LIVE SHUTTLE  vol. 399

Report

UVERworld デビュー15周年記念配信ライブ 画面の向こう側へ全身全霊で魂を放ち続けた一夜

UVERworld デビュー15周年記念配信ライブ 画面の向こう側へ全身全霊で魂を放ち続けた一夜

結成20周年を記念して先月6月6日に敢行された配信ライブ“UVERworld 20 & 15 ANNIVERSARY LIVE”。バンドにとって初となるこの試みは大成功を収め、絶賛を博した。それからちょうど1ヵ月が経った2020年7月6日、彼らが次に迎えたのはデビュー15周年の節目だ。大切な日はライブで祝うのがUVERworldの流儀。記念すべきこの日を世界中のファンと共有すべく2回目の配信ライブが「PIA LIVE STREAM」にて開催された。しかも前回はファンクラブ会員限定だったが今回は一般のオーディエンスに向けてもチケットを発売。さらに広く注目を集めるなか展開されたそのステージは、映像作品としても十二分に通用するクオリティの高さは保たれながら前回とはまたまるで異なる角度からのアプローチでUVERworldというバンドの魅力にいっそう生々しく迫るものとなっており、2回目にしてその確実な進化に目を見張らずにはいられなかった。なお今回、『WHAT’s IN? tokyo』は配信ライブが行なわれている現場を訪問、取材することができた。画面という隔たりを超え、その向こうへと全身全霊で音楽を放ち届ける彼らの熱をお伝えできれば幸いだ。

取材・文 / 本間夕子


「15年か……長いな。10年のときはそんなこと思わへんかったのに」

7月6日当日、都内某所。マスク着用はもちろん必須、会場入口での検温をクリアし、配られたフェイスシールドを受け取って入った場内ではリハーサルが大詰めを迎えていた。それぞれの持ち場でせわしく立ち働くスタッフも全員マスクを着け、フェイスシールドで顔を覆っているため、いつになくものものしい印象を受けるが、そこにはなんとしてでも安全を保ち、メンバーに最高のパフォーマンスをしてもらいたいという強い意気が滲んでいる。暗がりのなか、まず目を惹かれたのはステージセット。縦長のLEDパネルが8枚、間隔を空けながらも俯瞰して見れば八角形を描くようにして演奏スペースをぐるりと取り囲む、前回とは打って変わってクローズドな仕様だ。その内側ではTAKUYA∞を中心に、メンバー5人はお互いに向き合う形でそれぞれのポジションについている。十数台のカメラを駆使して様々なアングルで切り取ることが可能だからこそ、あえて正面を気にすることなくプレイできる、配信ライブならではのスタイルと言えるだろう。どんな見え方をしているのか本人たちも気になるらしく、折りに触れ、スタッフがチェックしている映像モニターを覗きにくるメンバー。普段のライブでは音響チェックが最優先だが、これもまた配信ライブゆえ。そんな光景がとても新鮮に感じられた。

「15年か……長いな。10年のときはそんなこと思わへんかったのに」

本番を前に廊下に集まってメンバー同士、いつもの円陣を組みながら、ぽつりとTAKUYA∞が言って5人が笑う。そこにウェットな感慨はなく、むしろ力強く未来を見つめる晴れやかさのみがある。

「よし、いこう! デビュー16年目!」

全員で拳を突き合わせ、鬨の声を上げる6人。いよいよだ。

開演前にはおなじみの新作動画を投下し、アニバーサリーを盛り上げる

それにしても1ヵ月でこんなにも進化、洗練されようとは。例えば開演を待つ間、画面上では前回も好評を得た、UVERworldファンにはおなじみの大岩Larry正志によってアテレコされたメンバーのオフショット動画がオンエアされたのだが、またもすべてが新作という力の入り具合であり、加えてこのためだけに撮影されただろうメンバーによる面白動画(箱の中身当てゲーム、Siriを使ったTAKUYA∞の円周率ボイパ、信人&真太郎の夢カワチャレンジ等々)も続々投下。待ち時間さえもスペシャルにせんとする、並ならぬ気概に唸らされてしまう。「誕生日っていうのは祝われる側が祝ってくれる人たちを幸せにする日」とは彼らの生誕祭ライブ(メンバーの誕生日に行なわれるライブ)でよくTAKUYA∞が口にする言葉だが、今回もその精神は存分に発揮されているようだ。だが当然ながらメインディッシュとなるライブ本編はさらにそれ以上。がらりと変わったステージセットも然ることながら、何よりファンを驚喜させたのは前回を遥かに凌駕してバラエティに富んだセットリストに違いない。

のっけからアグレッシブに音の塊を画面の向こう側へ力ずくで叩きつけた

オープニングSEこそ前回同様の「UNSER」だったが、いつものようにドラムソロになだれ込むかと思いきや、無人の八角形スペースにまずは真太郎と彰の2人がそろって登場したのだから意表を突かれた人も多かったのではないだろうか。朗々と鳴り渡るギターの旋律に繊細かつダイナミックに寄り添うドラムのアンサンブルが特別な一夜の幕開けを告げる。そちらに気を取られている間に克哉、信人、誠果がスタンバイ。刹那の余韻も掻き消す勢いで「ROB THE FRONTIER」のイントロが炸裂すると、TAKUYA∞が姿も現してのっけからアグレッシブに音の塊を画面の向こう側へ力ずくで叩きつけた。続けざま、分厚いパーカッションの重なりが腹の底から興奮を突き上げる。「Wizard CLUB」だ。UVERworldの歴史に照らせば、今や彼らの武器となった楽器隊全員で奏でるパーカッションアンサンブルは2013年、この曲が生まれたことに端を発する。固定観念に縛られることなく、表現手段を果敢に拡充する姿勢には当時から驚嘆させられてきたが、デビュー15周年のアニバーサリーに聴けばつくづくと圧倒される。その迫力たるや、画面越しであってもきっと衰えるものではないだろう。

「自分たちにしか出せない音楽がある、自分たちにしか出せない言葉がある、そう信じてやり続けて15年。いい意味でも悪い意味でも俺たちにしか出せない空気があるって信じてやってきたんだよ。そんな俺たちにしか出せないものが欲しいって、今日ここにたくさんの人が観にきてくれてる。今日はみんなのマイナスな意見も期待も軽く飛び越えて、最高のUVERworldをぶちかますので、よろしくお願いします!」

TAKUYA∞がそう宣言して、突入したのは「ENOUGH-1」だった。スワヒリ語の挨拶から歌詞が始まっていたり、祭り囃子やエスニック楽器のディジュリドゥといったロックの文脈にはおよそ乗らないだろう要素をふんだんに取り入れた、まさしくUVERworldにしか作れない楽曲だ。どちらかと言えばラップに近く、メロディに派手な抑揚があるわけでも、分かりやすくタテノリな曲でもないが、彼らの生き方や音楽への情熱がまっすぐに込められた、ファンの間でも人気の高い1曲でもある。“高く飛びたいのなら 一度低くしゃがめよ”“助走をつけて飛ぶなら 後ろへ下がっても良いだろ”“何百回転んで良い/転んだ回数プラス1が 起き上がった回数なら良い”――そう歌われる言葉たちが変に格言めいてしまうことなく、生身の説得力をもって伝わってくるのは、彼ら自身がそうやって時に満身創痍になりながらもここまでタフに歩いてきたからこそだ。

記念すべきこの日に「コロナ」「KICKが自由」を演奏した理由と意味

「ENOUGH-1」だけでなく、この日ラインナップされていた曲にはUVERworldそのものをダイレクトに感じさせるものが多く並んでいたように思う。おそらく10年以上ぶりに演奏された「コロナ」(現在、世を騒がせているウイルスではなく、太陽の外層大気・コロナをモチーフにした曲だ)は自身を燃やし尽くすほどの強力な想いを求めて走り続ける彼らの生き様が色濃く反映されたものであり、「earthy world」は歌詞の一語一句すべてが彼らが進んできた道のりそのものと言っていい。「KICKが自由」に至ってはイントロでわざと一旦つまづいてみせるというトリッキーな演出に加え、歌詞の大半がテーマから脱線しているという(ただし、最後の最後で泣かされること必至)、これまたUVERworldでなければ絶対に作れない異色中の異色作にしてUVERworldらしさの極みと呼んで過言ではない曲だろう。「ENOUGH-1」と同じ8thアルバム『Ø CHOIR』に収録のこの曲が披露されるのは「コロナ」に次いで実に数年ぶりの披露となるはずだが、前述の演出も嬉々としてやり遂げてみせる彼らになんだかとてもグッときてしまった。ちなみにTAKUYA∞がMCで明かしたところによれば、彼のオフィシャルブログ内で演奏してほしい曲のリクエストをファンに募ったところ「コロナ」も「KICKが自由」もかなり上位に食い込んできたという。ファンはアーティストの鏡とよく喩えられるが、彼らの本質的な魅力を見抜き、愛し続けているファンの存在もまたUVERworldそのものを映し出しているのかもしれない。そうしたファンに支えられてきたから、彼らは今日というかけがえのない日にたどり着くことができたのだろう。

ファンの存在を強く感じ、15年間に培ってきたエネルギーのすべてを放出

ステージセットの仕様こそクローズドだったが、彼らから迸るエネルギー、その音楽が向かう先は常に外側、つまり画面の向こうにいる一人ひとりを目指しているのは揺るぎない事実だった。八角形の結界のなかでひたすら演奏に没頭し、内へ内へと入り込んでいけばいくほど、エネルギーの矢印はむしろ太く外側に向かう。そんなふうに見えたのはやはり6人が6人、ライブの間ずっとファンの存在を強く感じていたからこそ。同じ場所にはいられなくとも、分かち合えるものがあること、それを信じて全力で15年間に培ってきたすべてを放っていたからだと思う。「デビューして15年間、全国どこに行っても、毎回めちゃくちゃ盛り上がってくれて温かく迎えてくれるから、その15年間をしっかり心に沁み込ませてきたから、今、無観客でも、あなたの声が聞こえる気がする。脳裏にこびりついた声を再生しながらテンションがどんどん上がっていくよ」とTAKUYA∞がカメラに向かって語りかけた言葉にもそれを確信する。だからだろう、この日のライブは前回よりも増して肉感的に届けられていたのではないか。白く明滅するLEDパネルだけを照明にした「7th Trigger」のざらついた質感は6人の佇まいをひときわ生々しく伝え、「Touch off」に燃え盛る炎は後半戦にして一気呵成に畳み掛けるのではなく、勢いは加速させつつも観る者の胸に杭を打ち込むようなずっしりとした凄みで迫る。自分のことを愛してくれる人を大切にする、そんな生き方も間違っちゃいないと聴き手を鼓舞し、孤独を抱きしめるようにして歌われた「AFTER LIFE」の美しさは、UVERworldというバンドの美しさとイコールだ。

最後の音が鳴り止んだときの達成感と一抹の寂しさを綯い交ぜにしたような6人の表情が忘れられない

「俺たちもいっぱい挫折して、いろんな夢を諦めて、それでも前を向き続けて出会ったUVERworldで今こんなにも幸せになれているから、どうかみんなも前を向き続けてほしい」

新型コロナウイルスの収束が未だ見通せない現状を踏まえ、この先、元に戻れない部分もきっとあるだろうこと、これを機にいろんなものを諦めなければいけない人もおそらく出てくるんだと思うと率直に語り、そう訴えたTAKUYA∞は「(大切なのは誰かに期待するのではなく、自分がどう生きるか。俺たちがはっきり分かっていることは好きなものから逃げると必ず後悔するっていうこと。お互いに後悔のない人生を過ごしましょう」と言葉を結んだ。そうしてラストを飾ったのは「7日目の決意」だ。頭サビを歌っては「まだまだ輝いて行こうと思います。俺たちに負けたくないヤツは一緒に歌って」とやさしく誘うTAKUYA∞にはきっと何万人もの歌声が聴こえていたと思う。もちろんメンバーの耳にも。最後の音が鳴り止んだときの達成感と一抹の寂しさを綯い交ぜにしたような6人の表情が忘れられない。

「デビュー15周年にこんなに素敵な時間を与えてくれて本当にみんな、ありがとう。このご恩はいいライブといい曲でしっかりと倍以上にして返します」(TAKUYA∞)

次に彼らに会える日がいつになるのか、それがどんな形になるのかは分からない。でも口にした約束は必ず守ってくれるのがUVERworldだ。リアルな熱の交歓だって、きっといつか取り戻せると信じたい。だからこそ今をどう過ごすべきなのか、我々一人ひとりが自分の頭と心を使って真剣に考え、行動しなくてはならないのだと思う。笑ってその日を迎えるためにも。

UVERworld 20&15 ANNIVERSARY LIVE
2020年7月6日(月) PIA LIVE STREAM

〈SET LIST〉
01.ROB THE FRONTIER
02.Wizard CLUB
03.CORE PRIDE
04.ENOUGH-1
05.EDENへ
06.AS ONE
07.コロナ
08.earthy world
09.KICKが自由
10.此処から
11.Spredown
12.7th Trigger
13.Touch off
14.AFTER LIFE
15.7日目の決意

「UVERworld 男祭り FINAL at TOKYO DOME」【全国劇場公開】

2020年8月28日(金)〜9月3日(木)

※2019年12月20日、東京ドームにて行われた日本最大規模の「男祭り」が全曲ノーカット完全版で全国劇場で蘇ります。チケット取り扱い情報などはオフィシャルサイトなどをご確認ください。

UVERworld(ウーバーワールド)

滋賀県出身の6人組ロックバンド。TAKUYA∞(Vocal)、克哉(Guitar)、彰(Guitar)、信人(Bass)、真太郎(Drums)、誠果(Sax,Manipulator)からなる滋賀県出身のロックバンド。
バンド名は“自分たちの世界を超えて広がる”というドイツ語を変形させたUVERとworldから名付けられた。2005年に「D-tecnoLife」でメジャーデビュー。2008年に発表した12thシングル「儚くも永久のカナシ」で初のシングルウィークリーランキング1位を獲得。同年11月には初の東京ドーム公演を実現した。デビュー以降サポートメンバーだった誠果が2014年3月、正式メンバーとして加入し6人編成となり、同年7月に開催した京セラドーム大阪公演を成功させた。2019年12月4日、10枚目のオリジナルアルバム『UNSER』をリリースし、初のアルバムウィークリーランキング1位に。12月20日には東京ドームで前代未聞の男性限定ライブ「男祭り」を45,000人のソールドアウトで動員するという偉業を達成した。
そして2020年、結成20周年&メジャーデビュー15周年を迎え、映画『仮面病棟』主題歌「AS ONE」をリリース。さらにはYouTubeメンバー公式チャンネルを開設するなど、様々なトピックスを発信している。

オフィシャルサイト
https://www.uverworld.jp

Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/user/uverworldSMEJ/

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