Interview

異世界デュエット緊急対談! デーモン閣下×宝野アリカ、アニソンから大相撲まで語りつくす「これで終わらせるのはもったいない」

異世界デュエット緊急対談! デーモン閣下×宝野アリカ、アニソンから大相撲まで語りつくす「これで終わらせるのはもったいない」

魔暦22年(西暦2020年)の地球デビュー35周年を記念し、期間限定再集結を表明している聖飢魔Ⅱ。偶然にも同年の1985年に活動開始したALI PROJECT(当時は「蟻プロジェクト」)。かたや魔界からやってきたHR/HM、かたやゴシックかつ官能的なダークロックで幅広い信奉者を獲得した2バンドだが、そのヴォーカルを担うデーモン閣下と宝野アリカがまさかの競演。現在放送中のTVアニメ『八男って、それはないでしょう!』OPテーマである「時空の迷い人」、そしてカップリングとして「薔薇異形」(そうびいぎょう)という2曲を収めたシングルを5月13日にリリースする。

ご両名の想像以上に、歌声で調和を、作詞において「知」の共鳴が見られたが、それは両者の似た人柄/悪魔柄が引き寄せた必然かもしれない。そう思わせる空気感が今回、閣下とアリカ様の間には見て取れた。相手に敬意を払いつつも、芸術活動から相撲まで気さくに言葉を交わすヴォーカリスト対談をここに。

取材・文 / 清水耕司(セブンデイズウォー) 構成 / 柳 雄大

※このインタヴューは直接の対面取材ではなく、Webカメラを通じたオンライン形式で実施されました。


ストーリーと全然関係のないアニメソングもいっぱいあるが、そうはしたくなかった(デーモン閣下)

まずはお二方に、今回のコラボレーションが決まったときの感想を聞いてみたいのですが?

宝野アリカ 最初にフライングドッグ(レコード会社)のディレクターから「デーモン閣下と歌うというのはどうですか」と言われたときは、その、なんと言うか……、戸惑いました。「そんな夢みたいなことが!」って。それが一昨年の暮れかな。それで「実現したらいいな」と思っていたら、決まりましたと聞いて「おぉ!」って驚いたんですよ。うちのバイオリン(杉野裕)も聖飢魔Ⅱファンなのでよく話していましたし。

デーモン閣下 それはそれは。実は吾輩は、新人育成の仕事でALI PROJECTの曲を勝手に使わせてもらったことがあり、一時期聴き込んだ時期があってね。それで前々からアリプロは知っていたのだけれども、頭の中でしばらくその曲が回り続けてしまうくらいのインパクトがあった。ゆえに、いつかこの世界観で歌ってみたいと思ってはいたので、この話が来たときに「ついにそのときが来た」と感じたのだな。当初、アニメのOPになる予定の曲は片倉氏(ALI PROJECTの片倉三起也氏)が作る予定だったので。ところが、結局自分が書くことになってしまい、だな。

宝野 申し訳ないです(笑)。

閣下 いやいや。OPテーマでは実現しなかったが、CDを作るにあたって「カップリングは片倉氏で」という話になったので。だから、どちらかといえば「薔薇異形」の方がお気に入りではあるな。自分で作った方を推せよという話だが(笑)。

アニメのOPテーマということで意識した点はありますか?

閣下 主人公が自分のアイデンティティをどう見つけていくのか、というストーリーだと解釈したので、その部分がしっかり出てればいいのかな、というくらいかな。状況説明はアリカ女史がやってくれるということだったので意識せず。でもどうしても、説明しなければならないところが出てくるんだよね、気持ちばっかり書いてられないから。ただ、そこも含めて、歌詞のキャッチボールは非常に面白かった。

閣下の考えるアニソンらしさというところはありますか?

閣下 アニメのテーマソングを作るのは初めてではないけれども、やはり作品を逸脱しないことが大切だと吾輩は考えるタイプで。最近は、ストーリーと全然関係のないアニメソングもいっぱいあるけれどもね。そうはしたくなかった。ストーリーを最後まで知らされてはいなかったので、想像力を働かせつつアニメの世界をもう一度咀嚼する、という感じで歌詞は作っていったね。

歌詞のキャッチボールが面白かったというお話ですが、どういった点でですか?

閣下 歌詞の共作については、お互いに自分が歌うところは自分で書くという形で。なのでアリカ女史のところは空欄にしながら、そこでどんなことが起きるかを想像しながら書いていくわけだ。ところがね、相手から来るものが「ほほう~!?」と。

宝野 (笑)。

閣下 という感じで面白かった。すごく刺激的であったな。

宝野 私もそうですね。自分なら普段使わない言葉が返ってくるので、こういうイメージでこの言葉を使うことができるんだ、と思うことの繰り返しでしたね。「時空の迷い人」も「薔薇異形」も。

閣下 特に「薔薇異形」の方は楽しさが倍増していたね。

宝野 (共作が)2回目だったから。

閣下と作ることで新しい風を感じたし、救われた感じがします(宝野アリカ)

アリカ様としてはどういった気持ちで歌詞の共作に向かわれましたか?

宝野 「時空の迷い人」はアニメの内容に沿った流れがあるので、閣下から来た歌詞を自分なりに咀嚼して……でした。自分の後にもまた歌詞が続くわけだから、間にあてはまるものをどう入れていくか、高尚なパズルを解くみたいな感じでしたね。歌詞を書くという行為はパズルみたいなものだと思いますけど、それを閣下とやるので答えの選択枠が大幅に広がるんです。そこがすごく興味深かったですよ。

閣下 異性との歌詞の共同作業というものは…吾輩は35年間で3回目くらい、かなり稀なことだしね。言わば平安時代の連歌……いっぽうが五・七・五を書いて、もう一方が七・七を書いてという、それの繰り返しのようなものと思ってもらえれば。

お二方の間で幾度も往復していたわけですね。

宝野 そうね、一晩かけて。で、それを下々の者が運んでいくわけですよ。

閣下 下々の者(笑)。ワクワクしたよね、「どんなのが戻ってくるんだろう」って。自分だけで歌詞を書いていると、なかなか1曲の中で視点が変わることはない。それが、AメロからBメロになったら突然視点が変わるので「ほぉっ」ってなるんだよね。

相手を驚かせようという気持ちはあったんですか?

宝野 ないですよ。いつも通り自然に。

閣下 吾輩もね、直感で書いた部分は多いよ。もらった直後に書くとか。

宝野 わりと早かったですね、お互い。「うーん」って考える感じではなく。

閣下 ちょっと不思議な感じだったね。自分だけで考えるときの方が考えちゃうかもしれない。

宝野 最初の1行が1ヶ月も出てこないときもあるしね。毎年、何曲も作っているとそうなってくるんじゃない?

閣下 なってくる。

宝野 閣下と作ることで新しい風を感じたし、救われた感じはしますね。

閣下 吾輩も歌詞を書くとき、イメージが湧かなかったり、何をテーマにしていいかわからなかったりすると、音楽を聴くのではなく映画やドラマや演劇を観ることで筆が進むということはしばしばあるのだ。まあ、筆を使ってはいないけど(笑)。それは、同じようなテーマの作品ではなくても刺激は入ってくるので。それをやるような感じだった。同じ曲の歌詞を作っているんだけれども。うん、そんな感覚があったな。

宝野 うんうん。

閣下 インスピレーションの湧き方が、ね。

宝野 いつもと違う感じでしたね。しばらく一緒に作ってほしいなって気持ちになりました。

閣下 それは面白いな。吾輩も2曲で終わらせるのはもったいないって気にはなっている。まあ、10年一緒にやっていたら喧嘩するんでしょうけど。「この言葉、何回も使ってるから!」とか。

宝野 「またそれ?」みたいな(笑)。

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