Interview

映画『君が世界のはじまり』金子大地×甲斐翔真、エモい”一夜の想い出”を告白。「青春でした」

映画『君が世界のはじまり』金子大地×甲斐翔真、エモい”一夜の想い出”を告白。「青春でした」

あの頃、いつも何かに押し潰されそうだった。

そんな10代特有のもがきと痛みを、静かに、だけど熱く描いた青春映画が誕生した。それが、7月31日(金)公開の映画『君が世界のはじまり』だ。

映画と小説という2つのフィールドで才能を示すふくだももこが、自身の原点とも言える短編小説『えん』と『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』をベースに自らメガホンをとって映画化。10代の一瞬の感情の爆発を鮮烈に焼きつけた。

俳優たちの放つ光も、鈍くて鋭い。東京から引っ越してきた転校生・伊尾に扮するのは金子大地。女子生徒から熱い視線を浴びる人気者・岡田を甲斐翔真が演じている。10代という季節を終え、大人として社会で生きるふたりは、この映画からどんなことを感じ取ったのだろうか。

取材・文 / 横川良明 撮影 / 増永彩子


高校時代の僕は悩むことから逃げていた。(金子)

君が世界のはじまり 金子大地 WHAT's IN? tokyoインタビュー

映画の中では高校生の閉塞感や危うさがリアルなタッチで描かれていましたが、おふたりは高校生の頃、何に悩んでいましたか。

甲斐 何に悩んでただろう……。

金子 僕はあまり悩みがなかったですね。あったとしてももう思い出せないぐらい小さな悩みだったんだと思います。そう思うのは、逃げていたからなのかなって。

逃げてた?

金子 学生時代は何か問題があっても、悩むことだったり、そういう難しいことから全部逃げていたと思います。なので僕の演じた伊尾もそうですし、この映画に登場する人物はみんなあの頃の僕よりずっと強いなと感じました。僕はただ毎日友達と楽しく過ごしていただけだったので…(笑)。(甲斐に)あった? 悩み。

甲斐 なかったかもしれない。僕の高校時代はとにかくずっとサッカーをやっていて。その中で「あいつよりできない」とか「どうしたらもっとうまくなるんだろう」みたいな悩みはあったけど、人生懸けた本気の悩みっていうほどではなくて。高校もサッカー推薦だったから受験でものすごく苦労した経験もないし……この映画を撮りながら、「そんなに悩んでなかったんだな俺」って気がつきました。

甲斐さんの演じた岡田は、6人の高校生の中ではとても真っ当な人物ですよね。

甲斐 岡田は普通の家庭で普通に育ってきて、当たり前のことを当たり前のようにやってきた人なんですよね。だから、悩んでいる人にも簡単に答えを言ってしまえる。岡田は「人を殺さない」って当たり前のように言えるけど、でもそう当たり前に言い切れるのはあの中では岡田だけで。他の人たちは自分は殺しかねないという、ある種の共感を持っていた。でもそんなことに気づかないぐらい、岡田は嫌味なく育ちがいいんです。

金子 確かに岡田の悩みって何? と言われたらわからない。でも、だからこそ何かあるんじゃないかなって思いながら岡田のことを見ていました。ショッピングモールのシーンが終わって、明け方にみんなで帰るとき、岡田がひとり立ち止まって「俺らってガキやな」と言うシーンがあるんですが、あの青春してるっていうことをわかって青春している感覚って、大人へ向かっている証拠なんじゃないかと思うんです。あの台詞はすごくリアルだなと思いましたね。

卒業式の夜、制服のままみんなで公園に集まったのは青春でした。(甲斐)

君が世界のはじまり 甲斐翔真 WHAT's IN? tokyoインタビュー

あのショッピングモールの一夜は、この映画の中でも極めてエモいシーンでした。

甲斐 大変でしたね、特にバンドのシーンは。

伊尾に関しては、そんなキャラだっけ? というぐらい弾けていました(笑)。

金子 怒りだったり楽しさだったり、いろんな感情を歌にのせて爆発させるシーンだったので、必死でした(笑)。

甲斐 ギターなのに、俺のところからドラムを持っていくんですよ。

金子 そうそう(笑)。

あの動きは何かディレクションがあったわけではなく?

金子 なかったですね。

甲斐 もうフリーダムで(笑)。

金子 なにかやらないといけない、と思ったので、目の前にあったドラムを持っていきました(笑)。

あのシーンは長回しで一発撮りですか? それとも細かく刻んで?

甲斐 だいぶ刻んで、何度も撮り直しました。だから体力的にも肉体的にも結構キツかった。

金子 疲れたよね。

甲斐 だからオッケーが出たときはホッとした。難しいし、緊張感のあるシーンだった分、やり終えた達成感はありましたね。

あのショッピングモールの夜のような、エモい一夜の想い出はありますか。

甲斐 高校の卒業式の夜、制服のままみんなで公園に集まったんですよ。最後にみんなでバカして笑って。今までそういうことをやったことがなかったので、あれは青春だなって感じがしました。

まさに俳優として踏み出そうとしていた頃ですよね。そのとき、どんな想いが胸にありましたか。

甲斐 そう言われてみると確かにみんなと温度差はあったかもしれないです。大学は人生の夏休みだって聞いたことがありますが、もちろん大変な人もいるとは思うんですけど、周りの人たちは大学に受かって、これから人生の夏休みが始まるような、そういうワクワク感があった。けど、僕はこれからある意味ずっと受験みたいな感じだから、頑張らないといけないなっていう緊張感があって。その違いはなんとなくですけど感じていました。

君が世界のはじまり WHAT's IN? tokyoインタビュー

金子 僕は友達みんなと自転車に乗って、夜中に1時間くらいかけて心霊スポットに行ったんですけど、怖すぎて中に入らず帰ってきたことがあります。

甲斐 アホだね(笑)。

金子 アホだなって思いました(笑)。みんな怖がっていて、「お前行けよ」「お前行けよ」の押し付け合い。それで最終的には「じゃあやめよう!」ってなってそのまま帰りました(笑)。

甲斐 でも楽しいね、そういうの。何も考えずに行きたいところ行って、何にもせずに帰って。そういうことができるのは高校生ぐらいだと思う。

この世界に入って根拠のない自信をボコボコにされました(笑)(金子)

君が世界のはじまり 金子大地 WHAT's IN? tokyoインタビュー

10代の頃って、何者にもなれない焦りとか、自分なら何でもできるという根拠のない自信とか、いろんな感情が渦巻いていますが、おふたりはどうでしたか。

金子 僕は根拠のない自信の塊でしたね(笑)。

甲斐 おお、すごい。

金子 なぜか「俺が主人公だ!」くらいの気持ちでいました(笑)。

甲斐 世界の中心は俺だと。

金子 そう、「俺だ!」と。

その根拠のない自信は、いざ社会に出てどうなったんですか。

金子 とにかくボコボコにされました(笑)。

甲斐 (笑)。

君が世界のはじまり WHAT's IN? tokyoインタビュー

甲斐さんはどうですか。

甲斐 僕は、自分の思ったことを言うのがあんまり好きじゃなくて、思っていることを素直に言える人たちが羨ましいなって思っていましたね。そういう意味では岡田に似ているかもしれないです。岡田が琴子みたいに思ったことをバンバン言う子に惹かれるのもわかります。

似ているという点では、金子さんは北海道出身ですよね。伊尾の「この町から早く出ていきたい」という気持ちは共感できますか。

金子 僕の場合は少しニュアンスが違うかもしれないですね。東京に来る前は根拠のない自信があったので「東京でも行けるかもしれない!」と思っていました(笑)。

甲斐 俺が世界の中心だからね(笑)。

金子 「俺は北海道でおさまる人間じゃない。東京からもっと世界へ羽ばたかなきゃ」というような(笑)。

甲斐 スケールでかいな(笑)。

金子 それがいざ東京に出てみると、自分のスケールの小ささに驚きました。最初は友達もいなかったので、ずっとひとりでしたし。東京って、自分ひとりの力が試される場所だなと感じて。「僕は仲間がいたから強かったんだ」「本当はすごく弱い人間なんだ」と思って悲しくなりました。

実はWHAT’s IN? tokyoでは金子さんがブレイクする以前の2017年に取材をさせてもらっていて。上京してすぐの頃はオーディションに受からなくて悩んでいたとおっしゃっていました。

ドラマ『明日の約束』出演中の注目俳優 金子大地 “俳優部”として歩んで3年、理想の俳優像とは?

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2017.10.31

金子 オーディションはものすごく落ちました! デビューのきっかけになった「アミューズオーディションフェス2014」ではすごくスムーズに賞を頂けたこともあって、最初はすごく自信があったんです。オーディションを受けていた当時は、眉毛も薄くて、ネックレスをして、すごくギラギラしていました(笑)。最初に受けたオーディションが清涼飲料水のCMだったんですが、「CMとってきます!」という感じだったので、一瞬で落ちました。そんな人が受かるわけないですよね(笑)。

甲斐 あははは(と、お腹を抱えて笑っている)。

金子 そこから何十回も色んな作品やCMのオーディションに落ちて、もうボコボコにされました。根拠のない自信が一気にどん底になりましたね(笑)。

10代をどう過ごすかで、その後の人生が決まってくる。(甲斐)

君が世界のはじまり 甲斐翔真 WHAT's IN? tokyoインタビュー

甲斐さんはどうですか。大人になって変わったところはありますか。

甲斐 えー……。(と、考えて)味覚ぐらいです。

金子 それだけ!?(笑)

甲斐 (笑)。昔は野菜が嫌いだったんですけど、今はわりと食べられるようになった。

金子 いや、それだけ!?(笑) まあでも変わらないって強いことだと思います。

甲斐 もちろんオーディションに何十回も落ちて、悔しいなと思うことはあったけど、「それって当たり前でしょ?」と思う自分もいて。スポーツを12年やってきて、理不尽なことで怒られるのにも慣れていたおかげでメンタルは鍛えられていたのかもしれない。練習中に水飲むなとか、そういう根性論が僕らの頃はまだギリギリあったので。

金子 僕はバスケ部だったんですが、練習はかなりきつかったですね。

甲斐 そうそう。そういうのを経験してきているから、この世界に入ってキツいことがあっても頑張れたのかも。だから、根本の部分は高校の頃と何も変わっていない気がします。基本的にマイペースなんです、僕は(笑)。

君が世界のはじまり 金子大地 WHAT's IN? tokyoインタビュー

では最後に、大人になってみて改めて10代ってどういう時間だったと感じていますか。

甲斐 人とのコミュニケーションのとり方だったりマナーだったり知識だったり自分の進むべき道だったり、そういうのは全部10代で何と向き合うかにかかっているような気がします。10代の頃に何をして生きて、何を吸収して、誰と出会うかで、その後の人生が決まってくる。すごく大事な時期だと思います。そういう意味でも本当は客観的にいろいろ見極めなきゃいけないんだけど、大人に指図されると腹が立つんですよね(笑)。だから、10代をどう過ごすかなんて大人がどうこうできる問題じゃないし、結局は結果論でしかない。思うがままに生きられる時期でもあるし、たくさん後悔する時期でもある。大人になって、「あのときもっとああすれば良かった」と思うまでがワンセットなんだと思います、10代って。

金子 10代の頃の自分って、今思えばすごく嫌いなタイプなんです。根拠のない自信でいっぱいだった10代の自分もいれば、どん底を味わってメンタルをボコボコにされた20代の自分もいる。なので、どう過ごしたとしても、最終的にはいい意味で帳尻が合うのかなって。今はそんな気がしています。


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金子大地

1996年、北海道生まれ。『アミューズオーディションフェス2014』俳優・モデル部門を受賞。デビュー後はさまざまなドラマ・映画に出演。近年の主な出演作にドラマ『明日の約束』(17/KTV)『おっさんずラブ』(18/EX)『チート〜詐欺師の皆さん、ご注意ください〜』(19/YTV)映画『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』(19)『殺さない彼と死なない彼女』(19)などがある。W主演映画『猿楽町で会いましょう』が公開を控える。

オフィシャルサイト
https://artist.amuse.co.jp/artist/kaneko_daichi/

オフィシャルInstagram
@daichikaneko_official

甲斐翔真

1997年、東京都生まれ。2016年、『仮面ライダーエグゼイド』パラド / 仮面ライダーパラドクス役で出演。近年の主な出演作に「花にけだもの」シリーズ(18・19/CX)映画・ドラマ『覚悟はいいかそこの女子。』(ともに18/ドラマ・TBS)映画『君は月夜に光り輝く』(19)『シグナル100』(20)『#ハンド全力』(20)などがある。今年は『デスノート THE MUSICAL』主演 ・夜神月役でミュージカルデビュー。11月には東宝ミュージカル『RENT』の公演が控える。

オフィシャルサイト
https://artist.amuse.co.jp/artist/kai_shouma/

オフィシャルTwitter
@kai_shouma

オフィシャルInstagram
@kai_shouma

フォトギャラリー

映画『君が世界のはじまり』

7月31日(金)より テアトル新宿ほか全国ロードショー

出演:松本穂香、中田青渚、片山友希、金子大地、甲斐翔真、小室ぺい
板橋駿谷、山中 崇、正木佐和、森下能幸、江口のりこ、古舘寛治

原作・監督:ふくだももこ 『えん』『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』
脚本:向井康介
企画制作:オフィス・シロウズ
配給:バンダイナムコアーツ
製作:『君が世界のはじまり』製作委員会、バンダイナムコアーツ、アミューズ、オフィス・シロウズ

オフィシャルサイト
https://kimiseka-movie.jp/

©2020『君が世界のはじまり』製作委員会