おうちでライブ三昧  vol. 3

Review

ポルカドットスティングレイ 初の日本武道館。最初の頂点を記録した、きわめて貴重なライブ作品

ポルカドットスティングレイ 初の日本武道館。最初の頂点を記録した、きわめて貴重なライブ作品

世界中で“STAY HOME”が共有されるなか、家の中で楽しめるライブ映像作品を紹介する“おうちでライブ三昧”。音楽ライター・森朋之がセレクトした5本を紹介。


2017年にリリースされた「大正義」のタイミングで取材した際、雫(V&G)は「このバンドは売れないと意味がない」「曲のアレンジについても、“そのフレーズで売れる?”みたいな話をしてます」と話していて、その明確なスタンスにすっかり感心されてしまったと同時に、「ポルカドットスティングレイは彼女のプロジェクトなんだな」というイメージを持った。今振り返ってみると、そのとき感じた印象は半分当たっていて、半分間違っていたのだと思う。

ポルカドットスティングレイの中心が、ほとんどの楽曲を手がけ、アルバムのアートワークからライブグッズのデザインまで担当する雫であることは間違いない。しかし、ポルカが彼女のワンマンバンドかと言えば、そうとも言い切れない。フェスやイベント、ツアーを重ねるごとに4人はどんどんバンドらしい雰囲気になり、“この4人でないと成立しない音”を獲得してきた。2019年7月17日に行われた初の日本武道館公演でポルカドットスティングレイは、雫が創り出すエッジー&キャッチーなポップミュージックとしての魅力、そして、ライブの現場で鍛え上げられたアンサンブルとステージングを完璧なバランスで体現してみせたのだった。

1st LIVE DVD & Blu-ray『ポルカドットスティングレイ 2019 有頂天ツアーファイナル ポルフェス45 #かかってこいよ武道館』は、キャリア初の日本武道館公演を全て収録した映像作品だ。

最初に映し出されるのは、お笑いコンビ・流れ星のコント映像。ポルカの楽曲「ICHIDAIJI」のMVに出演した2人は、武道館に行けない二人は、なぜかバナナの皮を追いかけ、ある部屋に入ってみると、なぜかそこにはバナナのぬいぐるみが山盛りになっていて……ここでコントは終わり、ステージの映像に切り替わる。舞台セットのモチーフはもちろんバナナ。黄色の衣装を身に付けた雫のカウントから、オープニングナンバー「ICHIDAIJI」が放たれる。エジマハルシ(G)のメロディックなギターソロ、「かかってこいよ、武道館」(雫)という挑発的な言葉もカッコいい。

さらにウエムラユウキ(B)のスラップベースに導かれたポップチューン「BLUE」、踊りまくるクマの映像に合わせ、観客が楽しく体を揺らしたダンスナンバー「DENKOUSEKKA」へ。9,000人のオーディエンスを心地よい高揚感へ誘い込む。

映像モニターに「きょうはあいするみなさまに すてきないちやをすごしていただけるよう ぜんりょくでがんばりますので たのしんでいってね さあ かかってこいよ武道館」という文字が映し出され、衣装を着替えたメンバーが再び登場。ファンキーなインストに導かれ(メンバー個々のソロ演奏のセンスも抜群!)、ソウル、ヒップホップのテイストを取り入れた「ばけものだらけの街」、色気のあるジャジー・サウンドが響く「大脱走」、「今日は貴様らをぶった切りに来たぞー!!」という雫の絶叫とともに放たれたアッパーチューン「パンドラボックス」などを矢継ぎ早に演奏。幅広いジャンルを肉体的なバンドサウンドに昇華するプレイ、映像喚起力の強いリリックを演じるように歌う雫のボーカルによって、独創的にしてポップな音楽世界を繰り広げる。

エンターテインメント性に溢れた演出もたっぷり。シックな雰囲気の「話半分」では雫がハンドマイクで憂いを帯びた歌声を響かせ、「エレクトリック・パブリック」の間奏パートでは雫、エジマ、ウエムラが楽器を持ったまま“Choo Choo Train”ダンス(上半身をらせん状にうねるアレ)で会場を沸かせる。さらに「7」では、この日のために制作されたアニメーションのMVが映し出される。楽曲のテイスト、歌詞の内容に沿いながら、観客をまったく飽きさせないステージングが続く。

「リスミー」「ヒミツ」をアコースティック・セットで披露した後(ポルカのアコースティック・コーナーはこの日が初めて。雫の感情剥き出しのボーカルがすごい!)、バンドの知名度を大きく上げた代表曲「テレキャスター・ストライプ」からライブは後半へ。「バケノカワ」ではMVに出演しているお笑い芸人・タイムマシーン3号が登場し、MVの演出と同じく、剣でバトルを繰り広げる。

本編ラストは2ndフルアルバムのタイトル曲「有頂天」。軽快なギターカッティング、心地いいグルーヴを生み出すリズムセクション、“このまま私と踊りませんか”というフレーズが鳴り響くなかで、ライブはクライマックスを迎えた。

アンコールもサプライズ満載。まずは新曲「阿吽」のMVが映し出され、さらにMVに出演していたお笑い芸人ハリウッドザコシショウとメンバーが登場し、「阿吽」を生パフォーマンスした。

「今日ね、ホントにみんなに感謝しとるわけ。本当にありがとうございます、楽しかった! あと1曲、エモい、ヤバイ曲が。みんなのことを、みんなについて私の気持ちを書いた曲が残ってるから、それやっていいかな。最後に我々からのラブコール受け取ってくれー!!」と叫び、ラストの「ラブコール」へ。エモーショナルなバンドサウンドとともに<ただ、この愛を気に入ってくれるなら/ 生まれ変わってもここに来るだけなんだよ>というフレーズが突き刺さる。会場からは自然と大合唱が生まれ、ライブはエンディングを迎えた。

“売れたい”“成功したい”というモチベーションからはじまり、作品のリリースとライブを重ねるなかで、ファンとのピュアな絆を作り上げてきたポルカドットステングレイ。本作『ポルカドットスティングレイ 2019 有頂天ツアーファイナル ポルフェス45 #かかってこいよ武道館』は、その最初の頂点を記録した、きわめて貴重な作品だと思う。

文 / 森朋之

ポルカドットスティングレイのCD作品はこちらへ。

オフィシャルサイト
https://polkadot-stingray.jp

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