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大人も子供も無邪気に遊べる『ペーパーマリオ オリガミキング』徹底したエンタメの意欲作

大人も子供も無邪気に遊べる『ペーパーマリオ オリガミキング』徹底したエンタメの意欲作

『ペーパーマリオ』シリーズの6作目『ペーパーマリオ オリガミキング』。すべて紙でできている世界をマリオが冒険するというコンセプトで、堅調に続いてきたシリーズです。作品によりRPGやアクションアドベンチャーなどジャンルは変化してきましたが、今作では折り紙をメインのモチーフとしたアクションアドベンチャーを基軸にしつつも、戦闘にはパズル要素が盛り込まれているなどさまざまなジャンルのエッセンスが詰まっています。またもマリオが山あり谷あり……いえ、山折り谷折りの大冒険を繰り広げる本作。まずはトレーラーを見て可愛いビジュアルとおもちゃ箱のように賑やかな楽しさを感じつつ、本稿を読み進めてください。

文 / 内藤ハサミ


“カミ”の魅力を味わい尽くす!

本作の大きな魅力のひとつは、“オリガミ”をはじめとした“カミ”そのものにあります! ぺらぺらのマリオが活躍する『ペーパーマリオ』シリーズの最新作ですから、そんなことはわかりきっている……かもしれませんが、紙の厚みや折り目の何とも言えない再現やサラッとした質感までもがNintendo Switch™のスペックを活用してリアルに表現されています。幼いころ大事に使っていた折り紙の感触を思い出してノスタルジックな気持ちに浸りながら、紙の世界を冒険しているという揺るぎない臨場感も体験できます。

ペーパーマリオ オリガミキング WHAT's IN? tokyoレビュー

▲ペーパークラフトの街並みにオリガミ飾りが華を添えていて、とても可愛い!

そんなオリガミで折られた登場人物たちが、今回初登場のキャラクターたち。ペラペラの世界を憎み、世界をオリガミの国に変えようとたくらむオリー王、マリオと旅をすることになるオリーの妹・オリビア、そしてクリボー、ノコノコ、ヘイホーなど、おなじみの敵キャラクターを模して折られたオリガミ兵たちは、とても親しみやすくて魅力的です。

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▲オリビアのデザインは、ちょっと頑張れば作れそうな親しみやすさがいいですね

もしかしたらすべてのキャラクターではないのかもしれませんが、実際に折れるように設計されているキャラクターは多いようで、任天堂の公式グッズを扱うNintendo TOKYOでは、おりがみ ペーパーマリオ オリガミキングという商品が発売されています。11種類のキャラクターとゲーム内オブジェクトが作れるセットです。2020年7月末現在、マイニンテンドーストア内では残念ながら品切れ中ですが、今後教本だけでも再び販売されたらいいなあ……。

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▲野望に燃えるオリー。とりわけキノピオを嫌っている様子なのですが、なぜそんなに恨みを募らせているのでしょうか?

本作の目的は、オリーの野望のため奪われたピーチ城とピーチ姫を救い、世界に平和を取り戻すことです。マリオは兄を止めたいというオリビアとタッグを組み、紙テープでぐるぐるに巻かれてしまったピーチ城奪還の手がかりを見つけるため、遠くまで伸びたテープの端へと出発します。平原、紅葉の山、江戸を模したテーマパークなど、訪れるエリアはさまざまな特色を持っており歩いているだけでも楽しいのですが、あちこちに仕掛けられた大小さまざまな謎解きがさらなる面白さを加えています。

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▲はるか遠くに伸びているテープの端を追いかけて大冒険!

地形のクセやちょっとした風景の違和感をヒントに、ジャンプやハンマーなどのアクションを駆使して塞がれた進路の仕掛けを解き、道を切り開いていきましょう。魔法陣が出現する場所で使うことができる“カミの手”も仕掛けを解くために役立ちます。どう使うかはそのときどきで違うので、利用法を推理する楽しさもあります。

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▲コントローラーを傾けて操作するカミの手。ジャイロ機能を使わない設定にも変えられるので、出先で静かにプレイしたいときも安心

謎解きはもちろんですが、オリーの軍勢に無惨にも折り畳まれ風景のなかに隠されてしまったキノピオたちの救出、バトル報酬やエリアにあるオブジェクトを揺らしたり壊したりすることで手に入る紙片“カミッペラ”で地面や壁面の穴を修復、といった要素も散りばめられています。これらは進路を切り開くための仕掛けとしても作用することがありますし、収集率によってバトルのヘルプに来てくれるキノピオが増える、博物館で聞けるサウンドが増えるなどのいいことがあるのでやる気に繋がります。特にカミッペラを盛大にまき散らして張り子の要領で穴を修復するビジュアルは面白く、筆者の娘(小3)が最も惹かれていた点でした。輪ゴムや色鉛筆など日常生活においてよく使う文房具も中ボスとして登場するので、特に子供たちにとって身近に感じられる世界ではないでしょうか。

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▲ビリビリに破いた紙をパッとまき散らす楽しさ! 小さいころ、ちぎった古新聞でよくやったなぁ

一部の謎解きや次章で触れる戦闘は、特に低学年くらいの子供にとって難しい部分も多くありますが、難度の高い箇所は何回か繰り返したりコインを払ったりすることで易しくなるというかなり手厚い救済措置が用意されています。成功の喜びを味わえるような配慮がありがたいですね。

並べて揃えて攻撃! 新しさのある360°バトル 

前作までとバトルシステムはかなり変わり、なんとパズル要素が色濃くなっています。マリオの周りに並ぶ放射状のパネルを動かし、敵を整列させてから攻撃するという今までに見たことのないものです。

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▲リング状の一列、縦一列をそれぞれスライドさせることができるのですが、1ターンに動かせる回数と時間には制限があります

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▲整列が成功すれば、攻撃力アップ! 効率よく敵を整列させることで、戦闘の流れも有利になります

この新しい戦闘についてはほかにない面白さが味わえますが、課題もあると思います。初めは興味深く取り組めるのですが、システムに慣れてしまうと敵を並べるパターンが決まってきて作業化になりやすく、たび重なるモブ戦にテンポの悪さを感じてしまいがちです。シンボルエンカウントなので大抵は回避ができますし、格下の敵はジャンプやハンマーで戦闘に入らず倒せるのですが、いきなり飛び出て突進してくるような敵に攻撃を当てるのは難しいので、不本意ながら戦闘に突入してしまうという場面が何度かありました。経験値を手に入れることでレベルアップするシステムではなく、戦闘で得られるのは基本的にコインだけというのも、特に中盤以降のモブ戦の意義が薄くなる理由でしょう。本作に経験値という概念は存在せず、ストーリーを進めることで手に入るハートを使って最大HPを増やし、消耗品の強い武器で攻撃力を上げます。武器や冒険を補助する機能を持ったアクセサリーなどはコインで購入できるので、特に終盤になると多く必要にはなるのですが、モブ戦を楽しめるもうひとつの工夫が欲しかったというのが本音です。ただ、タイミングよくボタンを押すことでジャンプやハンマーの攻撃力を上げられる仕様はとても爽快で、戦いの手ごたえを感じました。

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▲コマンド入力まえにコインを使えば、金額に応じた人数のキノピオがヘルプに来てくれます。コインを積むほどアシストは強力に!

ボス戦に関しては、モブ戦とは少し違った趣向が凝らされています。リングの中央にボスが鎮座していて、マリオは外周が基本の立ち位置です。パネルに描かれた矢印に沿ってマリオは動き、アイコンを踏むことによって行動します。アイコンには攻撃、体力回復のハート、攻撃力アップなどの効果が振り分けられているので、プレイヤーはパネルを動かしてマリオの動くルートを決め効果的に行動させるのです。

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▲ボスキャラクターごとに攻撃パターンや弱点は全く違うので、まずはそれを探ることから……

終盤のボスになってくると戦闘はかなり難度が上がり、救済措置はあれど小さな子供が自力で攻略法を発見しクリアするのは難しい部分があると感じました。謎解きの救済システム同様、バトルを楽にする措置も用意されてはいるのですが、ボス戦こそ「自力で頑張った!」という達成感を味わいたいもの。逆に大人にとっては、攻略パターンに幅があまりないので攻略法を見つけてしまうと戦いが作業化しやすいという面もあります。モブ戦のシステムやボス戦の難度設定も含め、次回作ではよりエキサイティングにパワーアップした爽快バトルを期待したいですね。
逆に本作で推したいのは、謎解きの面白さ、魅力的な“カミ”の世界なのです。ところどころにこれでもかと散りばめられたギャグ、パロディ、皮肉などの小ネタもエンターテインメント性を豪華にしている楽しい要素で、ゲームの世界にドップリと入り込み堪能できる作品だと感じます。

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▲途中で仲間になる導火線のないボムへいは、多くのプレイヤーにとって忘れられないキャラクターとなるはずです

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▲BGMはどれも素晴らしいのひと言。楽曲のクオリティが高いからこそ、唐突に始まるカラオケ風のシーンがやけに笑えたりします

物語のラストシーンまで、笑いあり涙ありの大冒険です。可愛らしい絵柄からは想像がつかないような重いシーンもあり、何度も驚かされました。クリアまでの時間は30時間前後でしょうか。文句なしのボリュームだと思います。“大人も子供も無邪気に遊べる広大な遊園地”というのが、『ペーパーマリオ オリガミキング』に対する筆者の印象です。

最後に。娘がプレイを終えたしばらくあと、机の上にこんなものが置いてありました。いつも近くにある紙が大活躍する身近なのに遠い夢の世界では、きっと彼女自身もマリオと一緒に大冒険をしていたのでしょう。

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▲手製のカミッペラ!

フォトギャラリー

■タイトル:ペーパーマリオ オリガミキング
■発売元:任天堂
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:アクションアドベンチャー
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2020年7月17日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各5,980円+税


『ペーパーマリオ オリガミキング』オフィシャルサイト

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