月曜の朝を待ちわびて。~「週刊少年ジャンプ」時評~  vol. 3

Column

ジャンプがくれる希望。マンガ・アニメの無料公開、新プロジェクトの発表など相次いだ一ヶ月を振り返る

ジャンプがくれる希望。マンガ・アニメの無料公開、新プロジェクトの発表など相次いだ一ヶ月を振り返る

こんにちは。週刊少年ジャンプ(以下「ジャンプ」)時評『月曜の朝を待ちわびて。』、第3回です。

まずは前回の最後に予告したトピックについて。筆者は2015年12月から、友人とジャンプの感想を話すポッドキャスト番組「ジャン談」を配信しています(バックナンバーはこちら)。この番組の200回突破を記念し、去る2月22日(土)、東京・西日暮里の「屋上」というお店で公開収録を行いました。

番組のコンセプトは、「学生の頃のように好き勝手にジャンプの話をする」。放課後の教室や部室なんかでダベるような雰囲気を目指しています。
ふだんは筆者と友人のふたりだけで収録しているため、人前で話すことへの不安もありましたが、終始なごやかな空気の中で進めることができました。いい歳をした大人たちがリアルな場に集まってジャンプの話をするというのは、それ自体が貴重な体験でしたし、リスナーの方から生の感想をいただけたことは、とても励みになりました。

今後も定期的に開催したいのですが、今はちょっと難しそうです。新型コロナウイルス感染症の影響で、社会の空気が一変してしまったからです。

文 / おしこまん
イラスト / かずお


外出が難しい状況が続いています

公開収録から間もない2月27日(木)、コロナウイルス感染拡大防止のため、全国の小中高校・特別支援学校へ臨時休校の要請が発表されました。以降、大型イベントの中止・縮小や不要不急の外出の自粛要請、海外からの入国制限など、刻一刻と新型コロナウイルスをめぐる社会状況は変わっています。

ただし、そうは言っても、人はパンのみにて生くるものにあらず。先の見えない状況の中ただじっとしているだけでは息苦しくなる一方で、そんな時こそ、文化・芸術の力が必要です。
それを見越してでしょうか、外出もできず、思うように過ごせない人たちへ向け、マンガ・アニメを無料公開する動きが3月は多く見られました。

ジャンプ無料公開を皮切りに

3月2日(月)12時から3月31日(火)23時59分までの期間限定で、ジャンプ電子版2020年1〜13号が公開されました。その後、数日以内に、「週刊少年サンデー」や「週刊少年チャンピオン」、「コロコロコミック」などでも同様の期間限定の無料公開が始まりました。

また、雑誌だけではなく作品単位での無料公開も相次ぎました。各出版社から無料公開についての発表があるたび、筆者は胸が熱くなりました。困難な状況が直接的に改善されるわけではありませんが、不安な気持ちを和らげてくれますし、時に乗り越えていくための力ともなるでしょう。

ちなみに筆者は、この機会に『ONE PIECE』と『ハイキュー!!』を読み返しました。どちらの作品もクライマックスに向け本誌でも盛り上がりを見せているところで、このタイミングで内容をおさらいできたのは良かったです。
特に『ハイキュー!!』は、そう遠くないであろう完結に向けて、物語序盤での何気ないやりとりが回収されるような展開が続いています。「この発言やタイトルはあの時の……!」と、すでに毎週のように驚かされていますが、今後はより深く楽しめそうです。

また、3月19日(木)には、YouTube「ジャンプチャンネル」にてジャンプ作品アニメの無料公開が始まりました。こちらは4月19日(日)23時59分までの期間限定まで公開されていますので、気になる作品のある方は今からでもチェックしてみてはいかがでしょうか。ちなみに筆者は作品の内容をおさらいしたい時に普段からよくアニメを観ています。

YouTube「ジャンプチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UC47AYUs8AVU1QsT5LhpXjaw

『NARUTO』『ドラゴンボールZ』『幽☆遊☆白書』『スラムダンク』など往年の超ビッグタイトルから『ONE PIECE』『鬼滅の刃』『僕のヒーローアカデミア』など連載中の作品まで、どれだけ時間があっても足りないようなラインナップ。タイトルの多さに集英社の本気を感じます。
目移りしてしまいますが、筆者は今後に備えて『BLEACH』を観始めました。

『BLEACH』連載20周年に向けて

3月21日(土)、ジャンプの歴史に残る大ヒット作品『BLEACH』について、いくつかの発表がありました。

念のためおさらいすると、久保帯人による『BLEACH』は、コミックス全74巻、累計発行部数は国内で9,000万部・全世界で1億2,000万部の大ヒット作品。主人公・黒崎一護が「死神代行」として「虚(ホロウ)」と呼ばれる悪霊を退治していく中で様々な騒動に巻き込まれていくという、ジャンプの王道を行くようなストーリーです。ほかにも個性あふれるキャラクター、端々に作者のセンスを感じさせられる会話、オリジナリティー溢れる圧倒的な演出など、魅力を挙げていけばキリがありません。

そんな同作品について、この日、以下の内容が発表されました。

  • 最終章『千年血戦篇』アニメ化決定
  • 2021年 初となる『BLEACH』原画展開催
  • 2020年 『BURN THE WITCH』連載 & 劇場アニメ化決定

もともとこの日に『BLEACH』に関する発表があることは告知されており、ファンの間でも最終章のアニメ化は予想されていました。しかし、それ以外についてはまさに青天の霹靂。本連載の第1回で「『BLEACH』の久保帯人の新連載が始まると予想します!」と書いた筆者としてはうれしい限りですが、まさかアニメ化もセットになるとは。
なお、『BURN THE WITCH』は2018年のジャンプ50周年記念号に掲載された読切作品で、『BLEACH』と共通した世界観を持っています。久保帯人氏の直筆コメントによるとジャンプ連載分の原稿はすでに仕上がっているらしく、「シリーズ連載」というかたちとなるようです。今年の夏はアツくなりそうですね。

「ラブコメ」の可能性を拓けるか

3月9日(月)に発売されたジャンプ2020年15号で、マンガ史に残るかもしれない発表がありました。人気のラブコメ作品『ぼくたちは勉強ができない』において、主人公と作中のヒロイン全員との恋模様をパラレルストーリーとして描くというのです。

同作品の主人公たちが通う高校には、「文化祭の後夜祭で打ち上げられる最初の花火が上がった瞬間に、触れ合っていた男女は必ず結ばれる」というジンクスがあります。花火の上がる瞬間、転んだ主人公に誰かが手を差し伸べるシーンがあったのですが、ここを分岐点としたストーリーが描かれるようです。

恋愛シミュレーションゲームなどでは、「プレイヤーが好みのキャラクターを“攻略”できる」ことは当たり前のものとしてシステムに組み込まれています。ビデオゲームならではの表現手法として生まれたこの仕組みを、『ぼく勉』はいわば逆輸入したような構図です。

「どうせなら全員分のエンディングを描いてくれればいいのに……」などと筆者も思ってはいましたが、その時、言外には常に「マンガでそれは難しいだろうけど」という留保がありました。

だからこそ、正式に発表されたことへの衝撃は大きかったです。何よりもまずは、この挑戦に心からの賞賛を。期待を込めて、最後まで見届けたいです。

非日常の先に……

新型コロナウイルス騒動について一切触れないという選択もあり得たのですが、ニュースを見るたび、その方が不自然だと感じるようになりました。

今回紹介した出版社の動きは誇張なく、筆者にとって希望でした。また、不謹慎と思われてしまうかもしれませんが、この状況を経てどんな作品が生まれるか、ジャンプ連載作品がどう変わっていくのか、見届けたいという気持ちもあります。文化は社会を映し出す鏡であり、マンガも例外ではありませんから。

そのためにも今は、できることを粛々と。手洗い・うがいは丁寧に、各々しっかりとウイルス対策を講じて、またみんなでジャンプの話をしたいものです。

それでは、また来月!

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