初夏のVTuber講習〜押さえるべき10組を紹介  vol. 8

Review

ときのそら ”歌が好き!”という真っ直ぐな思い。VTuberシーンにおける、理想のアイドル像。夢は“横浜アリーナ単独公演”

ときのそら ”歌が好き!”という真っ直ぐな思い。VTuberシーンにおける、理想のアイドル像。夢は“横浜アリーナ単独公演”

魅力的なコンテンツを発信し続けるVTuber(バーチャルYouTuber=3DCGのキャラクターによるYouTuber)は、いまや日本のエンターテインメントに不可欠な存在。今年ついに1万人を超えたVTuberのなかから、精力的に音楽活動を行っている“アーティスト”を紹介します。“VTuberの音楽活動って、どんなことやってるの?”というビギナー方も大丈夫。優れたシンガー、クリエイターが集結しているバーチャル・アーティストの世界へようこそ!


親しみやすくてキュートなビジュアル、気鋭のボカロ系クリエイターが手がけたポップな楽曲、そして、”歌が好き!”という真っ直ぐな思い。“ときのそら”はVTuberシーンにおける、理想のアイドル像だと断言したい。

ときのそらは、5月15日生まれの18歳。小さい頃からアイドルに憧れ、「いつか横浜アリーナのステージに立ちたい」という夢を抱いていた彼女は、2017年9月からニコニコ生放送で活動をスタート。最初の生放送(【17/09/07放送】ときのそらVR生放送アーカイブ【#001】)では視聴者が10数人しか集まらなかったが、親しみやすく、ちょっと天然なキャラが受け、徐々にファンを獲得。2018年からはYouTubeにも進出し、バーチャル・アイドルとして知名度を得た。同時に”歌ってみた“動画も次々とアップ。VTuberの富士葵とのコラボ・ユニット”そらあお“による「ライオン」(May’n/中島愛)のカバーで大きな注目を集めたのをきっかけに、シンガーとしても少しずつ存在感を強めてきた。

彼女のボーカルの魅力を実感できる代表的な動画が、「太陽系デスコ」のカバー。ボカロP・ナユタン星人によるこの曲は、多くの歌い手がカバーしている人気曲。“”高速BPM×起伏に富んだメロディ×超高音のサビ“が揃った高難度の楽曲を彼女は、原曲キーのままで見事に表現している。動画制作を手がけている“友人A”(親友兼裏方担当)によるダンスシーンも印象的なこの動画は260万回以上の再生を記録し、大きな話題となった。

さらにボカロPとのコラボレーション企画【オリジナル・ボカロPコラボ】もスタート。その第一弾は【ときのそら×40mP】による「未練レコード」。40mPが手がけたノスタルジックなポップナンバーを彼女は、大人っぽく、切ない表情を感じさせる歌声で表現。ジャズ・テイストのサウンドを上手く掴み、低音を効果的に交えたボーカルからは、シンガーとしての幅広い表現力が伝わってくる。

“高い音楽性と豊かなボーカル力を兼ね備えたアイドル”としてVTuberシーンで知名度を高めてきたときのそらは、2019年3月、ついにメジャーデビューを果たす。最初の作品はフルアルバム『Dreaming!』。はるまきごはん、石風呂、40mPなどのボカロP、さらに多田慎也(嵐「マイガール」、AKB48「ポニーテールとシュシュ」など)、渡辺翔(LiSA「だってアタシのヒーロー。」、内田真礼「からっぽカプセル」など)といったJ-POP、アニソンなどを中心に活躍するクリエイターが参加した本作は、デビュー作とは思えないほどの充実ぶりだ。

<飛んでけFLY!(HIGH!)大きな声で叫んだら/ボクらの(WOW!)ストーリーが今紡がれてく>というフレーズが印象的な「Dream☆Story」(作詞・作曲:キノシタ)から始まる本作。個人的にもっとも心に残ったのは、「コトバカゼ」(作詞・作曲:多田慎也)だ。ノスタルジックな叙情性をたたえたメロディ、恋のはじまりの切なさを描いた歌詞が一つになったこの曲は、ときのそらのアイドル性をたっぷりと味わえる楽曲。J-POPシーンのヒットメイカーとVTuberアイドルのコラボが実現したことも、この曲の大きな意義だと思う。

また、マーチング風のホーンを取り入れたポップナンバー「ブレンドキャラバン」(作詞・作曲:渡辺翔)からは、“みんなと一緒に楽しいことを続けて、どんどん仲間を増やしていきたい!”というメッセージが伝わる。“アイドルになりたい!歌いたい!”というピュアな思いを持ってVTuberシーンに飛び込んだ彼女。生放送でファンとつながり、念願の音楽活動に結びつけてきたこれまでのキャリア、そして、“未来に向かって進んでいこう!”という思いが真っ直ぐに感じられるこの曲には、彼女自身の等身大の姿が映し出されている。

2020年3月には、ミニアルバム『My Loving』を発表。リード曲「刹那ティックコード」はバーチャルシンガー・AZKiとのコラボレーション楽曲だ。鋭利なロックサウンド、憂いと強さがぶつかり合うようなメロディ、そして、個性的な二人のボーカルが体感できるこの曲は、両者のファンを中心に大きなインパクトをもたらした。二人のユニット“SorAZ”としての活動も楽しみだ。

今年に入ってからも数日おきに生放送を投稿。また“歌ってみた”も継続している(5月3日にアップされたOffical髭男dismの「Pretender」も高評価!)ときのそら。VTuberがキャスティングされたドラマ『四月一日さん家と』に出演するなど、活動のフィールドもさらに広がっている。彼女最大の夢である“横浜アリーナ単独公演”に向けて、今後の飛躍に大いに期待したいと思う。

文 / 森朋之

SoraCh. ときのそらチャンネル – YouTube

ときのそらの作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
https://site.nicovideo.jp/tokinosora/index.html

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