
女の子を中心に絶大な人気を集めるTVアニメ『プリキュア』シリーズの第17作、『ヒーリングっど♥プリキュア』(毎週日曜朝8時30分~/ABCテレビ・テレビ朝日系列にて放送中)は“思いやり”と“絆”をテーマに、パートナーの“ヒーリングアニマル”と一緒に「地球をお手当てする癒やしのプリキュア」が活躍するというストーリー。
劇場作品『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』は、最新シリーズである『ヒーリングっど♥プリキュア』のほか、第16作『スター☆トゥインクルプリキュア』(以下『スタプリ』)、第15作『HUGっと!プリキュア』(以下『HUGプリ』)という3世代のプリキュアが集結。同じ一日が繰り返される不思議な世界での出来事が描かれる。
今回は、本作でプリキュア映画に初登場となる『ヒーリングっど♥プリキュア』(以下『ヒープリ』)チームのキャスト、キュアグレース/花寺のどか役の悠木 碧、キュアフォンテーヌ/沢泉ちゆ役の依田菜津、キュアスパークル/平光ひなた役の河野ひよりに取材。始まったばかりの『ヒープリ』の話題や、それぞれが思う『プリキュア』シリーズの魅力、映画の見どころなどについて話を聞いた。
取材・文 / 北野 創(リスアニ!) 撮影 / 小島マサヒロ
※このインタビューは2020年1月に実施したものです。
プリキュアは、大人たちにも夢と希望の栄養補給をしてくれるところが素敵だなと(悠木)

まずは皆さんが思う『プリキュア』シリーズの魅力、プリキュアに対する特別な想いや個人的な思い出についてお聞かせください。
悠木 碧 私は、『ふたりはプリキュア』(2004年~)が始まった頃にはもう結構大きくなっていたので(悠木は1992年生まれ)、実は世代的に当時あまりプリキュアを観たことはなかったんです。でも、大人になってから観てみたらハマってしまって。
子どもの頃って、生きているだけで自然と自分の中から「夢」や「希望」を見出すことができましたけど、大人になると「夢」も「希望」もすごく貴重なものになるから、それを自分の中から見出せるのはすごく素敵なことだと思うんです。プリキュアは、子どもたちに希望を見出すことの大切さを訴えるのと同時に、大人たちにも夢と希望の栄養補給をしてくれる。そんなところが素敵だなと思いながら観ていました。

悠木さんは『キラキラ☆プリキュアアラモード』(2017年~)に登場するキュアショコラ/剣城あきらに一目ぼれしてから、プリキュアを熱心に観るようになったそうですね。
悠木 そうなんです! キュアショコラのデザインを見たときに「このキャラは絶対に推せる!」と思って観始めたら、お話もめちゃくちゃ良くて「あれ? めっちゃ元気になる!」みたいな感じになって(笑)。
それまでは子どもたちに人気がある作品という印象だったんですけど、毎話観るごとに、自分が忘れていた世界の素敵なところをいっぱい教えてもらっているような気がして、アニメってこうあるべきだなと思う部分がすごくたくさん詰まっているなあと思いました。きっと大人になって観たからこそ、刺さった部分も多かった気がします。
依田さんが思うプリキュアの魅力は?
依田菜津 私はとにかく勇気をくれるところがプリキュアの魅力だと思っていて、特に過去に出演させていただいた『スタプリ』(2019年)と『HUGプリ』(2018年)からは、個人的にすごく背中を押してもらったんです。
私も大人になってから、夢の見方を忘れていたようなところがあって(笑)、心の中では「プリキュアになりたいな」と思っていたけど、なかなか言い出すことができなくて。そんなときに「大人でもプリキュアになりたいって言っていいんだよ」と教えてくれたのが、『HUGプリ』という作品だったんですね。それで一歩踏み出して、オーディションを受けさせていただきました。プリキュアはいろんな人に勇気を与えていると思いますし、私も勇気をもらった分、たくさんの人に勇気を返せるようなプリキュアになれればと思っています。
『HUGプリ』のキャッチコピー「なんでもできる!なんでもなれる!輝く未来を抱きしめて!」に励まされたわけですね。
依田 はい! それとこれは個人的な話なのですが、私は『HUGプリ』のキュアエール(野乃はな)を演じている引坂理絵ちゃんとデビュー当時から仲が良くて、キャリアが自分と同じくらいの彼女が「なんでもできる!なんでもなれる!」って頑張ってる姿がすごく心に響いていたんです。
そんなときにたまたま『HUGプリ』の現場に参加させていただくことになって、私はそのとき、若宮アンリの幼少期を演じさせていただいたんです。しかもそのときの私のセリフがひと言だけで、「見て、ボク、なんでもできる!」だったんですよ。

おおっ! その話数は「なりたい自分になる」という『HUGプリ』の作品テーマを象徴する回でした。
依田 それが自分の中で「そうかもしれないな」と心変わりするきっかけになって。他にも、当時『HUGプリ』のOPテーマを歌っていた宮本佳那子ちゃん(『ドキドキ!プリキュア』のキュアソード/剣崎真琴役)が「ねえ、なっちゃん(依田)はいつプリキュアになるの?」と言ってくださったり、理絵ちゃんに「私、プリキュアになりたいんだよね」と明かしたら「なれるよ!」と言ってくれたり、作品だけでなく携わるプリキュアチームの皆さんが、私に「なんでもできる!なんでもなれる!」ということを少しずつ教えてくれたんです。
なるほど。その後、依田さんは翌年の『スタプリ』で、キュアソレイユ/天宮えれなの双子の弟の天宮たくと/いくと役を演じられました。
依田 『スタプリ』は1年通して参加させていただいたので、未知の領域に飛び出していくという作品テーマはとても心に響きました。しかも第2話(「宇宙からのオトモダチ☆キュアミルキー誕生!」)でララちゃん(キュアミルキー)が、自分がプリキュアになれる確率は0.000000012%だとAIに言われて、自分で「私は絶対にプリキュアになれない!」と言っていたんですけど、そんなララちゃんがプリキュアになるんですよ。そうやって私に「誰だって自分のなりたいものになれるんだ!」ということを教えてくれたのがプリキュアなんです。
プリキュアは何度でも始められるし、何度でも戻ってこられる作品だと思っています(河野)
河野さんはいかがですか?
河野ひより 私は幼少期に初代(『ふたりはプリキュア』)を観ていたドンピシャ世代なので、憧れを抱いていたのはもちろん、プリキュアが自分の頑張る原動力でもあったんです。例えば小さい頃って携帯(電話)を持つことに憧れるじゃないですか。でも、持たせてもらえないから……。
依田 カードコミューン(『ふたりはプリキュア』の変身アイテム)?
河野 そうなんですよ! ああいう携帯っぽい形のものを持てるのがうれしくて。あと、親から「夏休みの宿題が全部終わったらプリキュアのゲームを買ってあげる」とか言われて宿題を早く終わらせたり、怒られるときも「そんなことばかり言ってたらプリキュアになれないよ!」と言われたりして(笑)。
私は小さい頃、本当にプリキュアが存在していると思っていたし、なんなら自分も運が良ければプリキュアになれると思っていたので、「もっと強くなるために牛乳を飲まなきゃ!ご飯もちゃんと食べきらなくちゃ!」という感じだったんです。
一同 (笑)。

河野 その後も成長と共にプリキュアの見方が変わっていって。小さい頃はただただかわいくて好きだったのが、だんだん「こういう大人っぽい友達がいてくれたらなあ」とか「中学生ってこういう生活をしてるんだ」と思いながら観るようになって。
私は中学生の頃から深夜アニメを観始めたんですけど、その頃にキッズステーションで『Yes!プリキュア5』(2007年~)の再放送をやっていたので観直したら、緻密に作られているから、どの時代に観ても面白いんですよね。プリキュアは何度でも始められるし、何度でも戻ってこられる作品だと思っていて。いつまでも自分の中の憧れで居続けてくれるのが、私にとっての魅力です。
河野さんはプリキュアと共に育ってきたんですね。そういえば今年の年始にツイッターで、実家でコミック版『ふたりはプリキュア』の単行本を見つけたとつぶやかれていました。
河野 あっ、はい! そうなんですよ! 私は当時「なかよし」読者だったので、上北ふたご先生のプリキュアの連載が始まったときも、ちょうど本誌で読んでいたんです。初めて読んだときから「わっ!絵が上手い!」と思って。
依田 私も「なかよし」で連載を読んでいました。私は世代的にプリキュアの初代をかすったぐらいなんですけど、「なかよし」は小学校高学年ぐらいまで買っていたので、ふたご先生の連載もずっと読んでいて。藤P先輩(『ふたりはプリキュア』の登場人物・藤村省吾)かっこいい!って言ってました(笑)。