佐藤剛の「会った、聴いた、読んだ」  vol. 136

Column

世界のロックシーンの最先端にいた小さなモンスターたち、スーパージャンキーモンキーを知っていますか?

世界のロックシーンの最先端にいた小さなモンスターたち、スーパージャンキーモンキーを知っていますか?

1994年にデビューした女性4人組のオルタナティブ・ロックバンド、スーパージャンキーモンキーは、デビュー25周年となる2019年12月にサブスクリプションでの配信が始まった。

今年の2月にはアナログ盤が発売されて再び注目を集めたが、そんななかで特別番組「~SUPER JUNKY MONKEY 25th ANNIVERSARY SPECIAL~」がスペースシャワーネットワークで2月に放送された。

ナレーションはRIZEの金子ノブアキ。
コメント出演は石野卓球(電気グルーヴ)、上ちゃん(マキシマム ザ ホルモン)、草刈愛美(サカナクション)、HISAYO(a flood of circle)の4人。

金子を筆頭に全員がバンドに対して敬愛に満ちた言葉を語っていて、それぞれに感謝の思いを抱いていることが強く印象に残った。

スーパージャンキーモンキーは世界のロックシーンの最先端に位置したバンドだったので、日本だけでなく海外でもアルバムが発売になっている。

そしてニューヨークやロス、ロンドンなどでもライブが行われた。
その当時の生き生きとした映像を今回、まとめて見ることができてぼくは感無量だった。

そして番組を見終わってから、こう思ったのである。

このバンドはこれからも世界の音楽ファンに、新しく発見されていくのではないか。

MUTSUMI623(Vo)、KEIKO(Gt)、かわいしのぶ(Ba)、まつだっっ!!(Dr)の4人によって結成されたスーパージャンキーモンキーは、1993年11月にニューヨークのライブハウス「CBGB」でのライブが評判になった。

テレヴィジョンやパティ・スミス、トーキング・ヘッズなど、パンクに影響を受けた先鋭的なバンドが出演していたことで知られていたCBGBでは、アメリカのインディーズ・バンドによる街フェス「CMJミュージックマラソン」が行われていた。
そこに日本から参加したのが、スーパージャンキーモンキーであった。

見るからに子供みたいな女の子たちは、まったく相手にもされていなかったが、何の知識もない観客を熱狂させることになった。

その場に立ち会っていたCBSソニーのディレクター、野中規夫氏がブログでこのように述べていた。

ちっこい東洋人の娘っ子を見た客がゾロゾロ帰り始めた。
そこにKeiko のギター!(ビースティーボーイズより凄い)
まつだっっ!! のドラム!(男だか女だかわからんパワー)
大音量に客が続々と戻ってきて最後は大盛況。
ほとんど満員になった客が踊りまくり暴れまくった!

彼女たちは帰国後の1994年にアルバム『Screw Up』で、メジャー・デビューを果たした。
そしてソニー傘下のインディーズレーベルだったトライスターによって、アメリカでも発売されてアニメの主題歌にも起用された。

海外からのオファーは多かったが、彼女たちは日本での活動を重視した。

日本ではテレビ東京で放送されていた音楽番組『タモリの音楽は世界だ!』に出演し、当時はほとんど知られていなかったモッシュ&ダイブを、タモリや中尾ミエといった出演者に講義したことで注目を集めた。

スーパージャンキーモンキーの特徴は人間の極限に迫っていくような激しい演奏によるハードコアなサウンド、歳月を経ても古さを感じさせない高橋睦(MUTSUMI623)の哲学的ライム、そこから浮かび上がってくる現実社会への真っ直ぐな問いかけである。

観客と対峙するようにシャウトするヴォーカル、トリップするかのように激しく鳴り響くギター、それを支えているのは男性顔負けの強力なドラム、そして最年少のかわいしのぶが変化自在のベースを弾きまくる。

まさに4人にしかできない、究極のバンド表現がそこにはあった。

しかし1999年2月、カリスマ・ヴォーカルだったMUTSUMI623が、不慮の事故で亡くなった。
当然ながらそのことによって、バンドの活動は止まらざるを得なかった。

3人による復活ライブが行われたのは、それから10年後の2009年であった。
それ以降は節目に応じてフェスに出演するなど、ライブ活動を続けている。

なおスペースシャワーTVで放送された特別番組は、期間限定で4月27日までYouTubeでも公開されている。

先鋭的で先駆的なスーパージャンキーモンキーは、いつも少しだけ先に進みすぎていたのかもしれない。

この機会にぜひとも時代を超えてきた偉大なるバンドに出会って、その世界を知ってほしいと思う。

Super Junky Monkeyの楽曲はこちら
サブスク配信

https://smdr.lnk.to/QFB5qAW

著者プロフィール:佐藤剛

1952年岩手県盛岡市生まれ、宮城県仙台市育ち。明治大学卒業後、音楽業界誌『ミュージック・ラボ』の編集と営業に携わる。
シンコー・ミュージックを経て、プロデューサーとして独立。数多くのアーティストの作品やコンサートをてがける。
久世光彦のエッセイを舞台化した「マイ・ラスト・ソング」では、構成と演出を担当。
2015年、NPO法人ミュージックソムリエ協会会長。現在は顧問。
著書にはノンフィクション『上を向いて歩こう』(岩波書店、小学館文庫)、『黄昏のビギンの物語』(小学館新書)、『美輪明宏と「ヨイトマケの唄」~天才たちはいかにして出会ったのか』(文藝春秋)、『ウェルカム!ビートルズ』(リットーミュージック)

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