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『3年A組』『ソロモンの偽証』『男子高校生の日常』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって観たいドラマ&映画(前編)

『3年A組』『ソロモンの偽証』『男子高校生の日常』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって観たいドラマ&映画(前編)

コロナ禍の影響とは言え、ドラマ『野ブタをプロデュース。』(05/日本テレビ)の地上波ゴールデンタイム再放送などで、過去の良作ドラマに対する注目度が増している。さしづめ、映像作品における“ディグ(る)”とも言えそうだ。にしても、膨大なアーカイブスと豊富な鉱脈を“掘る”にあたっては、何かテーマを絞った方が作業がスムーズに進むのでは──と考えて、キャストに焦点を当てることにしてみた。
「えっ、このキャスティングって今からすると豪華すぎない?」「この作品では、あの人たちが共演してたの!? あの人も出演してたんだ!」といったように、配役から数珠つなぎのようにリンクを張りつつ、系譜図さながらに配信で観られるドラマや映画の良作を前・中・後編に渡って紹介。僭越ながら、より豊かな「おうち時間」を過ごすヒントにしていただければ、と──。

まずは“導入口”として、好評放送中の連続テレビ小説=朝ドラ『エール』(NHK)のキャストに着目。実は、1年と少し前に放送された連続ドラマに出演していた若手俳優/女優たちが4人も登場しているのだ。佐久本 宝(主人公・古山裕一の弟、浩二役)、堀田真由(裕一の幼なじみでダンスホールの踊り子・志津=とみ役)、望月 歩(裕一が務める川俣銀行の行員・松坂寛太役)、森 七菜(ヒロイン・関内 音の妹・梅役)…の名前に見覚えがある人も多いことだろう。ということで1作目は、SNS社会に痛烈な一撃を浴びせた、菅田将暉が初めて教師を演じた主演作をクローズアップする。

文 / 平田真人


ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』
次世代を担う若きキャストが結集!

【STORY】
卒業まであと10日。いつものように何事もなく始まろうとしていた3年A組の日常は、担任教師の柊 一颯(ひいらぎ いぶき=菅田将暉)のひと言によって非日常へと変貌する。「今から皆さんは、僕の人質です」。校内のいたるところに周到に仕掛けられた爆弾とトラップによって、完全に外界と断絶された教室。そこで行われたのは、学園のスター的存在だったクラスメートがなぜ自ら命を絶ったのか──その真実に29人の生徒たちを向き合わせる、「最後の授業」だった。


キャスティングの肝(きも)としては、映画『帝一の國』(17)では恋人同士だった菅田将暉永野芽郁(=茅野さくら役)が、教師と生徒役として再びタッグを組んだこと(ちなみに、この映画も今思うとものすごく豪華な顔ぶれ!)。ドラマのキービジュアルも、この2人をフィーチャーしているが、A組のクラスメートたちもそうそうたる名前が並ぶ。クラス内のカーストトップに鎮座する甲斐隼人役の片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)や宇佐美香帆役の川栄李奈を筆頭に、一颯が事件を起こすきっかけをつくる景山澪奈役の上白石萌歌、その澪奈と水泳部でライバルだった水越涼音役の福原 遥、読者モデルにして女王気質の諏訪唯月役・今田美桜…と、この時点でも相当に強力だが、まだまだ終わらないのが、この“3A”のすごいところなのだ。

先ごろまで『大江戸スチームパンク』(テレビ大阪)に主演、『鈍色の箱の中で』(テレビ朝日)でもメインキャストを務めた萩原利久(=逢沢博己役)、同じく『鈍色の〜』に名を連ね、『左ききのエレン』(19/MBS・TBS)で主演、瀧内公美の相手役に指名された映画『裏アカ』も公開待機中の神尾楓珠(=真壁 翔役)、映画『惡の華』(19)で玉城ティナ、伊藤健太郎を相手に存在感を示し、ドラマ『ホームルーム』(MBS)でもヒロイン役を演じて鮮烈な印象を残した秋田汐梨(=秋庭 凛役)、子役時代から数々の名演で知られる存在であり、前クールは『ハイポジ 1986年、二度目の青春。』(テレビ大阪・BSテレ東)での主人公役も記憶に新しい今井悠貴(=西崎颯真役)、『魔進戦隊キラメイジャー』(テレビ朝日)でキラメイグリーン役に抜擢された新條由芽(=金沢玲央役)、『ゆるキャン△』(テレビ東京)でなでしこ役を務めた大原優乃(=辻本佑香役)、同じく『ゆるキャン△』や『俺のスカート、どこ行った?』(19/日本テレビ)や『チア☆ダン』(18/TBS)と立て続けにメインキャストを務めている箭内夢菜(=結城美咲役)、数々のドラマ・映画のみならず、『ヒルナンデス』(日本テレビ)にレギュラー出演中の富田望生(=魚住 華役)、『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(18/TBS)のC5の1人・成宮一茶役で脚光を浴び、MEN’S NON-NOのモデルとしても活躍中の鈴木 仁(=里見海斗役)、『中学聖日記』(18/TBS)などに出演した若林時英(=兵頭 新役)…と枚挙に暇がない。

キャストの羅列だけでかなりの文字数を費やしてしまったが、さらに前出の『エール』キャスト陣である佐久本 宝(=石倉光多役)、堀田真由(=熊沢花恋役)、望月 歩(=瀬尾雄大役)、森 七菜(=堀部瑠奈役)も加わるわけで、改めて若きタレント=才能が結集していたのだなと、思い知るばかりだ。

ネットで知り得た情報や知識で“わかったつもり”になって、ともすれば思考停止に陥ってもいる現代人に「Let’s Think!」と警鐘を鳴らした“問題作”でもあり、平成という1つの時代を締めくくる青春ドラマの金字塔とも言える本作。また、今から1年と少し前には知る人ぞ知る存在だった若き俳優/女優たちが、それぞれ各話でスポットを当てられることで大きな一歩を踏み出した記念碑的作品としても、もう一度じっくりと10のエピソードを噛みしめたい。

余談だが、堀田は現在「ゼクシィ」13代目となるイメージガールとしても活動中。そのCMで相手役を務めているのが鈴木で、両者は同じオーディションを受けて芸能界に入ったという縁もある。また、秋田と富田も『ホームルーム』で共演するなど、さまざまな作品で“3A”のキャスト陣が顔を会わせている。というわけで、次なる一作は少し時をさかのぼり、望月と富田が初めて大きな役を演じた、エポック的な映画を紹介する。

ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』配信情報
Amazon Prime Video
dTV
Hulu

※5月3日(日・祝)には、日テレプラス(CS/ケーブルテレビ)で午前8時から一挙放送予定。

映画『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』
無名だった“原石”たちの、ほとばしるような群像!

【STORY】
記録的な雪で都内が真っ白になったクリスマスの朝。通用口から学校に入った中学2年生の藤野涼子(藤野涼子)は、雪に埋まったクラスメート・柏木卓也(望月 歩)の死体を発見する。当初は自殺と推察されたが、父が刑事である涼子宅と学校、そして担任教師宛てに「柏木は殺害された」とする告発状が届く。事件の真相をうやむやにしようとする学校側や大人たちをよそに、テレビでの報道によって事件が世に拡散されていく。そんな中、同級生がいじめられる現場を見ておきながら何もしなかったことを生前の柏木から咎められていた涼子は、彼の死の真実を知りたいという一心から、級友たちと学校内裁判を起こす──。


映画『ソロモンの偽証』(15)は、宮部みゆきによる「青春×ミステリー」の傑作を『八日目の蝉』(11)や『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』(20)の成島 出監督が前・後篇あわせて4時間20分超の大長編として紡いだ、骨太の一作だ。主演の藤野涼子は、この作品での役名を芸名としても名乗り、鮮烈なデビューを飾っている。また望月 歩は、その不審な死から物語が大きく動き出し、全編にわたってカギとなる柏木卓也役、富田望生は柏木が“殺害”された現場を目撃したと告発する三宅樹理(石井杏奈)の親友・浅井松子役で、ともに映画初出演ながら印象的なたたずまいを見せ、それぞれの将来に期待を抱かせた。なお、柏木殺害の“被告”として、涼子たち生徒が自治的に開いた裁判に出廷する大出俊次を清水尋也が、他校の生徒ながら柏木と小学校の同級生だった縁から、大出の弁護人を買って出る秀才の神原和彦を板垣瑞生が熱演。途中から失語症になってしまう樹理役の石井杏奈も含め(大出と彼の仲間が樹理と松子をいたぶるシーンの卑劣さは、本気で腹立たしくなるほど!)、真に迫る芝居で観る者を作品の世界に引き入れる。また、“3A”で高校球児の兵頭を演じた若林時英も、涼子たちと学校内裁判を実現させようと奔走する向坂行夫役を好演。人懐っこい笑顔を見せるも、大出から「ヘラヘラしてんじゃねえよ」と言われてしまうなど、どことなくコミカルな役回りを担っている。

映画『ミスミソウ』で”鈍い輝き”を放つ清水尋也。 その役と芝居に対するスタンスを語り明かす

映画『ミスミソウ』で”鈍い輝き”を放つ清水尋也。 その役と芝居に対するスタンスを語り明かす

2018.04.07

大人の役者陣も名手ぞろいだが(優柔不断な担任教師役の黒木 華と、今で言うモンスターペアレントな永作博美の怪演が見事)、是枝裕和監督の『奇跡』(11)で主演を務めた前田航基と、同作品や『紙の月』(14)で宮沢りえの少女時代を演じた平 祐奈以外は、ほとんどが無名だった生徒役たちの名演が光る。藤野は凛とした芯の強さを目と立ち姿、そして低いトーンの声によって体現。清水もシーンごとに眼差しを微妙に使い分けることで、荒れる少年の苛立ちや孤独感を醸し出している。その清水と『ホットギミック ガールミーツボーイ』(19)で再共演を果たした板垣は、筆者が『響 -HIBIKI-』(18)公開のタイミングで取材した際、『ソロモン〜』を自身の原点的な一作に位置づけていると語り、作品への思い入れのほどを露わにした。
そんな彼女・彼らの織りなす、中学生ならではの拙く、かつ瑞々しいまでにまっすぐな群像と、伏線たる種まきを裁判によって“立証”していく話法が調和した映画の妙を、いま一度心ゆくまで堪能するのも乙なものだろう。

なお、本作のオーディションに臨んだ望月のエピソードはこちら

『エール』の空気を変えた“川俣銀行パート”。相島一之&松尾 諭&望月 歩が現場の雰囲気を明かす!

『エール』の空気を変えた“川俣銀行パート”。相島一之&松尾 諭&望月 歩が現場の雰囲気を明かす!

2020.04.25

富田も、初めてセリフと役名のある役をもらうために、15キロ近く増量してオーディションを受け、松子役に選ばれたことも語り草となっている。

映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』配信情報
Amazon Prime Video
TSUTAYA TV
dTV
Netflix
Hulu

映画『男子高校生の日常』
バカでしょーもないけど愛おしい青き日々

【STORY】
男子校に通うタダクニ(菅田将暉)、ヨシタケ(野村周平)、ヒデノリ(吉沢 亮)の3人は、女子のスカートについて語ったり、どうすれば彼女ができるのか考えたり、すねにガムテを貼って脱毛したり…と、とりとめのない日々を過ごしていた。ところが、今年の学園祭を近くの女子高と合同で開催することになってから、日常が急変。ふだんはいるはずのない女子高生たちがいる風景にとまどいつつも、どこか胸躍らせている自分に気づくのだった…。


“3A”で初めての教師役、近日公開の『糸』で初の父親役を演じた菅田将暉だが、2018年に公開された映画『となりの怪物くん』まで、長らく高校生を演じていた(『溺れるナイフ』では中学生役も!)。その作品群を挙げるとキリがないのだが、“今思うと豪華キャスト”的な視点で一作を選ぶなら、山内泰延のギャグ漫画を、ドラマ「バイプレイヤーズ」シリーズ(テレビ東京)や、ワンカットムービーとして話題を呼んだ映画『アイスと雨音』(18)を撮った松居大悟が実写化した『男子高校生の日常』(13)がふさわしいと思われる。バカ、スケベ、単細胞と三拍子そろった男子高校生たちの、しょーもないけれども根拠のない無双感にあふれた日々を映していく、青春グラフィティな一篇。菅田は主人公の1人であるタダクニを演じているが、ちょっとふっくらとしたビジュアルが今観ると逆に新鮮に映る。もっとも、彼女はほしいけれども恋することには慣れていない…オーラのない男子高生という等身大のキャラクターにも実在感をもたらしている、との見方もできるだろう。何にしても、菅田将暉という役者のキャパシティーの広さを改めて実感するはずだ。

さて、タダクニと常につるんでいる悪友のヨシタケとヒデノリには、野村周平吉沢 亮がそれぞれ配されている。菅田と野村は『ハンマーセッション!』(10/TBS)や『ブラックボード ~時代と戦った教師たち~ 第一夜』(12/TBS)、『帝一の國』など数々の作品で共演しているが、菅田と吉沢の組み合わせは本作と「銀魂」実写版シリーズ(17、18)ぐらいと、意外にも少ない。一方、野村と吉沢は同じオーディションに受かった同士という縁がある。そんな3人がリアルに10代だったころ、制服姿がいたってナチュラルな時期の作品というだけでも、今となっては付加価値が付く。どことなく初々しく見えたりもする彼らの振る舞いを、ニヤけつつ観てみてほしい。ちなみに、タダクニの部屋で3人が女子のスカートについて、ああだこうだと熱く語るシークエンスは、ほぼアドリブ。台本では4〜5行だけ書いてあった会話を、本番ではノリで話をふくらませた──と、公開当時に筆者が行った取材の場で、彼らが明かしてくれたことを付け足しておこう。

ほかのキャストに目を向けると、ヒロイン役の岡本杏理の友人で、いかにもカースト上位な女子ヤナギン役の山本美月の存在感が、やはり際立つ。また、室内だろうといつもどこでも白いキャップをかぶっている唐沢役の仲野太賀をはじめ、本人の延長線上的なキャラにも見える細野役の栗原 類に、なぜか生徒会副会長役で東京03の角田晃広がいたり(しかも、そんなに違和感がない)…と、バイプレイヤー陣もなかなかに豪華。近々では映画『天気の子』(19)の主題歌のボーカルを担当して話題を呼んだ三浦透子や、吉沢の相手役(!?)を務めた白鳥久美子(たんぽぽ)も、イイ味を出している。また、担任教師役の佐藤二朗がおなじみのヌルッとしたセリフまわしを披露しているが、それをタダクニたちが茶化すのも本作ならではの妙味と言えそうだ。

映画『男子高校生の日常』配信情報
Amazon Prime Video


さて、次回の中編では、菅田将暉と野村周平の数ある共演作の中から、あの“失敗しない大女優”がまさかの女子高生役を演じたドラマへとつなぐ。

<中編はこちら>
『35歳の高校生』『表参道高校合唱部!』『白夜行』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって見たいドラマ&映画(中編)

『35歳の高校生』『表参道高校合唱部!』『白夜行』この作品に、あのキャストが!? 豪華配役からディグって見たいドラマ&映画(中編)

2020.05.03

おまけ
現在、配信はしていないけれども、これも豪華キャスト作品

ドラマ『先に生まれただけの僕』

“3A”つながりでもう一つドラマを挙げるなら、嵐・櫻井 翔が教師役を演じた『先に生まれただけの僕』(17/日本テレビ)も捨てがたい。森 七菜が初レギュラー出演した連続ドラマでは、『天気の子』でともに主演を務めた醍醐虎汰朗と実はクラスメート役で共演していたりする。また、同作には映画『町田くんの世界』(19)で主演を務めた細田佳央太や『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(18-19/テレビ朝日)でルパンレッドを演じた伊藤あさひ、『ミスミソウ』(18)主演の山田杏奈や、先代のゼクシィガールにして『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(20/日本テレビ)の白石 聖も出演。観る機会があったら、よ〜く探して観てみよう。

ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』

さらに、菅田将暉つながりで『大切なことはすべて君が教えてくれた』(11/フジテレビ)もピックアップ。戸田恵梨香三浦春馬の教師カップルに、生徒役だった武井 咲が絡むトライアングルなラブストーリーだが、生徒役の布陣が菅田を筆頭に何とも豪華。中島健人(Sexy Zone)に広瀬アリス剛力彩芽石橋杏奈…さらに、伊藤沙莉のん岡山天音の名も。残念ながら、現在配信はしていないので、CSなどでの再放送を待つか、自粛期間が終わってからDVDレンタルなどで、ご鑑賞あれ。

※配信情報は4月30日(木)現在

トップ画像・撮影
清水尋也 / 荻原大志
鈴木 仁 / 斎藤大嗣
板垣瑞生、望月 歩、森 七菜 / 増永彩子
佐久本 宝、菅田将暉、福原 遥、堀田真由 / 冨田 望