Review

100人のヒーローを操り地球を救う! 『The Wonderful 101: Remastered』に込められた色褪せない「プラチナゲームズ魂」を感じさせるゲーム性

100人のヒーローを操り地球を救う! 『The Wonderful 101: Remastered』に込められた色褪せない「プラチナゲームズ魂」を感じさせるゲーム性

2013年8月24日発売の、プラチナゲームズがWii U専用ソフトとして開発した『The Wonderful 101』。『デビル メイ クライ』や『ベヨネッタ』といったアクションゲームを手掛け、常に高い評価を得てきた神谷英樹がディレクターを務めた注目作だったが、残念ながら商業的に成功した作品とは言えなかった。しかし、必ずしも「売れなかった作品=駄作」という構図は成り立たない。実際、購入したユーザーからの評価はいまだ高く、「Wii Uさえ持っていたら遊んでみたい」という声も多かった。

そんな本作が7年の時を経た今、ハード性能に合わせた画質のアップグレードや、ゲームバランス・操作性などの改修を経て、『The Wonderful 101: Remastered』(ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン:リマスタード/以下『TW101:R』)として新生。2020年6月11日にNintendo Switchとプレイステーション4、そしてSteamのマルチプラットフォームで発売されて好評を博している。ここではプレイステーション4版をじっくり遊んだ感想を交えつつ、その魅力に迫ってみよう。

文 / 福西輝明


100人のヒーローを率いて敵をなぎ倒すハジケたゲームシステム

地球に襲来した凶悪な侵略者「ゲスジャーク星団連合無敵艦隊」に対抗するため設立された、地球連合秘密防衛機構「センチネルズ」。この組織には「センチネル・スーツ」と呼ばれる特殊な戦闘服に身を包んだ100人の特務戦闘兵団「ワンダフル・ワンダブルオー」が所属し、攻め寄せるゲスジャーク軍を相手に日夜戦いを繰り広げている。「ワンダフル・ワンダブルオー」を構成する隊員「ワンダフル・ワン」たちは、ゲスジャークの襲撃に応じて世界各地の様々な場所(ステージ)へ出動。侵略者たちを排除しながら民間人を救助し、最後に待ち受けるボスキャラを倒すのがゲームの流れだ。

「ワンダフル・ワン」たちはひとりひとりが強靭な肉体と精神力を備えた戦士だが、その真価は集団で心と体をひとつにして戦う時に発揮される。先頭に立つリーダー(プレイヤー)の後を集団でついてきて、指示があれば一斉に敵に突撃して攻撃する。さらに、彼らはお互いの身体を「ワンダ・エナジー」によって結合する「ユナイト・モーフ」で、巨大な拳や大剣、ムチ、ハンマーといった特殊な武器に合体。戦う相手の特性に応じてこれらを使い分けることで、ひとりでは対抗できないような強大な敵とも互角以上に戦うことができる。

ポイントとなるのは、「ユナイト・モーフ」は参加する人数によって攻撃力や大きさが変化するところ。たとえば拳形態の「ユナイト・ハンド」になる際、参加人数が10人ほどだと小さな拳しか形成できず、攻撃力も攻撃範囲も頼りない。だが、数十人が合体した「ユナイト・ハンド」は目の前の敵をまとめてなぎ払えるうえに、中ボスにも大ダメージを叩きこめるようになる。「ユナイト・モーフ」で可能となるアクションは、ステージが進んで新たなヒーローが参戦するごとに増えていく。つまり、先へ進むほど戦い方の幅が広がり、ゲーム自体の面白さが増していくのである。

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲右アナログスティックを入力すると、隊員たちが隊列をなす「ワンダ・ライナー」が出現。スティックで描いた軌道にそって瞬時にして隊列を組む。この際、枯れた花壇をワンダ・ライナーで囲むと、花々が蘇って有用な消費アイテムが出現するなど、さまざまな効果がある

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲「ユナイト・モーフ」も「ワンダ・ライナー」によって発動。「ワンダ・ライナー」で円を描くことで形成される「ユナイト・ハンド」は、リーチが短いいっぽうで威力に優れており、素早く繰り出せるのでコンボをつなげやすい。また、炎による攻撃を無効化・吸収することができ、歯車を回すなどのギミックを動かす際にも使う。少人数の「ユナイト・ハンド」はこの程度の大きさだが……

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲より多くの人数を動員して「ユナイト・ハンド」を形成すると、2階建ての家屋並みの大きさになる。巨大な拳で突進すれば、ザコの群れくらいは簡単に弾き飛ばせる

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲「ワンダ・ライナー」で直線を描くことで形成される「ユナイト・ソード」。攻撃範囲に優れ、多数のザコ敵をなぎ払うのに便利。また、電撃の無効化やビームの反射などのほか、扉にかかったカギを開けるのにも使える。ブンブン振り回すだけでザコを駆逐できて使いやすいので、ゲーム序盤は大変お世話になった

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲「ワンダ・ライナー」で直角を描くことで形成される「ユナイト・ガン」。隊員を弾丸化して射出する遠距離攻撃武器で、空中などの届かない場所にいる敵を攻撃できる。隊員のレベルを上げると「ユナイト・キャノン」も発動可能になる

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲「ワンダ・ライナー」で波線を描くことで形成される「ユナイト・ウィップ」。攻撃範囲が広く、連続攻撃にも適している。敵のトゲ付き装甲に巻き付けて引っぺがし、ダメージを与えられる唯一の武器。攻撃スピードが速くて攻撃範囲も広いので、コンボがつなげやすい。筆者は「ユナイト・ウィップ」入手後、これをメインに使っていた

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲「ワンダ・ライナー」で三角を描くことで形成される「ユナイト・グライダー」。この形態で高所から飛び降りると、空中を滑空して飛ぶことができる

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲ビルとビルの間に橋をかけたり、長大な梯子を作って高所に上るなど、「ユナイト・モーフ」を巧みに使うことで行動範囲を広げることが可能

ステージの途中で多くの民間人や要救助者が見つかるが、彼らを「臨時隊員」として一時的にチームに取り込むことで最大で100人もの大軍団を形成。集団を敵に突撃させて「クライム・アタック」でダメージを与えたり、気絶させてコンボを叩きこむ起点にすることもできる。リーダー(プレイヤー)を追いかけてちびキャラの軍団がワラワラとついてきて敵に襲い掛かり、「ユナイト・モーフ」で武器に変身して戦うなど、一糸乱れぬ戦いぶりを見せるのは痛快かつ爽快。「ワンダフルマート」で新たなスキル「マルチユナイト」を購入すれば、一度に複数の「ユナイト・モーフ」が形成できるようになり、仲間が「ユナイト・ソード」でザコを掃討している間にリーダーが「ユナイト・ハンド」でステージボスを叩く、といった連携攻撃も可能となる。

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲道中にいる民間人や要救助者を「ワンダ・ライナー」で取り囲んで「臨時隊員」にすることで、戦力をどんどん増強できる。また、仲間にできるのは地球人だけではない。「ドグー」や「チュドグー」といったザコ敵は、一定以上のダメージを与えて爆発寸前になると「ワンダ・ライナー」で取り囲んで味方に引き入れることができる

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲敵を破壊すると、その敵が装備していたビーム砲や巨大な腕、ムチ型の尻尾といった武器をドロップすることがある。敵が使っていた武器を逆に利用して戦うなど、幅広い戦術が用意されている

「ちびキャラの集団で敵と戦う」と聞くと、名作『ピクミン』を連想する人もいるかもしれないが、『TW101:R』はそれとはまったくの別物。『ピクミン』は一部の味方を敵のエサにしている間に全体を逃がすというような、緻密な戦略性と統率性がキモとなる作品だった。しかし、『TW101:R』はステージ上に残された人々を探して仲間に加え、状況に応じて「ユナイト・モーフ」を使い分けながら襲い来る敵を撃破していくという、戦略性よりもアクション性を重視したゲームとなっている。激戦の中、アナログスティックで図形を描き、何種類もの武器を素早く組み替えながら戦うシステムには、オリジナル版が7年前に発売されたものとは思えない斬新さを感じた。

「リマスター」によってさらなる高みへと進化

オリジナル版から『TW101:R』へとリマスターされたことで、あらゆる部分に調整が加えられた。まず画質面についてだが、オリジナル版の解像度は720pだったが、『TW101:R』では1080pに向上。さらにプレイステーション4Pro版では最大で2160pにも対応している。より顕著なのはフレームレートの安定性の向上だ。オリジナル版では連れて歩いている仲間の人数が多くなると少々画面がカクつき、爽快なゲーム性に水を差してしまっていた。しかし『TW101:R』はどれだけの人数を連れ回して戦ってもカクつきはまったく感じられず、ストレスなく遊べるようになっている。

ゲームバランスについても、全体的に大幅な調整が加えられている。難易度「ノーマル」はリマスター版で「当社比の普通です」と注釈が追加されているとおり、じつは意外とシビアに設定されている。筆者はゲームライターとしてのプライドから、初プレイからノーマルで遊んでいるのだが、1ステージの間に何度もコンティニューを強いられ、クリア後の評価も最低の「参加賞」をもらい続けるという体たらく。そのため、ライトゲーマーやプラチナゲームズ作品に慣れていない人には「ベリーイージー」や「イージー」をお勧めしたい。こちらはオリジナル版よりもさらに受けるダメージが減り、逆に敵に与えるダメージが増えているので、味方を敵に突撃させる「チームアタック」でザコ敵をボコボコに蹴散らしていく爽快感が増している。また、敵の打撃系の攻撃をガードする「ユナイト・ガッツ」と、ガード不能の攻撃を回避する「ユナイト・スプリング」がゲーム序盤で簡単に購入できるように変更された。ゲームを進めるのに必須のテクニックなのに、オリジナル版ではかなりお金を貯めないと手に入れられなかった点が改善されている。このほかにも、細かな部分に多数の調整が入っており、格段に遊びやすくなった。

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲難易度ベリーイージーやイージーならば、中ボス相手でもバリバリ体力を削ることができる。ノーマルにあった「歯ごたえ」は薄まるものの、爽快なゲーム性を味わうことができるだろう

オリジナル版との最大の違いは操作性をはじめとするUI部分だろう。オリジナル版ではメインとなるTV画面で敵とのバトルを映し出し、ゲームパッドのモニターには周囲の情報マップやアイテムショートカットなどが映し出され、両方のモニターを交互に見ながら進めるゲーム性が特徴だった。ゲームパッドにモニターがついているWii Uならではの個性だが、バトル自体がかなり忙しいため、視線を交互に移すのが面倒だった。この点も『TW101:R』では改善されて、ゲームパッドに表示されていた情報が自動的にTV画面にワイプ表示されるようになり、非常に快適になっている。ちなみに、オリジナル版はゲームパッドのモニターにタッチペンで図形を描くことで「ユナイト・モーフ」を発動させる方式が標準だったが、今作では右アナログスティックの操作で図形を描く方式が標準(ちなみにオリジナル版でも右スティックでの操作は可能)。多少慣れは必要だが、スティック操作を試すと格段に操作性が上がり、快適にゲームを楽しめるようになった。なお、スティック操作が肌に合わない場合には、PS4版ではタッチパッド、Switch版では携帯モード時のタッチスクリーン、Steam版ではマウス操作にも対応しているので、お好みの方法を試してみて欲しい。

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲DUALSHOCK4コントローラーのタッチボタンを押すことで、ワイプで情報画面を呼び出せる。表示位置もタッチパッドを操作すれば好きな場所に置ける

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲「ユナイト・モーフ」で図形を描く場合、右アナログスティックではなくタッチパッドを指でなぞることでも発動可能。オリジナル版の操作感を味わいたい人向けだ

オリジナル版は「名作アクションゲーム」と言える出来だったが、説明不足のため「この先に進むにはどうすればいいの?」と詰まってしまう場面もあり、少々粗削りな印象は否めなかった。だが、『TW101:R』ではそうした不満点には軒並み手が入っており、見違えるように遊びやすくなっている。難易度と操作性のハードルが低くなったことで、万人が楽しめる作品に生まれ変わったのである。

唯一無二のゲーム性から垣間見える「プラチナゲームズ魂」

昨今の売れ筋ゲームと言えば、チーム戦orバトルロイヤル型のFPSかTPS型のアクションRPG 、もしくはオープンワールド型RPGが相場だろう。ストーリーや世界観、細かなシステムの違いこそあれ、操作性自体は似たり寄ったりな作品が多いように思う。そのこと自体は決して悪いことではない。あえて操作性を統一することで、初めてのゲームでもマニュアルを読むことなく感覚で遊べるからだ。しかし、それでも筆者は「そればっかりではなぁ……」と思ってしまうのだ。たまにはマニュアルを読まないとついていけないゲームがあってもいいじゃない。慣れるまでちょっと時間がかかるゲームがあってもいいじゃない、と。

『TW101:R』はそんな筆者の心に深々と突き刺さる作品だった。数十人の味方を率いて進軍し、右アナログスティックで図形を描き、何種類もの「ユナイト・モーフ」を使い分けながら戦う。その操作方法は非常に独特で、完全に自分のものにするまで少々時間が必要だった(といっても30分くらいだが)。このとんがりまくったゲームデザインに、固定観念にとらわれることなく、つねに新しいアクションゲームの可能性を切り開いてきたプラチナゲームズのパイオニアスピリッツを感じずにはいられない。

そんなプラチナゲームズファンの筆者からしても、『TW101:R』はかなり歯ごたえのある作品だった。ノーマルでプレイしているからというのもあるが、ただ適当に大人数の「ユナイト・モーフ」で使い勝手のいい武器を作り、ブンブン振り回していればサクサク進められるというものではない。ちょっとしたザコ敵にもちゃんと攻略法があり、闇雲に突っ込んでいると「参加賞」を突き付けられてしまう。まずはきちんと敵の動きと攻撃を観察して、どうすれば被害を抑えながら有効打を叩きこめるか、自分なりに攻略法を考えながら戦わなければならないのだ。たとえば、カメ型宇宙怪獣「メガン」との戦いでは、踏み付け攻撃を「ユナイト・ガッツ」で防御し、バランスを崩したところを「ユナイト・ハンド」で殴ってひっくり返す。そして無防備な腹を思う存分ボコるのだ。……と説明すると簡単そうだが、実際にやるとなると話は別。メガンをひっくり返そうと狙っている間に、もう一匹のメガンの攻撃でダウンさせられるなんていうのはザラだ。

The Wonderful 101: Remastered WHAT's IN? tokyoレビュー

▲たとえ初見の敵との対決でも、逃げ回りながら敵の攻撃法を観察することで突破口が見えてくる。どうすれば勝てるのかの解法を探しながらギリギリの戦いを切り抜けるのが、本作の醍醐味だ

たとえ初見のステージではコテンパンにやられたとしても、一度クリアしたステージは何度でも再挑戦できるので、より高い評価めざして挑戦し続けるのもアリだ。そうして修羅場をくぐり続けるうちに、それまで手強く感じていた敵がザコと同列に見えてくるようになる。そこまでくると、初見の敵が相手でもそれまで培った経験をもとに対処できるようになって、「俺……戦いの中で成長している……?」などと思えるようになる。本作の難易度「ノーマル」はそんな「プレイヤー自身の成長」を如実に感じられるゲームデザインになっており、プラチナゲームズ作品の「厳しいハードルを乗り越える楽しさと充実感」を味わえるだろう。プレイ開始時はかなり難しく思うかもしれないが、ゲーマー諸兄はぜひ「ノーマル」から始めて、つねに新しいアクションゲームの面白さを模索している「プラチナゲームズ魂」を感じてもらいたい。とはいえ、難易度はステージセレクト画面のタッチパッドから呼び出せるサブウィンドウで変更できるので、「ノーマル」では厳しいと感じたらゲームの途中で難易度を落とすのもアリだ。「イージー」や「ベリーイージー」では無双系アクションゲームに通じるスカッとした爽快感を味わえるだろう。

フォトギャラリー

■タイトル:The Wonderful 101: Remastered
■ジャンル:ユナイト・アクション
■発売元:プラチナゲームズ
■発売日:発売中(2020年6月11日)
■対応ハード:Nintendo Switch™/PlayStation®4/Steam(PC)
■価格:パッケージ版 4,980円+税/ダウンロード版 3,980円+税
■対象年齢:12歳以上
■プレイ人数:PS4・Steam 1~4人/Switch 1~5人

現在、PlayStation Store限定でダウンロード版が10%OFFになるクーポンコードが配布中!【コード: FB7GJBR7R6】
※使用期限は2020年7月10日23:59まで。

『The Wonderful 101: Remastered』オフィシャルサイト
https://www.platinumgames.co.jp/games/the-wonderful-101

© PlatinumGames Inc.