映画『弱虫ペダル』特集  vol. 1

Interview

“青春の尊さ”を体感して、アツい気持ちになってほしい──映画『弱虫ペダル』で永瀬 廉が作り上げた、新たな小野田坂道に注目!【インタビュー】

“青春の尊さ”を体感して、アツい気持ちになってほしい──映画『弱虫ペダル』で永瀬 廉が作り上げた、新たな小野田坂道に注目!【インタビュー】

2008年に『週刊少年チャンピオン』で連載が開始されて以降、累計2500万部を突破した大人気スポーツ青春漫画『弱虫ペダル』。これまでアニメ化、舞台化、ドラマ化と、次々に新たな表現を展開し、多くの役者たちが主人公・小野田坂道を演じてきた。

そんな『弱虫ペダル』が満を持して迎えた初の実写映画化。小野田坂道を演じるのはKing & Princeの永瀬 廉だ。多くのファンを抱える『弱虫ペダル』で、新たな表現、新たな小野田坂道を演じるにあたり、プレッシャーも大きかったことだろう。しかし彼は、“自分だからこそできる小野田坂道”を追求し、まっすぐな気持ちで大役に挑んでいたのだった。

取材・文 / とみたまい


漫画、アニメ、舞台、ドラマでの小野田坂道は意識せず、“俺の坂道”を作っていった。

8月14日から公開される映画『弱虫ペダル』。主役の小野田坂道に抜擢された際の感想を教えてください。

オファーをいただいて初めて原作を拝見しましたが、「僕が坂道くんをやるのか……え? できる? 永瀬 廉、できる?」と思いました(笑)。ロードレースならではの疾走感や熱量といったものが原作やアニメで大事に描かれいました。それこそが作品のコンセプトでもあるので、実写映画で「どうやって届けよう? どうしたら届けられるんだろう?」と不安な気持ちもありました。

原作を読んで、ご自身と坂道くんの共通点を感じられましたか?

同じ環境に立っているのかな? と思いました。

「同じ環境」とは?

坂道くんはロードレーサーと出会って、その楽しさを知って、素敵な仲間や先輩たちに囲まれながら自転車に夢中になっていきますが、ジャニーズ事務所に入所してからの僕も、それに似たところがあると思いました。ジャニーズという未知の世界に入って、最初はひとりで活動していたけれど、グループを組み、いまでも仲がいい同期の(西畑)大吾や正門(良規)と出会って、ジャニーズの活動に夢中になれました。そういった境遇が坂道くんと似ているのではないかと思います。

「ここは坂道くんとは違うな」と感じたことは?

坂道くんほど「仲間のために!」と強く思えるまでに、まだ僕は至っていないかもしれません。坂道くんは……もちろん「レースに勝ちたい」という気持ちはありますが、それ以上に「仲間と一緒に走るのが楽しい。一緒に走る仲間の力になりたい」という気持ちが先行していると思います。僕ももちろん「メンバーをフォローしたい」という気持ちは常々ありますし、MCで場を回す立場が多いので、メンバーが言葉に詰まっていたら上手くフォローできるようにしたいと思っていますが、まだまだ未熟なので坂道くんのレベルまでには達してないかなと思います。

ビジュアル面でも坂道くんとはだいぶ印象が異なるので、「永瀬さんが坂道くん役なの!?」とビックリしました。

僕もビックリしました(笑)。眉毛の上ぐらいまで前髪を切ったのは、おそらく8年ぶりぐらいで……慣れるのに少し時間がかかりました。

とはいえ、本作で動いている永瀬さんはやはり小野田坂道でした。最初の登場シーンから「あ、坂道くんだ!」と。

ありがとうございます!(心底嬉しそうな笑顔)

アニメや舞台、ドラマなどでたくさんの方が小野田坂道を演じてきていますが、それらを意識したり、参考にされたのでしょうか?

三木(康一郎)監督から「原作やアニメはあまり意識しないでほしい」と言われていました。もちろん、小野田坂道としてのパーソナリティは残しつつですが、僕のなかで小野田坂道という人物を理解して、かみ砕いて、作っていけばいいと。そう言っていただいたので、僕のなかの小野田坂道を演じるようにしていました。

どのように小野田坂道を作っていったのでしょうか?

ひとつひとつのシーンについて、坂道の心情を想像しながら作っていきました。例えば「このシーンの前にこういうことがあって、それを踏まえて今泉と対話している。だとしたら、僕が思う坂道はどう行動するだろう?」みたいな感じで、しっかりと状況を整理して、想像するようにしていきました。

標準語でのお芝居は難しかったりするのでしょうか?

いまは僕、関西弁で喋っていると思いますが(笑)、演技では大丈夫です。意識することもなく……だからたまに関西弁が出てしまうのですが、自分でもどっちで喋っているのか、わからんくなることもあります(笑)。今回は人名でつまずいてしまうことがありましたね。正しくは「鳴子くん(平版型のアクセント)」ですけど、「鳴子くん(頭高型のアクセント)」と言ってしまったりしました。

撮影を追うごとに深まっていく絆。「総北の6人で走ったことが楽しかった」

今作で特に難しかったことは?

ダントツで“自転車に乗りながらのお芝居”です。例えば、ゴール間近のシーンを撮影する際に……ゴール間近だから、たくさんペダルを漕いでいるわけじゃないですか。でも、シーンとしては別々に撮影しているし、別日に撮影することもあります。自分自身は体力が満タンだけれど、ゴール間近で体力が消耗している坂道のお芝居をしなくてはいけないのは、すごく難しかったです。そういった、連続するシーンでの“体力の消耗具合”を合わせるのが特に難しかったです。

自転車のシーンはほとんど吹き替えナシで、みなさんがご自身で漕いでいたとのこと。かなり大変だったのでは?

もちろん体力的には大変でしたけれど、この作品に携わって初めてロードバイクに乗って、その楽しさや魅力をたくさん知れたので……坂道くんと同じように、永瀬 廉としても楽しみながら乗れました。

ロードバイクの楽しみや魅力はどんなところにあると思いましたか?

初めて乗ったときに「速い」と感じたのですが、もうその時点で楽しいんですよ。なおかつ、ペダルを漕げば漕ぐほど速くなって、「自分が強くなっていく」というのを実感できるスポーツでもあります。なにより、チームで走るのがすごく楽しかったです。「誰一人欠けることなく、チームで走ってチームで勝つ」というチーム総北のコンセプトを再現していくなかで、撮影が進むにつれて総北のメンバーとも仲良くなり、絆が深まっていきました。本当に6人で走ったことがすごく楽しかった。これがロードレースの魅力なんだなと思いました。

伊藤健太郎さんが演じる今泉くん、坂東龍汰さんが演じる鳴子くんの印象はいかがでしたか?

普段のお二人と性格が似ている気がしました。今泉くんはクールな優等生ですが、健太郎くんもクールなんですよね。まあ、今泉くんよりも少しヤンチャですけれど(笑)、普段の感じは今泉くんに近いところがあります。鳴子くんは……平たく言うと元気なんですが(笑)、坂東くんにも通ずるところがありました。まあ、鳴子くんよりも坂東くんのほうが元気なんですけれど。ははは! でも、ふたりとも役に似たところがあったので、僕も演じやすかったです。

役者としてのおふたりを、どのように感じましたか?

鳴子くん(※永瀬さんは坂東さんのことを、役名で“鳴子くん”と呼ぶことが多い)は、役者という仕事について、すごく考えてるんだなと感じました。撮影期間中に、鳴子くんの部屋に「遊びに来たよ」みたいなテンションで行ったことがあったのですが、鳴子くんが役者について真剣に語り始めたんですよね。アツい話をしてくれたので、遊びに来たつもりの僕との温度差がすごくて(笑)。「すごい考えているんだな」と思ったのは覚えていますが、内容は正直まったく覚えてないです(笑)。そこは、本人にちゃんと謝らないといけませんね(笑)。「役者の仕事に、こうやってしっかりと向き合っているんだな」と、尊敬しました。

伊藤さんはいかがでしたか?

“もしかしたら”ですが、今泉くんというクールな役を演じるから、普段からクールにしていたのかな? って、全然違っていたら恥ずかしいんですけれど(笑)。健太郎くんとは初めての共演だったのですが、たまにヤンチャな感じは見せつつも、基本的には今泉くんっぽくて……もしそれが、僕らがやりやすいように意識してやってくれていたことだとしたら、すごいなと思いますね。

『うちの執事が言うことには』に続き、映画では二度目の主演となります。主演として意識していることはありますか?

前に主演を務めさせていただいたときと同様、自然体で現場にいることですね。もちろん、作品の良さを広めるために、こういった取材などの活動に対しては主演としての自覚と責任を持って取り組みますが、撮影現場では「自然に、気負わずに」というスタイルが、いまのところ自分に一番合っているんじゃないかと思います。

ちなみに、永瀬さんが考える主演像は?

ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』で共演させていただいた、古田(新太)さんです。本番が始まる直前まで和気あいあいとしていらっしゃるのに、「よーい、はい!」って言われた瞬間に切り替えていらして。もちろん当然のことなのかもしれませんが、改めて近くで見ると圧倒されました。あと、まわりが演技しやすい環境を作ってくださる方だなとも感じました。僕も含め、生徒役のみんなが緊張していたと思うのですが、古田さんがいてくれたからこそ緊張がほぐれる場面がたくさんありました。そういったところが主演像なのかなと思います。

今作ではその主演像に近づけましたか?

そうですね……近づけていたのではないかと思います。「僕自身がまず楽しもう」と考えて臨み、「楽しむ」という部分は絶対にできていました。それがまわりに伝わっているのなら、近づけたと言えますよね。

音楽活動と芝居の仕事。良い影響を及ぼし合っていると感じることが多い

King & Princeでの音楽活動と、永瀬 廉としてのお芝居の仕事。お互いに良い影響を及ぼし合っていると感じる点はありますか?

どちらの活動においても同じ“表現”なので、影響を及ぼし合っているところは多いと思います。例えば、せつない歌詞の曲を歌うときに、自然と表情や声色がついてきている気がしますし、歌えば歌うほど、曲にも入り込めるようになりました。それはやはり、演技のお仕事をさせていただいてから、そう感じることが多くなったので、良い影響と言えるのではないかなと思います。

反対に、音楽をやっていることがお芝居に影響を与えていると感じるところは?

“メロディを聴いて、歌詞を読みながら曲に入り込む”というのを音楽でずっとやってきたので、台本を読んで役に入り込むスピードには自信があります。最初のうちは、演技をしてみてから「そうか、(自分の演じる役は)こういう気持ちだったんだな」と気づくこともありましたが、最近は台本を読んでいる段階から、ちゃんと理解できるようになってきました。そういったスピード感は、音楽活動からの良い影響なのではないかなと思います。

劇中では、坂道くんが「誰かと何かをやるって楽しい」と強く感じるようになります。新型コロナウイルスの影響で人に会えない時間が長く続きましたが、「誰かと何かをやる」ことについて、改めて感じたことはありますか?

僕にとって「友達と会って喋る」ということは、すごく大事なことだったんだなと改めて思いました。「友達と会う」ということは、これまでは当たり前にできたじゃないですか。外出自粛期間でそれができなくなったことで、人との繋がりを強く実感したのは、僕だけではなく、みなさんも同じだと思います。自分にとって、人と会うことがリフレッシュになっていたんだなと、改めて感じました。そういう意味でも今作は“人との繋がり”といった、当たり前のようであって実はすごく大事なもの、大事にしたいものがたくさん描かれていると思います。

ちなみに外出自粛期間中、時間ができたことでご自身にとってプラスになったことはありましたか?

映画やアニメをたくさん観ました。「いろいろなお芝居を観て勉強しよう!」というつもりで観たわけではないのですが……そういう感じで気負ってしまうと僕は続かないと思うので、エンターテインメントとして興味があるものを観ていました。それが今後、どこかで実を結べたらいいなと思いますね。

では、映画『弱虫ペダル』を楽しみにされているみなさんにメッセージをお願いします!

映画『弱虫ペダル』は、小野田坂道という少年が自転車に出会うことで変わっていく、成長ストーリーです。先ほども言ったように“人との繋がり”や“頑張ることの大切さ”といった、大事なものがたくさん描かれているこの作品の熱量や疾走感を伝えるべく、僕らも必死に練習して、汗をかいて臨みました。そういった僕らの熱量、疾走感も見どころのひとつだと思います。

なによりも、「ひとつのものに向かって、汗を流して頑張る」という青春のすべてが詰まった作品ですので、これを観たあと「自分も頑張ろう!」という気持ちにもなれますし、頑張る気持ちを誰かに伝えたくなるのではないかと思います。ぜひ劇場で“青春の尊さ”を体感して、アツい気持ちになっていただきたいです……僕からは以上です!(笑)

ありがとうございました! ところで先日、雑誌の企画で2020年上半期の「国宝級イケメンランキング」第1位に永瀬さんが選ばれていましたが、ずばり感想は?

そうなんです……多方面の方々から「国宝級イケメン」と言っていただいて。それぐらい影響力のある、みんなが知っているような賞をいただけたんだと実感しました。嬉しかったです。

永瀬さんご自身が考える、イケメンの定義は?

イケメンって中身が大事で、さりげない優しさというか、自然とまわりを気遣える人がイケメンなのではないかと思います。もちろん僕もそういう人になりたいという憧れはありますが……そういう意味では、まだ僕はイケメンではないかもしれないですね。

では、現時点でアピールできる、ご自身のイケメンポイントは?

(中身ではなく)完全に外見なんですけど……“横顔”ということで。そこだけはイケメンです(笑)。

永瀬 廉

1999年、東京都生まれ。2018年、「King & Prince」のメンバーとしてデビュー。グループ活動の一方で、ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(19/NTV)、映画『うちの執事が言うことには』(19)などに出演するなど俳優としても活躍。映画『弱虫ペダル』の主題歌にKing & Princeの新曲『Key of Heart』が決定しており、その主題歌が収録されたKing & Princeのニューアルバム「L&」が9月2日に発売される。

映画『弱虫ペダル』

8月14日(金)全国公開

主演:永瀬 廉(King & Prince)

出演:伊藤健太郎、橋本環奈、坂東龍汰、栁 俊太郎、菅原 健、井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)竜星 涼 / 皆川猿時
原作:渡辺 航『弱虫ペダル』(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
監督:三木康一郎
脚本:板谷里乃・三木康一郎
主題歌:King & Prince「Key of Heart」(Johnnys’ Universe)
配給:松竹

オフィシャルサイト
https://movies.shochiku.co.jp/yowapeda-eiga/

©2020映画「弱虫ペダル」製作委員会 ©渡辺航(秋田書店)2008

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