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『35歳の高校生』『表参道高校合唱部!』『白夜行』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって見たいドラマ&映画(中編)

『35歳の高校生』『表参道高校合唱部!』『白夜行』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって見たいドラマ&映画(中編)

『野ブタをプロデュース。』(05/日本テレビ)の地上波ゴールデンタイム再放送などで、過去の良作ドラマに対する注目度が上がる今日このごろ、膨大なアーカイブスと豊富な鉱脈をディグるにあたって、キャストに焦点を当てたコラムの中編。配役から数珠つなぎのようにリンクを張りつつ、系譜図さながらに配信で観られるドラマや映画の良作を、今回も3作紹介する。

『3年A組』『ソロモンの偽証』『男子高校生の日常』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって観たいドラマ&映画(前編)

『3年A組』『ソロモンの偽証』『男子高校生の日常』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって観たいドラマ&映画(前編)

2020.04.30

前回のコラムでは、映画『男子高校生の日常』(13)を例に菅田将暉と野村周平の共演作の多さについて触れた。そのうちの一作で、2人のほかにも「今思うと、奇跡的なキャスティング!」と思わず唸るのが、米倉涼子主演のドラマ『35歳の高校生』(13/日本テレビ)。スクールカーストをはじめ、見えない“闇”に閉塞感をおぼえる高校生たちを演じる面々の顔ぶれは、7年経ってもなお晴れがましい。

文 / 平田真人


ドラマ『35歳の高校生』
昨今主演を務める20代俳優/女優がそろいぶみ!

【STORY】
国木田高校の3年A組では、いわゆるスクールカーストによって生徒26人が格付けされていた。クラスメートでありながら上位と下位の生徒は気軽に会話すらもできない、歪んだ格差社会。ちょっとした発言や行動がランクを下げる命取りになりかねない日々に、誰もが息苦しさを覚えている。ただし、1軍のトップに君臨する数人を除けば、だが──。否応なしにサバイブを強いられる教室に、明らかに老けた…いや、大人な35歳の“同級生”・馬場亜矢子(米倉涼子)が編入してくる。初日のあいさつで「友達を100人つくりたいです」と宣言する亜矢子の空気を読まない行動は、少しずつカースト制度に楔(くさび)を打ち込み、クラスの雰囲気も徐々に変わっていった。それにしても、事情があって18年前に高校を中退した彼女が、もう一度高校生をやり直すのはなぜなのか? その謎をめぐって3年A組の面々が行き着いたのは、亜矢子の真意を白日のもとにさらす“クニキダ魔女裁判”だった…。


米倉涼子が自身のキャリアで初の女子高生役、しかも制服に身を包むという設定で話題を呼んだ本作。亜矢子の元担任にして川浜市教育委員会の教育長・カイザー(無能な校長は容赦なく更迭する、皇帝然とした振る舞いに由来)こと阿佐田幸信役に渡 哲也が配されていたこともそうだが、生徒役のキャストたちが逸材ぞろいだったことに改めて驚く。1軍のトップとして力でクラスメートを威圧する土屋正光役の菅田将暉と、その相棒的存在のお調子者・湯川 理役に野村周平。共演歴の長い彼らのコンビネーションが光る中、彼らとつるむ東 蓮役・高杉真宙(髪が長めで中性的な容姿が際立つ)も存在感を発揮。女子も、第1話の段階で便所メシを余儀なくされる“陰キャ”ながら、亜矢子との出会いで殻を破り、1人目の友達となる長谷川里奈役の広瀬アリスをはじめ、1軍グループの筆頭ながら人に言えない家庭の事情を抱える工藤美月役の新川優愛、美月の取り巻きの1人にして、彼女とともに駅伝部をけん引する国分 萌役の小島藤子らが名を連ねる。
中でも印象的なのは、クラス内の誰とも関わろうとしない謎多き阿久津 涼を演じた山﨑賢人のたたずまいだ。詳しくは伏せるが、終盤での米倉、菅田と対峙するシーンでの静かなる狂気と感情をほとばしらせる芝居に、そのポテンシャルの一端を見ることができる。なお、菅田とは映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』(12)での共演(国木田高校3年A組の担任教師・小泉役の溝端淳平もメインキャストで出演)以来、親交が深いのはよく知られたところ。また、新川とは映画『今日、恋をはじめます』(12)で、広瀬と小島とは映画『氷菓』(17)で、それぞれ共演していることも追記しておきたい。

広瀬アリス×岡山天音『氷菓』現場で怒られる!? 親友二人の仲良しぶりと役とのギャップ、“普通の人”の葛藤明かす

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2017.10.30

ちなみに、高校時代を回想するシーンでの亜矢子役には、ブレイク直前の松岡茉優が配されている。時間こそ長くはないものの、母親役の手塚理美を向こうに回しても引けを取らないあたりは、さすがといったところだろう。
また、近頃はバラエティー番組『それって!?実際どうなの課』(中京テレビ・日本テレビ)でさまざまなワザをマスターする姿が“センスの塊”とバズった森川 葵が演じる衛藤 瞳も、担任の小泉を辞職に追い込むトラップを仕掛けるといった見せ場で、才気の片りんを見せる。この作品の直後、菅田と映画『チョコリエッタ』(15)でともに主演を務めるが、『35歳〜』での粗暴な正光役の印象が強かったこともあり、現場に入った当初は菅田本人の気さくで飾らない人柄にギャップを感じたと、当時の取材で笑いながら話していたのが印象深い。

その後、ドラマ『ごめんね青春!』(14/TBS)や菅田と再々共演を果たしたドラマ『ちゃんぽん食べたか』(15/NHK)のヒロイン役などで頭角をあらわしていく森川と高杉の再共演を糸口に、2010年代でも指折りの青春ドラマへとつないでいこう。

ドラマ『35歳の高校生』配信情報
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ドラマ『表参道高校合唱部!』
朝ドラヒロインが3人も出演する登竜門的な作品に

【STORY】
かつて合唱の名門だった表参道高校に、香川県の小豆島から香川真琴(芳根京子)が転校してくる。両親がかつて同校の合唱部に伝わる「愛の歌」が縁で結婚したこともあり、歌うことが大好きな真琴は部員が足りなくて存続危機にある合唱部の建て直しに奔走。その情熱にほだされた夏目快人(志尊 淳)たち同級生たちは、いつしか歌うことの楽しさに目覚めていく。真琴のひたむきさは、いつしか学校内に見えない壁としてそびえ立っていたスクールカーストをも崩していくのだった──。


2015年に放送され、“オモコー”の愛称で親しまれてるドラマ『表参道高校合唱部!』。当時、真琴役の芳根京子は朝ドラ『花子とアン』(14/NHK)で、仲間由紀恵演じる宮本蓮子の娘・富士子役で注目を集めてはいたものの、ほぼ大抜擢に近かった(連続ドラマ初主演)。真琴の良き理解者にして、淡き恋の相手でもある快人役の志尊 淳は『烈車戦隊トッキュウジャー』(14-15/テレビ朝日)で主演を務め終えたばかりで、まさに飛躍のタイミング。彼らを中心に、合唱部メンバーに森川 葵(=アイドル志望で密かに熱唱動画を上げるなどしていたが、真琴にインスパイアされて最初に力を貸す引田里奈役)や高杉真宙(窃盗の疑いをかけられて、一度は登校拒否になるも合唱への情熱は冷めていなかった宮崎 祐役)、主演を務めた映画『ハローグッバイ』(17)での熱演が高い評価を得る萩原みのり(メガネ姿が印象的な佐々木美子役)、子役時代から活躍し、朝ドラ『ひよっこ』(17/NHK)での三男役や、映画『サバイバルファミリー』(17)などが印象的な泉澤祐希(学年一の秀才だが、部長として気負いすぎな相葉廉太郎役)、大河ドラマ『西郷どん』(18/NHK)での村田新八役が新境地を開いた堀井新太(自身と同じ高校球児を経て、途中から合唱部に入る桜庭大輔役)、ほぼ同時期に公開された映画『罪の余白』(15)でも、いじめの首謀者役で観る者を戦慄させた吉本実憂(タレントいう華々しい顔もありつつ、裏で狡猾にクラスを支配していた谷 優里亞役。その後、合唱部に入部)といった若き実力派を配したことで、ワンシーンごとのクオリティーが極めて高い作品へと昇華させていった。

映画『サバイバルファミリー』泉澤祐希&葵わかな「僕たちに危険が多いほど監督は楽しんでいる!?」

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2017.02.07

また、真琴の小豆島時代の友人・蓮見杏子役で葵 わかなもイレギュラーで出演。さらに、第3話では、優里亞と同じ事務所に所属する若手女優役で、ワンシーンながら永野芽郁も登場しているので、捜してみてほしい。はからずも、のちに朝ドラでヒロインを務める女優が3人(芳根=『べっぴんさん』、葵=『わろてんか』、永野=『半分、青い。』)も出ているという、登竜門的な作品にもなった。

彼ら彼女らに、城田 優が演じる昼行灯ながらも(それも実は事情がある)合唱に深い愛を注ぐ顧問の鈴木有明先生や、彼に感化されていく真琴の担任にして副顧問の瀬山えみり先生(=神田沙也加)らが絶妙な塩梅で絡み、人間模様を織りなしていく。何かに打ち込める思春期の輝きに加えて、喜びや苦しみ、達成感や充実感を分かち合う真琴と仲間の日々を見届けたあと、きっと胸に熱いものがこみあげてくることだろう。

では、次なる“バトン”を泉澤に手渡して、少々時間をさかのぼってみることにしよう。

ドラマ『表参道高校合唱部!』配信情報
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ドラマ『白夜行』
『セカチュー』コンビに名子役、そして田中 圭!

【STORY】
1991年。小学生だった桐原亮司(山田孝之/少年期:泉澤祐希)と西本雪穂(綾瀬はるか/少女期:福田麻由子)は、ともに家庭の事情で孤独を感じていたことから、いつしか心を通わせ合うようになる。そんな中、借金に苦しむ母親から、雪穂が大人を相手にいかがわしいことをさせられていることを亮司は知る。その相手が自分の父だったことに怒りを爆発させ、殺害してしまう…。雪穂もまた母親を心中未遂に見せかけて他殺。“共犯関係”を結んだ2人は、その後も数奇な運命に翻弄されていく──。


小説と映画が大ヒット、社会現象にもなった『世界の中心で、愛をさけぶ』のドラマ版(04/TBS)で主人公のサクとアキを演じた山田孝之綾瀬はるかのコンビが再び組んで、東野圭吾が紡いだラブ・ミステリーに挑んだのが、このドラマ版『白夜行』(06/TBS)だ。リアルタイムでは気にもとめていなかったが、今になって見直してみると、当時ともに20代前半だった山田と綾瀬の若々しさがまぶしい。第1話の冒頭、血まみれの亮司と、彼に思いを馳せながらも夜の街へ溶け込んでいく雪穂の運命を示唆するようなシークエンスに続いて、時はバブル崩壊直後の1991年へと巻き戻る。この時、少年/少女期の亮司と雪穂を演じているのが、子役時代の泉澤祐希と朝ドラ『スカーレット』(19-20/NHK)で、ヒロイン喜美子の末妹・百合子役も記憶に新しい福田麻由子だ。2人ともまだ顔があどけないが(特に泉澤は、いい意味でやんちゃな小学生然としている)、福田のいたいけでありながら凛としたたたずまいを見るにつれ、胸が押し潰されそうになってくる。だが、この小さき名優2人による豊潤なる“プロローグ”が、丁寧に描かれている(第1話のほとんどは、泉澤と福田のパートである)ことが、バトンを受けた山田と綾瀬の切なき名演へと連なっているのは言うまでもない。
さて、高校生になった2人のパートに入った第2話から、今をときめく田中 圭が、亮司の過去をネタに脅しをかけてくる菊池道広役で登場。いかにもワルそうな金色に近い茶髪の工員だが(彼もまた若い!)、『WATER BOYS』(03/フジテレビ)で親友役だった2人の再共演に(シーンこそ限られているものの)、胸を熱くする人も多いのではないだろうか。
ちなみに、亮司の父が変死した“最初の事件”をしぶとく追う、刑事・笹垣を演じる武田鉄矢と、亮司の過去を知る松浦役の渡部篤郎が醸し出すケレン味も、絶妙なスパイスになっている。「ストロベリーナイト」シリーズ(10・12・13/フジテレビ)でのガンテツこと勝俣健作然り、武田がひと癖ある刑事を演じる時は名演が多い。

余談だが、亮司の高校の同級生で、のちにその名を騙る秋吉雄一を演じた尾上寛之は、『白夜行』と同年に公開された東野圭吾原作の映画『手紙』(06)で、山田とお笑いコンビを組む相手役でも共演している。

話が逸れていきそうなので、今回はここまで。このテキストが、少しでも豊かな「おうち時間」のサポートにならんことを──。

ドラマ『白夜行』配信情報
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<後編はこちら>
『カノ嘘』『水球ヤンキース』『学校のカイダン』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって見たいドラマ&映画(後編)

『カノ嘘』『水球ヤンキース』『学校のカイダン』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって見たいドラマ&映画(後編)

2020.05.06

おまけ
現在、配信はしていないけれども、これも豪華キャスト作品

ドラマ『ランナウェイ〜愛する君のために』

山﨑賢人の出演作で、意外と知られていないのが、市原隼人主演の『ランナウェイ〜愛する君のために』(11/TBS)。菅田将暉もメインキャストを務める本作で、山﨑は市原、塚本高史上田竜也(KAT-TUN)、菅田の逃走を見守り、時にウェブを通じてヒントを与えるパソコンフリーク役を怪演している。また、千葉雄大も若きキャリアの刑事として登場するなど、本作も知る人ぞ知る豪華キャスト作品である。

ドラマ『黒の女教師』

もう一作、こちらは有名な『黒の女教師』(12/TBS)も、改めて役者陣を見ると驚くばかりの豪華布陣。主演を榮倉奈々が務め、生徒役にはまだジャニーズJr.だった松村北斗(SixTONES)に千葉雄大土屋太鳳広瀬アリス仲野太賀杉咲 花中条あやみ山﨑賢人と主演級がズラリ。広瀬と山﨑、上遠野太洸西井幸人…と、『35歳の高校生』チームが多々出演しているのも、今思うと興味深い。

※配信情報は5月3日(日・祝)現在

トップ画像・撮影
泉澤祐希 / 三橋優美子
森川 葵 / 森崎純子
高杉真宙、山﨑賢人 / 増永彩子
志尊 淳、野村周平、広瀬アリス、松岡茉優、芳根京子 / 斎藤大嗣