月曜の朝を待ちわびて。~「週刊少年ジャンプ」時評~  vol. 5

Column

『鬼滅の刃』完結も、ジャンプは止まらない! 次なるヒットのゆくえを占う新企画、新アニメ、新連載に注目

『鬼滅の刃』完結も、ジャンプは止まらない! 次なるヒットのゆくえを占う新企画、新アニメ、新連載に注目

こんにちは。週刊少年ジャンプ時評「月曜の朝を待ちわびて。」第5回です。今月も盛りだくさんの内容でお送りします。

文 / おしこまん
イラスト / かずお


『ONE PIECE』尾田栄一郎からのメッセージ

5月11日(月)、週刊少年ジャンプ編集部より、現在連載中の作品について、止むを得ず休載となるケースが増えるだろうという告知がありました(※)。現在、ジャンプ編集部は新型コロナウイルス感染拡大防止のためにできる限り感染リスクの少ない方法での執筆をお願いしているそうで、そのため原稿完成までにこれまでより多くの時間がかかってしまうというのが、その理由です。

編集部からの発表の前、5月6日(水)には『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎から以下のようなメッセージが発表されていました。

『ONE PIECE』は全作業をアナログで進めているため、休載スパンが短くなるとのことです。

こうした措置が一時的なものとなるのか、今後当たり前になっていくのかはまだわかりません。今まで通りにやれるよう、試行錯誤している段階だと思います。

先月はジャンプの発売スケジュールの変更がありましたが、新型コロナウイルスは本当に思ってもいないようなところで影響を与えてきますね。

読者の皆様へ編集部よりお知らせ|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト
https://www.shonenjump.com/j/2020/05/11/500511_oshirase001.html

ジャンプの漫画学校

5月15日(金)、週刊少年ジャンプ・ジャンプSQ.・少年ジャンプ+の連名で、「ジャンプの漫画学校」が発表されました。

ジャンプが培ってきた漫画制作に関するノウハウがこのような講義形式で公開されるのは初めてのことです。

講義は全10回。編集長・副編集長をはじめとした現役の編集者の話を聞けるだけでも垂涎ものですが、それだけにとどまらず、歴代の編集長や、現役作家として、稲垣理一郎(『Dr.STONE』『アイシールド21』)、秋本 治(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)、松井優征(『暗殺教室』『魔人探偵脳噛ネウロ』)などの超ビッグネームも講師として名を連ねています。

受講者には編集者が仮担当としてつき、実際に作品作りに取り組むそうです。完成した作品は、卒業制作として少年ジャンプ+に掲載されます。

「ジャンプはもっと、漫画家さんの力になりたい。」

講師陣のラインナップや内容もさることながら、全10回の受講料が2万2,000円(税込)というのも特筆すべき点でしょう。初めて見た時、ゼロがひとつ足りないんじゃないかと思いました。間違いなく、利益などはまったくの度外視でしょう。ジャンプの本気を感じました。

ここからどのような才能が現れるのか、楽しみです。

ジャンプの漫画学校
https://school.shonenjump.com/

『呪術廻戦』アニメ、待望の続報

昨年11月のアニメ化発表以来、続報がなかなか届かずにファンをやきもきさせていた『呪術廻戦』ですが(筆者もその一人です)、5月21日(木)、ようやくプロモーションムービー第1弾が公開されました。

5月25日(月)発売の週刊少年ジャンプ2020年25号に掲載されたアニメ版スタッフインタビューで、朴 性厚(パク ソンフ)監督は「まずは原作を忠実に。尚且つ、アニメだからできる表現をすべてフィルムに刻み込みたいと思います。」と意気込みを語っています。

公開されたムービーを観れば、その言葉に偽りのないことは一目瞭然でしょう。放送は2020年10月の予定です。

『鬼滅の刃』完結

5月18日(月)発売の週刊少年ジャンプ2020年24号で『鬼滅の刃』が完結しました。

筆者がジャンプを読むようになった90年代半ばから現在に至るまで、たくさんの大ヒット作品の完結を見届けてきましたが、ここまで終わることが大きな話題となった作品は過去になかったように感じます。筆者なりに理由を考えると、「本当に終わるかが読めなかった」というのもあるのではないでしょうか。

ここ数年の間に完結を迎えた作品、例えば『NARUTO』や『BLEACH』、『黒子のバスケ』『暗殺教室』や『火ノ丸相撲』などは、完結に向かって話が進んでいることが読んでいればわかったため、その瞬間を迎える準備も自然とできていたように思います。

筆者の印象では、『鬼滅の刃』はそのようにも読めるが、まだまだ終わらないようにも読める、というテンションをずっと保ち続けているように見えました。初代担当編集者へのインタビュー(※)によれば、作者の吾峠呼世晴はジャンプ作品の中でもとくに『ジョジョの奇妙な冒険』のファンだとのことですし、同作のように「第2部」のような形で連載が続くこともありえたと思います。
しかし、ストーリーの詳細なネタバレは避けますが、鬼殺隊の面々が文字通りの死闘を繰り広げる終盤は、もうこれを超える戦いは描けないだろう、とも感じさせるものでした。

5月にはコミックスの累計発行部数が6,000万部を超え、もはや『鬼滅の刃』が国民的大ヒット作品であることに異論を挟む余地はないでしょう。たくさんの人が次回がどうなるのかを楽しみにしていた最後の1週間、そこに自分もいられたのは幸せなことだったなと思います。

次回作の話をするのは気が早すぎるでしょう。今はまだ、完結の余韻に浸っていたい気分です。吾峠先生、すばらしい作品をありがとうございました。

※ 【インタビュー】『鬼滅の刃』大ブレイクの陰にあった、絶え間ない努力――初代担当編集が明かす誕生秘話 – ライブドアニュース
https://news.livedoor.com/article/detail/17760339/

ジャンプ期待の新連載

人気作が完結するたび、「これからのジャンプは大丈夫か?」という声が上がります。まだまだおもしろいマンガがたくさん連載されているのは熱心な読者にとってはわかりきったことですが、外からは見えづらいのもまた事実です。せっかくですから、そのうちのひとつを紹介させてください。

筆者が今いちばん期待しているのは、今年の1月から始まった『アンデッドアンラック』(戸塚康文)です。

自分と接触した人間に「不運」をもたらしてしまう能力の持ち主・風子と、「不死」を宿命づけられたアンディが出会うことから物語は始まります。連載が始まってすぐの頃は、これから「不」から始まるキーワードを背負ったキャラクターがたくさん出てくるんだろうな、などと軽く思いながら読んでいたのですが、序盤からそんな平凡な予想を裏切る展開が続きます。
世界の“ルール”を巡って目まぐるしく変わっていく状況にすっかり魅了され、新人の作品だとどこか侮っていた自分が恥ずかしくなりました。ジャンプに連綿と続くバトルマンガの皮を被っていますが、細部まで考え抜かれた作品だと思います。

振り返ってみれば、『鬼滅の刃』も、当初は誰もここまでのヒットになるとは考えていなかったでしょう。連載第1回当時の自分の感想やSNS等での反響を思い出しても、反応はさまざまで、決して絶賛の嵐ではありませんでした。そんな作品が社会現象を巻き起こすに至ったこと……それが「ジャンプは大丈夫か?」に対する何よりの答えでしょう。

ベテランにも新人にも平等にチャンスがあり、その中で切磋琢磨して作品が磨かれていく、それがジャンプの魅力です。次に大ヒットするのはアニメ放映を控えた『呪術廻戦』か、はたまた『アンデッドアンラック』をはじめとする新連載作品か。「ジャンプの漫画学校」からもきっと、まだ見ぬ新星が現れることでしょう。

そんな作品たちについて、いつか本連載で取り上げられるのを願って。ではでは、また来月!

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