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主人公育成がコロニーの運命を左右?『アウター・ワールド』新しいアクションRPGを体験

主人公育成がコロニーの運命を左右?『アウター・ワールド』新しいアクションRPGを体験

宇宙にのさばる巨大企業に狂わされた資本主義社会のなかで、“想定外の変数”と呼ばれる主人公が自由に行動し、コロニーの未来をつかみ取っていくという一人称視点アクションRPG『アウター・ワールド』。前回の記事では、基本的なゲームの進めかたや“会話”の重要性などに触れましたが、今回は戦闘の面白さ、それに寄与するスキルや装備品などの成長要素、さらに進んだストーリーの先について紹介していきます。

文 / 内藤ハサミ


さまざまなスキルで個性的な主人公を作り出す

クエストクリアや敵の殺害などでレベルアップすると、任意で割り振ることのできるスキルポイントが手に入ります。スキルは近接攻撃、範囲攻撃、防御、会話、潜伏、技術、リーダーシップの7種類が設定されていて、その各項目ごとにいくつか派生する専門スキルを保有しています。各項目のスキルレベルが50を超えると、専門スキルに直接ポイントを振り分けられるようになり、さらにそのポイントに応じてさまざまな追加効果が付くようにもなります。たとえば、潜伏のスキルからロックピックのスキルに派生させて重点的に育てることで、開錠だけが異常に上手くなったコソドロ主人公ができます。またリーダーシップのスキルだけを育てることで、自分では何もできないけれど仲間からの信頼がやたらと厚く、仲間が100%以上の力を出せるようになるカリスマ主人公にもできます。筆者がゲーム開始直後に初期ステータスを決めたときは、「とにかく直接殴れる武器を扱えれば何とかなるだろう」という考えから、近接攻撃のスキルをせっせと上げました。

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▲ガン系は有限の弾薬を使用するので、回数制限のない長い棒状の武器で殴れば低コストなのでは? と思っていたのです……我ながら単純な考えですが

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▲実際は思ったほど戦闘シーンが続くことはなく、豊富に弾薬補給もできるため弾切れで困るシーンは滅多にありませんでした

1時間もクエストを進めていると、武力だけで解決するのは難しい局面が多々あると気づきました。行動選択肢を広げるためには、説得や威圧、専門的な知識など会話に説得力を持たせるスキルが求められるからです。むしろ前回も述べたようにスムーズなクエスト進行には、武力よりも会話のスキルが重要です。例えば、とある人間に雇われ任務を遂行していたアーサーという人物の行方がわからなくなり、彼を探すクエストを進めることになります。彼はトラップを張り巡らせた洞窟の奥に籠り、他者の侵入を防いでいたのですが理由まではわかりません。もしかしたらアーサーへの待遇について依頼者が主人公に隠していることがあるかもしれませんし、想定外のトラブルに見舞われている可能性もあります。この場合はアーサーに優しさを見せ、本音を語ってもらうということになります。

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▲彼に心を開いてもらうには傷の手当てをして、こちらには敵意がないと認めてもらうのがいいように思えます

たまたま技術スキル“メディカル”を40以上になるまで上げていたので、傷の手当てをすることができました。ここで手当てができないと優しさで心を開くというアプローチはできなくなるので、その他の選択に頼らざるを得ません。
あまりにもピーキーなスキルの育てかたはスムーズな攻略を阻害することにもなり得ますが、暴力で解決する、話術で乗り切る、威圧感を出して言うことを聞かせる、賄賂を渡して黙らせるなど、今あるスキルでどう立ち回るかを考えられることも本作の醍醐味。あえて能力がアンバランスな主人公の冒険を味わってみるのも楽しみかたのひとつでしょう。

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▲混みいった会話が面倒になり、邪魔者は全員闇に葬って解決としたクエストもあります。このあと、町のなかで警備員に襲われたり、住民たちにヒソヒソと陰口を叩かれたりしました……当然ですよね

スキルのほかにも、偶数レベルに到達すると得られる特殊技能ポイントというものがあります。本作の装備品やアイテムには重量の概念があるので、持ち歩ける重量を増やすという技能はアイテム集めの際にかなり使えますし、得られる経験値が多くなる技能はまっ先に取得しました。プレイスタイルによって欲しい技能はかなり変わってくるはずです。2レベルごとに取得する技能について、先々の計画を考えるのは楽しいものでした。

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▲売ってお金になるものを集めて歩きたいので、アイテムをたくさん持てるようになるスキルは積極的に取得しました

独特なシステムとして、“欠点”という概念があります。欠点は、特定の条件を満たすと一定の確率で付与される恒久的なデバフ(不利な効果)です。ステータスの高低だけでなくはっきりと欠点として表されるというのは、今までになかった要素ではないでしょうか。ロボットから攻撃を受け続けるとパーティがロボ系の敵に攻撃されたときステータスが下がってしまう“ロボ恐怖症”、何度も火傷を負っているとプラズマ攻撃に弱くなる“プラズマ弱体”など、同系統の攻撃を受け続けていると発生することが多いです。欠点を受け入れることで、2レベルごとに貰える特殊技能ポイントを手に入れることができます。

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▲器用度、知覚、気性がすべてマイナス1されても特殊技能ポイントを得るメリットがあるかどうかは、考えかた次第ですがやや損な気も……

欠点の受け入れは任意です。個性的な主人公を形作りロールプレイをするという点においては面白いシステムと思うのですが、あえて受け入れる意義を見出しにくいと感じたので筆者はすべて拒否して進めました。もう少し利点があれば活用したでしょう。次回作があるならば、パワーアップした欠点システムに期待したいです。

戦闘に備える成長要素は見逃せないが……

このように主人公を成長させる要素は数種ありますが、個々のシステム自体は非常に明快でわかりやすいです。プレイヤー自身で育成計画を楽しみながらも手触りはカジュアルで、本作のボリュームにはいいバランスだと感じます。成長要素はプレイヤーだけにとどまらず武器と防具にもあります。マップのあちこちに設置されている作業台で装備品の改造、強化、修理などが行えます。作業台の数は多く、明らかに他人の持ち物である作業台も堂々と使うことができるので、いざというときに利用できなくて困るということはありませんでした。

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▲ユニーク武器は名前も凝っています。しかしロングガンの名前が“安楽死キット”って……

武器や防具には、専用パーツを取り付けて武器の弾倉を増やしたり防具をより硬化させたりなどができる“改造”、実施した回数に応じたお金を払うことで純粋に性能を引き上げる“強化”という二種類のパワーアップを施すことができます。レベルアップに応じて装備品もグレードアップさせていかないと、特に中盤までの戦闘は苦しくなるでしょう。ゲーム内で得たお金の8割は武器の強化に費やしたくらいです。強化した武器や防具は主人公だけではなく、人間の仲間に装備させることができます(ロボットであるサムだけ、装備品を付けることができません)。仲間の装備も大切な要素です。……とは言いましたが、中盤以降ある程度レベルが上がり強い装備を手に入れたあとは、見た目重視で装備をとっかえひっかえしていました。ただ最高難度のスーパーノバでは、もっとしっかりと装備の成長にも向き合う必要が出てくるでしょうね。複数の要素がありつつもシステム自体は難しくありません。改造パーツは一度装備品に付けると取り外せなくなるのですが、付け替えはできますし豊富に入手可能なので気軽に使用できます。

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▲可愛い色合いのスーツに、本作のマスコット的キャラクター“ムーンマン”ヘルメットといういで立ち。改めて見ると不気味ですが、本作の荒廃した世界に浸りきっていると「キュートだなぁ~」と思えてしまうのです……

こうした楽しい成長要素がありながら、積極的に戦いを求めなければ戦闘の機会自体が多くないことは残念なところ。緻密に計画を立て、装備やキャラクターを育てた結果がしっかりと味わえるスポットが用意されていれば嬉しかったのですが。主な戦闘はストーリーの流れで発生するという本作ならではのバランスですから、そういったフロー自体を楽しむのが本流の楽しみかたでしょう。

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▲終盤は、ずっと長い棒状の武器を使っていました。やっぱり手に馴染むなぁ!

それだけに一回一回の戦闘に対して、ただ敵を屠る作業をしている……という感覚は生まれにくく、映画の主人公気分でアクションに浸れます。お気に入りの装備を身に着け、SFアクションの世界に身を投じる面白さを体験してみてください。

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▲ロボット、人間、宇宙生物……さまざまな敵が待ち受けています

さてコールドスリープから目覚め、何もわからないままにコロニー間を飛び回る宇宙船の船長となった主人公は、旅を進めていくことで“評議会”という巨大な存在にたどり着きます。評議会は、この世界を統べていると言っても過言ではないくらいの巨大組織です。今までの活躍により、評議会も主人公の存在を無視できなくなってきます。主人公は、評議会側か、自身をコールドスリープから蘇らせたフィニアスという科学者側に加担することとなるのです。

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▲明らかに評議会は黒いことばかりをしているのですが、フィニアスにも謎が多く、手放しに信用できるかと言われると……?

今まで見てきた世界の姿から、評議会とフィニアスのどちらの意見を受け入れるかを決めます。エンディングは3種類です。誰も予想できないびっくりするような結末も用意されているので、ぜひすべてのエンディングを確認してみてください。エピローグでは今まで自分が選んできた結果により、仲間や他の勢力などがその後どうなったのかを知ることができます。彼らのその後を知ることで、個性的で厄介な仲間たちに対して並々ならぬ愛着を持っていたことに改めて気づきました。皆の自由な人生に想いを馳せ、しみじみとプレイを終えました。
手触りを気軽に楽しませながら、壮大なストーリーを味わわせるための成長や戦闘のシステムを用意していて確固たる意図が感じられました。Obsidian Entertainment作品ならではの安定感とアクションRPGの新しいアプローチを確認できる、今後の展開に期待の作品です。

フォトギャラリー

■タイトル:アウター・ワールド
■発売元:プライベート ディビジョン
■対応ハード:Nintendo Switch™
■ジャンル:アクションRPG
■対象年齢:18歳以上
■発売日:発売中(2020年6月5日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 7,480円(税込)


『アウター・ワールド』オフィシャルサイト

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