Interview

ザ・モアイズユー 4ヵ月連続配信リリースという形で、彼らは自分たちのどんな部分をアピールしようとしているのか?

ザ・モアイズユー 4ヵ月連続配信リリースという形で、彼らは自分たちのどんな部分をアピールしようとしているのか?

昨年4月にリリースした初めての全国流通盤『想い出にメロディーを』と、それに伴う全国ツアーで、高い評価を得て確実に活動をステップアップさせた彼らは、休むことなく新曲作りに取り掛かり、さらに活動をドライブさせていった。その成果は、5月に配信EPの形で届けられるはずだったが、コロナ禍の中でリリースは延期に。しかし、そこでも彼らは活動を停滞させることなく、作り上げた新曲をさらにブラッシュアップし、8月から4ヵ月連続リリースという形でバンドの新たな一面を感じさせてくれる。
ここでは、今回届けられる4曲の新曲の制作を振り返るとともに、ポジティブに未来を見据えているバンドの現在を彼ら自身の言葉で伝えてもらおう。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 田中和彦


曲を聴いてライブという流れでも僕らの伝えたいことをちゃんと受け取ってもらえるということを実感できたということが(前作のリリースで)一番大きかったと思います。

前作のリリースとそれに伴うツアーでどんなものを受け取りましたか。

本多真央(Vo,Gt) 前作が初めての全国流通盤だったので、リリースするまでどのくらいの人に届くのかということが想像つかなかったんですけど、リリースしてみると、自分たちが想像していた以上の反応があって、より多くの人に僕らの音楽が届いたなという実感がありました。ライブに足を運んでくれる人の数も増えましたし。それが、すごい自信につながったし、自分たちが作ってきたものは間違ってなかったなって。

以登田豪(Ba,Cho) 前作で、本当にいろんな人に新しく出会えたなと思うんです。ただ、出会ったからには、僕らのことを好きになってほしいとも思うんです。だから、リリースしたらこんなにもいろんな人と出会えるんやったら、次にリリースするものも絶対いいものにしたいという気持ちがすごく強くなりました。

オザキリョウ(Dr) 前作は、ザ・モアイズユーの看板というか、ザ・モアイズユーらしさを全面に出したアルバムでしたから、それがどんなふうに受け止められるのかということについては正直、不安もあったんですけど、地元の関西だけでなく、全国の方々から反応をもらえて、単純にうれしかったですね。ああいうアルバムを作って良かったなと思ったし。で、それをきっかけにして、このバンドの違う場面をどうやって魅せていこうかということも考えられるようにもなったと思います。

量的な反応の大きさとは別に、受け取った反応の内容に関して、何か印象に残っていることはありますか。

本多 前作を出すまではライブを観てもらって、それでCDを買っていただくという順番でしたから、単純にライブ力と言うかライブのカッコよさで好きになってもらったということがほとんどだったと思うんです。ただ、前作のリリースに関しては初の全国流通盤ということもあって、曲を聴いてライブに来てくれるという流れができたので、曲の良さをまず知ってもらえて、しかもその流れでも僕らの伝えたいことをちゃんと受け取ってもらえるということが実証されたというか、それを僕らが実感できたということが一番大きかったと思います。

僕は、前作を聴いてインタビューさせてもらって、それから昨年9月のイベントでライブを初めて見ました。音源で聴いた楽曲のイメージからすると“ライブは濃いなあ”という印象だったんですが、その逆のパターンの反応が多かったということですね。

本多 「いい意味でギャップがある」とよく言ってもらうんですが、そのギャップをいい意味での驚きとして受け取ってもらえるように、ライブはライブで熱さを感じてもらいたいと思っているんです。一方で、楽曲はそれだけで聴いても“いいなあ”と思ってもらいたいですし、そういう反応を前作で実感できたということですね。

これまでの自分たちの音楽とはちょっと違うタイプで、挑戦の要素が入っているような曲を選びました。

ツアーを終えるまでが前作のプロジェクトのひとまとまりだとすると、それを終えたところで一段落という感じでしたか。それとも、次の作業にすぐ取り掛かったんですか。

以登田 けっこうすぐに作り始めましたね。

今回は以登田さんの曲が2曲ありますが、曲作りに取り掛かる時に何か考えていたことはありますか。

以登田 いや、僕は曲を作ると、そうしようと思っていなくても恋愛ソングになるんです。今回もそういう感じでしたね。ただ「すれ違い」に関しては、夏フェスに向けて初めて聴いても乗りやすい4つ打ちの曲がいいなという話はあって、だからテーマとしては「乗りやすい4つ打ちの曲」ということで作っていきました。まずこれくらいのテンポとビートで作りたいということで始めて、そこからメロディや歌詞を作っていった感じです。

そのビートのイメージを伝えられたオザキさんは、どんなふうに受け止めたんですか。

オザキ 僕としてはテンポの速い曲は好きだったので、それは苦じゃないというか、むしろそういう曲をやれて楽しいという感じでしたね。ただ、ずっと16ビートで突き進んでも面白みに欠けると思ったので、2コーラス目はちょっと捻ろうと思って、いろいろアイデアを出したなかから選んでいってもらったんです。

ザ・モアイズユー オザキリョウ WHAT's IN? tokyoインタビュー

オザキリョウ(Dr)

例えば2コーラス目は歌詞の言葉数が増えて、メロディに詰め込む感じにスネアの音を合わせていますが、あれもオザキさんからの提案だったんですか。

オザキ 提案というか、スタジオに入って一緒に合わせた時に、僕が感覚的にやったのを「それ、いいね」という話になってああいう形になったんだと思います。

そこから2コーラス目のサビに向かうところで入っているギターのフレーズがイントロの冒頭にも使われていますよね?

以登田 あの冒頭の部分だけちょっと色が違う感じがしたし、あそこだけに使うのはもったいないなと思ったので、2コーラス目のサビ前に持ってくると面白いんじゃないかなという話になって…。

先にイントロのフレーズとしてあったんですか。

本多 そうなんです。あそこにあのフレーズを差し込むのは構成としてはちょっと珍しいと思うんですけど、うまく差し込めれば逆に面白味が出ると思ったので。

とすると、気持ちの流れとしてはオザキさんが言ってくれたように、基本になるビートで突き進んでいくんだけれども、2コーラス目ではちょっと捻りを加えようということで、言葉数が増えたり繋ぎのフレーズを差し込んだりした、ということになりますか。

以登田 そうですね。

そうして「すれ違い」が出来上がったのを受けて、他の3曲を作っていったんですか。

本多 まず「すれ違い」は16ビートで、ライブで体を揺らせられるような今までにないアップテンポの曲を作ろうということで生まれたわけですけど、その曲を軸においた上でいっぱいある曲のなかからもう3曲をどう選ぶかということだったんです。それで、「これまでの自分たちの音楽とはちょっと違うタイプで、挑戦の要素が入っているような曲を」ということで、その曲調の振り幅は意識してこの3曲を選びました。

その3曲のなかでは、「環状線」と「19」が本多さんの曲ですね。

本多 「環状線」が僕らとしては一番これまでのモアイズユーらしいというか…。「19」もこれまでにないアップテンポの曲調だし、「悲しみが消える頃」にはキーボードが入っていたりするんですけど、「環状線」は今回の4曲のなかでは一番楽器の構成もシンプルだし、ストレートにメロディの良さを届けるという意識で作った曲ですね。

ここでタイトルにもなっている環状線というのは大阪の中心部を環状に走っている鉄道路線のことだと思いますが、同じところをグルグル回っている主人公の毎日からの連想でもあるわけですよね。

本多 そうですね。ただの繰り返しのような日々があるなかで退屈さや迷いを感じていながらも、そういう毎日のなかで迷ったからこそ見つけられたものもあるし、見つかる答えもあるだろうと思って、あの歌詞を書きました。♪他の誰かと自分を比べたその時に自分を誇る難しさを知る/だけど弱い自分を認めたそのなかで光った思いを強さと呼ぶんだろう♪というフレーズは自分にとってもすごくポイントになっているんですけど、他人のことをすごいなと思ったり羨ましいなと思うことはあるし、それも安易にすぐ思ってしまうということがあると思うんです。でも僕は、自分自身を誇るということが一番素晴らしいことだと思うし、同時に一番難しいことでもあると思うんですよね。そう思っていながら、迷ったり自信がなかったりする自分だからこそ歌える応援歌があるんじゃないかなあと思って。

ザ・モアイズユー 本多真央 WHAT's IN? tokyoインタビュー

本多真央(Vo,Gt)

対して、「19」はどういうふうに生まれた曲ですか。

本多 「19」も乗りやすい感じの曲だと思うんですけど、「すれ違い」がダンサブルな感じなのに対して、「19」は突き抜けるような、突っ走って去っていくような楽曲にしたかったんです。モアイズユーのこれまでの曲のなかでも一番振り切った感じの曲になればいいなと思って作りました。

以登田さんとオザキさんに聴かせた時点では、どれくらいまで形になっていたんですか。

以登田 サビだけだよね。

本多 締め切りギリギリに出来た曲で、まずサビだけで聴かせて反応がなければボツにしようと思っていたんですけど、みんなの反応がすごく良かったので、どんどん肉付けしていって、そこからは紆余曲折もなく一気に完成までたどり着きました。

以登田さんとオザキさんは、最初に聞いた時の印象はどんな感じでしたか。

オザキ  90年代の悪ガキと言うか、ヤンチャな感じというのはモアイズユーの音楽のなかには曲としてはなかったけど、それもアリだなあと思って。だから、僕のなかのテーマとしてはアグレッシブに攻めるという気持ちで仕上げていきました。

以登田 最初にサビを聴いた時には“めちゃくちゃキャッチーやな”と思ったんですけど、曲全体としてはやさぐれ感みたいなものを感じたので、ベースの音もそういう感じになっています。

タイトルの「19」には“19歳”という意味が含まれていますよね?

本多 そうですね。19歳の頃の、大人ではないし、子供なわけでもない、という中途半端な時期だからこその葛藤というのがあったなあと思って。ただ、負けん気はすごくあったなというところは表現したかったので、周りに認められない、納得いかないとは思っていても未来に向けて突き進んでいく気持ちに迷いはない、何があっても自分で決めていくという主人公をイメージして書きました。

「環状線」の主人公と「19」の主人公は、外から見た印象はもしかしたら真逆なくらい違うかもしれませんが、中に抱えているものはかなり重なっていますよね?

本多 そう思います。ただ、突破の仕方が違うというか…。「19」の主人公はまさに突き抜けて行く感じですけど、「環状線」の主人公は突き抜けたり壊したりという壁の乗り越え方ではなくて、一歩横にずれてみるというか、目線を変えてみるという道の見つけ方があるんじゃないかと思っているような気がしますね。

その二人の主人公の重なっている部分と本多さん自身はどれくらい重なっていますか。

本多 ほぼほぼ重なっていますよ。ただ、物事の解決の仕方というか、向き合い方ということで言うと、今は「環状線」の人に近いかもしれないですね。

「悲しみが消える頃」というバラードは、どのタイミングで、どんなふうに生まれたんですか。

以登田 あの曲は、去年のツアー中にちょっとだけできてて、配信EPを作ると決まったところからさらに仕上げていきました。

ザ・モアイズユー 以登田豪 WHAT's IN? tokyoインタビュー

以登田豪(Ba,Cho)

「曲を作ろうとすると自然と恋愛ソングになる」という話がありましたが、そういう意味ではあの曲は以登田さん曲のど真ん中のタイプと言っていいですか。

以登田 確かに恋愛ソングなんですけど、あの曲はちょっと特殊で、というのはあの曲は女性目線の曲なんですよね。友達から聞いた話がきっかけなんですけど、そういう作り方もやってみたいなと思ったんです。

聴かせどころでボーカルがファルセットになるのもポイントですよね。

以登田 儚さを表現したかったんですよ。サビでガッと盛り上がるんじゃなくて、ファルセットで聴かせるっていう。それをやりたかったんで、敢えてあのキーに設定したんです。

想像していなかったことが起こっても、いろんな方法を考えて新しいものを見つけていけるという自信はつきました。

なるほど。さて、現在の状況はどのバンドにとっても難しい状況だとは思いますが、その一方でメンバー間の関係性やバンドについて、あるいは音楽作りの考え方などにじっくり考える時間もあったんじゃないですか。

本多 めっちゃくちゃありました。この間(7/4)、配信ライブをやったばかりなんですけど、それが5ヵ月ぶりのライブで、しかも初めてのライブ配信ということだったんです。5ヵ月もライブをやってなかったのに、自分たちのなかではすごく納得のいくライブができたんですよね。以前よりもどっしり構えてライブができているような気がして…。この5ヵ月の間に、すごく練習できたというわけでもないし、そもそも一緒にスタジオに入れなかったわけですけど、表現というものに対して見つめ直す機会になったというか。それにライブ配信というのは、お客さんが目の前にいないので…。

ある意味では、冷静にやれますよね。

本多 そうなんです。ライブだけれども、その熱量と曲を伝えるという冷静な部分とのバランスみたいなものをみんなで再認識できたんじゃないかなあという気がしています。これまでは、目の前にいるお客さんを熱量で押し切ってしまうというところもあったのかなあっていう。そうじゃなくて、冷静になるべきところでは冷静になることで、バンドとしてより強くなったのかなということを感じることができた気がしました。こんなことが起こって良かったとは決して思わないんですけど、この期間にバンドとしては一つ成長させてもらえたかなという感覚はありますね。

これから先の活動についてはまだ見通しを立てにくいとは思いますが、今の時点ではどんな展望を持っていますか。

本多 想像していなかったことが起こっても、自分たちはみんなでいろんな方法を考えて新しいものを見つけていけるという自信はついたので、活動の仕方についても音楽の内容についても、みんなの期待をいい意味で裏切れるようなものを僕らなりの形で生み出せていけたらいいなと思うんです。これから先、どんな状況においてもいい方向に向かっていけるようにモアイズユーはドンと構えているので、面白い未来を楽しみにしていてください。

期待しています。ありがとうございました。

ザ・モアイズユー WHAT's IN? tokyoインタビュー

ザ・モアイズユー

本多真央(Vo,Gt)、オザキリョウ(Dr)、以登田豪(Ba,Cho)。
2011年7月、結成。2016年12月、MASH A&R主催のオーディション「MASH FIGHT vol.5」にて、年間全45組の優秀アーティストの中からFINALアーティスト7組に選ばれる。2017年2月 SEKAI NO OWARIなどを輩出したLastrum主催のオーディション「ニューカマー発見伝」にて大阪の優秀アーティストに選ばれる。2017年9月、イナズマロックフェスへの出場権をかけた「イナズマゲート」でグランプリを獲得。2018年7月、back number、ファンキー加藤、Uruなどが所属するイドエンターテインメントの新人発掘オーディション「SUPEREGO」でグランプリを獲得。2019年4月、1stミニアルバム『想い出にメロディーを』をリリースし、全国8箇所をまわるツアーを開催。大阪、東京公演はソールドアウトを記録した。

オフィシャルサイト
https://themoaisyou.com