おうちでライブ三昧  vol. 6

Review

BiSH 渾身のボーカルとパフォーマンス。乱れた髪、汗、凛々しい表情。凄まじいパワーに満ちた大阪城ホール公演を収録

BiSH 渾身のボーカルとパフォーマンス。乱れた髪、汗、凛々しい表情。凄まじいパワーに満ちた大阪城ホール公演を収録

“STAY HOME”を充実させるため、家で楽しめるライブ映像作品を紹介する“おうちでライブ三昧”。音楽ライター・土屋恵介がセレクトした5本を紹介。


今回紹介するBiSHのLive Blu-ray / DVD『And yet BiSH moves.』は、2019年9月23日に大阪城ホールで行われたライブの模様を収めた映像作品。

まずこの頃のBiSHを振り返ると、4月から7月にかけて全国ツアー『LiFE is COMEDY TOUR』を敢行し、7月3日にメジャー3rdアルバム『CARROTS and STiCKS』を発売。夏フェスシーズンを経て、ロックのフィールドでも戦ってきたBiSHがどのくらい成長したのかを見せる場所でもあった。しかも、関東以外の初アリーナ規模のワンマンライブ。彼女たちにとって、絶対負けられない大一番だったのだ。さらに言うと、大阪城ホールは、大阪出身のアイナ・ジ・エンドが長年夢見ていた思い入れのある会場でもあった。様々な思いが積み重なる公演は、見事にソールドアウトとなり1万2,000人の清掃員(BiSHファン)が集結して開催された。

オープニング映像のカウントダウンから、白を基調とした衣装のメンバーは、生バンドの演奏とともに「BUDOKANかもしくはTAMANEGI」でライブをスタート。凛々しい表情から、6人の気合いが見て取れる。ハシヤスメ・アツコが「大阪!BiSHと一緒に最高の夜にしようぜ!」と声を上げると「GiANT KiLLERS」を披露し、ライブの勢いは一気に加速。炎とレーザーが瞬く中、渾身のパフォーマンスを見せるBiSH。観客も大歓声で応戦する。曲終わりのセントチヒロ・チッチの「全て飲み込んで行こうぜ大阪!」のシャウトが会場に響き渡った。スクリームとヘドバンの嵐の「MONSTERS」から、高速ハードコアチューン「DEADMAN」の連続攻撃。ライブ冒頭から、メンバー6人の凄味がしっかりと伝わってきた。

MCでメンバーの自己紹介が終わると、アユニ・Dは「みなさん、今日しか味わえないBiSHを体感して帰ってください」と静かに闘志を伝える。

ライブは、メロディセンスが光る「PAiNT it BLACK」、キャッチーな「MORE THAN LiKE」と続く。ポップチューン「HiDE the BLUE」のサビでは、アユニやリンリンの変顔もバッチリ収録。軽快なロックチューン「I am me.」でもメンバー全員のいい表情が見て取れる。映像作品だと、こうしたメンバーの細かい表情がはっきりわかるのが楽しい。家でじっくり観ることで、アイナの作るダンスが歌詞の世界を具現化した、演劇やミュージカルに近いパフォーマンスであることが改めてよくわかった。

「SHARR」では赤の衣装となってスクリームとシャウトを繰り広げ、「OTNK」ではかっこよさと下品さを見事に昇華。「NON TiE-UP」では混沌さと怒りを爆発させ、モモコグミカンパニーが観客に「声を聞かせてください」と指揮をする。さらに、アツコが伸びやかなボーカルを響かせた。ストリングスの音色から始まる「stereo future」では、感情を高ぶらせ歌とダンスに没頭するメンバーの姿が見られる。ロックチューン「FOR HiM」は、さらに感情を爆発させ、乱れた髪、汗、全員の凛々しい表情と惹きつけるパワーが凄まじい。ラストの、アイナの首を掻っ切る動きからの表情も注目だ。

MCコーナーに入ると、アユニの「みなさん元気ですか? 張り切ってますか? 今日の晩ごはんはBiSHですか? 子供の頃のあだ名はなんですか? 小学校の頃の先生は嫌いでしたか?」という謎の問いかけから、アツコが機嫌を損ねるというコントコーナーに突入。まさしく箸休めなパートを経て、切なくも力強い「DiSTANCE」、椅子に座るリンリンを取り囲んだ殺気に満ちたパフォーマンスの「FREEZE DRY THE PASTS」、ダイナミックな歌とダンスで観客を包み込む「My landscape」と、1曲ごとに巻き起こるスリリングな展開にゾクゾクさせられる。

ライブもいよいよ後半戦。ますますBiSHはパワフルなステージを届けていく。前向きな思いの詰まった「Nothing.」を歌唱。ソリッドなパンクチューン「SMACK baby SMACK」の、サビでアツコがモモコをビンタし続ける振りがユニークだ。そして、チッチの「大阪のこの空を超えて響き続けますように」という言葉から披露されたのは「オーケストラ」。儚い歌詞の世界観とグッと来る曲展開に、会場全体が心を掴まれる。アイナとチッチの歌は、問答無用の説得力。観客も拳を突き上げコーラスし、痛烈な一体感が高まった。さらに「プロミスザスター」が披露されると、会場のボルテージは痛烈にアップ。メンバーの渾身のボーカルにぐいぐいと引き込まれてしまう。ラストのサビでは銀吹雪が会場に舞い、メンバーが支えるチッチの手が大切な何かを掴むようなシーンは感動的だ。そして、ラストナンバーは明るいメロディの響く「beautifulさ」。メンバーは、ステージいっぱいに広がりファンに手を振り、笑顔で歌を届けていく。会場全体で拳を上げ大合唱を繰り広げ、ライブ本編はフィニッシュとなった。

アンコールでステージに戻ったメンバーは、ミッドポップチューン「GRUNGE WORLD」を歌唱した。チッチが「大阪! 大好きなあなたたちの声聞かせてもらえますか!」と声を上げると「BiSH -星が瞬く夜に-」が投下される。タイトに疾走する楽曲で会場のテンションはますます上昇。アイナはイヤモニ外し、観客の歌を聴く。最後はメンバーと観客全員でジャンプし、アンコール曲の締めをバッチリと決めた。

しかし、観客はまだまだ興奮度マックスのまま。歓声に応えてメンバーがステージに姿を現した。地元凱旋のアイナは「私は大阪が大好きです」と大阪への愛情を涙を堪えて語る。続けて「これからもBiSHは、そんな夢叶うわけないやろって言われても、どんどん最高を更新していきたいと思うので、よかったらみなさん付いてきてください!」と、これからのBiSHの思いを力強く口にすると、観客は大歓声を上げた。

アイナの「今日は来てくれてありがとう。ここにいるみなさんに愛を込めて」という言葉から、ダブルアンコールで披露されたのは「ALL YOU NEED IS LOVE」。挫折感を振り払い明日へ向かっていく思いが詰まった歌詞を、メンバーひとりひとりが歌いつないでいく。ブレイクを挟んで曲がスピードアップし、会場中が肩組みして跳ねまくる。強烈なまでの一体感が会場いっぱいに広がった。最後にメンバーは手をつなぎ「また会いましょう、We Are BiSH!」の掛け声でお辞儀。会場は大きな拍手に包まれてライブは大団円で幕を閉じた。

アイドルシーンの中でも、ひと際目ざましい躍進を続けるBiSH。この『And yet BiSH moves.』は、彼女たちがライブで放つヴィヴィッドな鮮烈さ、観客を引き込んでいく強力な力がたっぷりと収められた映像作品だった。

文 / 土屋恵介

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オフィシャルサイト
https://www.bish.tokyo

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