LIVE SHUTTLE  vol. 396

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でんぱ組.inc 初披露の曲や凝ったVJなど、オンラインライブならではの実験と感動を味わえる、興奮の約2時間をレポート。

でんぱ組.inc 初披露の曲や凝ったVJなど、オンラインライブならではの実験と感動を味わえる、興奮の約2時間をレポート。

でんぱ組.incが、5月16日(土)に、オンラインライブ『THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE』を開催した。

でんぱ組は、本来であれば5月2日から全国ツアー『THE FAMILY TOUR 2020』を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により全公演が中止。しかし、こうした状況下でもでんぱ組のライブを届けたいという思いから、ツアーで行う予定だったセットリストそのままの有料オンラインライブを敢行した。

でんぱ組の新たなスタイルのライブに期待が高まる中、チェック柄の衣装を着たメンバーが登場。6分割の画面上段に藤咲彩音、相沢梨紗、成瀬瑛美、下段に鹿目凛、古川未鈴、根本凪が並び、「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」からライブはスタート。メンバーは別々のブースで歌っているためダンスパフォーマンスはできないが、その分ボーカルに注力して丁寧に力いっぱい歌唱。画面にはVJのエフェクトが入り、ビジュアルでも楽しませる。VJだけでなく、個々のブースのライティングもバッチリ。観客は“#でんぱ組オンラインライブ”のハッシュタグで応援コメントを送ってメンバーを応援した。

MCで古川は「前代未聞な感じのオンラインライブお届けしてます。オンラインですが、ワンマンライブをやっていく気で今日はがんばります!」と気合いを見せる。ライブに戻ると、賑やかなポップチューン「ボン・デ・フェスタ」で明るさを届け、「子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡」ではメンバーの顔に干支のエフェクトが乗ったりと立体的に楽しませていく。「いのちのよろこび」では、“One Love”のハモリからパーカッションが鳴り響き、プリミティブなお祭りが展開。後半にはメンバーが発光し、ラストはシンガロングでピースな空間を作り上げた。そして、空気をチェンジするようにシティポップテイストの「もしもしインターネット」を初披露。メンバーがVJの世界にがっつり入り込んでいく、オンラインライブならではユニークな演出は眼を見張るものがあった。ジャジーな「形而上学的、魔法」でメンバーは大人っぽい歌を聴かせ、絵的には暗めな照明でエフェクトもガンガンに入る。まさにリアルタイムの映像作品と言った雰囲気すら感じた。

現在、様々なアイドル、アーティストが配信ライブを行なっているが、どうしても限られた環境だけにシンプルなスタイルが多い。それはやむ終えないことではある。しかし、これまで革新的な道を進んできたでんぱ組だけに、配信ライブでも普通じゃ終わらせない。新しい形を見せてくれるのはさすがだ。映像的な面白さだけでなく、音響面もかなりハイレベル。ボーカルもしっかりリバーブが効き、全体の音の質感、バランスもとてもいい。

MCで、ここまでの楽曲が4月15日にリリースされたニューアルバム『愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』からの楽曲であったことが語られる。古川は「このアルバムも“愛が地球救うんさ!”ってデカいこと言ってるけど、でもなんやかんや愛みたいなものが救うんだろうなって歌ってて思いました」と語り、相沢は「レコーディングしたときから状況が変わって、そしたら聴こえ方が変わってきたんです。こうして歌で届けられてうれしいです」とアルバムのメッセージの意味合いが変わってきたことを口にした。

ミディアムチューン「桜が咲く頃に」もアルバムからの初披露曲。ラップとメロディの中間っぽい歌で温かいメロディを届けた。ピアノロックナンバー「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」では、展開していく音に乗ってメンバーもパワーたっぷり。ここで「ギラメタスでんぱスターズ」が投入され、一気にライブのテンションはアップ。サビでは、メンバーが6分割のピザ状態になって画面が回転したりと映像もどんどん振り切り感を見せていく。「でんでんぱっしょん」は普段新体操のリボンを振り付けで使っているが、今回はペンライトを使ってパフォーマンス。「みなさん一緒にペンライトを振ってください!」と呼びかけた相沢がペンライトがつけられないというハプニングも、ある意味ライブのリアリティを感じさせた。

あっという間にライブも折り返し地点。古川は「こうして画面越しでみんなに会えるのはうれしいです。でも、ライブができなくて悔しい。みんなに会えない悔しさを次の曲に込めます」と語り、「VANDALISM」を憤りテンションで激しく歌唱する。アッパーな「プレシャスサマー!」でメンバーは拳を上げまくって歌い、続いては爽快なポップチューン「キラキラチューン」を披露。メンバーが上下左右で自由な行動に出て、拗ねた古川が画面からいなくなるという通常の振りを踏襲したシーンがこのライブでも再現。メンバー同士が仲直りしてからの間奏は普段だとファンのコールが入るのだが、成瀬や古川がマイクをカメラに向け観客を煽って一体感を作っていった。この場面で、複雑な状況やいろいろな思いが脳裏に駆け巡ってしまいかなりのエモさを感じてしまった。

でんぱ組がリアルでのライブを最後に行なったのは昨年末の『COWNTDOWN JAPAN』。ライブをしたくてもできないもどかしさを古川は口にする。続けて彼女は「私たちは、ライブで何かしらの思い出や記憶を持って帰ってもらいたいと思ってライブやツアーをやってるんです。それが叶わない今、何ができるか考えて出てきたのがオンラインライブだったんです。これも観てるみなさんがいないとできないことだし、みなさんの観たいという声があって実現しました。私たちはアイドルなので、みんなに明るい気持ちを持ってもらいたい。そういう気持ちを今日は持って帰ってもらいたいです」と、でんぱ組がこのライブに込めた思いを改めて語った。

ライブもいよいよ終盤戦。「サクラあっぱれーしょん」を全員でピンクのペンライトを振って盛り上がると、ポストロック感のある「星降る引きこもりの夜」を歌唱しステイホームの時期を励ますような歌を伝える。そこから「でんぱれーどJAPAN」で、賑やかにアゲてライブもさらにヒートアップ状態。メンバーは汗だくだ。最後はロックチューン「アイノカタチ」を披露。メンバーは、指で作ったでんぱマークを振り画面越しで観客と盛り上がる。熱量たっぷりの一体感を巻き起こし、ライブ本編は終了となった。

ファンの“でんぱ!オンライン!アンコール!”のコメントが伝わると、Tシャツに着替えたメンバーが再び登場。最後は、ステイホーム期間にでんぱ組がファンの声も取り入れリモートワークで作り上げた新曲「なんと!世界公認 引きこもり!」をライブ初披露。孤独感やモヤモヤした気持ち明るく振り払うように歌っていく6人。間奏では“#でんぱ組オンラインライブ”のハッシュタグで送られたリアルタイムのファンのコメントが映像に挿入され、曲の後半のトラックには300人を超えるファンのコーラスも響き渡り、まさに観客とともにライブを作り上げて大団円でオンラインライブはフィニッシュ。歌唱後に感動で涙するメンバーいるほどグッとくるものがあった。さらにエンドロールの映像は、このオンラインライブがどのように行われていたのかを見せるミニメイキングだった。ライブ自体目を見張るシーン連発だったが、最後の最後まで驚かされてしまった。

まさに、オンラインライブだけでしかできない面白さを追求したショーだったと言っていいだろう。凝りに凝ったVJは文句なく素晴らしい。メンバー自身も歌唱力が確実にアップしており、ステイホーム期間にスキルアップしていることを証明した。そして、ライブ配信は有料化のハードルの高いと語られることが多いコンテンツだが、ここまでの満足度を観客に提供したのはほんとに見事だ。コロナ禍でも進化しまくり、さらなる展開を模索するでんぱ組。実験と感動を味わえる、彼女たちにしかできないライブだった。

文 / 土屋恵介

でんぱ組.inc「THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE」
2020年5月16日

1.愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ
2.ボン・デ・フェスタ
3.子♡丑♡寅♡卯♡辰♡巳♡
4.いのちのよろこび
5.もしもしインターネット
6.形而上学的、魔法
7.桜が咲く頃に
8.おやすみポラリスさよならパラレルワールド
9.ギラメタスでんぱスターズ
10.でんでんぱっしょん
11.VANDALISM
12.プレシャスサマー!
13.キラキラチューン
14.サクラあっぱれーしょん
15.星降る引きこもりの夜
16.でんぱれーどJAPAN
17.アイノカタチ
<アンコール>
18.なんと!世界公認 引きこもり!

でんぱ組.inc

古川未鈴、相沢梨紗、成瀬瑛美、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪、の6人組ユニットで、ディアステージに所属し、様々な活動を展開。メンバーはもともと、アニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある!
また、東京コレクションやミキオサカベをはじめとして、様々なクリエイターとのコラボレーションを活発に展開し、国内のみならず海外からも注目を集め、台北やジャカルタでのファッションイベントにも参加。さらに、2013年にはJAPAN EXPOに日本代表として出演。2014年度は東アジア文化都市2014横浜親善大使を務めた。TOY’S FACTORYの新レーベルMEME TOKYOに所属。マイナスからのスタートなめんな!というキャッチフレーズで話題になり2014年5月には日本武道館で1万人動員、2015年2月に国立競技場代々木第一体育館2days単独公演を大成功させた。シングル『あした地球がこなごなになっても』でミュージックチャート1位を獲得。2015年はワールドツアーも敢行。MTV「ワールド・ワイド・アクト賞」の日本部門「ベスト・ジャパン・アクト」のウィナーに。2016年12月21日にはベストアルバム『WWDBEST 〜電波良好!〜』をリリース。2017年1月に、アリーナツアー「幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi完備!」6公演を開催、二度目となる日本武道館公演も行う。8月に、最上もが脱退。2017年12月30日「JOYSOUND presentsねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!」大阪城ホール公演で、鹿目凛、根本凪が加入し、2018年4月4日に7人体制となって初のシングル「おやすみポラリスさよならパラレルワールド/ギラメタスでんぱスターズ」をリリース。2019年1月1日に7人体制初のアルバム「ワレワレハデンパグミインクダ」をリリース。1月6日と7日で日本武道館公演2days(二日間で約2万人動員)を開催。1月7日『でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館 夢眠ねむ卒業公演 ~新たなる旅立ち~』で夢眠ねむはでんぱ組.incから卒業。現体制初のアルバム『愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』を、2020年4月15日にリリースした。

オフィシャルサイト
https://dempagumi.tokyo

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