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笑わずにはいられない『ヒューマン フォール フラット』物理エンジンに翻弄されるふにゃふにゃの面白さ

笑わずにはいられない『ヒューマン フォール フラット』物理エンジンに翻弄されるふにゃふにゃの面白さ

物理エンジンで動くふにゃふにゃのキャラクターが主役のオープンワールドパズルゲーム『ヒューマン フォール フラット』は、今までにPC版、PlayStation®4版、Nintendo Switch™版、スマートフォン版と多くのプラットフォームでダウンロード版が発売され人気を博しているタイトルです。2020年6月にNintendo Switch™版のパッケージが、新たに10種の限定スキンを収録して発売となりました。本稿ではこのパッケージ版をプレイし、改めて人気シリーズの魅力に迫ります。まずはとにかくファニーなトレーラームービーを見て、キャラクターの面白い動きにひと笑いしてみてください。

文 / 内藤ハサミ


翻弄されながらのプレイが楽しい!

夢の世界に入り込んでしまった主人公のボブは、そこから脱出するためにステージにあるさまざまなものをうまく使って仕掛けを解き出口を目指す……と、ストーリーと目的は非常にシンプルです。オープニングムービーなどはなく、上空から落ちてきたボブが地面に叩きつけられてゲームがスタートします。このあまりにもぞんざいな描写には、思わず笑ってしまいました。

ヒューマン フォール フラット WHAT's IN? tokyoレビュー

▲かなり高いところから落ちてくるボブ。夢のなかでよかった!

どんな高所から落ちてもボブはダメージを受ませんし、死にません。ステージの上下はループしており、ボブがもし落ちてしまっても細かに設置されているチェックポイントの上空から再びステージ上に落ちてきて、すぐにリトライできます。

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▲ボブの見た目はカスタム可能です。さまざまなスキンが取り揃えてあるだけではなく、各パーツの色も細かく変えることができて楽しいのです。これはパッケージ版限定スキンの“パントマイム”

直感的な操作感とは裏腹に、キャラクターの動きはプルプルでふにゃふにゃ。ゲーム内オブジェクトの動きは非常にリアルなのですが、キャラクターはコンニャクのようで人体とは違う物理法則によって緩く動いています。普通に歩いていても、酔っ払いの千鳥足みたいにフラフラと不安定です。ジャンプをしたら腕や足がそのはずみで体の後ろに絡まってしまったり、オブジェクトを掴んで引きずり歩いているうちに足がもつれて転んでしまったり。夢のなかでは思ったように体を動かすことができないという感覚が非常によく表現されていて面白いですが、最初は誰もが動かしにくいと感じるでしょう。腕を上げる角度とカメラの角度が連動している、という珍しい仕様もプレイヤーが戸惑う点かもしれません。どこかにつかまったり壁にあるボタンを押したりするときもカメラを上下させ、腕の高さを調節するのです。壁や崖を登るときにもこの動きを利用するのですが、かなりクセのある操作でもどかしい思いをしました。

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▲慣れないうちはジャンプの距離を見誤り、登るのが難しい崖の側面にくっついてしまったりも……。こちらも限定スキンの“リングマスター”です

しかし、操作に慣れるまでの時間も漏れなく楽しめてしまうのが本作の良さ。手足が絡んで崖から落下しても、狭い足場にジャンプしたあと体が揺らいで落ちてしまっても、ついつい笑えてしまいます。失敗したという演出が全くなく、すぐにボブが上空から落ちてきてリトライとなるのでストレスを感じにくいのもいいですね。また、ままならぬ動きが思わぬスーパープレイを招くこともあり、無表情のボブのシュールさと相まって笑えます。

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▲プレイアブルキャラクターとして、犬の“バディ”とダミー人形の“クラッシュ”も選べます

下のスクリーンショットは、赤・青の2色のケーブルとそれを繋ぐことができるコネクター。もちろん、これらをどうすれば何を動かすことができるのかについては一切説明がなく、無造作に置いてあるだけです。まずこれらのオブジェクトに触って特性を掴み、いろいろな可能性を考えて実行してみます。

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▲何かの動力になるようですが……どうやって何を動かすのでしょうか

ステージの攻略に繋がるオブジェクトの使用方法はひとつではなく、実はかなりのバリエーションがあります。紹介したケーブルだけでなく、ステージに置いてあるあらゆるものがそうです。1本の木の棒でも木という素材を活かした使いかたができるし、長い棒という特性を活かした使いかたも可能。しかもどこにどう使うか、何と組み合わせるかということまでプレイヤーの自由で、それにより解法のパターンはかなりの数となるでしょう。実現可能な方法さえ見つけられれば、ギミックを解かずに塀をよじ登って壁を越えることで先に進んでしまうことさえもできます。とにかく、ゴールまでたどり着ければOK。行く手を邪魔する敵キャラクターも存在しないので、じっくり仕掛けを解くことに取り組めます。頭を柔らかくして考え、自分なりの攻略法を見つけていく楽しさは堪えられません。

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▲スイッチを押している間だけ先に進める扉が開き、離れると閉まってしまいます。ある程度重いものをバディの代わりに置くことで解決しそうですが……。実は「そんなのアリ!?」という解きかたも可能。全編にわたり、自由なひらめきが成功する小気味よさを味わえます

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▲9ステージ目の“アステカ”。パッと見渡しただけでもたくさんの仕掛けがありそう

前半のステージはマップが狭く、攻略法が思いつきやすいオブジェクトが落ちているのですが、後半になるにつれてマップは広くなっていき、ひと目見ただけでは何をどこにどう使うのかがわかりづらい構成になってきます。それでも方法さえ見つけてそれを実行できる技術さえあれば、大胆なショートカットでクリアすることが可能なのです。筆者もいくつかのステージで大幅なショートカットができるルートを見つけましたが、まだまだ別のパターンが見つかりそう。ということで、新しいステージに突入すると周りをくまなく見渡して状況を把握し、出来る限りのことを試してみるクセがつきました。目論見が全く当たらないこともかえってすがすがしく感じるくらい、トライアンドエラーが楽しいのです。ステージはアップデートで続々増え続けており、今後も新ステージを実装予定とのこと。新たなテーマ、新たな趣向を凝らしたステージに早く出会いたい!

面白さの真骨頂は協力するマルチプレイにあり!

ソロプレイでエンディングまで到達した筆者は、画面分割の2人協力プレイで改めて家族と遊んでみました。すると、本作に全く違った面白さが加わることに驚きました。ソロプレイの場合は、自分の頭だけで考えた攻略方法を実行するのみでしたが、プレイヤーが2人いることで攻略方法に広がりが出ますし、一緒にプレイしている相手から新たなアイデアを得られる新鮮さがあるのです。

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▲小学生の娘(バディ)と協力プレイ。「ギミック解除の道具として使ってみよう」と、かなり重いベンチを持ち上げますが……

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▲足を踏み外してベンチにしがみつく筆者(ボブ)。別にここから落ちてもミスになるわけではないのですが、必死にしがみつくボブの姿と無表情に見つめるバディの姿に笑えてしまいます

よかれと思って相手のアシストをしたつもりがかえって邪魔になったり、ステージから落下しそうになった相手を引き上げようとして一緒に落ちてしまったり、と思わぬアクシデントも激増してとってもエキサイティング! つねにゲラゲラと爆笑しながらのプレイとなり、1時間もプレイすれば喉が痛くなるくらいでした。

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▲ボートのオールを1本ずつ担当して威勢よく船を漕ぎ出したのはいいものの、全く息が合わず砂浜に乗り上げて大笑い

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▲投石機を発見。「ママ、ちょっと私を投げてみてよ」、「わかった、しっかり飛んでね」と、普段の生活には一切出てきたことのない不思議な親子の会話が交わされました……

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▲本当は門の隙間に投げ込む予定だったバディは、門の上部に激突! ふたりで大爆笑です

ローカルではこの画面分割の2人プレイのほか、通信で最大8人のプレイが可能です。また、インターネット通信でも同じく最大8人でのプレイができる(別プラットフォームとのクロスプレイには非対応)とのことで、さっそく筆者も参加してみました。メニューからインターネット通信ロビーに入室できます。自分がホストとして部屋を作ってもいいのですが、今回はすでにプレイが行われていて、人数に空きがある部屋に参加してみました。

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▲塀に囲まれた狭い空間にプレイヤーたちが集います

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▲一斉に攻略開始!

オンラインでの8人プレイを経験して、おそらく本作のマルチプレイに最適な人数は2人であろうと感じました。人数が多くなるにつれ個々の動きがわかりづらくなりますし、プレイヤーがバラバラに別ルートからの攻略を始めてしまうこともありがちです。1人でもゴールにたどり着けば全員クリアという扱いになるため、上手なプレイヤーが単独で攻略してしまうと初心者やあまり上手でないプレイヤーは何もしないままステージクリアとなってしまうことが多いのです。クリア報酬がなく、全員の動向に気を配らなくても進行に不利益が発生しないこともあり、まったく知らないプレイヤー同士のマッチングだと楽しさの純度が薄まる気がします。ドタバタするなかで攻略するという混沌の状況を体験しつつ、ここで気の合うプレイヤーを見つけられれば感動はひとしおだと思いますが、オンラインよりは隣にいる人と遊ぶことに適したゲーム性だと筆者は感じました。ぜひ、仲のいい誰かを誘ってプレイしてみてください。クリア後にエンディングムービーなどの演出はありませんが、スタッフロールにはちょっと面白い仕掛けがあるので確認してみてほしいです。
物理エンジンに翻弄される操作だったり、“ふわふわした夢の世界が舞台の爆笑お気軽プラットフォームゲーム”と公式の説明文にあるにも関わらずマイナー調でやたらとシリアスなBGMだったり、シンプルでファニーな画面なのにしっかりと設計されたステージ構成だったり……。なにかとアンバランスでシュールな可笑しさのある『ヒューマン フォール フラット』。すべてが計算されて丁寧に作られているからこそ、安心してのびのびと遊ぶことができます。遊びに来た友だちを「面白いゲーム、プレイしない?」と気軽に誘える、おもてなしにも最適の一作です。

フォトギャラリー

■タイトル:ヒューマン フォール フラット
■発売元:テヨンジャパン
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:アクションパズル
■対象年齢:全年齢
■発売日:発売中(2020年6月25日)
■価格:パッケージ版 3,500円+税


『ヒューマン フォール フラット』オフィシャルサイト

Human: Fall Flat ™ & © No Brakes Games. Licensed by Curve Digital. Licensed to and published in Japan by Teyon Japan.