続・ 初夏のVTuber講習〜押さえるべき10組を紹介  vol. 3

Review

CocoTsuki(ココツキ) 3人のシンガーユニット。壮大なストーリーとともに構成される世界観に引き込まれる。

CocoTsuki(ココツキ) 3人のシンガーユニット。壮大なストーリーとともに構成される世界観に引き込まれる。

魅力的なコンテンツを発信し続けるVTuber(バーチャルYouTuber=3DCGのキャラクターによるYouTuber)は、いまや日本のエンターテインメントに不可欠な存在。今年ついに1万人を超えたVTuberのなかから、精力的に音楽活動を行っている“アーティスト”を紹介します。“VTuberの音楽活動って、どんなことやってるの?”というビギナー方も大丈夫。優れたシンガー、クリエイターが集結しているバーチャル・アーティストの世界へようこそ!


ショートカットの姉・鈴代ここね、三つ編みの妹・鈴代つきね、そして、途中で加わった響かさねによるシンガーユニット、ココツキ。2019年2月に活動を開始し、“歌ってみた”を中心にした歌動画を次々と投稿。10月に響かさねが参加し、現在の体制となった。

ココツキの最大の特徴は、プロジェクト全体が壮大なストーリーで構成されていること。去年のバレンタインデーにアップされた最初の動画「CocoTsuki.Project 〜prologue〜」(2019/02/14)には、妖しく光る月、妹のつきねを背後から優しく抱きしめる姉・ここねの姿、そして、「ただ、守りたいだけなのに」「傷つけてごめんね」「ずっと一緒にはいられないから」といったセリフが映し出されている。激しさと悲しさを共存させたエレクトロ系のトラック、姉妹の物憂げな歌声と表情も含め、物語のはじまりにふさわしい内容となっているのだ。

その翌日には初めてのカバー動画「命のユースティティア – Neru / covered by ココツキ【歌ってみた】」(2019/02/15)を投稿。原曲は2013年にボカロP・Neruが発表したナンバーで、ニコニコ動画で160万を超える再生数を記録している人気曲。(“まふまふ”も今年1月にカバー、こちらも100万再生数を突破している)

ココツキのバージョンは、原曲のロックテイストを強く押し出しつつ、ここねのエモーショナルな歌声、つきねの凛とした声質をしっかりとアピール。“奪われた世界を さあ取り戻せ”に象徴される楽曲のファンタジックな世界観とココツキの物語性を重ね合わせた映像も秀逸だ。

その後も、蝶々Pによるボカロ・バラードの名曲「心做し」のカバー「【女性2人で】心做し/covered by ココツキ【歌ってみた】(kokoronashi)」(2019/03/01)、レミオロメンの代表曲「3月9日」のカバー(【女性2人で】3月9日 – レミオロメン/covered by ココツキ【歌ってみた】)(2019/03/08)、カンザキイオリが2017年に発表したヒット曲「命に嫌われている。」のカバー「命に嫌われている。 – カンザキイオリ/covered by ココツキ【二人で歌ってみた】」(2019/10/11)などを投稿し、知名度を上げてきたココツキ。単に人気のある曲をカバーするだけではなく、歌詞のフレーズを引用しながらココツキ独自の物語を構築していることこそが、このプロジェクトの特徴だ。MVにはココツキの過去のエピソードやセリフが散りばめられていて、“どうして彼女たちはVTuberになったのか?”“どんな人生を歩んできて、どこに向かおうとしているのか”と考察できることも、ココツキのおもしろさ。実際、この曲にはどんな意味が…?と深読みしているうちに、彼女たちの世界にハマっていくユーザーも多い。

そして2020年1月18日には、待望のオリジナル曲も発表された。最初の楽曲「KEYS」(ココツキ 「KEYS」 MV / music by DECO*27)は、ボカロPのオリジネイターの一人であるDECO*27が手がけたアッパーチューン。高速の4つ打ちビート、エレクトロとギターロックを融合させたサウンド、意外性に富んだ展開と転調を効果的に使ったサビのメロディは、まさにDECO*27の真骨頂。胸に抱いた“鍵”をモチーフにした歌を感情豊かに歌い上げる“ここね&つきね”のボーカル、バトルシーンを交えた映像を含め、ユーザーからも大きな反響を集めた。

さらに3月27日には、ここね、つきね、響かさねの新体制によるオリジナル曲第2弾「Wishig」(ココツキ 「Wishing」 MV / music by Ghost Code Works)をリリース。“願いが 一つ叶うなら あなたに明日が来ますように”という3人のユニゾンではじまるこの曲は、流麗にして力強いメロディ/ハーモニーを軸にしたロックナンバー。

豊かな声量と強靭な意志を感じさせる響かさねのボーカルが加わることで、ユニットしての広がりと厚みが増している。

4月3日には、蝶々Pが手がけたオリジナル曲第3弾「Intersect」(ココツキ 「Intersect」 MV / music by 蝶々P)も。お互いに思いを寄せ合いながら、決して交わることがない“「交錯」する彼女たちの想い”をテーマにしたバラード曲からは、ココツキの物語が少しずつ核心に近づいていることが伝わってくる。ノスタルジックな雰囲気のイラストを中心としたリリックビデオも魅力的。「Intersect」を聴けば、このユニットにおける“言葉”の重要性を改めて実感できるはずだ。

オフィシャルHPには、ココツキの物語を綴ったオリジナル小説『月ノ心ニ音、累ナル。』を連載中。また、公式ファンクラブも開設され、「オリジナル楽曲を沢山制作して、リアルライブを実施すること」を目標に掲げている。音楽、歌を通して、奥深いストーリーを描くココツキは、様々なメディアを通し、さらに大きく展開することになりそうだ。

文 / 森朋之

ココツキCocoTsuki Project – YouTube

ココツキの作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
https://www.cocotsuki.com

vol.2
vol.3
vol.4