放送終了でも今から観たい!イッキ見推奨アニメレビュー  vol. 15

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原作を知らなくてもドハマりできた! アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive』は続編にも期待したくなるファンタジー&アットホーム作品

原作を知らなくてもドハマりできた! アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive』は続編にも期待したくなるファンタジー&アットホーム作品

2020年春クールに放送されたアニメは飛び抜けた大ヒットはなかったものの、良作ぞろいだった。その中でも、『プリンセスコネクト!Re:Dive』(以下『プリコネR』)は、同クールの人気作を相手に健闘していたダークホースと言えるだろう。原作ゲームに触れたことのない純然たる“にわか”な筆者がドハマりして、いつしか毎週の疲れた心を癒す清涼剤となっていた本作の魅力について語らせてほしい。

文 / 福西輝明


作品に散りばめられたアットホーム感と金崎監督独特のコミカルテイスト

原作ゲーム『プリコネR』は、スマホからコンシューマーまで幅広いゲームタイトルを手掛ける株式会社Cygamesが2018年2月に配信をスタートさせた“ドラマチックアニメRPG”。流行り廃りが激しく、配信から1年も待たずに消えていく作品も少なくないソシャゲ業界にあって、『プリコネR』は手堅い人気を保ち続けている。そんな本作のアニメ化は、原作ゲームファンにとっては一大ニュースだったに違いないが、原作ゲームを知らなかった筆者はソシャゲ原作のありふれたアニメとしかとらえていなかった。しかし、絵のかわいさに惹かれてなんとなく見始めたところ、すぐにその考えを改めることになった。

基本的にはコミカルで軽い作風のアニメなのだが、全体に流れる空気がとてもアットホーム。主人公を取り巻く仲間たちの温かでゆる~い空気感に触れていると、なんだかこっちまでホンワカさせられてしまう。彼らのにぎやかでハチャメチャで、なごやかな日々をずっと見守っていたい。そして毎週見続けていると、まるでそこに“自分の居場所”があるかのように錯覚させられる。そんな温もりと癒しを得られるアニメだった。

本作の物語は、美しき大地・アストライア大陸に主人公のユウキが降り立つところから始まる。ユウキはこれまでの記憶を失い、言葉や一般常識すら忘れてしまっていた。そんな彼は、女神アメスの託宣によってユウキの“ガイド役”に任命された少女・コッコロと巡り合う。そして2人は、腹ペコ美少女剣士・ペコリーヌや、クールなネコ耳魔法少女・キャルと出会い、4人で【美食殿】という名のギルドを結成。世界のあらゆる美食を探求することを目的に、活動をスタートさせる。

ギルド管理協会では、「橋を占拠するモンスターを退治せよ」など様々なクエストが募集されているが、美食殿が請け負うのは「報酬はおいしいお米」といった食事に関するものばかり。彼らが目指しているのは、魔王の討伐でも、宝を探し当てることでもない。ただありとあらゆる料理や食材を探求して、みんなで楽しく食事をすること、それだけなのである。ペコリーヌたちが4人で食卓を囲み、ニコニコと頬張る姿を見ていると、「幸せってこういうことなんだなぁ」としみじみ思ってしまう。『プリコネR』は幸せが意外と近くに転がっていることを気づかせてくれた。

ところで、『プリコネR』を見始めて早々に、筆者はある既視感にとらわれた。このコミカルで小気味のいいテンポ感、ものすごく見覚えがある。そうだ! これは筆者の「心のアニメ/コメディ作品部門」で伝道入りしている『この素晴らしい世界に祝福を!』(以下『このすば』)にそっくりじゃないか!! そう思って調べたところ、『このすば』の監督として知られる金崎貴臣氏が、『プリコネR』では監督だけでなくシリーズ構成や各話絵コンテ、さらには音響監督まで務めているではないか。『このすば』では主人公のカズマを中心としたポンコツパーティが、皮肉や軽口を飛ばし合い、仲良くケンカしながらドタバタな日々を送っていた。あのとんがった面々の切れ味鋭い掛け合いは、美食殿のホンワカしたノリとは方向性は異なるが、見ていると自分の居場所を見つけたような感覚を覚える“アットホーム感”は共通している。

コミカルテイストの作品は世にあふれているが、金崎監督が描く小気味いいテンポ感と独特の間の取り方は唯一無二。ペコリーヌの天然ボケにコッコロとユウキがさらに天然ボケをかぶせ、キャルが3人まとめてツッコミを入れる。そこで描かれる“金崎節”は、『プリコネR』の原作ゲームを知らずともニヤリとさせられるはずだ。

役割分担が明確に分けられた美食殿のメンバーたち

原作ゲームで描かれている物語をベースに、アニメではオリジナルストーリーが展開され、美食殿のメンバーそれぞれにスポットがあたるよう描かれている。つまり、美食殿の4人全員が主人公だと言えるだろう。

美食殿のギルドマスターであるペコリーヌは、記憶喪失で幼児退行しているユウキに代わって“物語の牽引役”となっている。自身の帰る場所を奪われ、一人ぼっちになってしまったペコリーヌ。しかし、いつも底抜けの胃袋と明るさで笑顔を振りまいている彼女は、そんな悲しい背景など感じさせない。国の裏で暗躍するカイザーインサイトの陰謀にもめげず、美食殿という新たな居場所で楽しく過ごすペコリーヌは、4人のなかでも活力と行動力に満ちた王道の主人公のようだ。

そんなペコリーヌに対して、キャルはヒロイン的な魅力も持ち合わせたキャラクターとして登場。キャルはペコリーヌの監視をカイザーインサイトに指示されたスパイであり、当初はモンスターを操って命を狙ったりもした。ペコリーヌに誘われて美食殿に加わったのも、監視がしやすくなるという理由からだ。だが、自分を大切な仲間として受け入れるペコリーヌたちと寝食を共にするうちに、たしかな絆が芽生えていく。カイザーインサイトへの忠誠とペコリーヌとの絆の間で揺れながらも、最後の最後でペコリーヌのために戦うシーンは涙腺崩壊。最近では珍しくなった王道的な“ツンデレヒロイン”の姿がそこにあった。

では、コッコロはこの作品におけるどんな存在かというと、ズバリ“ママ”である。いや、“母親役を懸命に務めている少女”の方がニュアンスは近いだろうか。美食殿の中では最年少だが一番のしっかり者で、記憶喪失のユウキを健気にお世話する様は、彼の保護者にしか見えない。特に衝撃だったのは、旅を続ける路銀が尽きた際、コッコロはユウキにお小遣いを渡して「その辺で遊ぶなり、美味しいものを食べるなりしてくださいまし」と言いつつ、自分は働き口を探しに行こうとしたシーン。いくら大切な主さまを養うためとはいえ、健気にもほどがある(ユウキも「いくらなんでもそれは……」と思ったのか、自分も働く意思を示していた)。つねにユウキの側に付き従って甲斐甲斐しく世話を焼き、共に食事をしてニッコリ微笑む。そんなコッコロの姿を見て、「こんなママがいたらなぁ」としみじみ思ったのは筆者だけではないはずだ。

そして美食殿の黒一点であるユウキは、ソシャゲ原作のアニメの主人公としては唯一無二の存在となっている。先述の通り、記憶喪失のため言葉も大半を忘れており、3~4歳程度の言語能力しかない。まさに「頭脳は子供、身体は大人!!」を地で行くタイプだ。そのため、セリフは必然的に「うん!」や「だいじょうぶ!」といったシンプルなものになってしまうし、剣術や魔法に秀でているわけでもない。それでも彼は決して役立たずではない。力不足ながらも彼なりにいつも前向きに努力を重ねており、モンスターに喰われかけても笑顔でサムズアップする姿は、見ていて心がなごんでしまう。その在りようは、主人公であると同時に“美食殿のマスコット”的なポジションと言えるだろう。また、物語が進むにつれて精神的にも成長していき、終盤ではようやく主人公らしい活躍を見せてくれるのも見どころだ。

ギャグにシリアスに「はじめてのおつかい」―バラエティに富んだストーリー構成

『プリコネR』を通して見てみると、全体のストーリーが非常にいいバランスで構成されていることがわかる。#1~4は美食殿メンバーの出会いとギルド結成。#5は奇妙な診療所を舞台にしたサスペンス&ギャグテイストの物語。#6~7は後のストーリーにも関わる謎の怪物“シャドウ”との遭遇と戦い。#8は女の子3人のギルドとユウキによる“はじめてのおつかい”的なホンワカエピソード。#9はサービスカット満載の水着回。#10はプリンを巡るドタバタコメディ。そして#11にはユウキの姉と妹を名乗る姉妹が登場。終盤の#12、13ではペコリーヌの出自や、この世界の謎に踏み込むラストエピソードと、非常にバラエティ豊かで“中だるみ”というものが存在しない。美食殿だけでなく、【リトルリリカル】や【サレンディア救護院】といった、原作ゲームにも登場する別のギルドメンバーを主軸にしたエピソードも用意されているので、原作ファンにとっても大満足な内容になっていたと思う。

#4 ようこそ美食殿 ~宵のとばりにビーフシチュー~

#5 愛情たっぷりポリッジ ~トワイライトな運命をのせて~

#7 闇穿つ光 ~仲良し姉妹のマリアージュ~

#8 リトルでリリカルなお子様ランチ ~田園風玉子焼きセット~

#9 美食のバカンス ~磯の香りはテンタクル~

#10 常闇に集いし華 ~呪いのプディングなの~

#11 夕暮れマイホーム ~サクサク探索ホットドッグ~

#13 ロストプリンセス ~皆の笑顔を添えて~

とりわけ『プリコネR』の素晴らしいところは、原作ゲームを1ミリも知らない筆者でもドハマりでき、純粋にゆる~い気持ちで楽しめるアニメとして完成されていることである。欲を言えば、1クールだけでなく2クールかけて美食殿のポヤヤンとした冒険を眺めていたかった。アニメは6月いっぱいで最終話を迎えたが、「カイザーインサイトとは何者なのか?」「そもそもユウキにはどんな過去が?」といった謎は残されたまま。回収されていない伏線もあり気になる要素がてんこ盛りだが、この続きはぜひ続編の制作発表に期待したい。

アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive』

サンテレビにて毎週土曜25:00~から再放送中。
その他、各配信サイトにて配信中(2020年7月31日現在)

【STAFF】
原作:Cygames
監督・シリーズ構成:金崎貴臣
助監督:春藤佳奈
キャラクターデザイン:栗田聡美、楊 烈駿、野田康行
色彩設計:手嶋明美
3DCGディレクター:中野祥典
美術監督:池田真依子
撮影監督:米澤 寿
編集:木村佳史子
音楽:イマジン
音響監督:金崎貴臣
録音:山口貴之
音響効果:小山恭正
音響制作:東北新社
アニメーション制作:CygamesPictures

【CAST】
ペコリーヌ:M・A・O
コッコロ:伊藤美来
キャル:立花理香
ユウキ:阿部 敦

アメス:高橋李依
ラビリスタ:沢城みゆき
カイザーインサイト:蒼井翔太
ネネカ:井口裕香
カリン:洲崎 綾
シズル:生天目仁美
リノ:阿澄佳奈
ミミ:日高里菜
ミソギ:諸星すみれ
キョウカ:小倉 唯
アオイ:花澤香菜
ミサト:國府田マリ子
ハツネ:大橋彩香
イリヤ:丹下 桜
シノブ:大坪由佳
アカリ:浅倉杏美
ヨリ:原 紗友里
ミヤコ:雨宮 天
ジュン:川澄綾子
クリスティーナ:たかはし智秋
トモ:茅原実里
マツリ:下田麻美
サレン:堀江由衣
スズメ:悠木 碧
リマ:徳井青空
マヒル:新田恵海
リン:小岩井ことり
シオリ:小清水亜美
アキノ:松嵜 麗
ミフユ:田所あずさ
タマキ:沼倉愛美
ユカリ:今井麻美
エリコ:橋本ちなみ
ナナカ:佳村はるか
ミツキ:三石琴乃

© アニメ「プリンセスコネクト!Re:Dive」製作委員会

アニメ『プリンセスコネクト!Re:Dive』オフィシャルサイト
https://anime.priconne-redive.jp/
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