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26年振りのシリーズ新作『ベア・ナックルIV』随所に見られる”ベア・ナックルらしさ”が嬉しいベルトスクロールアクションの魅力

26年振りのシリーズ新作『ベア・ナックルIV』随所に見られる”ベア・ナックルらしさ”が嬉しいベルトスクロールアクションの魅力

2018年にフランスのゲームパブリッシャーDotEmuより制作が発表され、オールドゲーマーの注目を一気に集めた『ベア・ナックルIV』。PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch、PCとひととおりの機種で発売されたこともさることながら、デザイナーの手描きで生み出されたアクセルやブレイズの姿に、思わず唸りを上げた方も多いのではないだろうか。そこで本稿では、2020年4月30日に発売された本作を平成生まれのゲームライターがご紹介。これから購入を考えている方はもちろん、既にプレイして悪漢をしばき倒している熱心なファンも目を通していただけると幸いだ。

文 / 龍田優貴


懐かしくも新しい『ベア・ナックル』の紛うことなき新作

『ベア・ナックルIV』のレビューへ入る前に、少しシリーズ作品について振り返りたい。メガドライブ用ソフト『ベア・ナックル 怒りの鉄拳』に端を発する本シリーズは、数えること実に29年の歴史を誇る。人間で言えばぶっちぎりのアラサーであり、ベルトスクロールアクションの名作として今なお根強い支持を受けているのは間違いないだろう。だが最新ナンバリングタイトルのリリースという点では、1994年の『ベア・ナックルⅢ』を最後とし、20年を超える眠りについていた。移植版などの展開はあれど、長らく新作が日の目に出ることはなかったのだ。

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▲『ベア・ナックルIV』タイトル画面。主人公の「アクセル」をはじめ、登場キャラクターが集った豪華なビジュアル

ちなみに筆者は上述の『ベア・ナックルⅢ』よりも年下である。当然ソフトが発売されたころは生まれていなかったし、ましてやメガドライブ世代でもない。『ベア・ナックル』を現役でガンガン遊んでいたわけではなく、初めて触れたのはゲームキューブ版『ソニック ジェムズ コレクション』を介してのこと。最初は”レトロゲームの一本”という括りのもとでプレイを始めたわけだが、敵を殴りとばす爽快感とバタ臭くもカッコいいキャラクターに心を惹かれ、いつしか”かけがえのないゲーム”になっていた。

思い入れがあるからこそ、シリーズ再始動の一報を聞いて心がザワついたのも事実。「本当に”ベア・ナックルしている”のか?」と。しかし、その心配はゲームを開始してすぐに杞憂だと分かった。本作は『ベア・ナックル』が30年近く評価を得てきたテイストを受け継ぎ、なおかつ洗練されたアートワークと新規要素のおかげで、懐かしくも新しさを感じるゲームへと仕上がっていたからだ。

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▲画面外からワラワラと湧き出る雑魚キャラを仕留めよう。画面内の敵をすべて片付ければ先へ進める

まずは簡単にゲームの進め方について解説しよう。……と言っても大枠はこれまでどおり、シンプルなベルトスクロールアクションそのものだ。スタート地点から画面右へと進んでいき、ゴール地点で待ち構えるボスを倒せばクリア。そのまま全12ステージを攻略し、ラストに控える黒幕の撃破が最終目標となる。
主人公を務めるのは、初代より全タイトルに登場している「アクセル・ストーン」。プレイヤーは彼を含めた計5名のキャラクター(詳しくは後述)を操作し、街の平和を取り戻すべく各地を駆け巡る。つまるところ犯罪組織を潰すべく、鉄拳制裁で”わからせる”のだ。作中のBGMもシリーズ全体のムードをしっかりと踏襲。80年代末期~90年代初頭のダンスミュージックをリスペクトした耳馴染みの良いメロディーが鳴り響く。

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▲ストーリーモードの要所では、物語を補完するイベントシーンも挿入される

パッと目についた変化点は、手描きで生まれ変わった全体のビジュアルであろう。キャラクターの線画は浮き出るように力強いタッチだが、それでいて体格やディティールの違いが細かく仕上げられている。「昔のドット絵よりこっちのほうが良い!」というのではなく、「ドット絵とは異なる趣きで『ベア・ナックル』の世界観を広げた」と筆者は考えている。

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▲筆者のお気に入りはモヒカン男(正式名称ではない)。必死にスライディングを狙う姿が何だか憎めない

個人的に嬉しかったのは、雑魚キャラの懐かしい顔ぶれだ。出会い頭にナイフを取り出すチンピラ、しつこくスライディングを狙うモヒカン、縦横無尽に転がって火を吐くデ……もとい大男……。ゲームをプレイしているはずなのに、なんだか卒業式ぶりに級友と再会した気分に浸ってしまった。

殴るだけじゃない!攻略の幅を広げる戦闘アクション

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▲攻撃や移動の各種動作は『ベア・ナックルⅡ』にやや近い。シリーズファンなら慣れるのも早いはず

本作の肝である戦闘アクションは細部こそ違えど、おおむね過去のシリーズ作品に準じたテイスト。パンチ・キック・投げ・スペシャル攻撃を使い分け、眼前の敵にダメージを与えていく。攻撃ボタンをポンポンと連打するだけでもコンボが繋がるため、アクションゲーム初心者でも爽快感は十分に味わえる。また、道中に落ちているナイフや鉄パイプ等を使うのもオススメ。場合によっては普通の攻撃より楽にダメージ量を叩き出せる。

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▲高層ビルや落とし穴が付近に見える状況だと、殴るより投げる方が手っ取り早く済む

とはいえ、闇雲に殴るだけだと余計な反撃を受けてしまう。スムーズに周囲を制圧するうえで大事なのは、敵の種類に応じた攻撃手段の選択だろう。ナイフを構えて突っ込んでくる敵は、ジャンプ攻撃で空中から奇襲する。遠距離から蹴り技で近づいてくる敵は、リーチの長い攻撃で叩き落とすか、上下に動いて軸をずらす。もし敵を場外へ落とせそうな場合は、胸ぐらを掴んでそのまま下に投げ落とすのも有効。落下した敵はダウン扱いとなるため、被ダメージを抑えて素早く処理できる。

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▲スペシャル攻撃は立ち状態やジャンプ時など、動作アクションによってモーションが異なる

どうしても攻撃をかわせそうにない……。そんな時はスペシャル攻撃でその場をしのごう。ガード操作のない本作において、この攻撃手段は敵から身を守る優秀な防衛手段でもある。発動時に体力を消費するが、直後にもう一度攻撃をヒットさせることで減少した体力は回復するので、使い所を間違わなければリスクは少ない。攻守に優れたスペシャル攻撃をいかに使いこなすかで、攻略の幅はグッと広がる。

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▲必殺技は相手の攻撃を遮るように使うと、防御と攻撃を同時に行えて一石二鳥!

普通に戦うだけだと骨が折れるボス戦時は、より大ダメージを叩き出せる必殺技の出番。こちらは体力ではなく、「スター」(回収アイテム)ひとつにつき、1回発動できる。回数制限が設けられている分、その威力は非常に強力。無敵状態で相手の攻撃を受け流し、逆に渾身の一撃を叩き込むことだって夢ではない。「ここぞ!」というシチュエーションを見極め、ド派手な演出と共にボスの顔面に一発お見舞いしよう。

特色の分かれた5人のプレイアブルキャラクター

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▲どうしてもヒゲに目が行ってしまうが、実力は衰えていない。接近して激しく殴り合え!

さて、ここからは本作のプレイアブルキャラクターを覗いてみよう。トップバッターは、『ベアナックル 怒りの鉄拳』から現在まで戦場に立ち続ける「アクセル」。26年(ゲーム内時間だと10年)の歳月を経たからか、随分と恰幅がよくなった。おまけに立派なヒゲもこしらえており、安定感のある戦闘スタイルで敵を圧倒する。全体的なステータスとしてはバランス型に分類され、技の発生スピードやリーチも標準的。前方に向かってパンチラッシュを浴びせるスペシャル攻撃を含め、オールマイティーに戦える使いやすいキャラクターだ。

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▲ブレイズは機動力と攻撃力のバランスが取れており、初心者でも扱いやすい

続いては、アクセルと対象敵に10年の歳月を感じさせない「ブレイズ・フィールディング」。機動力に長けているからか、回避行動やヒット&アウェイ戦法が行いやすい。その美貌から放たれるキック攻撃も申し分なく、飛び蹴りをメインにスペシャル攻撃を挟み込むことで、容易にヒット数を増やすことができる。蝶のように舞い、鍛え抜かれた美脚で敵を葬りたいなら、彼女を使うと良いかもしれない。

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▲見るからに痛そうな投げ攻撃はフロイドの得意技。たとえ巨体が相手でも難なく掴まえる

『ベア・ナックルIV』からの新キャラクター「フロイド・イライア」は、『ベアナックルⅢ』に登場した”サイボーグお爺ちゃん”こと、「ドクター・ザン」の弟子である。師匠と同様に身体が機械化していて、その設定に見合うだけの強さを誇る。典型的なパワータイプゆえに機動力は皆無の反面、最大のウリは攻撃力の高さ。溢れんばかりの腕力で両腕に敵を捉え、そのまま互いの顔面をゴツン!と激突させて洒落にならないダメージを叩き出す。腕をワイヤー状に伸ばし、遠く離れた敵をも容易く捕縛する格闘ゲームに出てきそうな”投げキャラ”だ。

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▲エレキギターをかきならすチェリーのスペシャル攻撃は優れた自衛手段。避けられそうにない攻撃をさばくのに便利

2人目の新キャラクター「チェリー・ハンター」は、アクセルやブレイズの盟友と言うべき「アダム・ハンター」の娘。ティーンエイジャーを彷彿とさせる少女だが、背中のエレキギターを振るい、父親似のタフなファイトスタイルで敵に立ち向かう。そんなチェリーの強みは”素早さ”。移動スピードが全キャラ中最速で、ステージを自由に駆け回り、敵に囲まれない状況を作り出すことで戦いを有利に進められる。ダッシュ移動中のスペシャル攻撃は、横一列に並んだ敵にまとめて始末する際に重宝するだろう。

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▲往年のファンはたまらない(?)アダムの勇姿。ステップ移動を使って自在に距離を詰めよう

初代より久々の登場となる「アダム・ハンター」は、ストーリーを進めるとある地点でアンロックされ、以後はプレイアブルキャラクターとして使用できる。素早く距離を詰めるステップ移動から打撃に繋げ、締めのスペシャル攻撃をかまして敵を吹っ飛ばすパワー型のキャラクターだ。プレイフィールはアクセルに近く、技モーションや攻撃エフェクトの好みに合わせてこちらを使ってみるのも悪くない。

多様な遊び方を提案するやり込み要素

『ベア・ナックルIV』は単にストーリーモードを全クリする以外にも、作り手より多様なゲームモードが実装されている。通常プレイに物足りなさを感じるのなら、ゲームセンターの緊張感を再現した「アーケード」で1コインクリアを目指しても良いし、賑やかに楽しみたいのならフレンドを誘って協力プレイ(オンラインは最大2人・オフラインは最大4人)に興じるのも良いだろう。

加えて見逃せないのが隠しキャラクターの存在だ。プレイを重ねてスコアを獲得すると、上記で紹介した5人のキャラクターに加わる形で、過去タイトルのキャラクターが姿を現す。それも本作用にグラフィックが描き直されているのではなく、当時のまんま”ドット絵”だから一層驚きだ。ちゃんと各タイトルごとに使える技も違うため、本作のキャラクターと並んだ際にユニークさが引き立つ。シリーズファンは懐かしさと当時のプレイ風景を思い出し、新規ユーザーはドット絵のキャラクターと新鮮な気持ちで向き合う。レトロ感極まりないが、遊び心と思いやりに満ちた開発側の素敵なサプライズなのかもしれない。

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▲ドット絵のアクセル(初代バージョン)はスペシャル攻撃こそ使えないものの、パンチとキックのみで十分に渡り合える

26年という時を越え、平成から令和の時代に蘇った『ベア・ナックルIV』。冒頭でも述べた通り、本作はベルトスクロールアクションの本質を土台に、過去作品に込められていた”ベア・ナックルらしさ”をエッセンスとして配合し、コンパクトなボリューム感のもとにまとめられた『ベア・ナックル』シリーズのれっきとした最新作である。家庭用ゲーム機やPCなど、自分の所持ハードに合わせて遊べるのも魅力的だ。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で外出自粛が続く今だからこそ、シリーズ初心者にも触れていただきたい一作。興味のある方はぜひ一度手に取ってみてはどうだろうか。


■タイトル:ベア・ナックルIV
■発売元:DotEmu(国内パッケージ版は3gooより発売)
■対応ハード:PlayStation 4、Xbox One、Nintendo Switch、PC
■ジャンル:ベルトスクロールアクション
■対象年齢:12歳以上
■発売日:
 ダウンロード版:発売中
 パッケージ版:2020年7月30日発売(サウンドトラックCD付き)
■価格:
 ダウンロード版:PS4、Switch版は2,599円(税込)、Xbox One版は2,900円(税込)、PC版は2,570円(税込)
 パッケージ版:4,600円(税別) ※PS4とSwitch版のみ


ベア・ナックルIV スペシャルエディション

90年代にファンを魅了した、象徴的なアイテムを詰め合わせたパッケージ。Switch版のレトロサイズボックスは、タテ178ミリ、ヨコ127ミリ、厚さ30ミリサイズで、『ベア・ナックル』シリーズ3作の隣に一緒に並べて楽しんでいただける特製ボックスでお届けします。

■パッケージ版仕様
【Nintendo Switch版】特製レトロサイズボックス入り
【PlayStation4版】ダブルディスクケース入り

■収録・同梱アイテム
・ゲーム本編1本
・オリジナルサウンドトラックCD1枚
・両面印刷A2ポスター(裏面はキャラクター別操作一覧表)


『ベア・ナックルIV』オフィシャルサイト

©SEGA, ©2020 Dotemu, all rights reserved. Developed by Lizardcube, Guard Crush Games and Dotemu. Published and distributed by 3goo K.K. in Japan.
©SEGA, ©2020 Dotemu, Mutant Ninja, Brave Wave Productions Limited, all rights reserved.