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第1話の世界観が第2話でぶち壊される! TVアニメ『デカダンス』で描かれる“ディストピアの中のディストピア”で師弟コンビはどう生きる

第1話の世界観が第2話でぶち壊される! TVアニメ『デカダンス』で描かれる“ディストピアの中のディストピア”で師弟コンビはどう生きる

2020年7月8日(水)より放送中のTVアニメ『デカダンス』。本作はアニメ『幼女戦記』などを手掛けているスタジオ・NUTによる完全新作オリジナルアニメで、監督を立川 譲(『劇場版名探偵コナン ゼロの執行人』『デス・パレード』など)、脚本・構成を瀬古浩司(『BANANA FISH』『ヴィンランド・サガ』など)が担当。初回放送の際には、独特の世界観やダイナミックな戦闘シーンが話題となった。……が、第1話エピローグから第2話にかけての展開に、筆者は当初考えていた世界観がぶち壊され、大きな衝撃を受けることに。本稿では、そんなアニメ『デカダンス』序盤の魅力をお届けする。

文 / 長田雄太


荒廃した世界と巨大要塞で繰り広げられる人類の壮大なサバイバル

舞台となるのは、突如現れた未知の生命体“ガドル”によってディストピアとなった世界。生き残った人類は巨大な移動要塞“デカダンス”を建造し、ガドルと戦う“ギア”、戦う力を持たない“タンカー”に分かれて暮らしている。そんな本作の主役は、タンカーでデカダンスの装甲修理を行っているカブラギと、彼のもとで仕事を行うことになったギアを夢見る少女・ナツメ。ふたりが生活するデカダンスは、その構造もさることながら、住んでいる人々の生活様式など、どれもオリジナリティに溢れていて知れば知るほど面白い。

▲寡黙で職人気質なカブラギと、そのもとで働くナツメ。ナツメは幼少期にガドルの襲撃に遭い、父親と右腕をなくしている。

▲ガドルは様々な種類が存在。人類にとっては憎むべき存在だが、その生態はユニークで、“オキソン”と呼ばれる血液はデカダンスの動力に、肉は食料になったりと、興味をそそられる生命体だ。

▲同じ人類だが、ギアは外見がカラフルで“かの力”という組織に所属し、ガドルを相手にデカダンスの防衛を行っている。なお、ごく一部のタンカーはガドルと戦う力を持ち、かの力にも所属している。

そして見どころと言えば、何と言っても人類とガドルの戦闘。ガドルは防衛本能で自身のまわりの重力を不安定にする磁場を発生させるのだが、人類側はそれを利用し、特殊なガジェットで空中戦を行い対抗する。アニメ『幼女戦記』を観たことがある人ならイメージしやすいと思うが、NUTが描く空中戦は臨場感抜群だ! 無重力下にいるような浮遊感と、空中を縦横無尽に飛びガドルに攻撃する様は、筆者を大いに興奮させてくれた。

▲戦闘では背負ったタンクで宙に浮き、注射針のような武器を打ち出して攻撃。ガドルを失血させ、針から噴き出したオキソンをタンクで回収するという、効率のいい作りになっている。こういったガジェットひとつ取っても、本作には構造などの詳細まで知りたくなるような要素が、数多く散りばめられている。

▲全長が3,000mもあるデカダンスは、なんと変形が可能。個人的には戦闘中に巨大要塞が変形するだけでもテンション爆上がりなのだが、こぶしを握り締めたような“合掌”形態になり大型ガドルに強烈な一撃をお見舞いするシーンには、思わず鳥肌が立った。

第2話で明かされる世界の真実 ※ネタバレあり

巨大要塞のなかで生活する人類が、ガドルと戦いながら荒廃で生き抜くサバイバルもの。これだけでも十分面白そうなアニメだが、第2話ではなんと、第1話で観てきた壮大な世界観が『デカダンス』のほんの一部でしかないことが冒頭から明らかになる。というのも、本作は未来の地球が舞台となっており、そこでは全身が機械の“サイボーグ”たちが生活。彼らは自我を持っており、巨大企業ソリッドクエイク社と社会を維持するための“システム”に支配され、徹底管理されている。

▲第2話から本格的に登場するサイボーグたちはカラフルで、かわいくデフォルメ化されている。デカダンスで生活する人々とは絵のタッチも異なり、同じアニメでまったく違った作画が楽しめるのも本作の見どころだ。

ではデカダンスと人類はどこにいるのかというと、ユーラシア大陸に作られたドーム内に閉じ込められており、そこでガドルの脅威にさらされながら延々と命懸けのサバイバルをさせられている。そして、サイボーグたちは素体(生身の肉体)へと意識を移すことで、人類がいる側へと“ログイン”が可能。ギアとしてリアルを舞台にしたゲーム“デカダンス”に参加し、オキソンを回収してランキング上位を目指している。つまり、人類(タンカー)はシステムに管理されたディストピアのなかに作られた、荒廃した世界というさらなるディストピアのゲームフィールドで命懸けの生活を強いられているのだ。しかも、人類側はなぜかその事実を知らずに生活している様子。ソリッドクエイク社は人類の所有権も持っており、もし自分がタンカーと同じ立場だと思うと、考えただけで恐ろしい……。

▲サイボーグはゲームのプレイヤーで、ギアの身体はアバターのようなもの。ギアをサポートするタンカーはNPCのような役回りなのだろうが、意思を持った生身の人間だと思うとゾッとする。

第2話にして前回とはまったく異なる様相を呈してきた本作。予想外の展開に、筆者は第1話のときとはまた違った興奮を覚えたが、第2話ではさらにカブラギがサイボーグ側であることも明かされる。ゲームの元トップランカーだったカブラギは、ある事件をきっかけに矯正のためタンカーとして働く身に。また、裏ではシステムにとって都合の悪い存在“バグ”となったタンカーの死体から、埋め込まれたチップを回収する役割を与えられている。

▲サイボーグ姿のカブラギ。トップランカーで多くのサイボーグに尊敬されていたが、今はシステムに不満を抱きつつも、その下で裏の仕事を行っている。タンカーのときとは渋いが、サイボーグになるとかわいい。

▲ゲーム内でチート行為をしたサイボーグはスクラップに……。システムに管理された世界では、あらゆる行動が監視されており、バグとみなされたサイボーグや人間は消されてしまう。もちろん、人間側はそのことも知らない。

そんなある日、ナツメはカブラギの裏の仕事を偶然目撃してしまう。本来ならこの時点でバグとして消させるはずのナツメだが、なんとシステムからはすでに死亡扱いとなっていたため何も起こらず。その事実は、虚無感を抱いていたカブラギにとって小さな希望となり、ナツメがこれからどうやって生き抜いていくのかを見届けるため、ガドルと戦う術を教えることになる。密かにシステムの支配に逆らおうとするバグ、システムに感知されないバグ、さらにカブラギのペットで、磁場を発生させられないというバグを持ったガドルのパイプ……。バグ達がシステムに管理されたディストピアで彼らはどう生きていくのか、第1話から興奮しっぱなしのアニメ『デカダンス』は、これからも見逃せない!

▲パイプはガドルでありながら人を襲ったりせず、小さくて癒しの存在。ガドルのバグであるパイプに親近感をもったカブラギが秘密裏に飼っている。

▲最新の第3話は修業回。本来戦闘には参加しないタンカーのナツメが、元トップランカーであるカブラギの指導でどこまで戦えるようになるか注目だ。

なお、本作は「ABEMA」「dアニメストア」などの見放題サイトにて最新話まで配信中。アニメのオフィシャルサイトでは、登場した各ガドルの詳細、用語解説やスタッフ、キャストへのQ&Aなどを見ることができる。作品の世界をより深く知るうえでとても役に立つので、興味を持った方はぜひ確認してほしい。

TVアニメ『デカダンス』

2020年7月8日(水)より放送中

【放送情報】
AT-X 7月8日より毎週水曜日23:30~
(リピート放送:毎週金曜15:30~/毎週日曜21:30~/毎週火曜7:30~)
TOKYO MX 7月8日より毎週水曜日25:05~
テレビ愛知 7月8日より毎週水曜日26:35~
KBS京都 7月8日より毎週水曜日25:05~
サンテレビ 7月8日より毎週水曜日25:30~
BS11 7月9日より毎週木曜日23:00~

【配信情報】
ABEMA 7月8日より毎週水曜日24:00~
dアニメストア 7月11日より毎週土曜日 24:30~
※配信日時は変更になる場合あり。

【STAFF】
原作:DECA-DENCE PROJECT
監督:立川 譲
構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン・総作画監督:栗田新一
キャラクターコンセプトデザイン:pomodorosa
サイボーグデザイン:押山清高(スタジオドリアン)
デカダンスデザイン:シュウ浩嵩
ガドルデザイン:松浦 聖
サブキャラクターデザイン:谷口宏美、緒方歩惟
プロップデザイン:月田文律 、秋篠Denforword日和(Aki Production)
ビジュアルコンセプト:村上 泉、増田哲弥
美術監督:市倉 敬
色彩設計:中村千穂
撮影監督:魚山真志
3DCGIディレクター:高橋将人
編集:神宮司由美
音楽:得田真裕
音響監督:郷 文裕貴
アニメーション制作:NUT
製作:DECA-DENCE PROJECT

【CAST】
カブラギ:小西克幸
ナツメ:楠木ともり
ミナト:鳥海浩輔
クレナイ:喜多村英梨
ドナテロ:小山力也
フギン:子安武人
ムニン:三石琴乃
ターキー:青山 穣
マイキー:坂 泰斗
フェイ:柴田芽衣
リンメイ:青山吉能
フェンネル:竹内栄治
パイプ:喜多村英梨
ジル:村瀬迪与
サルコジ:うえだゆうじ

©DECA-DENCE PROJECT

『デカダンス』オフィシャルサイト
http://decadence-anime.com/
『デカダンス』オフィシャルTwitter
@decadence_anime