発掘!インディーゲーム総研  vol. 14

Review

殺戮の快楽とサイバーパンクの世界『RUINER』が病みつきになる理由

殺戮の快楽とサイバーパンクの世界『RUINER』が病みつきになる理由

ポーランドが拠点のインディーゲームデベロッパー、REIKON GAMES。同社のクリエーターは『The Witcher』、『Dead Island』、『Dying Light』の開発にも関わっており、少数精鋭のチームといった印象です。彼らが2017年にリリースしたアクションシューティングゲーム『RUINER』は、そのゴアでヘヴィなサイバーパンクの世界観、高難度ながらやり込みができるゲームデザインで発売当初に話題になりました。そんな本作は先月に全ての無料DLCを同梱したNintendo Switch™版が配信開始。 9月17日にはパッケージ版もリリースされるとのことで、再び盛り上がりを見せています。本稿ではその魅力に迫ります。まずはNintendo Switch™版のトレーラームービーで、ゲームの雰囲気を感じてみてください。

文 / 内藤ハサミ


サイバーパンク世界の主人公になりきれるクオリティの高さ

舞台となるのは、2091年のアジアンテイストなスラム街“レンゴクシティ”です。そこに栄える不健全なアンダーグラウンド文化、安定とはほど遠い社会、それでもたくましく生きる住人たち、そしてキナ臭さをプンプン漂わせる大企業の影……。誘拐された兄を救うためサイバネティック強化ツールを身につけた主人公が謎の女性ハッカーとタッグを組み、腐敗した社会と誘拐の真相に迫っていくという内容です。サイバーパンクの古典作品『ブレードランナー』のように孤独な主人公が社会の腐敗に迫っていくというテーマは、スタンダードながらやはりワクワクするものです。主人公は協力者の女に導かれ、兄を取り戻す戦いに身を投じます。

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▲丸っこいフォントのネオンサイン、ダクトや看板がひしめき合う汚い街

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▲主人公に協力してくれる謎の女性ハッカー。正体のほか協力の理由も不明。信用できる人物なのでしょうか……? しかし、有能な彼女に頼るほかない状況です

カオスでハードコアな本作の世界設定は、コテコテのサイバーパンク! 開発スタッフは『攻殻機動隊』、『電脳都市OEDO808』、『機動警察パトレイバー』、『AKIRA』などの作品に影響を受けたそうで、演出、セリフまわし、美術のすべてがカッコいいのひと言です。サイバーパンクが好きなら絶対に見てほしい! もうひとつ見逃せないのが、ミュージシャンの平沢進氏が楽曲の一部を提供していることでしょう。平沢氏の特徴的なヴォーカルが聞こえてくる作品の舞台レンゴクシティは雰囲気抜群で、控えめに言っても超最高。もちろん、平沢氏が提供していないBGMもすべて必聴の良曲なのです。この特濃で特上の世界がファンから高い評価を受けているのも頷けます。

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▲街を歩けば、近くの人々の話し声が表示されます。ボイスは実装されていなくても、不慣れな屋台の店員をかばう店主の声、チンピラの世間話など街の喧騒が聞こえてくるようです

レンゴクシティで情報を集め、敵の巣窟に乗り込み各ボスを倒して帰還、というのが基本的なプレイの流れです。ステージ数は少なく5時間もあればクリアできてしまうのですが、これは周回プレイが前提となっているゲームデザインのためでしょう。本作はツインスティックアクションシューターで、コントローラーの左右のスティックにそれぞれ移動の操作、主人公の向きを変える操作(エイミング)が振り分けられています。クラシックな形式に感じますが本作の世界設定にはそのレトロさがマッチしており、“らしさ”の演出に一役買っています。クセのある操作感も手伝って、プレイ難度はかなり高めです。EASY、NORMAL、HARDと設定されているうちのEASYを選んでも、慣れないうちはたびたびゲームオーバーになりました。EASYが他作品のNORMALくらいの難度だと考えて選択をするといいでしょう。ですがリトライまでの時間は非常に短く、直前のチェックポイントからすぐに再開されますし、戦いかたを見極められれば各ボス戦にかかる時間も短いのでテンポは非常にいいです。リトライを繰り返すことへの苦痛は皆無でした。

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▲戦闘は常に斜め見下ろし視点です。これは遠隔操作で主人公に協力するハッカーの視点?

主人公の攻撃手段は近接武器と遠隔武器の2種類です。デフォルトでは“鉄パイプ”と“ルイナー銃”を所持しており、回数制限なく使うことができます。さらに強力な武器は道中に置かれたものや敵からドロップしたもので得られますが、近接・遠隔武器ともに耐久度と弾数に制限があります。武器のリロードという概念は基本的になく、使い終わったらそのへんに投げ捨て新しい武器を拾って使うというワイルドなスタイル! 落ちている武器を活用し、使い捨てながら窮地を切り抜ける……これはたまらないカッコよさです。

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▲アサルトライフルやサブマシンガンのような比較的使いやすい小型の銃もあれば、使用感にクセのある重火器類も揃っています。筆者は火炎放射器のSCR-1ヘルファイアで敵を焼き尽くすのが好きです!

敵から身を隠せる場所が少ないこともあり、その場に留まっていればすぐにハチの巣にされてしまいます。ダッシュの操作を使いこなし、敵の攻撃を避けつつ攻撃することが立ち回りには最も大切です。もちろん敵もダッシュを使ってくるので、常にスピード感のある戦いとなります。従来のツインスティックアクションシューターのイメージとは少し違い、より能動的に敵を攻める面白さを味わえるでしょう。

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▲ボス戦では、こんなに派手なレーザーとも対峙します

プレイ中にも難易度変更は可能ですが、クリア時に得られる報酬は選択した難易度の一番低いもので計算されてしまうので注意が必要です。慣れさえすれば、こんなに気持ちのいい操作はありません。連続ダッシュで敵に駆け寄り効率的に屠っていく快感は、疾走感のあるBGMと相まって病みつきになります!

さらに深みのあるプレイを作り出す要素

たくさんの武器を使いこなし、素早く展開する戦闘の流れにノるだけが楽しみかたではありません。さらに本作のプレイを奥深いものにし能動的にプレイを構築する大事な要素が、敵を倒すなどして手に入れた“カルマポイント”でアビリティを解放し、プレイを進めていくうちに手に入るスキルポイントで任意に強化していくことができるスキルの活用です。

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▲ダッシュ性能アップの能力、敵をスタンさせるショックランチャーの取得など、使いかた次第で戦いを有利に組み立てられるスキルの数々

スキルポイントは何度でも好きなタイミングで振り直しができるので、挑む敵によって最適な構成を作る楽しさが味わえます。サイバネティック強化ツールの改造……といったところでしょうか。ゲーム内の設定ともマッチしたシステムですね。どのスキルも適した使いかたをすれば機能的なものばかりですが、もちろんあえてそれらを取得せずより難しいプレイにチャレンジしてもいいでしょう。細かく難度をカスタムし、自分好みのプレイ感を追求できる良さがあります。

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▲後半は、たくさんのモブを相手にしつつ攻撃力の高いボスと交戦するシーンも多く出てきます。スキルを使わないとかなり厳しいです

通常だと周回プレイをする際はレベルやスキルはリセットされますが、クリア後に解放されるNEW GAME+モードを選択すると、スキルを持ち越した状態で始めることができます。そのぶん難度はグンと上がっているので、正確で戦略性の高いプレイが求められるでしょう。

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▲HARDでもかなりの難しさですが、NEW GAME+は気を抜くと瞬殺される勢いです

本作で注目してほしいのが、テキストの面白さ! 街の人々のボヤキはダウナーなスラム街の雰囲気をよく表していますし、中ボス登場シーンのセリフはいちいちパンチが効いています。いかにも「サイバーパンク作品のキャラクターが言いそう」な感じで、ときには笑える遊び心たっぷりのテキストをいくつか紹介しましょう。

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▲最初に対峙する中ボス、ウィザード。おしゃべりな彼のセリフから導き出されるのは……「あっ、こいつ小物キャラだな?」という印象

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▲中ボス登場シーンのなかで最も気に入っているのが、シャドーの「俺に会った奴はたいてい死ぬ。」ですね。サイバーパンク世界の住人になったら、言ってみたいセリフナンバーワンです

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▲壮絶な過去を想像させる、ホンシのセリフ。シャドーのつけている腕章もそうですが、この“黒社会”グッズいいなぁ、欲しいなぁ!

彼ら中ボスも含め、登場人物やゲーム内用語についてはメニューのデータベースからいつでも見ることができます。『RUINER』をより知って没頭できるコンテンツで、翻訳のクオリティも非常に高いです。ゴロツキの口の悪さやくだけた言葉の表現なども自然で、海外作品だということを忘れるほどの出来の良さ。その気合の入った量と濃密な内容は、ゲームが進行するとどんどん追加されていきますから必見です。

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▲プレイ中にこんな画像がカットインしてくることも。主人公の脳をハックする表現で実にカッコイイ

翻訳だけでなく、ちょっとした演出やデザインがとても練られていることにも注目。有名作品のオマージュだと思われるシーンもあり、ファンにはニヤリとできるところです。

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▲床に書かれた文字もよく読んでみると、なかなか味わい深くて面白い

兄を追ううち腐敗した巨大企業の陰謀にたどり着いた主人公は、そのすべてをブッ潰すために単身で本拠地へ乗り込みます。そこで主人公が見ることになるのは、予想もしなかった衝撃の真実です。エンディングのシーンはあっさりした短いものながら、演出がめちゃくちゃカッコイイので最後まで見届けてください。

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▲ずっと謎の存在だったハッカーの真意が明かされる!?

本作には通常のストーリーモードの他に、ムービーや会話シーンを省き最速クリアタイムを目指す“スピードラン”モードと、闘技場につぎつぎと敵が投入され限界まで戦い続ける“アリーナモード”があります。どちらもオンラインランキングで他のプレイヤーと競うことができるので、クリアしてもプレイはまだまだ終わりません!
現在予約受付中となっているNintendo Switch™パッケージ版は、オリジナル刺繍“弟”ワッペン、ステッカーシート、高品質アートカード、オリジナルリバーシブルジャケットといった特典付きです。作中でも印象的なモチーフである“弟”ワッペンはぜひとも欲しい! 

サイバーパンク世界の表現とシューティングアクションゲームとしての完成度、どちらも高いクォリティを誇る『RUINER』。プレイヤーを引き込む強烈な魅力が備わった作品です。本稿を読んで少しでも気になったら、ぜひプレイを!

フォトギャラリー 

■タイトル:RUINER
■発売元:Devolver Digital
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:アクションシューティング
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2020年6月18日)
■価格:ダウンロード版 2,138円(税込)


『RUINER』オフィシャルサイト

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