Interview

MORISAKI WIN(森崎ウィン) 待望のメジャーデビュー。自分らしくいられるという音楽活動に込めた思いと1st EP「PARADE」の手応えを訊く。

MORISAKI WIN(森崎ウィン) 待望のメジャーデビュー。自分らしくいられるという音楽活動に込めた思いと1st EP「PARADE」の手応えを訊く。

スティーヴン・スピルバーグ監督によるハリウッド大作映画『レディ・プレイヤー1』や日本アカデミー賞新人賞を受賞した映画『蜜蜂と遠雷』など、俳優としても活躍している森崎ウィンが、アーティストMORISAKI WINとして1st EP「PARADE」でメジャーデビューを果たした。
ミャンマーで生まれ育ち、小学4年生の時に来日。中学2年生の時にスカウトされ、高校卒業時からPRIZMAX(現、解散)としての活動をスタートさせた。ミャンマーでは冠番組『Win`s SHOOOW Time!』を持ち、出演ドラマの主題歌で、平原綾香とのデュエット曲「MOSHIMO」は現地の配信サイトで週間ランキング1位を獲得するほどの大匕ット。国民的スターとして人気を誇り、日本でもドラマや映画に加え、ミュージカルでも活躍する彼がアーティストとして目指す未来とは――。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 森崎純子


音楽はずっと続けたいと思ってました

MORISAKI WIN 森崎ウィン WHAT's IN? tokyoインタビュー

今回、メジャーデビューが決まった時はどんな心境でしたか。自分らしくいられる場所を続けたいと思っていたのかどうか。

音楽はずっと続けたいと思ってました。だから、このタイミングでお声掛けいただけたのはラッキーだなって思ってますし、30歳になる前にこういう機会をいただけるっていうのはすごくありがたいし、純粋に嬉しかったですね。

進んでいった先で得たものによって、MORISAKI WINというアーティスト像がどんどん出来上がっていくんじゃないかなって思ってます

活動を始めるにあたって、すでにアーティストイメージはありましたか。

いや、なかったです。僕はあんまり、“こういうアーティストになるんだ!”みたいなことを決めてなくて。もちろん、アジアを拠点に世界に発信できるようなアーティストになるっていう目標は強くあるんですけど、こういうアーティストにっていうものはなくて。それって人生、時とともに刻まれていくものなのかなって思うんですよね。だから、最初の作品は第一歩でもあるし、模索しながら作っていって。その中には、苦労した点もたくさんあれば、うまくいったなってこともたくさんあるんだけれども、“パレードのように行進して前に進んでいくんだ!”って気持ちを込めて作っていって。その進んでいった先で得たものによって、MORISAKI WINというアーティスト像がどんどん出来上がっていくんじゃないかなって思ってます。だから、僕が死ぬまで音楽を続けられるのであれば、死ぬまでMORISAKI WINは進化し続けるアーティストなんじゃないかと思いますね。

おばあちゃんが英語を教える時に音楽を使って教えてたんですね。童謡もあれば、ポップミュージックもあって

MORISAKI WIN 森崎ウィン WHAT's IN? tokyoインタビュー

では、未来じゃなく、過去。森崎さんの音楽のルーツもお伺いしていいですか。

本当に超王道ですね。僕が生まれ育ったのはミャンマーで、おばあちゃんと住んでいて、おばあちゃんが英語の塾を家で開いていて。そこで、おばあちゃんが英語を教える時に音楽を使って教えてたんですね。童謡もあれば、ポップミュージックもあって。たぶん、自分が歌いたかっただけだと思うんですけど(笑)、カーペンターズとか、マドンナとかマイケル・ジャクソンとか……本当にたくさんの昔の洋楽を聴いてました。特にソウルとかファンクを聴いて育っているので、そこまで詳しいわけじゃないですけど、身近にある環境にいたので、自分から湧き出てくるものはソウルやファンク、R&Bになるなって思いますね。でも、今回は新しい挑戦として、アシッドジャズを入れてて。MORISAKI WINというひとつの色を決める時に、これから染められていく色のひとつではあるのかなと思ってます。

来日してからはどんな音楽を聴いてました?

あんまり音楽を聴く機会がなかったんですけど、周りが聴いてるから聴いてみるっていう感じで、J-POPも聴くようになって。そこでコブクロさんが好きになって、ギターを始めたんですね。そのあとは、ブルーノ・マーズに出会い、ブルーノ・マーズ一色ですね。今はSpotifyで人のプレイリストを聴いてみたり、ミュージカルの曲を聴いてみたり、いろいろ聴いています。

自分が楽しめるようなアルバムにしたいよねってことに落ち着きました。自分が心躍るものを出していこう、と

MORISAKI WIN 森崎ウィン WHAT's IN? tokyoインタビュー

根っこにあるのはやっぱりR&B、ファンク、ソウルなんですね。1枚目のEPはどんな作品にしたいと思ってました?

まずは世界に発信できるもの。あとは、第一歩目はアーティストとしての色を決めるものでもあるから、自分が楽しめるようなアルバムにしたいよねってことに落ち着きました。自分が心躍るものを出していこう、と。

第1弾として、7月1日に配信シングル「パレード – PARADE」がリリースされました。4つ打ちのファンクポップになってます。

今作、一番最初にレコーディングブースに入ったのがこの曲なんですよ。そういう意味でもすごく思い入れもありますし、かなりいい幕開けができたんじゃないかなと思います。

自分にとってはメジャーデビューが“新世界”

MORISAKI WIN 森崎ウィン WHAT's IN? tokyoインタビュー

歌詞には先ほど、おっしゃってた“パレードのように行進して前に進んでいくんだ!”というスタートに向けた想いが込められてますよね。

最初にプリプロやってる時は全然違う歌詞だったんですよ。でも、作詞をしてくださったのEIGOさんが「嘘をついたウィンくんは出したくない」って言ってくださって。全曲に通していえることなんですけど、僕とコミュニケーションをとりつつ、作詞家の目線で書いてくださったのがすごく嬉しかったですね。で、イメージとしてはパレードのように前進していくんだという思い、そして、新世界の幕開けに相応しいサウンドにしたいという思いも含めてて。自分にとってはメジャーデビューが“新世界”ですけど、ただ単に<Let’s Party!>みたいな楽曲ではなく、新世界に向けての不安や恐怖は取り除いて、パレードのように楽しんで受け入れて進んでいこうよっていう思いを込めてますね。

細かいことですけど、“Crazy”っていうフレーズはどう捉えてますか? 1曲目の「WonderLand」にも出てきますよね。

僕にとってのCrazyって。“ぶっ飛んでるぜ”ではなく、“解放する”っていう意味があって。それこそ今、エンタメ業界では過去が「WonderLand」だったみたいなに感じてる部分があると思うんですね。でも、きっと、新しいワンダーランドはまた別にあるし、ニューワールドでも解放できる場所は絶対あると思う。そこを信じて受け入れて……そう言ってるってこと自体、僕自身もまだ受け入れるのに時間かかってるのかもしれないですね。簡単にライブができない、お客さんと出会えない。じゃあ音楽を生で伝える意味って何?ってどこかで思っていたりする。だけど、例えば配信とか、別の何かを使って届けられる環境はあるから、そこにたいして自分も臨機応変に変わっていかなきゃいけないなっていう。今がCrazyな時代だしっていう言い方もできるし、この変化を僕らは生きてるんだっていう意味でもCrazyなのかなって、今、聞かれて思いました。

スマホを置いて、僕に思いをぶつけてよ、僕もぶつけるからっていう。今の時代にぴったりだし、僕が言いたいことのひとつでもあるのかなって思いますね

MORISAKI WIN 森崎ウィン WHAT's IN? tokyoインタビュー

過去のワンダーランドではなく、これから出会うであろうワンダーランドを歌ってて。変化や過渡期の象徴の曲でもあるかもしれないですね。「WonderLand」はまさにウィンさんが新たな挑戦をしたアシッドジャズチューンになってます。

すごく難しかったです(笑)。デモでもらった時に歌えるのかなって思ったくらい難しいなと思っていて。好き嫌いの前に歌えるのか、聴いてる分にはカッコいいけどっていう。そのくらい歌える自信がなかったんですけど、歌詞ができて、噛み砕いていくとすごく良い曲だなって感じるようになって。僕、<Talk to me〜>っていうところが好きなんですよ。昔に比べたら、みんながちっちゃいスクリーンに向かってる時間がすごく増えていて、コロナを経てもっと増えてて。その中で、画面をとおしての会話じゃなくて、直接、僕に話してよっていう。スマホを置いて、僕に思いをぶつけてよ、僕もぶつけるからっていう。今の時代にぴったりだし、僕が言いたいことのひとつでもあるのかなって思いますね。

もう1つ、ワンダーランドの前についている<Nomad>=遊牧民っていうフレーズもウィンさんしか歌えないなって思ったんですよね。

そうですよね。国を超えて出てきてるから(笑)。ある種、僕はひとつのところに収まらないのかなって思っていて。ノマドとしていろんなところに行って、いろんなところでノマドワークをしていて。……まあ、そんな簡単にそこがワンダーランドだとは言えないですけど、それこそ僕は遊牧民に近いなと思っていて。拠点はあるけどないような感覚。国籍はあるけどないような感覚というか。だけど、自分の故郷だったり、ルーツはちゃんとあるし、そこに誇りもあって。それがすごく僕らしいところだなって思います。

この曲はキラーワードが多いんですけど、<いつかのままのPrizm>っていうフレーズも気になりました。

ありがとうございます。作詞をしてくださったEIGOさんが、「昔、抱いてた思いをちゃんと忘れてないんだよってことを示したいよね」って言ってくださって。素敵だなと思っています。

完成が楽しみです! 今回、さらに3曲が収録されてます。1曲ずつ解説をお願いしたんですが、「d.s.t.m」はいろんなジャンルが混ざってる曲ですよね。

そうですね。最後のフェイクはR・ケリー要素が入ってたりとか(笑)、グッチ裕三さんっぽいコーラスも入ってて(笑)。本当にフレーズごとにいろんなアーティストが登場してくるんですよね。Aメロはファンクの要素があるんだけど、急にディスコ感が出てきて、ミラーボールを感じながらブースの中で歌ってましたね。でもこれも、自分にそういう要素があるのか? と思いながら最初は受け取ってました。どうやってディスコっぽいファルセットを出すんだろうっていう(笑)。正直、怖かったです。

これ本当に1人で歌ってるのかな?って自分で思うくらい、すごい曲になりましたね

MORISAKI WIN 森崎ウィン WHAT's IN? tokyoインタビュー

(笑)。音色は今っぽいのでニューディスコ/ブギーファンク感が出ていていいなと思いました。続く、「Blind Mind」は完全英語詞の曲で、唯一のR&Bバラードになってます。

ガラッと雰囲気を変えて。実はこれは1番と2番、サビ以外はほぼ同じ歌詞を歌っていて。同じワードの中で起承転結をつけなきゃいけないっていうことで、レコーディングの仕方にめちゃくちゃこだわりました。それこそ1番のAメロと2番のAメロでは、歌い方も録り方も違うんですね。イヤホンで聴いた時にどう響くかっていうことを考えながら、1番はステレオで6本くらい違う部類のものが入っていて。あえて真ん中はほぼスカスカっていう状態を作って、2番は逆に真ん中ズドンとなってる。LRのバランスも変えているし、これ本当に1人で歌ってるのかな?って自分で思うくらい、すごい曲になりましたね。まあ、1人なんですけど(笑)、面白い引き出しが出た1曲でした。

英語歌詞なので、どんなストーリーがお伺いしてもいいですか。

いろんなとらえ方があるんですけど、直訳するとちょっと強いところが何個かあって。僕が最初に思ったのは、もちろん恋愛とかにもとらえられるけど、ここで言ってるYouっていうのは、僕にとっては過去の自分だったりするんですよね。この3、4ヵ月ですごい波を飛び越えてるんですよね。その中で迷った自分がいたりとか。本当に暗闇にいた瞬間もあったし、怒りとか寂しさとか不安とか戸惑いとか……本当にたくさんありましたけど、それがきっと「Blind Mind」になってて。本当に何も見えない状態になって、模索しながら前に進んでいて。その瞬間の自分を思い出すと苦しかったりとか辛かったりするけど、前に進んでいきたいっていう思いがあるからこそ、この暗闇の中を歩いているんだっていう。そういう思いがすごく入った楽曲かなって思います。

過去と今、どっちの自分が本当の自分か分からなくなるようなミステリアスさがありますが、どっちの自分も受け入れるまでにかかった時間を表現してるように感じました。そして、最後にもう1曲「What U Wanna Do?」が収録されてます。

この5曲の中で一番Crazyな曲なんじゃないかなと思ってます。大まかに言うと、AメロがR&B、サビがJポップ、Dメロが思いきりミュージカルにいくっていう(笑)。ブロードウェイ仕様みたいな(笑)。デモの段階ではこうなる予定はまったくなかったんですけど、レコーディング当日に話し合いながら歌ってたら、Dメロだけすごい異空間になっちゃって。すごい面白いマッピングができた曲だなと思ってますね。

これからアジアを拠点にどんどん羽ばたいていきたいし、まずはアジアツアーを目指して頑張ります!

最後にミュージカルの顔が出るのがユニークです(笑)。R&B、ソウル、ファンク、アシッドジャズ、ディスコ、J-POPにミュージカルといろんなジャンルの曲を歌ったEPが完成して、ご自身ではどう感じてますか。

めちゃめちゃいろんな人に渡したい1枚です。本当にやっとスタートが切れるんだなって。とにかく楽しみですね、本当はこれを引っ提げてライブがしたい……やっぱり目の前にいるお客さんにたいして僕は歌いたいんですよね。でも、それこそ僕自身も新世界を受け入れていかなきゃいけないって重々わかってるんですけど……ねえ。でも、今はニューワールドがすごく楽しみです。これからアジアを拠点にどんどん羽ばたいていきたいし、まずはアジアツアーを目指して頑張ります!

MORISAKI WIN(森崎ウィン)

ミャンマーで生まれ育ち 、小学校4年生の時に来日、その後中学2年生の時にスカウトされ、芸能活動を開始。
2008年にダンスボーカルユニット“ PRIZMAX ”(現、解散)に加入し、メインボーカルを担当。
俳優としても様々な役を演じ活躍する中で、2018年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の新作『レディ・プレイヤー1』で主要 キャストに抜擢され、ハリウッドデビューを果たす。その後も数多くの映画やドラマに出演し、2020年に映画『蜜蜂と遠雷』で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また、主演を務めた連続ドラマ『本気のしるし』の劇場版(今秋公開)は第73回カンヌ国際映画祭「Official Selection2020」作品に選出された。
同年アーティストとしても世界進出を掲げ“MORISAKI WIN”としてメジャーデビュー。
2018年よりミャンマー観光大使を務め、母国ミャンマーでもドラマの主演やCMに数多く出演し国民的スターとして活躍中。

オフィシャルサイト
https://columbia.jp/morisakiwin/
https://www.stardust.co.jp/section1/profile/morisakiwin.html

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