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『コール・オブ・クトゥルフ』 人気TRPGのテレビゲーム版がついにSwitchへ! 寂れた港町で待ち受ける、圧倒的な恐怖!

『コール・オブ・クトゥルフ』 人気TRPGのテレビゲーム版がついにSwitchへ! 寂れた港町で待ち受ける、圧倒的な恐怖!

海外で2018年に発売されたサスペンスアドベンチャー『コール・オブ・クトゥルフ』、日本語版はすでにPlayStation 4版が発売済だが、このほど待望のNintendo Switch版が2020年7月23日にリリースされた。本作はテーブルトークRPGとして有名な『クトゥルフ神話TRPG』をベースにしており、原題の「Call of Cthulhu」は20世紀初頭にアメリカの作家であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトが世に送り出した小説のタイトルでもある。ラヴクラフトの死後、その友人たちが築き上げた架空の神話体系『クトゥルフ神話』は、数多くの古の神々や異形の怪物が登場し、宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)と呼ばれる圧倒的な戦慄と狂気をもたらし続け、小説、コミック、ドラマ、映画、ゲームなど、様々なジャンルで大きな存在感を発揮し続けている。今回紹介させてもらう『コール・オブ・クトゥルフ』はTRPG版を元に製作された探索型アドベンチャーゲームで、プレイヤーは一人の私立探偵となってある女性とその家族の死の謎を追うことになる。その過程で徐々に明らかとなる怪異の存在に、主人公はどこまで迫ることができるのか。彼を待つのは死か、発狂か、それとも生還か。Switch版が発売されたので、改めてぜひ、その目で確かめてもらいたい。

文 / 早川清一朗


恐怖と狂気への誘い『クトゥルフ神話』

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本作『コール・オブ・クトゥルフ』は一人称視点でプレイする、探索型アドベンチャーゲームだ。プレイヤーキャラクターである私立探偵のピアースを操り、依頼として持ち込まれた謎を解くためにボストンにある「ダークウォーター島」へと向かい、調査を行う。

さて、改めて説明するのもアレだが、本作は前述のとおり『クトゥルフ神話』を題材としている。『クトゥルフ神話』については、『クトゥルフ神話TRPG』も含めて当サイトで数度に渡って紹介しているのでそちらをチェックしていただきたいが、あらためて簡潔に説明しよう。

『クトゥルフ神話』とは、20世紀初頭にアメリカで活躍したミステリー作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト が生み出し、その友人である作家たちが体系化したダーク・ファンタジー作品群だ。

『クトゥルフ神話』は太古の神々や異形の怪物が織り成す架空の神話体系として構築されており、誕生から100年を超える歴史を持つ古典作品でありながら、こうしている今も次々と新たな神話が生み出され続けている。何がそれほどまでにファンを惹きつけているのか。それは『クトゥルフ神話』が持つ圧倒的な恐怖だ。

崖があればつい覗き込んでしまうように、火事があれば見に行ってしまうように、人は安全こそが第一だと感じながらも、心の一番奥底に、恐怖に惹かれる性質を持っている。現実の中で恐怖を感じたとき、それは往々にして人生に悲劇がもたらされる結果に終わる。

ゆえに、ただ読むだけで、見るだけで、感じるだけで根源的な恐怖をもたらす神話が必要とされるのは当然と言えるのかもしれない。日々の平穏な生活を送る中で、恐怖を感じる必要など存在しない。それでも恐怖を必要とする心理がどこかにあるのだ。

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話を戻そう。本作の舞台となるのは「ダークウォーター島」。かつて捕鯨基地として栄えたが、今は見る影もなく衰退して いる。ここで主人公はわずかに残る住人と接触し、謎の真相へと迫っていく。

このゲームの特徴として挙げられるのが、主人公の能力が『クトゥルフ神話TRPG』に準拠したものとなっており、ストーリーの進め方にある程度の自由度があるという点だ。人に頼ってもよいし、脅してもよい。道具を使ってもよい。キャラクターの能力やプレイヤー自身の発想により様々な形の調査が行えるのが本作の大きな魅力となるだろう。

例を挙げよう。序盤において、ピアースは警備された倉庫への進入路を探る必要がある。この時取れる手段は、

・酔っぱらいの船乗りに酒を渡し、見張りの注意をそらす
・見張りを説得する
・地下通路を探して侵入する

など多数が存在している。どの手段を選択するのかはプレイヤーの意思次第となるが、能力が足りなければ失敗することもある。どのようにキャラクターを成長させていくかによって、攻略方法は大きな変化をみせていく。なお、倉庫への侵入に関しては、すべて失敗したとしても救済措置があるので心配無用だ。

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▲主人公の能力の種類は「調査」「心理学」「目星」「話術」「筋力」の5種類。あと「オカルト」と「医学」の2種類があるが、序盤では上げられないためここでは割愛する

能力の上昇はCP(キャラクターポイント)を使用して行う。この仕様は『クトゥルフ神話TRPG』に準拠している。CPは初期ポイントの他に、ストーリーを進行することで取得することもできる。

また、恐ろしい経験をしたり、見てはならないものを見た場合、特殊パラメータである正気度(SAN値)が減少し、徐々に狂気へと近づいていく。この正気度の存在こそが『クトゥルフ神話TRPG』をエンターテイメントとして際立たせる根幹であり、ひいては本作でも大きなウエイトを占めることになる。

狂気に満ちた閉ざされた世界の中で、絶えず恐怖に身をさらしながら正気度の減少を抑えていくのは至難の業だが、最終局面において、正気度の値が選択を分けるキーとなる。どのようなエンディングを迎えるのかはここで書くことはできないが、高い場合のエンディング、低い場合のエンディングの双方が存在していることだけは確かだ。

一枚の絵が、探偵を狂気へと誘う

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▲主人公のピアースは支離滅裂な悪夢に苦しめられている

ゲームの舞台となるのは1924年のアメリカ。主人公の私立探偵エドワード・ピアースは第一次世界大戦に参加した退役軍人で、敵軍の放火を浴びて壊滅したアメリカ軍部隊の数少ない生き残りである。戦友の亡骸に囲まれながら、食料や医薬品も無い状態で数日間持ちこたえなければならなかった凄惨な記憶に取りつかれており、今なおそのときのトラウマは悪夢となってピアースを苦しめている。

またこの時代のアメリカと言えば、禁酒法が施行されている。アル・カポネやその敵対者であるバグズ・モランなど、悪名高いギャングたちが違法なアルコールの販売で巨万の富を稼ぎ出していた時代でもある。

ピアース自身も悪夢から逃れるために酒浸りの生活を送っており、少なくとも都市部においてはアルコールの入手に不自由が無いことを示している。そう、都市部においてはだ。この問題は、本作の中でも後々扱われることになる。

それはさておき、酒浸りの私立探偵は世の中の役に立つのか。おそらくNOと答える人が多いだろう。事実冒頭のピアースはすでに仕事を失いつつあり、えり好みができない状況下にあった。

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そのような状況下、ピアースの元に現れたのが、スティーヴン・ウェブスターと名乗る老紳士だった。ボストン市民ならだれもが知る著名な実業家にして美術品のコレクター。本来、酒浸りの探偵などとは住む世界が違う人物だ。そのような人物が他のすべての探偵に調査を断られ、追い詰められた挙句に持ち込んできた案件が、ピアースを狂気の世界へといざなうこととなる。

「娘のサラと、その家族が死んだ理由を解き明かしてほしい」

画家として世に知られた存在だったサラ・ホーキンスは、夫のチャールズ・ホーキンスと一人息子のサイモンと共に火事で焼け死んだとされていた。しかしウェブスターはそれを信じておらず、証拠として一枚の絵を差し出した。

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人と、人ではない何か。その絵に描かれていたのはただの非現実的な光景でしかなかった。しかしこの絵が正気の人間によって描かれたものだと判断したピアースは、調査を行うと約束し、サラ・ホーキンスが住んでいたボストン郊外の小島「ダークウォーター」へと向かうことになった。そこで待ち受ける恐怖が何なのか、このときのピアースには知る余地もなかった。

ダークウォーター島に潜む狂気と謎

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ダークウォーターはボストンの沿岸にある小さな島だ。確認されている限りでは14世紀から無人であり、それ以前に住んでいた失われた民族の遺物が今も無数に残されている。一時は捕鯨基地として活況を呈していたが、すでに島の周りにクジラはおらず、捕鯨漁師の子孫や警察官、怪しげな商売に手を染めている連中など、夢や希望を見い出せない土地に縋りつく人間たちだけが島の住人となっている。裕福な実業家の娘であるサラは、なぜこのような島で家族と共に暮らしていたのか。謎は深まるばかりだ。

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島の住人達は閉鎖的で、よそ者であるピアースを一切歓迎していない。更には新参の住人たちは酒の密造を行っており、警戒心は人一倍強い状態となっている。このような八方ふさがりの状況下で、ピアースは一歩一歩、調査を進めていかなければならないのだ。

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ダークウォーターでピアースを待ち受けているのは人だけではないようだ。巨大な海獣に致命傷を与える何かがいる。そして、80年近く前に飢えに苦しむ住人たちを救った「奇跡の獲物」は、その後の彼らに何をもたらしたのか。

それは、本当に、食べてよいものだったのか?

全ての謎を解き明かすカギは、あなたが握っている。
さあ、狂気と恐怖に満ちた世界へ行こう。

深淵を覗き込んでみたくはないか?

きっと深淵もあなたを覗きたがっている。

『クトゥルフ神話』が初体験なら、今まで感じたことのない恐怖はとても新鮮なはずだ。ぜひ遊んでみてほしい。

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■タイトル:コール・オブ・クトゥルフ
■発売元:オーイズミ・アミュージオ
■対応ハード:PlayStation 4、Nintendo Switch
■ジャンル:サスペンスアドベンチャー
■対象年齢:18歳以上のみ対象
■発売日:発売中(PS4版、Switch版2020年7月23日)
■価格:
Switch:パッケージ版6,980円(税別)、ダウンロード版6,980円(税込)
PS4:7,400円(税別)、ダウンロード版7,537円(税込)
※Xbox One版はFocus Home Interactiveより5,000円(税込)で配信中


Nintendo Switch版『コール・オブ・クトゥルフ』オフィシャルサイト

© 2019 Chaosium Inc. Call of Cthulhu is a video game published by Focus Home Interactive, developed by Cyanide SA and ported by Saber Interactive. Published and distributed in Japan by Oizumi Amuzio Inc. “Call of Cthulhu” is a trademark of Chaosium, Inc. All trademarks or registered trademarks belong to their respective owners. All rights reserved.