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eスポーツで大暴れ!?『海腹川背 BaZooKa!』が再び教えてくれる対戦の熱さ

eスポーツで大暴れ!?『海腹川背 BaZooKa!』が再び教えてくれる対戦の熱さ

ゲームの”対戦”にスポーツのような競技性を見出す”eスポーツ”というキーワードが、ゲーム界隈で盛り上がりを見せています。一時期は“eスポーツ元年”という言葉が毎年のように使われ、終わらないeスポーツ元年のなかをループしていたような感覚でしたが、昨年などはテレビの地上波などでもeスポーツを見かけることが増え、いよいよ勢いがついてきたのかもしれないと感じています。コロナ禍という大きなアクシデントがありeスポーツ方面のイベント系も中止が相次いでいますが、オンラインでeスポーツ的な大会を行うという流れも出てきており、まだまだこの熱気は続きそうです。
筆者は対戦ゲームが大好きです。嬉しいことにここ数年は、eスポーツというキーワードに引き付けられるように熱い対戦が楽しめるゲームを発売してくれるメーカーが増えているのです。ひと言に対戦と言ってもその内容はさまざまで、国内でもeスポーツとして注目を集めるシューターゲームや格闘ゲームはもちろん、パズルゲームにも“競う”要素がより色濃く盛り込まれ始めました。今回紹介する『海腹川背 BaZooKa!』も”こんどの海腹川背はeスポーツ!?”というキャッチフレーズとともに、なんと対戦をメインにしたゲームとなっているのです。本稿では、メーカー自らeスポーツ種目と謳うこのゲームの魅力を対戦に焦点を当てて語っていきます。

文 / 浅葉たいが


簡単操作で熱い対戦を楽しむ

「海腹川背」シリーズといえば“ラバーリングアクション”とも言われる、びよーんと伸ばしたゴムロープのようなものを活用してステージを駆け抜けていくアクションゲームとして知られています。本作は、ラバーリングアクションとキャラクターごとに異なる多彩な“スキル”が飛び交う華やかな対戦アクションに変化。しかも最大4人までプレイできるため、賑やかな“お祭りゲーム”的作品になっています。ちなみに1人で遊べるモードも用意されており、こちらはステージクリア型のアクション。本作の醍醐味である対戦とはプレイフィールは異なりますが、このモードの序盤にはチュートリアル的な意味合いがあるうえ、プレイすることで操作の練習にもなるように設計されています。

海腹川背 BaZooKa! WHAT's IN? tokyoレビュー

▲画面中央でロープのようなものを伸ばしているのが“ルアーアクション”。ステージ内のオブジェクトにひっかけて移動手段にすることもできる。こちらは1人用モードの画面

本作のお祭り要素は賑やかな対戦模様だけではなく、多彩なキャラクターたちにも表れています。「海腹川背」シリーズに登場したカワセやノッコだけでなく、1991年に発売された名作シューティングゲーム『コットン』からコットンやアプリ、ゲーム内世界をゆったりと楽しめる新感覚ゲームとして話題を博した『どきどきポヤッチオ』のルフィ―やマリン、『アカイイト』の鳥月や『リング・ドリーム』のソニックキャットなどなど、いろいろなIPから参戦した22名のキャラクターたちが登場します。つまり本作は、販売元であるサクセス、開発元であるスタジオ最前線の関わったタイトルからいろいろなキャラクターが登場するオールスターゲーム的な作品でもあるのです。このキャラクターのラインアップは筆者のように懐かしさを感じるプレイヤーもいれば、古いゲームのキャラクターも多いため誰が誰だかわからないという方もいると思いますが、心配は無用です。対戦を楽しむうえでキャラクターの出自はスパイスのようなものであり、知らなくても不利になることはありません。気になるキャラクターがいれば出典元を探し、今やレトロゲームと呼ばれる作品を遊んでみるきっかけにするくらいの気持ちで臨むのがいいでしょう。

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▲こちらは4人対戦の画面。ステージも多数用意されており、戦略が大きく異なる

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▲いろいろなゲームから参戦したキャラクターたちが戦うオールスターゲーム的な側面も。コットンが使える対戦型ゲームというだけで刺さる人もいるのでは?

お祭りゲームだけあって本作の操作は実に簡単。方向キーでの移動と、ボタンで繰り出す“ジャンプ”、“ルアー”、“スキル”を組み合わせてキャラクターを動かします。移動とジャンプはステージを走り回る際に使うのですが、ルアーは使いかた次第でいろいろな現象を起こせるのが面白いところ。ステージに落ちているオブジェクトをキャッチして弾にしたり、気絶している敵キャラクターを捕まえて拘束したり、はたまたステージの地面や壁にひっかけて通常の移動やジャンプではできない動きを見せたり、高所に昇ったり。このルアーを使う動きこそが「海腹川背」シリーズの魅力であったラバーリングアクションを継承したものになっており、簡単な操作ながら使いかた次第で動きの幅を大きく広げられる要素にもなっているんですね。

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▲敵や一部のオブジェクトをルアーでキャッチすればバズーカの弾として装填できる。バズーカの弾はダメージが大きく、対戦でも攻撃手段の要となる

スキルはキャラクター別に用意されている攻撃手段。いわゆる必殺技的な要素です。見た目や性能はさまざまで、突進して攻撃するもの、その場で武器を振り回すもの、ほかにも相手を吸い込むブラックホールのような技や動物を召喚するなどユニークなものが揃っています。このスキルの違いがキャラクターの性能差に大きく関わるのですが、細かいところではルアーの飛距離なども異なるのが本作の渋いところ。コアなゲーマーでなければ見落とすであろう要素が、ちらほらと散りばめられているんです。
このシンプルな操作で楽しめる対戦にのめり込んでいるのが現在の筆者で、2人から4人までの対戦を楽しめる“バトルモード”に入り浸っています。このモードはオンラインプレイも可能なので、実際に集まらなくても熱い対戦が楽しめるのが嬉しいところ。試合のテンポもいいため、今日は夜の12時までにしておこうと事前に決めていても、ついつい時間をオーバーして熱中してしまうことも珍しくありません。最近はこのモードで友人たちとボイスチャットをしつつ対戦しているのですが、これはなんとも贅沢な時間。“オンライン飲み会”というブームが生まれているというのはニュースなどで見たのですが、我々対戦好きゲーマーはもともとボイスチャットとゲームがあれば、飲み会さながらに盛り上がることができるんです。

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▲スキルを使うと、画面にカットインが入ったあとにキャラクター別の攻撃が発生。複数人でプレイすると試合中のスキル発動回数も当然増えるため、カットインが乱れ飛ぶことに。プレイを始めたばかりの頃はカットインの頻度が多すぎて何が起きているかわからないという状態だった

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▲カットイン後に発生するスキル攻撃はキャラクターごとに異なる。こちらは元宇宙海賊でサキュバスの姫という、設定が渋滞気味のルシーナが使える“ブラックホール”

2人で遊ぶ1vs1の対戦モードは、ストイックな技の仕掛け合いが続きます。“相手の攻撃を見てから回避して、反撃を叩き込む”というのが基本戦術になるのですが、相手を動かすための“けん制”の打ち合いがシンプルながらひりつく緊張感をもたらしてくれます。負けた理由が実にわかりやすいため、上達も早いモードです。
対して4人での対戦は“ハチャメチャ”になりがちです。1vs1なら1人に集中していればいいのですが、4人対戦は最悪の場合だと3人から同時に攻撃を受けて、どんなに画面を見ていても回避が困難な状況が発生します。さらに悪目立ちすると、“あいつは強いキャラクターを使ってくるから最初に3人で倒そう”みたいな暗黙の了解が発生し、プレイスキルだけでなく空気の読み合いのようなものもエンターテインメントとなります。結果として全員が空気を読むようになってみんなほどほどに強いキャラクターを使うようになったり、逆に全員が一斉に強いキャラクターを選んでいたりという“読みあい”も楽しみのひとつです。
友人たちとの4人対戦はさらに渾沌としており、“目立つと狙われる”という要素を踏まえて気心の知れた仲間とボイスチャットをしていると、人狼ゲームのような騙し合いすら始まるのです。いわゆる“野良”として1人でオンライン対戦に参戦し“ランク”を上げていくのも本作の楽しみかたのひとつですが、周りにゲームフレンドがいるという方は是非とも一緒に遊んでみてください。リーズナブルなソフトなので手に取ってもらうハードルもやや低め。お値段以上にわいわい楽しめる作品となっています。

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▲バトルモードでは、最後まで生き残った1人が勝ちとなる“バトルロイヤル”と、敵を撃破することでドロップする“★”を奪い合って制限時間いっぱい戦い続ける“スターマッチ”が用意されている。どちらのルールでもカジュアルに熱い対戦が楽しめる

友人を招待して遊ぶフレンドマッチ的な機能はSteam®版のみ先行して実装されています。この“プライベートルーム機能”は今後全ハードでも実装予定とのことです。いまの筆者たちはボイスチャットをつないで、「せーの」でオンラインバトルに飛び込む原始的な方法で無理矢理フレンド対戦を実現しています。意外と成功しますし、一度マッチングしてしまえばそのまま同じメンバーで連戦できます。eスポーツを謳うゲームだけに「フレンドと戦うよりも見知らぬ人と戦って切磋琢磨してほしい」という開発側の考えがあるのかもしれませんが、個人的にはやはり友人との大騒ぎが楽しいんです。。

本作もeスポーツになる可能性はある

古くからの対戦ゲーマーは、eスポーツという言葉に身構えてしまいがちです。対戦というゲームの文化がeスポーツという言葉を与えられたことで、娯楽以上の価値を持ちつつあります。ゲームをスポーツととらえ、そこで競い合うことで健全な精神のようなものが育くむ可能性があるというような話も見かけます。理想としては素晴らしいことかもしれませんが、こうした健全さが求められるなかで、対戦の荒々しく熱気のある部分が隠されようとしていると感じている人も少なからずいるのです。実際に日本のeスポーツの原型を作ったとも言えるゲームセンターの一部の対戦シーンで許されていた、勝てば正義ともいえるやや尖った価値観は姿を消しつつあります。同時に“ゲームの盛り上がりかた”もやや異なった方向に変わってきていて、大会の実況などを聴いていると昔よりきれいな言葉が並びます。小さなコミュニティで行われていた対戦やゲーム大会が、より不特定多数の人が見る可能性のある世界に羽ばたいたことで形が綺麗なものになっていくのは当然のこと。それが正しいことだとはわかりつつも、心のどこかで自分たちのものだったはずの対戦が自分の手から離れていくような痛みを感じる人もいるでしょう。
こんなことを書くと「お前はeスポーツが嫌いなのか?」とどこかからツッコミを受けそうですが、僕は対戦ゲームもうまくつき合っていけば両方楽しいものだと思っています。eスポーツという言葉がもたらしたものは窮屈さだけではありません。対戦ゲームの新作が増えてきているのもそうでしょうし、一時は少なくなっていたゲーム大会が増えているのもこの言葉のおかげでしょう。華やかなステージ上で凄腕のゲーマーがバチバチと火花を散らす対戦を観るのはやはり楽しいものです。しかし、ひとりのゲーマーとしては昔ながらの荒々しい対戦も好きというのが正直なところです。それを実現できるのが友人との気兼ねのない対戦です。だから筆者たちは、仲間内で楽しむタイトルを常に求めているんです。仲間内で遊んでいると、勝ったら「ざまあ」、負けたら「クソ」みたいな悪態をついてゲラゲラと笑っています。これは知らない人が見たら野蛮で、そこにスポーツマンシップ的なものを見出すのは難しいと思いますが、ゲームを遊んでいる我々としてはとても楽しいのです。
eスポーツいう言葉が注目されてからの対戦ゲームはちょっとかっちりしているものが多く、“上手い人も下手な人も一緒に笑って楽しめる”という作品はなかなか希少。本作はまさに“みんなが楽しめるゲーム”になっています。遊びやすく原始的ともいえる対戦アクションでありながら、ついつい熱中させられます。全体に漂うおおらかなバランスが、対戦という人と人との闘いに参加するハードルを絶妙に下げています。価格が安いので、周りのゲーマーに買ってもらいやすいのもありがたい限りです。実はすごく細かいところで奥深い要素をあちこちに隠し持っているのが本作の面白いところ。ジャンプに無敵時間を設けたことで際どい攻撃を見切って躱すことができたり、同じような行動でも微妙にダメージや移動などのパラメーターが異なっていたり。ちょっとマニアックだけどそれが控えめで、とてもいい塩梅。これがeスポーツを意識した設計なのかもしれません。

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▲リーズナブルな作品ということもあり、ストーリーモード的なものがないなどあえてオミットしたであろう部分も見受けられる。完璧な作りを求める方には刺さらないかもしれないが、対戦の面白さはホンモノ

仕事柄、大好きな対戦ジャンルのゲームを見ると“この作品はeスポーツなのか”とか、“将来的にeスポーツになりえるのか”ということを考えるようになっていました。しかし、本作のようなカジュアルに遊べる対戦ゲームが“海腹川背はeスポーツ!?”というキャッチフレーズとともに現れてくれたことで、自分の考えはどうだっていいんじゃないかと思い始めています。このキャッチフレーズは流行のワードに乗っただけかもしれませんが、“?”に大変な愛嬌を感じます。ゲームというのはプレイヤー次第でeスポーツにもなりえるし、世間が認めるeスポーツにならないとしても賑やかな対戦ゲームとして楽しめます。世間が認めなくても誰かが“これは”eスポーツだ“という権利は誰にも邪魔されないし、どうしてもeスポーツにしたいのならば自分が競技シーンを盛り上げることだって今の時代はできます。本作の価値を受け取った人次第で、何かが起きるかもしれませんね。とにかく『海腹川背 BaZooKa!』を遊んでいると、対戦ジャンルのゲームを好きになったときの「対戦って面白い」という気持ちを思い出させてくれます。ぜひ皆さんも友人と一緒に遊ぶ本作の魅力を体験してみてください。

フォトギャラリー

■タイトル:海腹川背 BaZooKa!
■発売元:サクセス
■対応ハード:PlayStation®4、Nintendo Switch™、Steam®
■ジャンル:ラバーリング対戦アクション
■対象年齢:12歳以上
■発売日:発売中(2020年5月28日)
■価格:パッケージ版・ダウンロード版 各2,800円+税


『海腹川背 BaZooKa!』オフィシャルサイト

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