初夏のVTuber講習〜押さえるべき10組を紹介  vol. 4

Review

輝夜 月(Kaguya Luna) キャラとトーク力、音楽性、最新のVRライブ、アパレルブランドにアートブック。様々な形で存在感を示す

輝夜 月(Kaguya Luna) キャラとトーク力、音楽性、最新のVRライブ、アパレルブランドにアートブック。様々な形で存在感を示す

魅力的なコンテンツを発信し続けるVTuber(バーチャルYouTuber=3DCGのキャラクターによるYouTuber)は、いまや日本のエンターテインメントに不可欠な存在。今年ついに1万人を超えたVTuberのなかから、精力的に音楽活動を行っている“アーティスト”を紹介します。“VTuberの音楽活動って、どんなことやってるの?”というビギナー方も大丈夫。優れたシンガー、クリエイターが集結しているバーチャル・アーティストの世界へようこそ!


“輝夜 月”“と書いて、Kaguya Luna(かぐや・るな)。まずは2017年12月に投稿された最初の動画(「【自己紹介】輝夜 月の特技がスゴイ!!!!」)を見てほしい。“夢はみんなを笑顔にできるYouTuberになることです……ちょっとカユいこと言ってみました”“好きなことはしゃべること。歌とかゲームも好きです”という自己紹介トークから、いきなり“人の血液型を当てるのが得意”と言い出し、見ず知らずの人に電話をかけて“あなたの血液型がわかりました!と当てようとして失敗するまで3分30秒。このマシンガントークと和テイストのビジュアルによって彼女は、鮮烈すぎるYouTuberデビューを飾ったのだった。

その後も「必殺!あいさつきめてみたっス」「老化防止対策してないとかマ?!」といったコンテンツで”萌え系のかわいい女の子がアケスケなトークをする“というキャラを確立。チャンネル開設から2週間ほどで登録者数は2万人超えた(2020年5月現在のチャンネル登録者数は、VTuberトップレベルの98.8万人)。2018年11月には、VTuberシーンのトップランナー・キズナアイとのコラボが実現。「【輝夜 月】バーチャル界の暴君が白い空間にやってきた!」)はまちがいなく、神動画の一つだ。

銀髪、エメラルド色の瞳、和テイストのコスチューム、ぶっちゃけ過ぎるトークによって瞬く間にVTuberシーンのど真ん中に飛び出した輝夜 月は、2018年8月30日に最初の楽曲「Beyond the Moon」を配信リリース。

PABLO a.k.a.WTF!?(LiSA、赤い公園、岡崎体育などの楽曲制作に関わるプロデューサー/ギタリスト)のプロデュースによるこの曲は、メロコア、ヒップホップなどを融合させたロックチューン。ラウドなサウンドのなかでエモーショナルな歌を響かせる輝夜 月のパフォーマンスから、(それまでの投稿動画とは異なる)アーティスト/シンガーとしてのカッコ良さがストレートに伝わってきた。

楽曲リリースと同時にSACRA MUSICとアーティスト契約を結んだ彼女は、同年8月31日に初のワンマンライブを開催。会場の“Zepp VR”は、このライブのために設立されたバーチャル・ライブハウス。チケットは即完し、全国の映画館でライブビューイングも行われるなど、新しいライブのスタイルを強く印象付けた。公式チャンネルには、この記念すべきライブのダイジェスト映像がアップされているが最新鋭の3DCGを駆使した映像、ラウドロック、パンクをポップに昇華した楽曲、輝夜 月のぶっ飛んだキャラクターがひとつになったステージは、まさに“近未来エンターテインメント”だった。

その後も順調に楽曲をリリース。ヘビィな手触りのギター・サウンドとポップで解放的なラップ、“こっちの世界に来い!パーティしよう!”と呼びかける「Dirty Party feat.エビーバー」。そして2019年4月に配信された「NEW ERA」も、彼女の音楽性をさらに広げた楽曲だった。壮大なオーケストラで幕を開けるこの曲は(まるでクイーンの「ボヘミアンラプソディ」のように)ロックとミュージカルが融合したナンバー。2019年5月1日に行われたワンマンライブ『輝夜 月 LIVE@ZeppVR2』(このライブが開催された日、輝夜月は日本国内Twitterで1位を獲得)でも披露され、ファンからも高い人気を得ている。

2020年1月には1stフルアルバム『×××』をリリース。2018年〜2019年に配信された楽曲、アルバムリード曲「Kick Kick Kick ×××」、ライブでも披露されたカバー曲「幸福論」(椎名林檎)、「じょいふる」(いきものがかり)などを収めた本作。パンキッシュかつメタリックなロックサウンドをポップに昇華した音楽性、超キャッチーな歌声と強烈なメッセージを含んだ歌詞など、アーティストとしての輝夜 月の魅力が凝縮された作品に仕上がっている。

VTuberアーティストととしての活動と並行して、アパレルブランド「Beyond The Moon」の運営、「日清焼きそばU.F.O」CMへの出演(このプロジェクトの一環として、マキシマム ザ ホルモンとのコラボレーションも実現!)、さらに書籍「輝夜月 ART BOOK」(キャラクターデザイン、ジャケットビジュアル、ライブコンセプトビジュアルなどをまとめたアートブック)を発売するなど、様々なメディアで存在感を示している輝夜 月。1本の動画でユーザーを惹きつけるキャラとトーク力、コアなロックファンからJ-POPリスナーにまで訴求できる音楽性、最新のテクノロジーを駆使したVRライブなどを併せ持った彼女は、20年代以降のエンターテインメントの在り方――仮想現実の精度とフィジカルの良さをどう組み合わせるか――を示唆していると思う。(最近の投稿で印象的だったのは、2020年4月28日の「春なので秋につい考えてみた」。ファンからの「その意味不明な勢でコロナも吹っ飛ばしてくれ」というコメント通り、斜め上のおもしろさにブッ飛びました。)

文 / 森朋之

Kaguya Luna Official – YouTube

輝夜 月の作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
https://www.kaguyaluna.jp

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