月曜の朝を待ちわびて。~「週刊少年ジャンプ」時評~  vol. 4

Column

劇場版『鬼滅の刃』公開日決定、ジャンプ+の名作青春マンガ完結……歩み続けるジャンプの一ヶ月を振り返る

劇場版『鬼滅の刃』公開日決定、ジャンプ+の名作青春マンガ完結……歩み続けるジャンプの一ヶ月を振り返る

こんにちは。『月曜の朝を待ちわびて。』第4回です。

4月8日(水)に、週刊少年ジャンプ編集部より「週刊少年ジャンプ21号」の発売が延期されるというお知らせがありました。
編集部のスタッフに新型コロナウイルス感染の疑いがあり、作家・関係者への感染リスクを考慮し編集部全体で作業を一時的に中断。それに伴い、直近のジャンプ発売スケジュールを1週間延期する、という内容でした。

前回の記事の最後に、新型コロナウイルス感染症をめぐる現在の状況を受けて、連載中の作品にどんな影響を与えるのか、あるいはどんな新連載が生まれるのか見届けたいと書きましたが、それも掲載するメディアがあってこそ。
ジャンプの発売そのものがなくなる、というのも決して荒唐無稽な発想ではないのだと気付き、自分の中で危機感の持ち方が変わりました。

編集部の迅速な対応に敬意を表しつつ、今回の時評を始めたいと思います。

文 / おしこまん
イラスト / かずお


無料公開期間延長、コミックス発売延期

新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、4月7日(火)には安倍首相より緊急事態宣言が発出されました。期間は5月6日(水)までとなっていますが、この文章が公開される頃には延長が発表されているかも知れません。

これを受けて、前回紹介したマンガやアニメの無料公開期間も、同様に5月6日(水)まで延長されました。筆者は、前月に引き続きYouTubeで『BLEACH』をおさらいするつもりです。

また、5月1日(金)発売予定のジャンプコミックス32点の発売日が13日(水)に延期となりました。

書店などに人が集まってしまうのを避けるための措置のようです。これもすばらしい判断ですね。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』公開日決定

昨年の大ヒットから今もまったく勢いの衰えない『鬼滅の刃』。アニメ第1期終了の際に発表された劇場版について、公開日が10月16日(金)に決定しました。

「無限列車編」における筆者の個人的な見所は、主人公・炭治郎の心の中の様子が描かれるシーンです。ネタバレを避けるためにも詳細は言及しませんが、それまでの緊迫した戦いから一転、静かでおおらかなその世界との落差が強く印象に残っています。
アニメーションとしてどのように表現されるのか、楽しみです。

ジャンプ+連載『青のフラッグ』完結

ジャンプのウェブマンガサービス・少年ジャンプ+で連載されていた『青のフラッグ』が、4月8日(水)に完結を迎えました。作者のKAITOは過去にジャンプ本誌で2作、連載経験があります。

連載第1作目は、ケガでサッカー選手としての道を断たれた少年が、とある高校の女子ラクロス部のマネージャーとなるところから物語が始まる『クロス・マネジ』(2012年)。一見ジャンプマンガらしからぬ導入ですが、キャラクターの心情を丁寧に描く作風は一部のファンの心を強く掴みました。筆者もそのうちの一人です。しかしジャンプのメイン読者層である中学生くらいの少年たちには刺さりづらかったのかもしれません。全40回ほどで完結となりました。

連載第2作目、2015年の秋に始まった『バディストライク』は甲子園を目指す高校球児たちの物語。前作とは打って変わって少年誌としては直球のテーマ。どう扱うのか楽しみにしていたのですが、全11話での完結となりました。

『バディストライク』が終わった時、次回作は『クロス・マネジ』のような、登場人物の心の動きをていねいに描いた作品を読みたい、しかしそういった作風はジャンプにはあまり合わないのかも知れない、そんな感想を抱きました。

それから約1年後、2017年の2月に始まったのが『青のフラッグ』でした。

第1話の主な登場人物は、主人公・一ノ瀬太一(いちのせたいち)、太一の幼馴染み・三田桃真(みたとうま)、桃真に想いを寄せる空勢二葉(くぜふたば)の3人。みな同じ高校の同じクラス、3年生に進級した4月から物語は始まります。

野球部のエースで学校中の人気者である桃真に対し、太一は苦手意識を抱いています。

太一は、特別なことをせず普通でいようと心がけて日々を過ごしています。「自分を知って分を弁えていればこれ以上自分を嫌になることもない」からと語っていますが、なぜそう考えるに至ったのかは明かされません。学校内でもまったく目立った存在ではなく、いわば「モブ」のようなポジションにいます。桃真に対する苦手意識もそこからきているようですが、苦手だからといって嫌いではないという自覚もあり、勝手にそう感じている自分自身に納得できていないようにも見えます。一方、桃真はそんな太一の変化を察しつつも、仲のよかった小学生の頃と同じように接しているようです。

ある日、二葉は桃真と「よくしゃべっている」太一に彼のことを尋ね、そのやりとりの中で太一は二葉の想いに気付いてしまいます。最初は「恋愛相談とかムリ」なんて言っていた太一は、なんだかんだあって二葉の恋に協力することになり……。

以上が、第1話冒頭で描かれる、物語の導入部分です。

恋愛に関するすべてのことに正面から向き合う

『青のフラッグ』は、第1話から最終回まで、触れただけで壊れてしまいそうな繊細で蒼い感情に満ちています。『クロス・マネジ』に可能性を感じた読者がKAITOに期待していたものがすべて詰まった作品でした。それはきっと筆者ひとりの感想ではないでしょう、回を重ねるにつれじわじわと支持を集め、ストーリー終盤、完結までの1年ほどは、更新のたびにツイッターなどで大きな反響を呼んでいました。

ジャンプ+を日常的にチェックしているわけではないけれど『青のフラッグ』は欠かさずに読んでいる、という人も多い印象でした。ジャンプ+発のヒット作は本連載でも過去にいくつか取り上げましたが、それらとはまた違った広がり方をしているように見えました。

筆者はたまたまジャンプが好きで昔から読んでいたため、もともとジャンプ本誌で連載経験があった作者が紆余曲折を経てジャンプ+という新たな環境でついにその才能を結実させた、なんて陳腐なシナリオをつい想像してしまいますが、それは余計なお世話というもの。おそらく大多数の人は、『クロス・マネジ』『バディストライク』を知らないでしょう。それで何も不都合はありません。作品の内容が正当に評価された、それが何よりも喜ばしいことです。

ただ、筆者としては、ジャンプ本誌からジャンプ+に掲載の場が移ることの可能性を示してくれた作品、ということもきちんと記しておきたいです。メディアと作品、両方があってこその「ジャンプ」ですから。

最後に、『青のフラッグ』について筆者なりにひとことで言うなら、「恋愛に関するすべてのことに正面から向き合って描き切ろうとしている意欲的な作品」となります。機会があればぜひ、(なるべく情報を入れずに)読んでもらいたいです。Stay Homeのおともにいかがでしょうか。

ジャンプマンガの主人公たちのように

現在のような社会状況では、本連載で取り上げる話題も、どうしても新型コロナウイルスに関連したものが多くなりがちです。おそらく、そう簡単には変わらないのでしょう。そのことに閉塞感を覚えたこともありました。今でも、完全に拭い去ることはできていないと思います。

しかし例えば、今回取り上げたコミックス発売延期のニュースなどは、一見後ろ向きなようで、人類が知恵と工夫でウイルスに対抗した受け身でない能動的な選択と捉えることもできるでしょう。

歴代のジャンプマンガの主人公たちのように、困難な状況でもくじけずに、希望を掴み取っていけたらと思っています。また来月、楽しくジャンプの話をできることを願って。では、また!

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