おうちでライブ三昧  vol. 5

Review

PENGUIN RESEARCH 疾走するビート、エモーショナルなメロディ。名実ともに“ロックバンド”であることを証明した初のアリーナ公演を収録

PENGUIN RESEARCH 疾走するビート、エモーショナルなメロディ。名実ともに“ロックバンド”であることを証明した初のアリーナ公演を収録

世界中で“STAY HOME”が共有されるなか、家の中で楽しめるライブ映像作品を紹介する“おうちでライブ三昧”。音楽ライター・森朋之がセレクトした5本を紹介。


2019年8月に横浜文化体育館で行われたPENGUIN RESEARCH初のアリーナ公演。その記念すべきステージを完全収録したのが、ライブ映像作品『Penguin Go a Road 2019 FINAL「横浜決闘」』だ。

PENGUIN RESEARCHは作曲家、アレンジャー、さらにボカロP“kemu”としても活躍している堀江晶太(Ba)、声優としても人気を得ている生田鷹司(Vo)を中心に2015年に結成。様々なアーティストのレコーディングやライブにも参加している凄腕プレイヤー(神田ジョン/G、新保恵大/Dr、柴﨑洋輔/Key)を加えたハイレベルのアンサンブル、生田のエモーショナルなボーカルによって徐々に支持を得てきた。

友達同士で組んだバンドでもなければ、ライブハウスで鍛えられたバンドでもなく、純粋に音楽をやるために集まった5人が、ステージや制作を積み重ねることによって、血の通ったロックバンドへと変貌していく。その最初の頂点と呼ぶべき作品が本作『Penguin Go a Road 2019 FINAL「横浜決闘」』なのだ。

会場の後方からメンバーが登場、客席を通り、観客とハイタッチしながらステージに移動する演出、そして、最新アルバム『それでも闘う者達へ』の収録曲「決闘」からライブはスタート。ずっしりとしたヘビィネスを含んだ超高速のビート、起伏に富んだメロディライン、<ヤッパリ 許せねえ/誇り 失くして 生きちゃいけねえ>というフレーズが爆音で鳴り、フロアからは大合唱が生み出される。「俺たちはここに決闘しにきたんだ! お前らもっとかかってこいや!」と叫ぶ生田も気合い十分だ。

強靭なギターリフを軸にしたヘビィメタル直系のナンバー「逆襲」、ブルーのレーザーライト、炎の演出に彩られた“ヘビィロック×ファンク”なアッパーチューン「嘘まみれの街で」といった攻撃的な楽曲を続けて放つ。メンバー個々のプレイも強烈だ。重さ、速さ、正確さを兼ね備えたドラム、ゴリゴリのピック弾きと緻密なフレーズジングで楽曲のボトムを支えるベース、タッピング、速弾き、カッティングを自在に弾き分けるギター、華麗なテクニックに裏打ちされた演奏で楽曲に彩りを与えるキーボード、そして、幅広い音域を行き来するドラマティックなボーカル。高い熱量と際立った技術を併せ持ったバンドサウンドを浴び、観客の興奮も一気に上がっていく。手を上げ、飛び跳ね、シンガロングする会場の熱気は、まるでライブハウスのようだ。

「さっきも言ったように、俺たちはここに決闘しにきました。けどそれは、君たちと闘いに来たわけじゃありません。だって、お前らと俺らは、最強のタッグだろ! 今日という日、2019年8月10日を一生忘れられない日にしようぜ。よろしくお願いします」

という生田のMCの後は、ピアノと歌で叙情的にはじまった「ボタン」へ。さらに「楽しいときも悲しいときも、いつだってそばにいたいと思っているよ」(生田)という言葉とともに披露された「世界最後の日に」、柴﨑による美しく、憂いを帯びたソロ演奏から始まり、生田がセンターステージの真ん中で椅子に座って歌った「冀望」、“終わらない夢など無いと思う”“僕が居るのは きっとその続きだ”という歌詞が印象的なバラードナンバー「ひとこと」などを演奏。この社会で生きていく上での葛藤や挫折、それでも前を向いて生きようとする意志を描いた楽曲もPENGUIN RESEARCHの魅力なのだと、改めて実感できるシーンが続く。

「いつもいつも、本当にたくさんパワーをもらってる。俺たちにとっての初めてのアリーナクラスのライブ、みんなの力を借りてもいいですか」というMC、そして、大合唱が巻き起こった「ゴールド・フィラメント」からライブは後半へ。彼らのアンセムとも言える「敗者復活戦自由形」では生田、堀江、神田が花道に進み、圧倒的なスピード感を誇る楽曲によって強い一体感を生み出す。メンバー全員の個性的なフレーズが絡みながら舞い踊るダンスチューン「シニバショダンス」、間違いだらけの日々を乗り越え、新しい章に向かう勇気を描いた「近日公開第二章」と続き、ライブはクライマックスへ突入。

ここでバンドの中心的存在である堀江が観客に向けて話しかける。

「今日はみんなに救われました。ありがとう。僕らは生きてるから、いつかは終わりがやってきます。さよならする日が必ずやってきます。でもね、少なくともまだそれは今じゃないよねって、俺は思ってます。どんなに毎日がイヤなこと、おっかないこと、不安なことばっかりでも、まだそう思ってます。こんな日があるから、俺らはここまで歩いてきました。みんなもそうでしょ?」

そんな言葉に導かれた本編ラストは「それでも闘う者達へ」。疾走するビート、エモーショナルなメロディ、“どんな状況になっても闘い続ける”という思いを刻んだ歌が真っ直ぐに響き、会場は大きな感動で包み込まれた。

アンコールでは爆発的かつ解放的なアッパーチューンを叩き込み、会場の熱気をさらに引き上げる。オフマイクで叫ばれた「ありがとうございました!」という感謝の言葉、そして、メンバー、観客の笑顔とともにライブは終了した。大きな楽曲に込めたメッセージ、メンバー全員の思いがリアルに伝わる『Penguin Go a Road 2019 FINAL「横浜決闘」』。PENGUIN RESEARCHが名実ともに“ロックバンド”であることを証明する、意義深い映像作品だと思う。

文 / 森朋之

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オフィシャルサイト
https://www.penguinresearch.jp

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