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岡田健史のポテンシャルの高さはデビュー作『中学聖日記』でダダ洩れ! 再放送であらためて感じるスター性

岡田健史のポテンシャルの高さはデビュー作『中学聖日記』でダダ洩れ! 再放送であらためて感じるスター性

現在、有村架純主演のドラマ『中学聖日記』(18/TBS)が、特別編として放送されている(6月10日(水)まで)。婚約者がいる身でありながら、教え子の男子中学生に心惹かれていく女性教師・末永 聖の“禁断の恋”を描いたヒューマンラブストーリーで、有村の相手役に起用されたのが、当時無名の新人だった岡田健史だ。キャスト発表当初、“180cmの高身長&端正な顔立ち”というルックスで女性たちの視線を釘づけにした一方、「こんな大役が新人に務まるのか」という心配の声も上がっていたが、岡田の初々しい演技は、思春期を迎えた中学生・黒岩 晶が恋に思い悩む姿と見事にハマった。その結果、初回こそ視聴率は低めだったが、回を追うごとに話題を呼び、最終話では自己最高視聴率を記録。岡田の人気も爆発し、一躍”時の人”となった。

岡田は本作の放送終了後も映画にドラマに引っ張りだこ。いま最も勢いのある俳優のひとりといえるだろう。今回は、岡田のデビュー作かつ代表作である『中学聖日記』を振り返りつつ、彼が人の心を惹きつけて離さないのはなぜなのか、その魅力を紐解いていく。

文 / 上條真由美


野球少年から俳優に。オーディションで勝ち取った『中学聖日記』出演で一躍ブレイク!

8歳から高校3年生まで野球一筋だった岡田は、中学1年生のときに現在の事務所からスカウトを受けるも、芸能界に興味がなく、甲子園出場を目指して野球に打ち込んでいたため断ったという。高校野球部を引退後、助っ人として参加した演劇部の大会で演じる快感を知ったことがきっかけで、俳優を志すように。高校卒業後の2018年、5年間にわたりスカウトを続けていた事務所に所属し、同年10月、ドラマ『中学聖日記』で俳優デビューを果たした。

『中学聖日記』は、かわかみじゅんこによる同名漫画が原作。女性からの人気が高い作品だけに、実写ドラマ化が発表されたときには、キャスティングに関心が集まった。晶役を決めるにあたっては、1年がかりのオーディションを実施。岡田はテレビ出演の経験も演技経験もなかったが、「純粋でいい意味で洗練されていない、今どきの子にはなかなかない魅力があった」との理由から抜擢された。岡田はのちに、オーディションを勝ち抜き、晶役を射止めたことについて、「これまでの人生でいちばん嬉しいぐらいの喜びを感じました」と語っている。

ドラマ『中学聖日記』で大注目の岡田健史が“役者”へ懸ける思いを語る。「経験したことのない快感」が俳優の道へと突き動かした

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2018.11.13

初々しさとあどけなさと危うさとふとした色気。”黒岩くん”の虜になる女子が続出

岡田が演じた“黒岩くん”は、とにかくまっすぐでピュアなところが最大の魅力だ。はじめは、新しく赴任してきた担任教師の“聖ちゃん”への感情の正体が何なのかわからず、冷たくあたってしまう。幼い感覚ゆえ、教師として「黒岩くんの力になりたい」と真剣に、ときには「黒岩くんって、きれいな顔してるね」と無邪気に話しかけてくる聖ちゃんにイラっとして、ビンタをしてしまったこともあった(結構衝撃的なシーンだった…)。しかし、いざ“恋心”を自覚すると、「先生のこと好きになっちゃいました。もうどうしていいか全然わかりません」「僕のことも先生に好きになってほしいです」とストレートに告白してくるものだから、相手の状況や気持ちを理解しながら育む“大人の恋”に慣れてしまった聖ちゃん世代(アラサー)以降の女子たちは思わず胸キュン。「なんてピュアなんだ」「ストレートな言葉が刺さる」などの声が相次いだ。

10歳年下、しかも中学生に告白されたら、「距離を置こう」と思うのはごく自然なことだが(聖ちゃんは担任教師だし…)、黒岩くんにはそれが理解できない。耐えきれなくなって、体育祭の途中で聖ちゃんの腕を掴んで倉庫まで連れて行き、「子ども扱いしないでください! なんで逃げるんですか」と詰め寄ったかと思えば、自転車で転倒してしまった黒岩くんを心配してかけ寄った聖ちゃんの体をぎゅっと抱きしめ、「僕のこと嫌いにならないでください」と懇願した。さっきまで強気だった黒岩くんの声は弱々しくかすれ、目には涙が。このギャップにはノックアウトされた人も多いのではないだろうか。その後、車の後部座席から「からかって言ったわけじゃなくて、先生が好きです」と再び告白するのだが、バックミラー越しの上目づかいもずるい。あんな目で見つめられたら、聖ちゃんの心が揺れ動くのも無理はない。

婚約者と教え子。安定と破滅のような両端な選択に揺れる聖ちゃんの心の中では、嵐が吹き荒れていたに違いない。いけないと分かっているのに、気持ちが抑えきれなくなってしまった花火大会の夜の出来事を描いた、第4話は”神回”と言っていいだろう。「結婚するの」と話しながらも、感情があふれて泣き崩れてしまった聖ちゃんの手を引いた黒岩くんは、じっと目を見つめた後でキス。さらに、「誰が何を言おうと関係ない。先生が好きです」ともう一度キスをして抱きしめ、聖ちゃんもそのまま身を委ねた(2回目のキスの前の「もう1回いいですか?」は反則!)。ついに教師と生徒という一線を超えてしまったこのシーンは、「心臓が止まりそう」「胸が苦しくて涙が出た」などと大きな反響を呼んだ。

前半だけでも、岡田がつくりあげた“黒岩くん”は、少年のようなあどけなさを見せたかと思えば、ふとした表情や仕草に色気を漂わせ、女性たちを虜にする要素を持ち合わせていることがわかる。また、どうにも止められない聖ちゃんへの想い、好きなのにうまくいかないもどかしさなど、思春期特有の危うさや不安定さを体現し、有村に引けを取らない存在感を見せた。冒頭で触れた通り、演技慣れしていない初々しさも良い方向に作用し、黒岩くんの素朴な部分を引き立たせる結果に。この絶妙な相乗効果はドラマの成功はもとより、俳優・岡田健史の注目度を底上げし、放送終了後も彼の出演作が発表されるたびに大きな話題を集めることとなった。

ドラマのヒットを支えた、実力派俳優たちの好演

想像以上の演技の才能を見せた岡田は、本作で『第99回ザテレビジョンドラマアカデミー賞』の助演男優賞、『第28回TV LIFE年間ドラマ大賞』の新人賞を受賞したが、『中学聖日記』のヒットの要因は、吉田 羊、夏川結衣、夏木マリら実力派俳優がしっかり脇を固めたことで、作品により厚みと深みが増したことにもある。

なかでも、映画『ストロボ・エッジ』(15)、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16/CX)ほか、数々のヒット作で主演を務め、2017年にはNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』のヒロインを演じるなど、名実ともに国民的女優のひとりとなった有村架純が、それまでの清純なイメージを覆して視聴者を驚かせた。民放連続ドラマ単独初主演にも関わらず、教師の道を踏み外し、生徒との禁断の恋に走るという、共感されにくいキャラクターを演じるにあたり、プレッシャーも相当なものだったと察するが、恋心や葛藤にもがき苦しむ聖を全身全霊で演じた有村には、称賛の声があがった。

また、聖の婚約者のエリート商社マン・川合勝太郎を演じた町田啓太もすばらしかった。勝太郎は外見も内面もイケメンで、非の打ちどころがない“理想の彼氏”。忙しくて余裕のない聖をやさしく気遣う、中学生の黒岩くんとは違った大人の魅力で視聴者をときめかせ、聖との関係が良好だったころには、バックハグや頭ポンポン、不意打ちキスなど胸キュンシーンも多かったため、「美男美女でお似合い」と、こちらのカップルのファンも多かった。そんな勝太郎だが、信じていた恋人に裏切られ、その相手が中学生というまさかの出来事に冷静さを失う。聖を引きずり、感情をむき出しにする勝太郎には「未練タラタラで見苦しい」「ふたりの邪魔をしないで」と怒りの声すら飛び交ったが、一方で、前半と後半で別人のような勝太郎を演じた町田の演技の振り幅は大きなインパクトを与えた。

そして、”禁断の恋”を彩る劇中曲も素晴らしい。ゆらゆらと揺れる心情を表すかのような繊細なピアノのメロディは切なさが増し、さらに抜群のタイミングで流れる主題歌「プロローグ」(Uru)で視聴者の締め付けられた気持ちも爆発する。「あ~な~た~を~」と一緒に口ずさんだ人も多いのではないだろうか。これらの要素もまた、まっさらな新人俳優であった岡田をしっかりと支えていた。

スクリーンデビューも果たした岡田健史の今後の活躍に期待

『中学聖日記』で大役を見事に演じ切った岡田は、その後『博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?』(19/福岡放送)、『フォローされたら終わり』(19/AbemaTV)で主演を務め、米倉涼子主演の人気ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(19/EX)へのゲスト出演が話題に。今年3月には、映画『弥生、三月-君を愛した30年-』でスクリーンデビューも果たした。

©2020「弥生、三月」製作委員会

現在は、主人公を演じるFODドラマ『いとしのニーナ』が配信中。今後も、新ドラマ『MIU404』(近日放送)で『中学聖日記』以来、約1年3ヶ月ぶりにTBSドラマに出演し、初めて刑事役を演じるほか、主演を務める『大江戸もののけ物語』(7月放送予定/NHK・BSプレミアム)で時代劇に初挑戦する。さらに、映画『劇場版 奥様は、取り扱い注意』(近日公開予定)、『望み』(10月公開予定)『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』(11月公開予定)『新解釈・三國志』(12月公開予定)の公開も控えており、岡田の姿を目にする機会が多そうだ。

今年21歳になり、ぐっと大人っぽくなった岡田は、最近のインタビューで「まっすぐなだけじゃなくなってきた。視野がひろがったぶん、以前よりお芝居を楽しめるようになった」と、デビュー当時からの自身の変化を語ってくれた。これからも進化を遂げながら俳優としてさらなる飛躍を見せてくれるだろう。その前に、彼の原点であるドラマ『中学聖日記』で、初々しい魅力に触れてほしい。

ドラマ『中学聖日記』特別編

第7話:6月3日(水)23:56~24:55 
第8話:6月5日(金)24:20~25:20
第9話:6月8日(月)23:56~24:55
第10話:6月9日(火)23:56~24:55
最終話:6月10日(水)23:56~24:55
※ドラマ『中学聖日記』はParaviにて配信中

出演者:有村架純、岡田健史、町田啓太、マキタスポーツ、夏木マリ、友近、吉田 羊、夏川結衣 ほか

製作:TBSスパークル、TBS
原作:かわかみじゅんこ「中学聖日記」(祥伝社フィールコミックス)
脚本:金子ありさ
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、竹村謙太郎、坪井敏雄、府川亮介
編成:橋本 孝、渡瀬暁彦
主題歌:Uru「プロローグ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

オフィシャルサイト
http://www.tbs.co.jp/chugakuseinikki_tbs/

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