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千葉雄大が語る俳優としての現在地とこれから。「ニュートラルな存在を目指したい」

千葉雄大が語る俳優としての現在地とこれから。「ニュートラルな存在を目指したい」

平安時代の貴族・光源氏が現代の日本に次元ジャンプ!? そんな奇想天外なストーリーで視聴者にゆる~い笑いを提供してくれる、よるドラ『いいね!光源氏くん』(NHK)が、4月4日(土)よりスタートする。

ある日、一人暮らしのOL・沙織(伊藤沙莉)が部屋でうたた寝をしていると、突然着物をまとった男性が出現。その男性の正体は、かの有名な『源氏物語』で絶世の美男子として描かれている光源氏だった! 最初、光のことをただのコスプレイヤーと勘違いしていた沙織。しかし、人助けのつもりで光を自宅に住まわせることになり、“いとをかし”な共同生活が始まるのだった。

本作で主人公の光源氏を演じる千葉雄大は今年で俳優デビュー10周年。コンスタントに様々な作品に出演を続け、イケメン役はお手の物。しかし、今回は一風変わった“いけめん”役ということで、彼にとって本作の出演は新境地となるだろう。そして、若手俳優枠から中堅俳優へとステップアップしようとしている今、千葉が見据えているビジョンとは? インタビューでは間もなく始まるドラマへの意気込みを聞くとともに、彼の俳優としての現在地とこれからについて探った。

よるドラ『いいね!光源氏くん』より

取材・文 / 近藤加奈子 撮影 / コザイリサ


「僕なんかを選んでくださって……」。平安時代の“いけめん”役に恐縮するも、「光源氏の魅力は見た目ではなく人間性」と分析

光源氏といえば紫式部が書いた『源氏物語』の主人公で架空の人物。小説ではその美しい容姿から女性からモテモテなイメージですが、今回千葉さんがドラマで演じた光源氏はどんな人物なんですか?

僕がドラマで演じている光源氏は、多くの方の想像する『源氏物語』の主人公とはまたちょっと違っています。光源氏なことには間違いないんですが、『源氏物語』で描かれているプレイボーイみたいな要素は全然ないし、目の前にいる人を大切にしたり、目に映るものすべてに新鮮さを覚えたりとすごくピュアな人。だからその違いを楽しく演じられたら良いなと思っています。

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千葉雄大

現場の雰囲気はいかがでしたか?

もちろん常に本気で取り組んでいるんですが、共演者みんな仲が良いので、その分けっこう和やかになってしまうこともありますね(笑)。ドラマ自体がぶっ飛んだ設定ということもあり、おかしな描写も多いのですが、そういったシーンを淡々とやる現場だったらたぶんキツかったと思うんです。でも、今の現場はみんな面白いシーンの時はちゃんと笑ってくれるし、おかしいシーンの時は突っ込みなんかも入れてくれる。おかげさまですごくやりやすいですし、終始大人たちが真面目にふざけている現場だなと思います(笑)。

もともと光源氏にはどのようなイメージを持っていたのでしょうか?

『源氏物語』を読んでいた学生時代は、「光源氏ってどんな人なんだろう?」なんてほとんど考えたことなかったですね。世の中の多くの人がイメージしているように、稀代の色男みたいなふうに捉えていたと思います。

よるドラ『いいね!光源氏くん』より

そのような役を演じるとなった時はどんな気持ちでしたか?

いやもう「僕なんかを選んでくださって……」って気持ちです。でも、正直くすぐったいですよね、“イケメン”とか“色男”みたいな設定って(笑)。脚本のト書きにも“キュンとする仕草をする”とか書かれているんですけど、「いや、そんなのわからんよ」というのが本音です(笑)。でも、沙織さんが突然家にやって来た光源氏を好意的に受け入れてくれたのは、彼がイケメンだからという理由だけではない気がしますね。彼と一緒にいて楽しい時間を共有できるとか、純粋に人を大切に思う姿とか、そういう人としての良さみたいな部分に魅力を感じたんだと思うんです。なので、クランクインの前は光源氏の人間性を脹らませる作業に時間を割きましたし、撮影ではできる限り彼の内面的な魅力も表現できるように頑張っています。

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「もし平安時代から令和に次元ジャンプしたらホストをやってみたい!」令和の世に光源氏として過ごした現場の裏話を暴露

光源氏を演じる上で意識したことは?

平安時代の貴族という設定なので、ひとつひとつの仕草が美しく、雅になるようにというのは心がけていました。例えば座る時で言えば、片脚を引いてからもう片方の脚を引く、というふうに日常の何気ない動作もすごく丁寧にやっています。でもそんな感じでゆったりとした動きを意識していたらスタッフさんから、「これだとちょっと尺が足りなくなっちゃうので、もうちょっと詰められますか?」と言われちゃいました(笑)。あと、片方の肩を落とすと色っぽく見えると指導の先生から教えてもらったので、それも必要なシーンに応じて取り入れています。

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個人的に光源氏は現代でも烏帽子をずっと被っているのがツボでした!

けど実際に烏帽子を被ったまま現代の生活様式に合わせてお芝居をするとなると、不具合がいろいろ生じるんですよね。1番は天井との距離感。最初は何度も“ガンッ!”ってぶつけまくっていましたけど、今はもうばっちりです。でも、“初めて現代の家に来た”という設定をくんで、あえてそういう仕草を取り入れることもありました。僕がもし本当に平安時代の人間だったとしたら、現代の家に来ていきなり烏帽子と周囲の空間の距離感を掴むのは難しいだろうなと思って。

烏帽子を被りながらの撮影って意外とハードなんでしょうか……?

別に重たいとかはないし、慣れてくれば全然普通に過ごせますよ。ただ、屋外での撮影だったりすると風が吹いたタイミングで、そのまま頭が持っていかれてしまうんですね。傍から見るとすごくグラグラしているのに、僕にはそれが見えない。しかも、そんな状況下にもかかわらず光源氏は真面目なセリフを言うもんだから、一緒にいる沙莉ちゃんは必死で笑いを堪えなきゃいけないっていう。もう本当にご迷惑おかけしました(笑)。

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もし光源氏みたいに1日現代に来れるとしたら何をしてみたいですか?

えー不倫三昧じゃないですか? って超冗談だけど(笑)。でも、ドラマの中盤で登場する中将さん(桐山 漣)は、現代に来てホストクラブで働くんですけど、僕もめっちゃやってみたかった……。しかもご本人、ホストのお勉強のためにと実際にお店に行って体験とかされていたみたいで。「羨ましい~!」ってなりました(笑)。

光源氏は色男なだけに、女性をもてなしてみたいと。

まあそこは光源氏だからってことで(笑)。個人的にはお客さんから「話つまんない」とか思いっきり言われてみたい(笑)!

日常ではどんな場所に行ってみたいですか?

「烏帽子でジェットコースターに乗れるかな?」と思ったんですけど、乗る時に帽子は絶対に取らなきゃいけないから……そう考えると普通に原宿とかですかね。でも、ドラマのロケで実際に原宿を歩いたんですよ。なんか烏帽子を被っているのに超現代的な所にいるギャップが異質な感じで面白かったです。それで写真撮って見てみたらやっぱりすごく変でしたもん。特に子供なんて露骨だから“ハッ”と驚いた顔で、超ジロジロ見てきましたからね(笑)。あ、でもこれが巣鴨とかだったらまた違ったのかも……? 古き良き心を武器に、おじいちゃんおばあちゃん世代にモテてみたいですね。

よるドラ『いいね!光源氏くん』より

ドラマでは原宿でショッピングをするシーンもあったりと、たくさんのコーディネートを披露されていますが、そのなかでも千葉さんのお気に入りのファッションは何でしょうか?

カサゴっていう魚がプリントされたTシャツです。こんなの着る機会なかなかないじゃないですか? 僕、そのTシャツを着ている時は現場で「カサゴ」って言われていました(笑)。

確かにそれはレアですね(笑)!

でしょ? 僕もカサゴのTシャツなんて人生で初めて着ました。でもプライベートでも着てみたいかって聞かれたら……まあ、そのTシャツを頂けるんだったら着ます! 部屋着で(笑)。

ドラマには光源氏の他にも個性豊かなキャラクターが登場されますが、千葉さんの“推し”は誰ですか?

客観的に見た時に神尾楓珠くん演じるカインが1番まともな人間だなって思いました。カインはホストでその上お金持ちのボンボンで、チャラいイメージがあるけど、この物語のなかでは常識を持ち合わせているほうだなと感じます(笑)。

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31歳の現在地から見た自分とこれからの目標。父親役に意欲も

千葉さんといえばそのルックスから20代の頃は可愛らしい役柄が多い印象でしたが、ここ数年は映画「スマホを落としただけなのに」シリーズ(18・20)や、ドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』(19/EX)といった作品で新たな魅力を開花させています。これから30代中盤に突入していくなかで、俳優としてどのような立ち位置を目指したいですか?

個人的には特定の型にはまるつもりはなくて、貪欲に様々なことに挑戦していきたいと思っています。一応、俳優として10年やってきて「いろんなことをやってきたな」と思う一方で「まだまだやっていないことがたくさんあるな」って思う自分もいる。人って年を重ねる度に新しいことにチャレンジするのが怖くなると思うんですが、僕はそれでも進化し続けたい気持ちがあります。

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これからも可愛いキャラを求められれば、応えていただけるんでしょうか?

オファーがあれば可愛いことだって全然やりますよ(笑)。今もお仕事で可愛いキャラを求められることに対して抵抗はないです。撮影でご要望があれば可愛いポーズも無限にできます(笑)。

もし学生役のオファーが来たら……?

はい、大丈夫です。ただし、本当に学生に見えればという感じですが(笑)。

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これからお芝居で挑戦してみたい作風やキャラクターがあれば教えてください。

今年の3月で31歳になったんですが、このくらいの年齢になってくると周りに結婚して子供がいる友達が増えてきたなってすごく実感するようになるんです。だから、そういう年齢的な意味でも最近は父親役をやってみたいと思うようになりました。こういうのって若い時だったら絶対にできなかった役だし、今くらいの年だからこそ挑戦したいなという意欲が沸いてくる。あと、ジャンルで言えば時事ネタや社会的な問題を扱ったシリアスな作品に興味があります。

千葉さんの父親役、いつか拝見できるのを楽しみにしています!

ありがとうございます。でも逆に言えば僕は父親になったことがないし、まったくイメージがつかないからこそ挑戦してみたい気持ちが強いんですよね。今までに経験のないことを、自分がやったらどうなるのかを純粋に見てみたい。こうやってこれからも役柄・ジャンルにとらわれず経験を重ねて、型にはまらない、ニュートラルな存在を目指したいですね。

スタイリスト / 寒河江 健(Emina)
ヘアメイク / 平山直樹(wani)

千葉雄大

1989年3月9日生まれ。宮城県出身。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』で俳優デビュー。近年の主な出演作には、【ドラマ】「家売るオンナ」シリーズ(16・17・19/NTV)、連続テレビ小説『わろてんか』(17/NHK)、「もみ消して冬」シリーズ(18・19/NTV)、『高嶺の花』(18/NTV)、『おっさんずラブ-in the sky-』(19/EX)【映画】『帝一の國』(17)、『亜人』(17)、「スマホを落としただけなのに」シリーズ(18・20)、『人間失格 太宰治と3人の女たち』(19)、『決算!忠臣蔵』(19)などがある。

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@yudaichibaofficial

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よるドラ『いいね!光源氏くん』

4月4日(土)スタート
NHK総合:毎週土曜日23時30分~23時59分放送

原作:えすとえむ
脚本:あべ美佳
音楽:小畑貴裕
主題歌:岡崎体育「二二二二二」
出演:千葉雄大 伊藤沙莉 桐山 漣 入山杏奈 神尾楓珠 小手伸也 ほか

オフィシャルサイト
https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/hikarugenji/index.html

オフィシャルTwitter
@nhk_purpleamore

原作本『いいね!光源氏くん』 / えすとえむ