おうちでライブ三昧  vol. 10

Review

でんぱ組.inc 幕張メッセでのビッグマッチ。“洋”がコンセプトの2日目。エンタメ性溢れる彼女たちの魅力を凝縮した、愛にあふれる映像作品

でんぱ組.inc 幕張メッセでのビッグマッチ。“洋”がコンセプトの2日目。エンタメ性溢れる彼女たちの魅力を凝縮した、愛にあふれる映像作品

“STAY HOME”を充実させるため、家で楽しめるライブ映像作品を紹介する“おうちでライブ三昧”。音楽ライター・土屋恵介がセレクトした5本を紹介。


今回紹介するでんぱ組.incのBlu-ray / DVD『幕張ジャンボリーコンサート』は、2019年12月8日に幕張メッセ国際展示場2・3ホールで行われたライブを収めた映像作品。

でんぱ組の2019年は、1月の武道館公演で夢眠ねむが卒業し、古川未鈴、相沢梨紗、成瀬瑛美、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪という6人の新体制で突き進んだ1年だった。驚きのトピックは、9月18日のZepp DiverCityのライブで古川が結婚発表し、その後もでんぱ組の活動を続けるという宣言だった。まさに、アイドルの新たな領域に突入したでんぱ組。そんな彼女たちのビッグマッチが、12月7日と8日に幕張メッセで行われた2デイズライブ。このBlu-ray / DVDは、8日の『でんぱ組.inc 幕張ジャンボリーコンサートDEMPARTY 幕張式フルコース ~ア・ラ・でんぱ~』の模様を収録した作品だ。

大勢のファンが詰めかける中、でんぱ組は「でんぱーりーナイト」からライブをスタート。「Dear☆Stageへようこそ♡」では、ミュージカルのような楽しいパーティーを繰り広げる。高速ピアノロックチューン「破!to the Future」でライブのテンションを一気に加速し、キラーチューン「Future Diver」を投下。目まぐるしく動くパフォーマンスはこの日も冴え渡り、観客も大歓声を上げヒートアップした。

賑やかなアップチューン「ギラメタスでんぱスターズ」で会場をさらブチアゲると、エキゾチックで場面展開の激しい「バリ3共和国」を披露。歌だけでなくラップでフロアを煽り、ゲームっぽいムーブを見せたりと、とにかく情報量の多いでんぱ組らしさを全開にする。

今回の幕張2デイズは、初日が和風、この日は洋風がテーマ。「ボン・デ・フェスタ」で洋風のお祭りに染め上げると、エレガントなムードの「かぼちゃタンデム」を歌唱する。センターステージへ移動したメンバーは、360度の観客に向かってハッピーなオーラを振りまく。動き回るでんぱ組のフォーメーションがあらゆる角度から楽しめるのも、こうした大会場ならではだ。

ここからは、スペシャルコーナー。最初に登場するのは、根本と鹿目のユニット、ねもぺろ from でんぱ組.inc。今年3月にはシングルリリースもされたスウィンギンなポップチューン「しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!」を、2人はふわふわな衣装でかわいく歌唱する。続いては、相沢と桜野羽咲(元・妄想キャリブレーション)のユニットLAVILITHが「ペイルライダー」を披露。歌唱力の高い2人は、観客を圧倒するボーカルを会場に響かせ、スピード感あふれるクールな世界観を作った。

スペシャルゲストとして会場に呼び込まれたのは、16歳の注目アーティスト諭吉佳作/men。彼女が手掛けた「形而上学的、魔法」を、特別コラボで披露。基本アッパーなでんぱ組だが、ジャジーなサウンドはとても新鮮だ。諭吉佳作/menはキーボードと歌で参加。メンバー6人も、ダンスで大人っぽい世界観を表現していく。6人と彼女のボーカルのハマり具合がとてもいい空気。でんぱ組の新たな一面を垣間見れたシーンだった。

続いては、成瀬が声優を務めたアニメ『スター☆トゥインクルプリキュア』のオープニングテーマ「キラリ☆彡スター☆トゥインクルプリキュア」を、彼女とキュアスター、キュアソレイユ、キュアセレーネの4人で歌唱。2次元と3次元のクロスオーバーは続き、でんぱ組メンバーも加わって、同番組前期エンディングテーマ「パぺピプ☆ロマンチック」を披露した。

今回のライブでは、ファンのリクエストに応えたファンラブメドレーというコーナーも用意された。その中で歌われた「エバーグリーン」は、夢眠ねむの卒業曲。彼女はこの曲を“色曲”として歌い継いで欲しいと語っていたが、6人はその意思を汲むように歌唱。夢眠のメンバーカラーのミントグリーンを継いだ根本は、ラストの振り向きシーンをしっかりと努めあげた。

ライブもいよいよラストスパート。ピアノロックナンバー「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」は、振り付けを超えた演劇的なパフォーマンスで魅せる。複雑かつドラマ感のあるステージは見ごたえたっぷり。そして、6人がリボンを手にすると「でんでんぱっしょん」で観客のテンションはますますアップ。小沢健二のカバー「強い気持ち・強い愛」で楽しさを全開にし、「キラキラチューン」で仲間の大事さと希望感を届ける。最後は「プレシャスサマー!」で会場全体で拳を突き上げまくり、強烈な盛り上がりでライブ本編は終了した。

アンコールに入ると、ピアノを弾く清竜人がピンスポで照らされる。そこにメンバーカラーの赤いドレスを着た古川が登場し、穏やかなピアノの旋律とともに「私のことを愛してくれた沢山の人達へ」を歌う。自分の決断、ファンへの感謝、彼女は現在の思いを歌で伝える。白い衣装のメンバーも加わり全員で合唱。彼女を祝うように会場は温かい空気に包まれた。

清を交えてのMCで古川はボロ泣き。しかし、感動的なムードから急展開が訪れる。サプライズで、古川のライブで飛びたいという夢をここで叶えようというのだ。不安顔の古川はワイヤーを付けられる。「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」が歌われると、古川は一気にステージ上空へ上昇し大絶叫。夢というより罰ゲームの様相だ。パニりながら古川はメンバーと合流。全員で客席通路をグルグル回ってファンの間近で歌唱した。

最後のナンバーは「いのちのよろこび」。ディアステージのアイドル勢もダンサーで加わり、大人数でアフリカンビートで歌を届けていく。大量の金の紙吹雪が舞う中、会場全体で大合唱。プリミティブなお祭りは、まさに大団円で幕を閉じた。

ここまでクレイジーのパーティーを作り上げたでんぱ組は、やはりさすがである。さて、コロナ禍でステイホームが推奨される現状だが、でんぱ組はもともと引きこもりの子たちで結成されたグループ。彼女たちは、いち早く完全リモートワークで「なんと!世界公認 引きこもり!」という楽曲を制作。曲作り、レコーディング、MVまで8日間で完成させてしまったのだ。メンバー、スタッフ含めたでんぱ組のチーム感は素晴らしい。どんな状況でも自分たちなりの方法で発信していくでんぱ組の底力は、こうした状況下でより強く発揮されていくような気がしてならない。

文 / 土屋恵介

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オフィシャルサイト
https://dempagumi.tokyo

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