Review

戦国時代の絶望バトル、再び!『仁王2』死闘の先の痺れる快感

戦国時代の絶望バトル、再び!『仁王2』死闘の先の痺れる快感

2020年3月12日、ついに『仁王2』がPlayStation®4で登場。2017年にリリースされた『仁王』の続編で、戦国時代の日本を舞台としたアクションRPGだ。『DARK SOULS(ダークソウル)』シリーズに代表される、いわゆる“死にゲー”で高い難度が特徴。前作では強力な敵のまえに、涙をのんだプレイヤーも多かったのではないだろうか。さて、そんな新たな“死にゲー”である『仁王2』はどのような作品に仕上がっているのであろうか。新要素などを紹介しつつ、その魅力をレビューしていく。

文 / 板東篤


藤吉郎と共に戦国時代を駆け抜ける!

まずは本作の概要から紹介していこう。時は1555年、戦国時代の日本が舞台。主人公は人間と妖怪の間に生まれた“秀”で、美濃の国(現在の岐阜県)にて傭兵や妖怪退治を行いながら暮らしていた。妖怪が存在している日本という世界設定は、前作より引き継いでいるシリーズ通しての特徴だ。さてある日、妖怪の力が暴走してしまった主人公は藤吉郎という商人に助けられる。以後、ふたりは妖怪が蔓延る戦国時代を生き抜き、妖怪の力の活用で立身していく藤吉郎を追っていくこととなる。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲本作の主人公。言葉が話せず、刀に刻まれた“秀”を見せて藤吉郎に名を伝える。藤吉郎は以後、主人公を“秀の字”と呼ぶ。妖艶な容姿はキャラクリエイト機能で作られたもの。詳しくは後述する

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲主人公の窮地を救ってくれた藤吉郎。ボイスは竹中直人氏。ご覧のとおり見た目もめっちゃ本人

ここで気になるのは前作とのつながりだ。前作はイングランド人のウィリアムが服部半蔵とともに日本で妖怪退治を行いながら、侍としての生き様が形成されていく物語であった。人間関係的にも時代的にも本作との直接的なつながりはない。前作を未プレイでも問題なく物語に入り込めるだろう。もちろん、舞台が同じ日本での続編であるので、物語が進んでいくと何かしらのつながりが示唆される可能性はある。
主人公の外見的なカスタマイズに関しては、自由度が大幅に増したことを特筆したい。前作はウィリアムという固定のキャラクターで、外見のカスタマイズは不可能(髪型やヒゲなど一部のみ変更可能)。ゲームを進めると“姿写し”という機能で外見をほかのキャラクターに変えることはできたが、基本的にはウィリアムのままゲームを進めていった。対して本作は主人公が変わったことで、性別をはじめ体型や顔の詳細までカスタマイズ可能。自分好みのキャラクターを作成し、『仁王2』の世界で戦いを楽しめるワケだ。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲前作とは異なり、主人公の外見は細部までこだわれる。性別も変更できる。テンプレートも用意されており、美しいキャラクターを簡単に作成

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲せっかくなので、読者サービスも考えて女性主人公にしてみた。読者サービスですよ?

新たに増えた妖怪技を活用して楽しむ

続いて、ゲームシステムに触れていこう。本作は刀や二刀、鎖鎌などさまざまな武器種が登場。武器の構えも上段、中段、下段とあり、それぞれで出せる攻撃が異なる。上段はスキが大きい代わりに威力が高く、下段は逆に素速く攻撃できるが威力は控えめ。中段はその中間、といったところだ。さらに攻撃も速い攻撃、強い攻撃の2種類があり、加えてスキルの習得で新たな技を覚えることも可能。近接攻撃以外にも弓や銃などの遠距離攻撃武器、ニンジャスキルや陰陽スキルなども存在し、非常に多彩な攻撃を楽しめる。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲上段、中段、下段の構えごとに攻撃アクションがまったく異なるのが『仁王』シリーズの特徴。構えは瞬時に切り替えられる

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲各武器種に加え、ニンジャ、陰陽などのスキルが存在。スキルポイントを割り振ることで新たな技や能力を覚えられる

実際のバトルは、気力(スタミナ)が重要となるシビアなもの。攻撃を行う、敵の攻撃をガードすることで気力が減り、時間と共に回復する。気力が0になると回復するまで行動不能となるため、常に気力の残量を意識して戦闘を進める必要がある。本シリーズはこの気力と密接に関わる“残心”というシステムがある。これは攻撃を行った際、まず仮として気力ゲージが減り、すぐに速い速度で回復する。このときR1ボタンを押して“残心”というアクションを行うとこの素早い気力回復が確定する。残心を行わずに放置したり、別の攻撃を続けて行うと素早い回復はなかったこととされ、気力が大きく減ってしまう。気力が高いほど攻撃にも防御にも有利になるので、しっかりと残心を行うのが本作のコツであり、特徴的な点だ。慣れるまでは面倒なシステムだが、コツをつかむとカンカンカンと3連続攻撃を行ったあとに残心することで攻撃の流れがいったん閉じ、こちらの攻撃ターンの終了をより体感できる。ゲーム中の動作だけでなくプレイヤー的にもここでひと息つくことで、落ち着いて次の展開に臨める。なお主人公を成長させると回避行動でも残心を行えるようになる。3連続攻撃からの回避行動で有利な立ち位置を継続し、さらに気力もほとんど減っていない状態を維持するというアクションを楽しめるのだ。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲攻撃を行うと気力が減るが、すぐに高速で回復する

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲このときにR1ボタンを押して残心を行うと、気力の回復が確定する。残心を行えなかった場合は高速の気力回復はなかったものとなり、本来の消費ぶんの気力が減ってしまう

さて、ここまで紹介してきたのは前作にもあった『仁王』シリーズの特徴。ここからは新要素を紹介していこう。まず新たな武器種、手斧と薙刀鎌の2種類が増えたことに注目したい。手斧は小型の片手斧を二刀流で持ち、斧としてはかなり素早い攻撃を行える。遠くの敵に投げる技も用意されているため、遠近両方のレンジで活躍できそうな武器だ。もうひとつの薙刀鎌は死神が持っているような巨大な鎌。この武器は変形ギミックがあり、上段では鎌、中段では刃の部分を伸ばして薙刀、下段では刃を折りたたんだ小柄な武器として攻撃を行う。なかなかクセが強く、使いこなすのは難しいが楽しそうな武器という印象だ。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲新武器の手斧は近接攻撃に加え、投げる攻撃も用意されている。近づくと危険な敵と対峙した際に活躍できる

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲薙刀鎌は構えによって武器の形が変わる、一風変わった武器。巨大な鎌をブンブン振り回すのはスキが大きいけど気持ちいい

もうひとつの新要素は、妖怪の力を宿した主人公ならではの“妖力”というゲージが増えたこと。このゲージは攻撃することで増え、このゲージを消費して“特技”と“妖怪技”という新たな攻撃を行える。特技は一時的に妖怪の姿となって攻撃するアクション。ただし、普通に使ってもまったく強くない技だ。妖怪の敵が赤黒いオーラを出すと、“大技”という強力な攻撃を行ってくるようになった。この大技にタイミングよく特技を当てて敵の攻撃をつぶすと、敵の気力と気力の上限値を大きく下げられる。相手の気力を減らすメリットは非常に大きく、敵が気力切れになると一定時間こちらの攻撃でのけぞるようになるため、反撃を受けずに連続攻撃をたたき込める。特技はガンガン使っていきたい……というか、特技の使用が前提としてバランス調整が行われているように感じるので使わざるを得ない感じだ。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲敵がこんな風に赤黒いオーラを出したら、大技を出す合図。すぐさまガードや避けで防ぐか、特技によるカウンターを狙いたい

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲妖怪の大技を特技でつぶすと敵の気力と気力の上限値を大きく削ることができ、以後の戦いで有利に立てる。と言うのは簡単だが、特技には無敵時間がなく成功させるのはけっこう難しい

もうひとつの妖怪技は、敵として登場した妖怪の技が使える。前作から引き続いて守護霊というシステムがあるが、この守護霊に妖怪の“魂代”というものを装備できるようになり、対応した妖怪の技が発動できるという仕組みだ。また主人公の能力も向上する。魂代は敵を倒すとまれにドロップし、ザコはもちろんボスも落とすことがある。魂代は最大ふたつまで装備できるが、それぞれに憑着コストが設定されており、その合計が守護霊の“憑着容量”まで装備できる。これまでの戦いで自分を苦しめてきた妖怪たちの強力な技が使えるのは大変嬉しいし、戦闘でも非常に有用なのがありがたい。たとえば“猿鬼の魂代”は、高くジャンプして遠くの敵に槍を投げつける“猿舞”という技を発動。威力も高いが、何よりゲージ消費だけでどの武器でも遠距離攻撃が行えてとても使い勝手がいい。序盤から入手でき、ゲーム序盤戦の要として使えるだろう。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲憑ける守護霊のタイプに応じて、“妖怪化”したときの性能が大きく変わる。本作ではこれに加え、魂代をふたつまで装備できる

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲一つ目鬼の魂代は、両手をブンブン振り回して殴る“暴れ独楽”という技が使える。ド派手で小気味いい

これらの新要素をまとめると、前作から攻撃手段が大幅に増え、よりバラエティに富んだ戦いが可能になった。そのぶん戦略の幅も広がり、『仁王』シリーズのコアといえるバトルの魅力は大きく増えた。……が、筆者は単純に“最高に楽しい!”とは言えない心境にある。その理由を、次章で述べていこう。

序盤からちょっと厳しすぎる問題を考察

筆者は前作『仁王』が楽しかったので、当然続編である本作を楽しみにしていた。そして実際に小一時間ほどプレイしてみて、最初に抱いた感想が“ちょっと難しすぎない?”というものであった。いくら“死にゲー”とはいえ、続編とはいえ、楽しさがフィーバーするまえに暗く落ち込んでしまったのだ。
さて本作が難しい理由だが、ひとつは敵が強いこと。ボスはもちろん、ザコ敵にすら倒されることが常時起きる。敵は体力と攻撃力が高く、攻撃モーションも見切りにくいものが多い。最初に出てくる“餓鬼”ですら触るとマヒになるゲロを吐いてくるし(しばらくそこに池のように残って危険)、攻撃によっては一撃で体力を半分ほど持っていかれる。3月19日のアップデートで“餓鬼”が弱体化されたことから、きっと同様に苦しめられた人も多かったのだろう。もちろん餓鬼は一例で、基本的に全部の敵がやっかいだ。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲いちばん弱い妖怪の餓鬼ですら、攻撃によっては一撃で体力を半減させらされる。すべての敵が高火力だ

そんな攻撃を受けても、体力を回復する手段が限られているのがまたキツイ。手段のひとつはマップにある“社”という拠点に戻ってお参りすることだが、これを行うと一部の敵を除いて倒した敵が復活してしまう。早い話、リスタートと変わらない。もうひとつがアイテムの“仙薬”を使うことで、こちらがメインの回復手段となる。しかし仙薬は消耗品で、かつ敵からのドロップが主な入手方法なのでそこそこ貴重品。ボス戦で多く使うことを見越して道中では消費を抑えておきたいから、できるだけ使いたくはない。陰陽スキルに体力を回復できる技が用意されているがある程度ゲームを進めないと覚えられず、序盤では使用不可能。つまり、序盤でお手軽な体力回復手段は存在しない。このあたりは前作も同様なのだが、やはり敵が強くなっていることから序盤から苦戦を強いられるのだ。もちろん序盤は主人公のレベルが低く、いい装備がないことも理由に挙げられる。シビアな話が続いたがもうひとつ、フィールドに“常闇(とこやみ)”という特殊な領域が存在することが挙げられる。常闇は足元に彼岸花が咲き、画面もモノクロ風に変化。このなかに入った主人公は気力の回復が遅くなり、逆に敵である妖怪は強化されて体力や攻撃力が上昇するほか、特殊な攻撃も使用してくる。つまり猛烈な苦戦を強いられるワケだ。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲常闇に入ると一瞬地面に彼岸花が咲き、通常とは違うゾーンであることを思い知らされる

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲常闇内では敵が大きく強化され、主人公は気力の回復速度が下がる。ものすごく戦いにくいゾーンだ

じつは常闇は主人公の妖怪技が強化されるというメリットもあるのだが、ゲームを始めてすぐに使いこなせるわけもなく、何度も何度も倒されまくった。最初のメインミッションにある常闇には中ボスである猿鬼がいるのだが、筆者は1時間で延べ16回も倒される結果となった。道中で餓鬼などに倒されたのも含めると、死亡回数はもっと増える。その直後にステージボスである“馬頭鬼”が待ち受けていたが、こちらは猿鬼ほど苦戦せずに倒せたのが、またなんとも……。
こうして最初のステージすら大苦戦した筆者だった。“これはきっとほかのプレイヤーも苦労しているだろう”と思い、最初のステージをクリアしたときに獲得できるトロフィーを調べてみたところ、なんと取得率は90%近く。「え、みんなそんな簡単に突破しているの……?」と、自身の腕前の拙さにかなり落ち込んでしまった。思い返してみると筆者は通常攻撃と(まだタイミングを見極めていない)回避を中心に戦っており、それ以外の攻撃方法、たとえば妖怪技や特技を積極的に使っていなかった。防具もレア度の高い軽装が中心で、たとえばこれを重装備にすれば回避は行いにくくなるが防御力は上がり、敵の攻撃をガードしたときの気力の減りも少なくなる。つまり、勝率を上げるための多彩な手法を試さないでいたワケだ。筆者はほかのゲームでも通常攻撃を中心に戦い、自身のテクニックのみでなんとかするというプレイスタイルが中心で、今回はそれが大きく裏目に出たといってもいいかもしれない。本作を通じて自身のプレイスタイルを改めて考えさせられるいい機会になった。

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲ただでさえ(筆者にとっては)強い猿鬼が、常闇でさらに強化。連続攻撃はきついわ、ガード不能のつかみ技で体力を9割持っていかれるわで、心が折れかけた

仁王2 WHAT's IN? tokyoレビュー

▲2番目のメインミッションのボス、煙々羅。敵の気力を大きく削れるギミックが用意されているものの、コイツにも大苦戦。筆者の心がまたもや折れかけた

とまあ、こんな感じで本作は非常に厳しい戦いを強いられる。ザコ戦ですら緊張感は高まり、とても手軽に遊べる作品ではない。しかし、山は大きいからこそ乗り越えたときに達成感も大きい。筆者もその後、幾度となく心が折れかけながらも戦いを重ね、少しずつ特技や妖怪技に慣れていき使いこなせるようになってきた。特に敵の大技を特技でつぶせたときの爽快感は非常に大きく、その直後もこちらが有利に戦えるため“ずっと俺のターン!”感をたっぷり堪能できる。さらに基本的に不利な状況での戦いが続くなか、こうして優位に戦えたときの嬉しさもひとしおだ。しかし、ここで油断してはならない。特技によって気力を0にした妖怪はずっと無力化されているわけではなく、やがて気力を回復して再びこちらに反撃してくる。圧倒的優位かつ勝利間際という状況で思わぬ反撃を受け、倒されてしまったことも何度かある。敵を倒すまでは決して油断してはならない。文字どおりの“死闘”を体感できるのが本作である。数え切れない“死”を通じて侍としての生きざまを考え、体現させられる作品といえる。
本作は数ある“死にゲー”のなかでもトップクラスに連ねるほど難度が高い作品だと思うが、諦めさえしなければきっと先に進めるはずだ。腕に自身がある人、忍耐力が高い人、そして死闘を勝ち抜いた先の快感を求めたい人はぜひ本作にチャレンジしてほしい。次回の記事ではさらなる戦いについて触れていく。

フォトギャラリー


■タイトル:仁王2
■発売元:コーエーテクモゲームス
■対応ハード:PlayStation®4
■ジャンル:ダーク戦国アクションRPG
■対象年齢:17歳以上
■発売日:発売中(2020年3月12日)
■価格:通常パッケージ版・ダウンロード版 8,580円(税込)


『仁王2』オフィシャルサイト

©2020 コーエーテクモゲームス All rights reserved.