで参考にしているものはありますか?」という質問に「『BLEACH』を読んでください!!」と回答しています。

『森林王者モリキング』の長谷川先生は、2018年の『BLEACH』実写映画公開時にルポマンガを描き下ろしています。読んでいると、『BLEACH』からたくさん引用しているんだろうな……というのは伝わってくるのですが、具体的にどれがどうなのかはもはや筆者には追いきれません。本当に好きなんだな、というのは十二分に伝わってきます。

後の世代に多大な影響を与えたレジェンドと、新しい時代を担う作家が同じ雑誌に載っているのは、歴の長いジャンプ読者としてはグッとくるものがあります。そして、きっと今この瞬間も、たくさんの若い才能が技術を磨いているのでしょう。このような幸福なサイクルがいつまでも続くことを願って、引き続きジャンプに注目していきたいと思います。

まだまだ暑い日が続きそうですが、みなさま、どうかお元気で。それでは、また次回!

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