Review

プレイしないと損をする『Ghost of Tsushima』戦闘だけではない魅力を振り返る

プレイしないと損をする『Ghost of Tsushima』戦闘だけではない魅力を振り返る

発売以降、各所で大絶賛されているPlayStation®4用の和風オープンワールドアクションゲーム『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』。前回の記事では戦闘の魅力を中心に伝えたが、発売後1ヶ月を過ぎた今回は広大な対馬の地を探索する楽しさ、装備を強化するおもしろさなどについて振り返っていきたい。

文 / 板東篤


何かを発見すれば強化につながる探索要素

簡単に触れていた探索……というか、メインストーリーやミッション以外の楽しみについて述べたい。舞台となる対馬の地は全域が蒙古軍に占領されており、村などの拠点はすべて占領されてしまっている。この蒙古軍の拠点に攻め入り、解放する楽しさがある。
拠点に侵入すると、「敵陣の隊長を倒す」、「盗まれた金属を取り戻す」、「のぼり旗を取り戻す」といった目標が提示され、達成すれば拠点を取り戻せる。拠点を解放する利点は多数あるが、とりあえず攻め入ること自体が楽しいため、つい遊んでしまう。正面から乗り込んでごり押しで敵を全滅させてからゆっくり目標を達成してもいいし、敵に気づかれないようコッソリ忍び込んで邪魔な敵だけを闇討で排除して目標を達成するステルスプレイも行える。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲蒙古軍に占領された拠点や野営の解放。当然、蒙古兵が山のようにいるため、激戦は必至となる

解放の利点は、まず報酬が得られること。報酬の内容は拠点ごとに異なり、装備強化用の素材、境井 仁(さかい じん)を強化するポイントである技量、噂の伝達(経験値的なパラメーター)などを得られる。敵陣にある素材を入手したり、敵の隊長を倒して“型”の会得度を上げられるなど、攻略中に副次的に得られる報酬も存在する。いずれの報酬も仁の強化へとつながるため、ゲームも攻略しやすくなるだろう。ちなみに全拠点を解放したときのボーナスはトロフィーぐらいのようだ。

ゲーム的な利点ではないが、対馬の民を助けられたという快感は大きい。捕虜となった農民を救出すれば当然ながら感謝されるし、村を蒙古軍から解放すれば人々が戻ってきて万屋などの店を開いたりすることもある。対馬の地から蒙古軍を一掃するまで安心はできないが、こうした小さな一歩でも侵略者を倒して味方を助けられるという快感を得られるのは嬉しいだろう。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲攻略したときに得られる報酬は、地図上のアイコンから確認できる。この沼田の集落では、噂の伝播、技量、金(素材)を入手可能

対馬の地を探索していると、さまざまな建物や人々などを発見できる。そのひとつが、各地に点在する稲荷の祠。指定された数の祠を発見すると、仁が装備できる護符の数が増えるというメリットがある。護符はダメージを増やしたり得られる気力を上昇させられるといった効果を持つアクセサリーで、最初は2個だけ装備可能。祠を発見していくことで、最大6個まで装備できるようになる。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲各地にある稲荷の祠は積極的に発見し、詣でておきたい。探索中に狐を見つけたら、近くに祠がある証拠。狐のあとを追ってみよう

集落などにいる人々との会話も無視できない。「どこそこで蒙古兵が待ち伏せていて……」などの情報をくれて、新たなクエストが発生することがある。情報を得ると目的地が地図上に書き加えられるので、探索する場合の新たな目標になり得る。広大な土地を闇雲に駆け回って何かを見つけ出すという行動はつらい面もあるため、こうした目標を提示してくれるのはありがたい。実際に行ってみると、その周囲でも祠や集落など新たなポイントを発見できたりして、そちらも探索してみたくなる。つまり、止めどきが見つからなくなってしまう。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲集落にいる村人や蒙古軍に捕らわれていた農民から、さまざまな噂を聞くことが可能。そこから新たなクエストが発生することもある

和歌を詠んだり、神社で護符を集めることもできる。これは情緒を感じる遊びといった感じか。ほかのオープンワールド作品でもこうした“発見・収集”の要素は盛り込まれているが、本作で秀逸なのはその多くが仁の強化につながっていること。個人的には集めたご褒美がトロフィーだけの場合はあまり“発見”する楽しさを感じられず、ゲーム本編クリア後に攻略サイトを見て全部集める、といったプレイスタイルになってしまいがち。だが本作は集めていく経過で仁が強化されるし、目的地も見つけやすいため自分で発見する楽しさをたっぷり味わえる。

装備を強化して戦闘能力を向上させる

ここからは装備の強化について。仁はさまざまな武具を装備できる。入手手段はメインストーリーやサイドクエストが中心で、一般的なRPGほど入手頻度は高くない。これらの装備は寺などにいる刀鍛冶、甲冑師などに依頼すると段階的に強化することが可能だ。武器は境井家の太刀や短刀があり、太刀は威力、短刀は早さや隠密といった能力を強化できる。強化には物資、鉄、玉鋼といった素材が必要でこれらは探索で見つけられるほか、拠点やサイドクエストの報酬などでも入手できる。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲素材はさまざまな場所で入手。たとえば野山では竹を入手できる。採れるオブジェクトは一定時間ごとにキラッと光るので、注意深く見てみよう

なかでも注目したいのは防具だ。受けるダメージを減少させる戦闘向きの“武家の鎧”、敵に察知されるまでの時間が長くなる隠密向けの“牢人の袴”、地図でより広い範囲が記される探索向きの“旅人の装束”など、用途別にさまざまな種類が用意されている。着替えはメニューから一瞬で行えるので、敵の拠点を隠密で攻めるときには“牢人の袴”を着用し、運悪く見つかってしまったら戦闘用の“武家の鎧”に着替えて……といった感じで、状況に応じて使い分ける楽しさがある。防具は守備力ではなく特徴が強化されていくため、自分が何を望むかで強化を優先させる防具を選ぶという選択を強いられる。筆者の場合は探索を楽にしたいため、“旅人の装束”を優先的に強化している。強化の度合いを説明すると、たとえば“旅人の装束”は、参から肆に強化すると物品が反応する距離が30メートルから60メートルに広がる。“牢人の袴”の場合は、壱から弐に強化すると敵に察知されるまでの時間が10%から20%になる、といった具合だ。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲防具は防御効果ではなく、特殊能力が付いていることが特徴。たとえば“旅人の装束”も防御効果は一切なく、代わりに物品へ導く風が吹く、物品が近くにあるとコントローラーが振動するなど、何かを発見しやすい能力が付いている

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲刀鍛冶や甲冑師の場所で武器や防具を強化。弓師は弓を強化することが可能。強化に必要な素材は武具ごとに異なる

防具は鎧だけではなく、頭防具や面頬も装備できる。これらには効果がなく、装飾用の防具だ。仁をより鎧武者っぽくしたり、素浪人のようにしたい場合に着用するといいだろう。外見つながりで言えば、武器や防具は装具を施すことができる。装具は探索で見つかる花を集めると、万屋で交換可能。装備の見た目を変更できるため、外見にこだわりたい人は活用してみるといいだろう。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲万屋では武具の装具を入手。簡単にいえば、刀や防具の外観を変えられる

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲装具を付けると、仁の装備の見た目が変わる。鎧の色が白色になったり、刀の鞘がトラ皮になっているのがわかるだろうか。こうして見た目を自分好みに変えていく楽しさを味わえる

登場人物が絡み合う人間ドラマの妙

最後に、物語について語っていこう。前回も少し述べたが、本作は状況や目的がシンプルでわかりやすい。あまり悩まずに世界へと入り込めるのだ。メインストーリーは蒙古軍に捕らわれた地頭の志村を救出すべく各地で味方を募る、という流れで進んでいく。しかし助力を請うべき人物はいずれも問題を抱えており、交換条件として彼らの手助けをしていくことになる。彼らの物語は浮世草(サイドクエスト)として続いていくのだが、いずれもシチュエーションから展開までがとても濃い。たとえば弓の名手で仁の弓の師とも言える石川先生は、巴という弟子に裏切られて救出どころではないという。最初は「師を裏切るとは、なんて卑劣な人間なんだ!」と思ったが、急な崖を登れと無茶振りされたり、仁が蒙古兵に襲われるようわざと危険な場所を調べさせたり(石川曰く“腕試し”とのこと)と、ちょっとスパルタが過ぎる。こりゃ裏切られても仕方ないのでは、と思ったり。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲仁の弓の師である石川先生。無茶振りばかりしてくるヤバイ人

仁の幼なじみで牢人(主人がいない武士)の竜三は、傭兵集団のリーダーのような存在。旧知の友人という間柄だが、仁に頼めば志村に使えることもできたはず。だが仁に頼ることをよしとせず、ひとりの力で道を切り開こうとしている。単に人に頼るのが嫌な性分なのかと思ったが、サイドクエストを進めていくと、過去に仁との刀競べ(試合)で負けたことが原因だと判明する。この刀競べに武家も注目していたことで、負けた竜三は郎党になれなかったのだ。仁のことを恨んではいないが、頭を下げたくもない、自身の努力だけで仁に並び立つ人材となりたい。竜三にはそんな意地があったのではなかろうか。こうした人間ドラマを楽しめるのも本作の大きな魅力だ。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲仁の友人でありながら、牢人として生きている竜三。剣の腕は確かだが、その胸中に抱いた思いは複雑と推測できる

このような相手に苦労しながら協力者を集め、いざ志村奪還というシチュエーションは否が応でも盛り上がる。強力な味方を得たと言っても蒙古軍に競べれば少数で、さらに城攻めは3~4倍の兵力が必要とされる。仁だけが闇夜に乗じて忍び込み、いかにして志村を奪還するのか。ネタバレになるので詳細は避けるがドラマチックな展開や凄絶なバトルがあり、序盤の山場として相応しいシーンを体験できる。志村奪還はメインストーリーのまだ1/3程度の局面だが、本作の醍醐味に震えるだろう。もちろん、志村を救出したからといって対馬での戦いは終わらない。このあとは志村を旗印にして、いよいよ蒙古軍へ反撃の狼煙を上げることになる。さらに激しい戦い、絶望的な状況だからこそ起こりえる人間ドラマが展開し、本作はさらに白熱していく。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲志村奪還に向けて攻め入る、序盤の山場シーン。大勢の敵が待ち受けるこの状況をいかにして突破するか

前回で触れた、仁が闇討ちなど武士らしからぬ戦いとどう向き合っていくかの問題についても述べたい。これに関しては仁自身が語ることは少なく、意外と序盤から割り切って受け入れた様子。志村奪還のため、対馬の人々のためという大義名分には致しかたなし、という感じだ。逆に、武士とはかくあるべしという考えを持つ石川先生は仁の戦いかたを快く思っておらず、ちょいちょい釘を刺してくる。志村も同様で、蒙古軍に「お前の甥が武士らしからぬ戦いをしているから、止めるためにとっとと降伏しろ」と交渉材料に持ち出される。この話を聞いた志村は「仁はそんなことはしない」と信じられない様子で、もし無事に彼を救出できても戦いかたで衝突がありそうな気配を漂わせる。こんな感じで対馬を取り戻すという大きな物語に加え、仁を取り巻く人々のドラマ、当時の武士としての矜持などにも思いを馳せられるストーリーが展開していく。登場人物たちはいずれもクセが強く魅力的で、どのような未来が待ち受けているのかを知りたくなる。物語もたっぷり楽しめる作品と言えるだろう。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲仲間を集め、ついに志村救出作戦を実行。討ち入りに気づかれて志村が殺されないようコッソリと忍び込むことになるが、石川先生はイマイチ納得できない様子

最後に、本作におけるちょっとしたオマケを振り返りたい。ひとつはフォトモードで、イベントシーン以外であればいつでもこのモードに切り替えられる。カメラアングルを自由に動かせるだけでなく、天候、時間、風向きといったシチュエーション、露出やピントの補正といったカメラの調整を細かく行え、思い描いたシーンを作成することが可能。スクリーンショットを撮影するコマンド自体はないため、こちらはPlayStation®4本体の機能で撮影してほしい、ということであろう。
もうひとつは、設定から行える“黒澤モード”。こちらをオンにすると画面がモノクロとなって古い映画のようなノイズも入るようになり、黒澤映画のような雰囲気でゲームを楽しめるのだ。時代劇ファンには嬉しい機能だろう。

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲フォトモードは天候、風向き、被写界深度などの設定を自由に変更できる。景観が美しい本作だけにいい写真を撮影するのも楽しい

Ghost of Tsushima WHAT's IN? tokyoレビュー

▲黒澤モードをオンにすると、白黒映画のような画面効果で本作を楽しめる

長時間本作を遊んでみた印象を振り返ったが、期待を上回る完成度だった。戦闘、探索、ストーリーとどの要素もおもしろく、止めどきを失いがちだった。ゲーマーならば遊ばないと損をする作品と言えるだろう。細かい不満点がないことはないが、長所が圧倒的すぎるため気にならないだろう。未プレイの方はぜひとも本作をプレイして、元寇に直面した武士の生き様を体験してほしい。


■タイトル:Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)
■発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー
■対象年齢:18歳以上のみ
■発売日:発売中(2020年7月17日)
■価格:パッケージ版 6,900円+税、ダウンロード版 7,590円(税込)


『Ghost of Tsushima』オフィシャルサイト

©2020 Sony Interactive Entertainment LLC.