Interview

映画級の“騙し合い”ゲーム始まる。2クール大作アニメ『GREAT PRETENDER』、現時点で明かせるそのすべてを監督に直撃!

映画級の“騙し合い”ゲーム始まる。2クール大作アニメ『GREAT PRETENDER』、現時点で明かせるそのすべてを監督に直撃!

<TVアニメ『GREAT PRETENDER』鏑木ひろ監督インタビュー・後編>

Netflixで好評配信中、そして2020年7月8日からはフジテレビ「+Ultra」ほかにて地上波オンエアがスタートするアニメ『GREAT PRETENDER』(グレートプリテンダー)。本作は、監督を『君に届け』『鬼灯の冷徹』で知られる鏑木ひろ、脚本を『ALWAYS 三丁目の夕日』『コンフィデンスマンJP』など映画・ドラマ界のヒットメーカー・古沢良太、『新世紀エヴァンゲリオン』『サマーウォーズ』で知られる貞本義行がキャラクターデザインを手がけ、『進撃の巨人』『甲鉄城のカバネリ』で実力を見せつけたWIT STUDIOが制作する、最強チームによるオリジナルアニメーションだ。

痛快なクライム・エンタテインメントの要素をてんこ盛りにした『GREAT PRETENDER』、その制作秘話とあらゆる見どころを鏑木監督に聞くインタビュー後編。今回は、キャラクターやキャストの魅力を中心に作品をじっくり掘り下げてもらった。

取材・文 / 阿部美香 構成 / 柳 雄大


インタビュー前編はこちら
続きが待てないストーリー、ピーキーな画風…異例だらけで実現する面白さ、アニメ『GREAT PRETENDER』鏑木ひろ監督に聞く

続きが待てないストーリー、ピーキーな画風…異例だらけで実現する面白さ、アニメ『GREAT PRETENDER』鏑木ひろ監督に聞く

2020.06.25

キャッチーで作品と調和する “貞本キャラ”の魅力

本作では、絵画やイラストを想起させる独特の背景美術に、個性的な貞本義行さんデザインのキャラクターが乗ることで、さらに画としてのインパクトが強まっていると感じます。鏑木監督は貞本さんとも初タッグですね。

鏑木監督 貞本さんは、WIT STUDIOの和田(丈嗣)さんが頑張って連れてきてくださって。こんなビッグネームの方に参加していただけると、作品にも箔が付きますしとてもありがたいです。作品としてもとことんリアルではないけれど、ある程度の漫画っぽいキャラクターが欲しかったので、貞本さんのキャラクターというのは、この作品の世界観にマッチしているなと思います。

貞本さんとのやりとりは、どのように?

鏑木 具体的には打ち合わせで古沢さんがキャラクターの説明をして、その場で貞本さんが落書きしながら考えていきました。『実在の風景に馴染むように』というルールを元に、誰がどう観ても貞本さんデザインだと分かる強くてキャッチーなメインキャラクターが採り入れられたのは作品にとっても大きな強みになりましたね。

そのうえで本作にはサブキャラクターも多く登場するので、準レギュラー的なキャラは総作監でもある加藤寛崇さんにお願いしています。CASE.1だと、主人公のエダマメ(枝村真人)の母親ですとか、仲間の工藤やキムなどですかね。

“振り回されっぱなし系”主人公・エダマメの良さ

キャラクターがとても表情豊かなのも、貞本さんキャラの魅力を引き立てていますね。

鏑木 そこも貞本さんのメインキャラクターの漫画っぽさが、いい影響を与えていると思います。やりすぎなくらい慌てるエダマメの顔などの表情のバリエーションは、原画に起こしやすく加藤さんに調整してもらってます。

たしかにエダマメは自信満々の詐欺師なのに、最初に出会うローランにまんまと騙されるところから、CASE.1は痛快にスタートします。エダマメはいつも振り回されている役どころですね(笑)。

鏑木 そう。彼は加害者でもあり被害者でもあります。主人公なのにコメディリリーフに近いキャラクターなので、画もだいぶ崩さないと(笑)。こういう主人公を立てた作品、ギャグとシリアスが両方入っているような作品が、僕は好物ですね。

CASE.1でもちょっと出てきますが、過去にエダマメは父親の事でシリアスな経験をしている。少し重たい内容ではあるんですが、これに関しては後半でおいおい分かってくることもありますので、心に留めておいてもらえればなと思います。こういった随所にシリアスな人物背景が挟み込まれていく構成もほぼ古沢さんが書かれた通りなので、実に上手いと思いますね。

キャラクターとしてのエダマメの魅力を、どこに感じられますか?

鏑木 騙す側のつもりでいて騙される、2番手感が魅力的ですよね(笑)。エダマメはいじりやすいキャラなので、他のキャラクターとの会話も気楽で楽しい。ドラマを構成する上ではとてもいいキャラクターだと思います。声を当ててくれた小林(千晃)くんも、オーディションからすごく捨て身の芝居をしてくれて、これはまさにエダマメだと。声の太さや、『なんか図々しそうだな』という印象も込みで。思い込みかもしれないけど小林くん自身もエダマメっぽいんですよ。裏表なさそうで。以前本人にそう言ったら「裏表ありますよ!」と返されましたけど(笑)。彼はきっと人気者になるでしょうね。

ちなみに、シナリオ的にはどんでん返しがたくさん出てきますが、キャストの皆さんは先を知って演じられていたんですか?

鏑木 いえ、音響監督のはたしょう二さんのプランとして、台本は1話ずつしか渡さなかったそうです。なのでキャスト間でも「こうなったんだ!」という驚きは毎回あったみたいですよ。まぁ、エダマメは振り回される側なので、先を知らない方がいいのかもしれないですけど(笑)。

秘密だらけ!? の曲者が揃ったメインキャラたち

エダマメが東京からロサンゼルスに行くハメになるキーパーソンとして登場するのが、飄々とした優男のローラン・ティエリー。演じているのは諏訪部順一さんですね。

鏑木 ローランは本心が見えないインチキ臭い野郎なので(笑)、そこは声質が高くも低くもなく、ちょうどピッタリな諏訪部さんにお願いしました。芝居も落ち着いた感じが良く出てていいですよね。ちょっと裏がありそうだし。そのローランも話が進むと人間らしい要素が出てくると思うので、楽しみにしてほしいです。

女性のメインキャラも、“アビー”ことアビゲイル・ジョーンズは多くを語らずクールでミステリアス。身体能力に長けたキャラクターで、CASE.1では格闘シーンが印象的です。

鏑木 アクションシーンは、アニメーターの皆さんに頑張ってもらいました。CASE.1のアビーはまだ謎めいていますが、次のCASEからは彼女の複雑な過去が判ってきます。そんなアビーなので、ボーイッシュな声の藤原夏海さんを決め打ちでキャスティングさせてもらいました。

もうひとりの女性キャラ、ポーラ・ディキンスはローランを追っている美しく、知的なFBI敏腕捜査官。キャストは園崎未恵さんです。

鏑木 ポーラ・ディキンスは……ぜひCASE.1を最後まで観ていただきたい人物ですね。年齢はけっこういってそうなんですけど、20代ぐらいに見えちゃう。綺麗だけど可愛い部分もある女性です。男性から見たらかなり魅力的じゃないですかね。一見クールですが後半になるにつれ印象も変わると思います。声を担当してくれた園崎未恵さんも、そんなポーラをほぼ完璧に演じてくれてます。ココだけの話、あの声はお気に入りです。

まだまだ言えないことは多いけれど…「騙されたと思って観てください!」

また、『GREAT PRETENDER』で見逃せないのが劇伴音楽だと感じました。音楽を担当されたのは、やまだ豊さん。映画『キングダム』や数々のドラマ、アニメでは『東京喰種トーキョーグール』シリーズなどを手がけられています。

鏑木 やまださんは、ロサンゼルス在住で、天才型だと個人的には勝手に思ってます(笑)。通常のTVシリーズだと「こういう曲が欲しい」という音楽メニューを作ってオファーするんですが、今回はこちらからオーダーはしていなくて。やまださんが何曲かずつ送ってこられるので、そこからいいところを使わせてもらってます。

ジャズ、ヒップホップなどジャンルもトレンディですし、音楽としても「ジャズ風、ヒップホップ風」ではなく、ポストジャズ、ポストロック的な要素なども入ったかなりの本格派。劇伴らしからぬボーカル曲が多数フィーチャーされているのも、TVシリーズとしては新しさを感じました。

鏑木 そう。とても今風ですよね。現代劇なので、そこもマッチしていますし、絵面に合わせたピーキーさを、あえてやってくれてるんだなと思います。ボーカル曲も、やまださんが自由に作られていて。僕は今まで、ボーカル曲を使うのは苦手だったんですけど、やってみると思いのほか、いいもんだなと思いました。この作品にはとても合っていると思います。今作品はやまださんの音楽を熟知している千田さんが選曲もしてまして、相当かっこよく曲で盛り上げる事が出来ましたね。あと主題歌もすごくいいので、オープニング、エンディングもぜひじっくり味わってほしいですね。

まさに“コン・ゲーム”という言葉にふさわしい、スケールの大きな騙し合いが展開する『GREAT PRETENDER』。CASE.2以降も世界を股にかけた物語が展開するとのことで、ますます期待が高まります。

鏑木 今、この時点でも、先行配信をご覧になった方以外に話の詳しい内容をお知らせはできない作品なので……「騙されたと思って観てください!」としか言いようがないんですけど(苦笑)、今後も章ごとに舞台が移り変わり、他のメインキャラクター達も掘り下げられていきますので、ぜひ観ていただくしかないなと(笑)。けっこうビターなエピソードもありますし、騙しの仕掛けも大がかりになります。勿論、人間ドラマのほうにも注目していただきつつ全23話を楽しんでいただけたらと思います。

TVアニメ『GREAT PRETENDER』

2020年7月8日よりフジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日24時55分から放送
ほか各局にて放送(関西テレビ/東海テレビ/テレビ西日本/北海道文化放送/BSフジ)
※放送日時は変更の可能性があります。

Netflixにて好評配信中!
CASE.1(1話~5話):配信中
CASE.2(6話~10話):配信中
CASE.3(11話~14話):配信中
CASE.4:Coming Soon

<スタッフ>
監督:鏑木ひろ
脚本・シリーズ構成:古沢良太
キャラクターデザイン:貞本義行
サブキャラクターデザイン・総作画監督:加藤寛崇
総作画監督:浅野恭司
デザインワークス:奥田明世 清水慶太 石橋翔祐
コンセプトデザイン:丹地陽子
副監督:益山亮司
美術監督:竹田悠介
美術設定:藤井一志
色彩設計:小針裕子
撮影監督:出水田和人
編集:今井大介
音楽:やまだ豊
音響監督:はたしょう二
ミュージックエディター:千田耕平
アニメーション制作:WIT STUDIO

<キャスト>
枝村真人(エダマメ):小林千晃
ローラン・ティエリー:諏訪部順一
アビゲイル・ジョーンズ(アビー):藤原夏海
ポーラ・ディキンス:園崎未恵

オフィシャルサイト

©WIT STUDIO/Great Pretenders